長野へツーリングに行こう
南北アルプスをはじめとした高い山々、その谷間を流れる千曲川をはじめとした雄大な河川、そして諏訪湖や野尻湖などの豊かな水をたたえた湖など、長野県は豊かな自然を多く残しながら、東京、名古屋、大阪などの大都市圏からのアクセスも良好な、バイクツーリングに最適な地域です。そんな魅力あふれる長野の、おすすめツーリングコースをご紹介します。
長野ツーリングについて
北信
長野市を中心とした長野県北部の地域が北信地方です。善光寺や戸隠などの観光地が多く、大動脈である上信越道の沿線で、長距離移動も容易です。志賀高原や飯綱高原などの高原地帯を走るツーリングルートも数多くあるものの、冬季は積雪が多く通れない道も多くあります。
東信
上田市を中心とした、長野県東部の地域が東信地方です。浅間山、八ヶ岳、和田峠、碓氷峠と、四方を高い山に囲まれた中に、上田、佐久といった城下町があります。避暑地として有名な軽井沢など高原のリゾート地も多く、上信越道で首都圏からのアクセスも良好な、関東地方のライダーも訪れやすいエリアです。
南信
諏訪湖以南の長野県南部の地域が南信地方です。中山道の宿場町や天竜川沿いなどツーリングスポットも多く、中央道からのアクセスも良好なことから名古屋圏のライダーも多く訪れます。長野県の中でも降雪量は少なめの地域で、冬場でもツーリングを楽しめる道路が多いのも特徴です。
中信
白馬から木曽地方にいたる長野県西部の地域が中信地方です。白馬や上高地などの山岳地帯の自然や、松本の城下町、木曽福島の宿場町など、ツーリングで訪れたいスポットも数多くあります。北の山間部は日本海側気候に属する豪雪地帯であり、冬場のツーリングには向かない地域と言えます。
長野ツーリングコース①
美ヶ原ビーナスライン
八ヶ岳中信高原国定公園内の山岳ルートを走るビーナスラインは、長野をバイクで走るライダーの聖地とも言える絶景ルートです。高原地帯を縫うように走る道は、八ヶ岳連峰や日本アルプスだけでなく、天気がよければ富士山ものぞむことができます。春から秋にかけては、道の両脇にツツジをはじめとした高原の花が咲き誇り、ライダーの目を楽しませてくれます。白樺湖や蓼科牧場、美ヶ原高原美術館など観光スポットも多く、バイクで走る以外にも多くの楽しみがあります。
おすすめポイント
アクティビティを楽しむなら、一大リゾート地となっている白樺湖でカヌーや釣り、乗馬などを体験できます。絶景を堪能したいなら、車山から霧ヶ峰付近がおすすめです。美ヶ原高原美術館のあたりでは、夏場に運がよければ眼下に壮大な雲海を見る事もできます。
基本データ
ルート名:ビーナスライン
総延長:76キロ
アクセス:中央道岡谷ICからなら、国道20号線、国道142号線で和田峠からビーナスラインに入ります。諏訪ICからなら国道152号線で白樺湖へ向かい、大門峠から入ります。
長野ツーリングコース②
志賀草津道路
中野市から志賀高原を経て、群馬県の草津へ抜ける山岳ルートが志賀草津道路です。日本の国道としては最高地点となる標高2,172メートルの地点を通る道で、アップダウンや大小のコーナーの連続する、ライダーには人気のコースです。四季の変化を感じさせる草花や、硫黄の匂いの立ち込める荒涼とした風景、白煙をあげる白根山など、数々の絶景を楽しむこともできます。
おすすめポイント
冬季は積雪のため通行止めとなりますが、4月半ばの開通からゴールデンウィーク頃までは、両脇に雪の壁がそそり立つ雪の回廊の中をバイクで走ることができます。沿線には渋温泉や湯田中温泉などの温泉地もあり、ツーリングで疲れた体を癒すのには最適です。
基本データ
ルート名:国道292号線(志賀草津道路)
総延長:41.1キロ
アクセス:上信越道の信州中野ICから、有料道路の志賀中野道路を越え、国道292号線に入れば志賀草津道路です。志賀中野道路は長野オリンピックの際に作られたバイパス道路で、バイクの料金は100円です。
長野ツーリングコース③
メルヘン街道
茅野市から八ヶ岳を縦断し佐久市へ抜ける国道299号線は、メルヘン街道の名で呼ばれるバイクツーリングにおすすめのコースです。国道としては全国2位の標高となる2,127メートルの麦草峠を越える山岳ルートは、本場ドイツのメルヘン街道を連想させるのどかな風景から、タイトなコーナーの連続する山道と、さまざまな表情を見せ、ライダーを楽しませてくれます。
おすすめポイント
コースの途中から国道480号線に折れ松原湖に行くと、秋には湖面に映る紅葉の絶景を楽しむことができます。横谷峡では滝や渓谷の絶景だけでなく、武田信玄のかくし湯とも言われる奥蓼科温泉郷の隠れ宿的な秘湯で、ライディングで疲れた体をリフレッシュすることもできます。
基本データ
ルート名:国道292号線(メルヘン街道)
総延長:38キロ
アクセス:上信越道を佐久ICで下り、国道141号線を清里方面へ向かいます。清水町交差点で国道299号線に分岐すればメルヘン街道です。
長野ツーリングコース④
千国街道
安曇野から大町へいたる北アルプスパノラマロードと、そこからさらにJRの大糸線に沿うようにして糸魚川へ向かう国道148号線は、千国街道の名で呼ばれます。信号も少なく常念岳や鹿島槍ヶ岳など北アルプスの絶景を眺めながら走る快走路から、かつては「塩の道」として多くの旅人が行き交った白馬の山岳コースを楽しめます。
おすすめポイント
日本の名水100選にも選ばれる湧き水と、そこで栽培される名物のわさびで有名な安曇野では、わさびソフトを味わうことができます。大町から白馬に向かうと、左手には青木湖・中綱湖・木崎湖の仁科三湖があらわれます。釣りやボートを楽しむこともでき、夏場にはバイクを停めてツーリングキャンプをするのもおすすめです。
基本データ
ルート名:国道147、148号線(千国街道)
総延長:120キロ
長野自動車道の安曇野ICで下り、国道147号線に入ると北アルプスパノラマロードです。大町からは国道148号線に入り、千国街道で白馬方面を目指します。
長野ツーリングコース⑤
コスモス街道
国道254号線は、かつては「姫街道」の名で、五街道に次ぐ脇往還として賑わった道です。この姫街道のうち佐久市内の9キロにおよぶ区間は、コスモス街道の名で呼ばれています。秋には道の両脇にかつて地元の老人クラブが植えたコスモスが咲き誇り、ツーリングライダーの目を楽しませてくれます。
おすすめポイント
コスモスが見頃となる9月中旬には、毎年「佐久高原コスモス祭り」が行われます。地元の農産物の直売やコンサートも行われ、多くの人で賑わいます。国道沿いにはコスモスだけでなく内山渓という渓谷もあり、「ナポレオン岩」や「ローソク岩」といったユニークな名前の奇岩の絶景を、約3キロにわたって楽しむこともできます。
基本データ
ルート名:国道254号線(コスモス街道)
総延長:9キロ(コスモス街道区間のみ)
アクセス:中部縦貫自動車道の佐久南ICで下り、国道142号線を経由して国道254号線に入れば、コスモス街道です。または上信越道を下仁田ICで下り、国道254号線を西に進んで長野県に入る方法もあります。
長野ツーリングコース⑥
戸隠高原
山岳信仰の山として有名な戸隠神社を中心とした戸隠高原は、信州ツーリングの穴場としてライダーに支持されているスポットです。カラマツや白樺林を走る山岳ルートや、戸隠五社を中心とするパワースポットや忍者村などの観光スポット、蕎麦をはじめとしたグルメなど、バイクで走り抜けるだけではもったいないスポットが数多くある、おすすめのツーリングコースです。
おすすめポイント
山岳信仰の中心である戸隠の五社を巡ることで、神聖なパワーを浴びることができます。各旧跡の石柱の図案をなぞって転写する「拓本集印」は、スタンプラリー感覚で古道巡りを楽しめます。戸隠高原にはキャンプツーリングに最適なキャンプ場もありますが、戸隠ならではの宿坊に泊まり、パワースポットならではの静謐な雰囲気を味わうのもおすすめです。
基本データ
ルート名:長野県道36、506号線
アクセス:白馬から鬼無里街道に折れ、鬼無里から県道36号線で戸隠高原を目指します。長野市内からなら浅川ループラインでループ橋や山岳ワインディングを楽しみながら戸隠にいたることもできます。
長野ツーリングコース⑦
浅間白根火山ルート
軽井沢から鬼押ハイウェイ・万座ハイウェイを経て万座温泉にいたるライダーに人気の山岳道路が、浅間白根火山ルートです。有料道路なので通行料金がかかりますが、鬼押し出しの奇岩や噴煙をあげる浅間山の絶景、高原野菜の中をのんびり走る快走路など、さまざまな表情の道を楽しめるルートです。白糸の滝や万座温泉、嬬恋牧場など観光スポットも豊富な、信州のバイク旅におすすめのエリアです。
おすすめポイント
鬼押ハイウェイにある浅間記念館には、浅間火山レースで活躍したバイクをはじめとした、日本の懐かしいバイクが数多く展示されている、ライダーに人気のスポットです。鬼押ハイウェイから有料の白糸ハイランドウェイを走れば、有名な白糸の滝や竜返しの滝などを見物することもできます。沿線にはリゾートホテルやおしゃれなレストランも多く、バイクを停めてランチを楽しむのにも最適です。
基本データ
ルート名:浅間白根火山ルート
総延長:60キロ
アクセス:上信越道を碓氷軽井沢ICで下ります。国道18号線で軽井沢に向かい、国道146号線に入って直進すれば鬼押ハイウェイです。志賀草津道路を走り、草津温泉側から万座ハイウェイに入るルートもあります。
長野ツーリングコース⑧
蓼科スカイライン
蓼科スカイラインは、佐久市から立科の女神湖へいたる山岳道路です。途中、狭路や道路が凸凹な部分もありましたが、舗装改修工事も進み道路状態もかなり改善されています。ライダーの姿も少なく、信州の山岳地帯の季節の移ろいを感じながら走る快走ルートとなっています。標高2,093メートルの大河原峠からは、佐久平や北アルプスの絶景をのぞむことができます。
おすすめポイント
大河原ヒュッテでは山登りや宿泊もできますし、峠のおしゃれなカフェでコーヒーを飲むのもおすすめです。終点の女神湖では貸しボートでゆったりとくつろぐことができますし、夏には花火大会、秋には紅葉が楽しめます。そこからさらに白樺湖のリゾートや美術館まで足を伸ばすこともできます。沿線にある春日温泉は源泉掛け流しの歴史ある湯治場で、ゆっくりとライディングの疲れを癒すのに最適です。
基本データ
ルート名:蓼科スカイライン
総延長:37キロ
アクセス:中部縦貫自動車道の佐久南ICから、国道142号線を経て国道141号線に入ります。洞源湖入口交差点を右折して直進すれば蓼科スカイラインに入ります。
長野ツーリングコース⑨
北国街道
北国街道は、かつては佐渡島でとれた金を江戸に運ぶ道として栄えた脇往還です。その名残は、現在はおもに国道18号線を中心として、上田や長野、黒姫高原を通過する長野ツーリングの基幹道路となっています。沿線は上田城や善光寺などの観光スポットを擁する都市部のルートや、リンゴ畑の中を走る信濃路を象徴するようなルート、黒姫山や野尻湖をのぞむ絶景の山岳ルートなど、変化に富んだ景色を堪能できます。
おすすめポイント
起点の軽井沢から長野までは、追分宿や海野宿などの宿場町や、上田城や善光寺といった見所が満載です。長野からは「アップルライン」の愛称どおり、りんご畑と隣接する直売店が並び、お土産にもおすすめです。黒姫高原周辺は、野尻湖のナウマンゾウ博物館や遊覧船、黒姫童話館など、バイクを下りて楽しみたいスポットが数多くあります。
基本データ
ルート名:国道18号線(北国街道)
アクセス:上信越道の碓氷軽井沢ICから県道43号に入ります。南軽井沢から軽井沢バイパスに左折し直進すると、やがて国道18号線から追分宿にいたります。
長野ツーリングコース⑩
奥志賀スーパー林道
奥志賀高原から野沢温泉にいたる山の稜線を走る、ライダーに人気の高原の快走ルートが奥志賀スーパー林道です。林道とは言っても全線にわたって舗装されており、オンロードバイクのライダーでも安心して走れます。本州の最も深い部分を走る山間の道は交通量も少なく、総延長60キロ以上を走りきれば、十分自然を堪能することができます。
おすすめポイント
林道脇にあるカヤの平キャンプ場は、広大な敷地に白樺林と広い草原の広がるキャンプツーリングにおすすめのサイトです。山奥にありながら設備は充実しており、晴れた夜は満天の星空に圧倒されます。野沢温泉まで下りていけば、無料の外湯がたくさんあり、外湯巡りを楽しむこともできます。
基本データ
ルート名:長野県道471、502号線(奥志賀公園線)
総延長:66キロ
アクセス:上信越道の信州中野ICから、志賀草津道路を群馬方面へ向かいます。渋峠の手前で県道471号線を野沢温泉方面に左折すれば奥志賀スーパー林道です。
長野ツーリングコース⑪
高ボッチスカイライン
塩尻から高ボッチ高原を経由し、松本市にいたる山岳道路が高ボッチスカイラインです。また、高ボッチ山から分岐し鉢伏山荘へいたる道が鉢伏スカイラインです。舗装されてはいるものの、道幅は決して広いとは言えませんが、山頂から見下ろす諏訪の街や周囲の山々の絶景は絶品です。長野をツーリングするライダーには、必ず一度は訪れてほしいおすすめのツーリングコースです。
おすすめポイント
高ボッチ牧場の駐車場にバイクを停め、10分ほど歩くと山頂に行けます。ここからは眼下の諏訪湖や八ヶ岳だけでなく、遠く南北アルプスや富士山まで見渡すことができます。鉢伏スカイラインは最初こそ眺望が効かないものの、徐々に視界が開けて天空の道のような絶景が楽しめます。高ボッチ高原をさらに北に進めば、崖の湯温泉で日帰り入浴を楽しむこともできます。
基本データ
ルート名:高ボッチ、鉢伏高原スカイライン
アクセス:長野自動車道を岡谷ICか塩尻ICで下り、国道20号線を塩尻方面へ向かい高ボッチスカイラインに入ります。松本から行く場合は県道63号線から「アルプス展望しののめの道」に入り、崖の湯口交差点から高ボッチスカイラインに入ります。
長野ツーリングコース⑫
谷街道
千曲市から千曲川に沿って北上し飯山にいたる、国道403号線および国道117号線が谷街道です。長野と新潟を結ぶ主要国道ということもあり交通量は比較的多いものの、信号が少ないため車の流れはスムーズで、千曲川の雄大な流れや、沿線ののどかな風景を眺めながら走れる快走ルートです。
おすすめポイント
谷街道は市街地を走る国道403号線より、中野以北の国道117号線区間がおすすめです。上杉謙信の武田攻めの前線基地であった飯山城址公園では、春にはソメイヨシノと水仙の花を楽しめます。近くには人形作家の高橋まゆみの人形館もあります。飯山市内を越えてしばらく走ったところにある「いいやま湯滝温泉」の露天風呂からは、眼下に蛇行する千曲川を眺めながら旅の疲れを癒すことができます。
基本データ
ルート名:国道403、117号線(谷街道)
アクセス:上信越道の信州中野ICで下り、すぐに千曲川を渡り千曲川左岸から国道117号線に入り飯山方面へ向かいます。
長野ツーリングは最高
長野県のおすすめツーリングコースについてご紹介してきました。全国の都道府県の中でも4位の面積をほこる長野は、ただ単に自然が多く残るというだけでなく、地域によって異なるさまざまな表情を楽しむことができます。そんな豊かな自然を堪能するための整備された自動車専用道路も多く、ツーリングに最適な快走ルートの宝庫です。高速道路網も整備されアクセスもよい信州路へ、バイクで出かけてみませんか。