日本を代表する花!有名な桜の種類を紹介
桜の開花時期はゴールデンウィーク前後だと思っていませんか。遅咲きの桜で葉が先につくヤマザクラ(山桜)をご存知の方も多いでしょうが、それのみとは限りません。桜の開花時期は意外と幅があって、お正月ころ咲くものや珍しい秋に咲くものもあるのです。桜の花の開花時期順にいろいろな品種をご紹介していきましょう。
日本の桜について
桜の基本情報
科・属:バラ科モモ亜科スモモ属
原産地:北半球の温帯地域
学名/英語名:Prunus, Cerasus , Sakura/Cherry blossom
開花時期の違いに限らず、フジザクラ(富士桜)のような花も小さい低木種を始めとしてヒガンザクラ(彼岸桜)のように長寿で大木になるものまで、大きさもさまざまです。
サクラの概要
室町時代から、観賞用の花木とされ品種改良が行われている花です。その基本となる品種は野生種の中の10種(下記引用を参照してください)。その10の野生種から100種類もの自生種が生まれて、現在では園芸品種としては600種類以上の桜があるといわれています。
ヤマザクラ、オオヤマザクラ、カスミザクラ、オオシマザクラ、エドヒガン、チョウジザクラ、マメザクラ、タカネザクラ、ミヤマザクラ、クマノザクラの10種。
日本の有名な桜の種類①早咲き品種
名前:ヒカンザクラ
正月に咲くことからガンジツザクラ(元日桜)とも呼ばれています。桜の原種、野生種のひとつ。名前が似ているのでよく間違われますが、ヒガンザクラ(彼岸桜)とはまったく異なる品種です。
開花時期:1月から2月
早咲きの桜の代表といわれているの品種がこのヒカンザクラです。花びらの付き方は一重で、花弁の数は5枚。色は緋色といわれるくらい濃い目のピンク色をしていますが、満開に近づくにつれて次第に薄くなり、ピンク色くらいで満開状態となります。
この桜の特徴
つり鐘のように垂れ下がって咲く姿が特徴的です。多くの桜の花が、花びらがバラバラに散るのとは異なり、ヒカンザクラはツバキのようにガクごとぽとりと落ちるのも大変珍しいです。
この桜の名所
特に沖縄で多く見ることができる桜の種類。この他、ヒカンザクラがたくさん植えられた桜並木で楽しめる場所として、鹿児島県の奄美自然観察の森もおすすめです。
日本の有名な桜の種類②早咲き品種
名前:カワヅザクラ
河津川の雑草の中から、1メートルほどの低木の原木が発見されたことがはじまりのカワヅザクラ。1998年ころまで、この桜の木を中心に町おこしの植樹が活発に行わていました。
開花時期:1月から2月
花は桃色から薄ピンクの桜で、たっぷりと1ヶ月ほど咲いてくれるので、真冬の桜ですがみごたえがあります。満開になると木全体が遠くからでも薄桃色に染まりきれいです。色があまりない季節のよいアクセントになってくれる植物となっています。
この桜の特徴
あまり数のない早咲きの品種のひとつです。野生種からの雑種の園芸品種としての位置にあります。見つかった当時は低木であったのですが、現在は環境も良いためか普通は5メートルから7メートルくらいまで樹高が高くなります。秋だけでなく、夏にも葉が枯れて落ちてしまいますが、まれにそういう場合もあるというだけで病気などの心配は不要です。
この桜の名所
その名のとおり、静岡県賀茂郡河津町がカワヅザクラの原点であり、名所です。川沿いに植樹されるようになりましたが、堤防の土がやわらかくなってしまうことから現在は川沿いに植えることは禁止に。これ以上増えることはありませんが、それまでに植えられた桜のシーズンには、お祭りも開催されるくらい盛大なイベントとなっています。
日本の有名な桜の種類③早咲き品種
名前:ツバキカンザクラ
まだ寒い季節から咲き始める早咲きの桜。花の時期が長いのでたいへん豪華で見栄えの良い桜として愛されています。一重の品種で、花びらの数はソメイヨシノと同じ5枚、1ヶ所につく花数も4つから5つですが、一度咲くとなかなか散らないこと、密集して花がつくなどの理由で西洋種の桜のようなボリュームがあります。
開花時期:3月中旬
花の中央が盛り上がり、反り返ったようになって咲く品種です。この花の他にもこのように内側が膨らんで咲くものもありますが、数は少なく、珍しがられ人気もあります。
この桜の特徴
とても美しい花をつける桜ですが、不稔性、不実性の品種であるため、なかなか広まりませんでした。現在は接ぎ木などで数が増えていますが、まだまだ東京周辺では見かけることが少ない珍しい花木です。
この桜の名所
愛媛県松山市で多く栽培されている桜で、たくさんのツバキカンザクラを見るのであれば、現地まで足を運ぶ必要があるでしょう。株数は少ないですが新宿御苑にも数本あります。2019年3月現在、新宿御苑のツバキカンザクラはちょうどみごろを迎えています。
日本の有名な桜の種類④早咲き品種
名前:ミクルマガエシ
ミクルマガエシのみくるまとは御車と書き、昔の人が乗った牛車(ぎっしゃ)のことです。この桜の大きな咲き方の特徴が原因で、牛車に乗った貴族が口論。乗っていた牛車を返したところから名前が付けられたといわれています。
開花時期:3月から4月
早咲き品種の桜。花の大きさは3.5センチくらいの大輪種。オオシマザクラを親として混雑した変種の桜で、サトザクラ類の花のひとつとして数えられます。
この桜の特徴
ミクルマガエシの何よりも大きな特徴は、一重の花と八重のそれが1本の木で両方見られるところです。名前の由来となった貴族が口論したというのも、この一重か八重かについてだといわれています。
この桜の名所
ミクルマガエシが見られる場所といえば、高崎城址公園。お堀まで残っている城跡で、このお堀のまわりに桜の木が植えられています。夜はライトアップされ夜桜とお堀に映り込む桜の花の両方が幻想的な姿を見せてくれます。
日本の有名な桜の種類⑤早咲き品種
名前:ヒガンザクラ
1月頃に咲くヒカンザクラとよく名前で間違われるのが、このヒガンザクラ。開花時期はソメイヨシノよりも少し早咲きの品種となります。
開花時期:3月から4月
早咲きの桜で、春のお彼岸ころに咲くことからこの名前が付けられました。関東に多く見られる種類なのでアズマヒガンなどと呼ばれることもあります。花びらは2センチほどで、葉の裏に毛があります。
この桜の特徴
長寿で大木になるものも多いので、山高神代桜、薄墨桜、などと呼ばれて日本各地で天然記念物に指定されていることか多い桜です。桜の中では、最も長生きする品種して有名です。
この桜の名所
樹齢650年をほこる大木のヒガンザクラとして、石部桜は有名です。場所は、会津若松市。大河ドラマのOPでも使われ、観光バスが止まるほどの名所となっています。
日本の有名な桜の種類⑥開花の基準となる品種
名前:ソメイヨシノ
日本の花である桜の中でも、とくに基準とされる位置にある品種がソメイヨシノです。数も多いですが、桜の開花時期はこのソメイヨシノの開花時期を発表しているのもこの種類が基準となる所以です。
開花時期:3月から4月
花びらの数は5枚で、葉よりも先に満開に咲き、葉が出始めると一気に散ってしまいます。この咲き方が、散り際の美しさを求める日本人気質にマッチし愛されています。開き始めはピンク色で、次第に白く花色が変化します。
この桜の特徴
現在日本にある多くのソメイヨシノがエドヒガンとオオシマザクラの混雑種からのクローン。600種類あるといわれている桜の中でも、近代日本では一番多く植樹されている桜の品種です。木の高さは10~15メートルほどにもなります。
この桜の名所
木の数も多い品種なので、あちこちに名所があります。関東なら新宿御苑、関西なら大阪城公園。開花時期には多くの人が足を運ぶ名所として名高い場所です。
日本の有名な桜の種類⑦遅咲き品種
名前:ヤエベニシダレ
ここからは、ソメイヨシノの後に開花しはじめる遅咲きの品種を紹介します。まずは、とても美しいヤエベニシダレから。本州の東北以南に自生する桜の種類ですが、北海道でも栽培することは可能です。明治時代に仙台市長の遠藤庸治さんが増やしたことで有名になり、遠藤桜や仙台八重枝垂などとも呼ばれています
開花時期:4月下旬
花色はやや濃い目のピンクをしています。八重と名前につけられている通り、花びらの数は多いのが特徴。また、固有の特徴として、雄しべが長く突き出していることもあげられます。
この桜の特徴
八重咲の花はおしべとめしべが花弁に変化して八重になるといわれているため、その数が少ないものがほとんど。でも、この花は他の一重の種類とくらべておしべとめしべの数が同じことが大きな特徴です。
この桜の名所
仙台の榴岡公園や弘前市の弘前公園がヤエベニシダレが美しい場所として有名です。榴岡公園には19種類の桜の木が植えられており、時期のずれに合わせて他の品種も楽しめます。
日本の有名な桜の種類⑧遅咲き品種
名前:ギョイコウ
ギョイコウの名前の由来は、位の高い貴族が着用する萌黄色の衣装に花色が似ていたことから。漢字で書くと御衣黄となります。理化学研究所ではこの桜に特殊な光線を照射して、蕾は従来の緑色、開花していくにつれて花色が白からピンクを帯びてきて散り際には桃色の花になる桜の品種改良に成功しています。
開花時期:4月下旬
花の大きさが地域によって異なるという面白い特徴を持った桜です。北海道では大きく4センチ以上になることも。京都などでは2.5センチから3センチ程度となっています。桜の花で1センチ以上の差はかなり大きな物。全体の見た目も大きく変わってきます。
この桜の特徴
地域による大きさの他に、何といってもこの桜の品種の大きな特徴は花色にあります。桜といえば春を連想させる淡い色の花を咲かせますが、こちらのギョイコウの花弁は春を連想させる色といっても若芽の緑色。桜の品種の中では他にあまりない珍しいものです。
この桜の名所
ギョイコウは日本各地100ヶ所以上で観察できますが、その中でも特に有名な名所はというと、島根県雲南市木次町の三刀屋川河川敷公園の桜並木がおすすめです。ギョイコウが170本植えられているほか、ソメイヨシノやヤエザクラも鑑賞することができます。
日本の有名な桜の種類⑨遅咲き品種
名前:ウコンザクラ
ギョイコウと同じく、変わった花色の桜として名高いウコンザクラも遅咲きの品種です。ただのウコンと呼ばれることもあります。
開花時期:4月中旬~
基本とするソメイヨシノより少し遅く咲き始めるのが遅咲き桜の条件。ほんの少しの差でも、遅咲きといわれます。花は大輪の八重咲きで、海外でも人気のある桜の品種です。
この桜の特徴
木の高さは3メートルから5メートルくらい。名前の由来はウコンの根からとる染料の色(黄色)に似ているところから。桜を差してウコンとだけ呼ばれることもありますが、元の植物との混同をさけるためにウコンザクラと名称登録されています。
この桜の名所
これまでも他の品種の桜の名所としても紹介してきた新宿御苑が都内ではウコンザクラを見ることができる場所。この他にも、ネモフィラの丘で有名な国営ひたち海浜公園にもウコンザクラが植えられています。
日本の有名な桜の種類⑩遅咲き特殊品種
名前:アーコレードなど
アーコレード、ジュウガツザクラは4月と10月の年2回咲くことがある品種。年に複数咲く桜として有名なものに、このほかサンバガワフユザクラもありますが、これは冬の冷たい風に開きかけた蕾がそのままの状態で越冬、暖かくなってまた咲き始めるので、アーコレードなどとは違って2回花芽がつくわけではありません。雪の中でも咲いている花もあるので、寒さに対する防護ではなく風によって散るのを避けているのではないでしょうか。
開花時期:4月と10月、冬と春など年2回
アーコレードはイギリスで品種改良された桜の種類で、日本に逆輸入されたときイギリスでも見られなかった年2度咲きがあらわれました。同じ桜の種類でも、植えられた環境で咲き方に違いが出るというのが、この桜によってわかります。
この桜の特徴
花の特徴は、アーコレードは花びらがかわいいハート型をしている品種。ジュウガツザクラは白から薄ピンクへと花色が変化していきます。サンバガワフユザクラは一重の中輪種。
この桜の名所
サンバガワフユザクラは国の名勝にも指定されている群馬県藤岡市の桜山公園がおすすめです。山の斜面には桜とモミジが一緒に植えられており、秋から冬の開花時期には紅葉と桜が一緒に楽しめるという大変珍しいお花見体験ができます。
日本の有名な桜の種類⑪野生品種
名前:タカネザクラ
野生種の桜は、いろいろな桜の品種改良の親となっている物です。その中からタカネザクラを紹介します。北海道と本州高山部に生息している野生種の桜です。涼しいところが好きな植物で、本州の西、南にいくほど高い山の上に見られるようになります。
開花時期:5月
固いつぼみの時は紅色、開いていって最終的に満開になるとほぼ白になり、中央部にだけ紅色が残ります。ヤマザクラ(山桜)と同じく、花と葉が一緒に出てくる種類です。
この桜の特徴
傾斜部が好きな桜で、山の山腹に生えているので、ミネザクラとも呼ばれています。埼玉県などでは絶滅危惧種二種や絶滅寸前種といった保護を受けている樹木です。とても大切な桜ですので、遊びにいった山に生えていたからと、むやみに枝を折ったりしないよう、十分注意してください。
この桜の名所
野生種であるタカネザクラは、本州の高山部に自生しています。立山黒部アルペンルートは、開花時期であればロープウェイからのお花見が楽しめるところ。詳しくは、富山県の公式観光ページを御覧ください。
日本の有名な桜の種類⑫野生品種
名前:オオシマザクラ
伊豆大島にたくさん生えているので、この名前が付けられました。原種に近いとされている野生種のうちのひとつ。潔い真っ白な5枚の花びらのこの桜は、多くの園芸品種の親となっています。
開花時期:3月から4月
ヤマザクラのように、葉と花が一緒に出てくる品種です。この葉もよい香りがして、桜漬けにしてさくらもちの材料として重宝されています。
この桜の特徴
その他、この桜の特徴にとても香りが強いということがあげられます。満開の季節には、まわりじゅうがオオシマザクラのよい香りでいっぱいになり、訪れる方や近くの住人を楽しませてくれています。
この桜の名所
オオシマザクラの大木がある場所として有名なのが、プリンスホテル箱根園敷地内の芦ノ湖畔です。上の動画でもご紹介しているのが、それです。これほどの大木に花が咲きそろったところは、人生の中でもあまり見る機会がない人も多いのではないでしょうか。周りに邪魔をする木もなく、バックに芦ノ湖と撮影スポットとしてもおすすめのロケーションです。
まとめ
桜の種類はとても豊富
早咲きから遅咲き、秋や冬にも咲くなど花の見ごろ時期も豊富な桜。桜は春のものと思っていた人には、ずいぶんいろいろな時期に桜が見られるものだと驚かれたのではないでしょうか。原種に近い野生種や園芸種、海外で品種改良され逆輸入された西洋風の桜など品種もとても多く、花の大きさ、色、一重・八重とその姿もさまざまなものがあります。沖縄から北海道まで日本全国で見られる桜の中には、実がつかないため狭い範囲のみしか見られない珍しいものもあります。ご紹介したのはごくごく一部の桜です。もっと桜の種類に興味を持っていただけるきっかけになれば幸いです。
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