3気筒エンジンのバイクが気になる
単気筒や2気筒、4気筒に比べ、どこか異端児的な存在が、3気筒のエンジンを搭載したバイクです。でもこれまでにも、3気筒のエンジンを搭載したバイクはいくつかあり、いずれも名車と呼ばれたバイクが多いという事実があります。
そして今また、3気筒エンジンを搭載したバイクが生み出され続けています。独特なエンジンレイアウトを持つ3気筒バイクの魅力や、現行の3気筒バイク、これまでの3気筒の名車をご紹介します。
3気筒エンジンのおすすめバイク①
ヤマハ MT-09
ヤマハの隠れた名車とも言われるGX750の流れを汲む、120°クランクのトリプルシリンダーをパワーユニットに持つのがMT-09です。クロスプレーン思想に基づき作られた不等間隔爆発を起こすクランクは、エンジンの燃焼によって生み出されるトルクをもっとも効率よく引き出すことができます。
ライダーの意のままにリニアに反応するスロットルと、そのスパルタンな外観で、エキサイティングな走りを楽しむことができます。
スペック
メーカー | ヤマハ |
エンジン形式 | 水冷4ストロークDOHC4バルブ直列3気筒 |
排気量 | 845cc |
最高出力 | 85kW/10000rpm |
最大トルク | 87N・m/8500rpm |
全長×全幅×全高 | 2075mm×815mm×1120mm |
シート高 | 820mm |
車両重量 | 193kg |
3気筒エンジンのおすすめバイク②
ヤマハ XSR900
ヤマハのどこか懐かしを感じるルックスに、現代風の解釈を加えたネオレトロシリーズのバイクが、XSR900です。エンジンはMT-09と共通の、クロスプレーンコンセプトに基づき開発された水冷のトリプルシリンダーです。
トラクションコントロールやABS、アシストスリッパークラッチも装備され、ライダーは見た目のクラシカルなイメージと、最先端の走りというギャップを楽しむことができます。
スペック
メーカー | ヤマハ |
エンジン形式 | 水冷4ストロークDOHC4バルブ直列3気筒 |
排気量 | 845cc |
最高出力 | 85kW/10000rpm |
最大トルク | 87N・m/8500rpm |
全長×全幅×全高 | 2075mm×815mm×1140mm |
シート高 | 830mm |
車両重量 | 195kg |
3気筒エンジンのおすすめバイク③
ヤマハ NIKEN
フロント2輪、リヤ1輪というトリプルホイールの構造を持つバイクが、ヤマハのNIKENです。エンジンは、MT-09をベースにしたトリプルシリンダータイプを搭載、見た目以上にパワフルな走りを提供してくれます。
新開発のステアリング機構により45度という深いバンク角を実現し、3輪バイクでありながら、通常の2輪と変わらないアグレッシブなコーナーリングを楽しむことができます。
スペック
メーカー | ヤマハ |
エンジン形式 | 水冷4ストロークDOHC4バルブ直列3気筒 |
排気量 | 845cc |
最高出力 | 84.6kW/10000rpm |
最大トルク | 87.5N・m/8500rpm |
全長×全幅×全高 | 2150mm×885mm×1250mm |
シート高 | 820mm |
車両重量 | 263kg |
3気筒エンジンのおすすめバイク④
トライアンフ スピードトリプル
挑みかかるようなアグレッシブなスタイリングを持つストリートファイターが、トライアンフのスピードトリプルです。低く構えたシャシーには、3つのシリンダーを並列に並べた1,049ccのハイパワーユニットを搭載しています。軽量・コンパクトなボディもあいまって、ライダーに走るよろこびを提供してくれるバイクです。
スペック
メーカー | トライアンフ |
エンジン形式 | 水冷4ストロークDOHC3バルブ直列3気筒 |
排気量 | 1049cc |
最高出力 | 103kW/9500rpm |
最大トルク | 112N・m/7850rpm |
全長×全幅×全高 | ーmm×780mm×1070mm |
シート高 | 825mm |
乾燥重量 | 192kg |
3気筒エンジンのおすすめバイク⑤
トライアンフ タイガーエクスプローラー
トライアンフの大型デュアルパーパスモデルが、タイガーエクスプローラーです。パワーユニットにはトリプルシリンダーを持つ1215ccエンジンを搭載、2気筒モデルのように主張しすぎないスムーズな走りを実現しています。
道を選ばず走れる足回りや、アップライトなラインディングポジションに大型スクリーンを装備し、ロングツーリングに出かけたくなる一台です。
スペック
メーカー | トライアンフ |
エンジン形式 | 水冷4ストロークDOHC4バルブ直列3気筒 |
排気量 | 1215cc |
最高出力 | 102kW/9300rpm |
最大トルク | 123N・m/6200rpm |
全長×全幅×全高 | 2230mm×830mm×1400mm |
シート高 | 837mm |
車両重量 | 244kg |
3気筒エンジンのおすすめバイク⑥
トライアンフ ロケットⅢロードスター
トライアンフのクルーザーシリーズの中でも最高峰に君臨するのが、ロケットⅢロードスターです。太いシリンダーを3本縦に並べた縦置き水冷3気筒エンジンは、148psのハイパワーを発生、その威風堂々としたボディを軽々と走らせます。
クルーザーながらややスポーティなポジションと、ビッグトリプルならではの強大なトルクが生み出す加速感で、スポーツライディングを楽しむこともできます。
スペック
メーカー | トライアンフ |
エンジン形式 | 水冷4ストロークDOHC4バルブ3気筒 |
排気量 | 2294cc |
最高出力 | 148ps/5750rpm |
最大トルク | 221N・m/2750rpm |
全長×全幅×全高 | ーmm×970mm×1165mm |
シート高 | 750mm |
車両重量 | 374kg |
3気筒エンジンのおすすめバイク⑦
MVアグスタ F3 800
イタリアの名門バイクメーカーであるMVアグスタの、スーパースポーツとしては珍しい3気筒のシリンダーレイアウトを持つバイクがF3です。トリプルシリンダーの下のクランクは逆回転タイプを採用し、ジャイロ効果を減弱させることによるクイックな旋回性を実現しています。
電子制御による4種類のライディングモードや、素早い加速を可能にするクイックシフターにより、本格的なスポーツライディングを楽しめるバイクです。
スペック
メーカー | MVアグスタ |
エンジン形式 | 水冷4ストロークDOHC4バルブ直列3気筒 |
排気量 | 798cc |
最高出力 | 148hp/13000rpm |
最大トルク | 88N・m/10600rpm |
全長×全幅×全高 | 2060mm×730mm×ーmm |
シート高 | 805mm |
車両重量 | 173kg |
3気筒エンジンのおすすめバイク⑧
MVアグスタ BRUTALE800
F3と同様にトリプルシリンダーのパワーユニットを持つネイキッドスポーツが、MVアグスタのBRUTALE800です。
逆回転クランクやクイックシフターなど、スーパーバイク世界選手権やMotoGPで培われたテクノロジーを惜しみなく投入しつつ、ネイキッドならではの軽量・コンパクトなボディが生み出す軽快な走りで、都市を駆け抜けるストリートファイターに仕上げられています。
スペック
メーカー | MVアグスタ |
エンジン形式 | 水冷4ストロークDOHC4バルブ直列3気筒 |
排気量 | 798cc |
最高出力 | 116ps/11500rpm |
最大トルク | 83N・m/7600rpm |
全長×全幅×全高 | 2045mm×875mm×ーmm |
シート高 | 830mm |
車両重量 | 175kg |
歴代の3気筒エンジンの名車①
500SSマッハⅢ
カワサキが世界に誇る2スト3気筒の名車が、マッハシリーズです。なかでももっとも最初に発売された500SS(H1)、通称マッハⅢは特に高い人気を誇りました。
猛烈に白煙を巻き上げながら、大排気量車をも凌駕する加速を見せるマッハは、乗りこなすことすら難しい乗り手を選ぶバイクでした。逆にそれを乗りこなすことが、一人前のライダーの証であるかのような伝説を生み出した、珠玉の名車でもありました。
スペック
メーカー | カワサキ |
エンジン形式 | 空冷2ストローク ピストンバルブ直列3気筒 |
排気量 | 498.7cc |
最高出力 | 60ps/7500rpm |
最大トルク | 5.85kgf-m/7000rpm |
全長×全幅×全高 | 2095mmx840mmx1080mm |
乾燥重量 | 174kg |
歴代の3気筒エンジンの名車②
スズキ GT380
当時人気だったカワサキのマッハシリーズに対抗すべく、水冷2ストローク3気筒のシリンダーレイアウトを搭載して投入されたのが、スズキのGT380です。「じゃじゃ馬」と呼ばれたマッハと比較して、このGTはトリプルならではの特性を生かしたマイルドな乗り味で人気を博しました。
中央のシリンダーの冷却効率を高めるため採用された、ラムエアーシステムと呼ばれる独特なシリンダーヘッド形状でも話題になった、昭和の名車の一台と言えます。
スペック
メーカー | スズキ |
エンジン形式 | 空冷2ストローク ピストンバルブ直列3気筒 |
排気量 | 371cc |
最高出力 | 38ps/7500rpm |
最大トルク | 3.8kgf-m/6500rpm |
全長×全幅×全高 | 2090mm×815mm×1380mm |
車両重量 | 183kg |
歴代の3気筒エンジンの名車③
ヤマハ GX750
並列2気筒だったヤマハのTX750の後継モデルとして、直列3気筒のパワーユニットを与えられたのが、ヤマハスポーツGX750です。
3into1のエキゾーストシステムやトリプルディスクブレーキ、シャフトドライブなど、他社のライバルとは一味ちがう装備で人気を博し、1981年に空冷直列4気筒のXJ750にバトンタッチする形でその役目を終えました。
スペック
メーカー | ヤマハ |
エンジン形式 | 空冷4ストロークDOHC2バルブ直列3気筒 |
排気量 | 747cc |
最高出力 | 6ps/8000rpm |
最大トルク | 6.3kgf-m/6500rpm |
全長×全幅×全高 | 2155mmx850mmx1150mm |
シート高 | 825mm |
乾燥重量 | 237kg |
歴代の3気筒エンジンの名車④
ホンダ MVX250F
前2気筒、後ろ1気筒のV型3気筒というユニークなシリンダーレイアウトで登場したのが、ホンダのMVX250Fです。V型トリプルの特性を生かした軽量で低振動なエンジンが魅力でしたが、逆に2ストロークの持ち味でもあるパンチ力は影をひそめてしまいました。
そのためライバルであるヤマハのRZRやスズキのRGガンマに対し、販売面では苦戦しましたが、市販車初の2ストロークV型トリプル搭載車として、ライダーの記憶に残る名車とも言えます。
スペック
メーカー | ホンダ |
エンジン形式 | 水冷2ストローク ピストンリードバルブV型3気筒 |
排気量 | 249cc |
最高出力 | 40ps/9000rpm |
最大トルク | 3.2kgf-m/8500rpm |
全長×全幅×全高 | 2010mmx735mmx1155mm |
シート高 | 780mm |
車両重量 | 155kg |
歴代の3気筒エンジンの名車⑤
ホンダ NS500
バイクレースの最高峰であった世界グランプリ500ccクラスの、ホンダのファクトリーマシンがNS500です。最大の特徴は、当時主流だった直列4気筒ではなく、前1気筒、後ろ2気筒のV型3気筒のシリンダーレイアウトを採用した点です。
3気筒ならではの軽快な走りで、フレディ・スペンサーによって世界チャンピオンに輝き、名車の仲間入りを果たしました。その後、市販車として同じシリンダーレイアウトを持つレプリカモデルのNS400も発売されました。
スペック
メーカー | ホンダ |
エンジン形式 | 水冷2ストローク ピストンリードバルブV型3気筒 |
排気量 | 498.6cc |
最高出力 | 130.1ps/11000rpm |
最大トルク | 113.26kg |
3気筒エンジンの特徴
3気筒エンジンとは
3気筒エンジンとは、文字通り気筒、すなわちシリンダーを3本持つエンジン形式です。少ない気筒数のエンジンは、構造もシンプルで燃費も良いのですが、パワーは小さく振動も大きくなります。
一方、多気筒のエンジンは大きなパワーが得られて、振動も少ないのが特徴ですが、その分、燃費も悪くなり、部品点数が増えるためエンジンの構造も複雑になります。この両方のエンジンのいいとこ取りをしたのが、3気筒エンジンであると言えます。
バイクでは希少な3気筒ですが、4輪では軽自動車に多く採用されているエンジン形式です。
3気筒エンジンのメリット
3気筒エンジンのメリットとしては、前述したとおり4気筒に比べ燃費性能が良く、単気筒や2気筒に比べてパワフルなことが挙げられます。また1気筒あたりの排気量が大きくなり、冷却や摩擦による損失が少ないことから、大きなトルクを取り出すことができます。
またバイクの場合、4気筒に比べ横幅が狭い3気筒は、エンジンを軽量・コンパクトにできることから、大きなバンク角や軽快なハンドリングを得られるというメリットもあります。
3気筒エンジンのレイアウト
軽自動車に搭載される3気筒エンジンは、基本的にシリンダーを横1列に並べた直列式です。バイクの場合も、基本的にはこの直列3気筒を横置きしたレイアウトが一般的です。なかにはトライアンフのロケットⅢのように、縦置きに配置したレイアウトも存在します。
またバイクならではの方式とも言えるのが、ホンダのNSやMVXに採用されたV型3気筒というシリンダーレイアウトです。ホンダは軽量・コンパクトなこのエンジンレイアウトで、ワールドチャンピオンに輝くことができました。
やっぱり3気筒バイクはカッコいい
3気筒のエンジンを持つバイクについてご紹介してきました。バイクのエンジンレイアウトとしては希少な存在でありながら、いつの時代も3気筒のバイクは作られつづけ、そのいずれもが名車と呼ばれているという事実があります。
現在も手に入る魅力的な3気筒バイクや、これからも生み出されるであろう3気筒バイクから目が離せません。