お花見ツーリングの季節到来
長かった冬が終わり春の訪れを告げる桜の花を観賞するお花見は、今も昔も日本人の心をウキウキさせてくれます。特にライダーにとっては、美しい桜を眺めながらツーリングをすることで、ようやくバイクを走らせることができる喜びを実感することができます。
そんなお花見ツーリングにおすすめのスポットを、桜前線の上昇に合わせて南から北に順を追ってご紹介します。
お花見ツーリングの魅力
絶好の写真撮影のチャンス
満開の桜をバックにツーリング写真を撮れるのも、お花見ツーリングの魅力です。自然の恵みによってもたらされる花の美しさと、メカニカルなバイクのコントラストは、たとえカメラの腕が未熟でも素晴らしい写真を撮ることができます。
観光も楽しめる
桜が数多く植えられて花見のスポットとなっている場所は、城址公園などの名所旧跡などの地域にある可能性が多い傾向があります。そのためお花見ツーリングでは単に花を見るだけでなく、城めぐりや史跡めぐりなどの観光も合わせて楽しむことができます。
花より団子も楽しみ
昔から「花より団子」という言葉があります。正しくは風流より実利を選ぶことのたとえですが、言葉の額面どおり桜にかこつけて花見団子や地元の名産、B級グルメなどを食べに行けるのも、お花見ツーリングを楽しめる魅力のひとつと言えるでしょう。
桜前線とともに北上
南北に長く伸びた日本は地域によって桜の開花時期が異なり、桜前線の名の通りに南から順に北上していきます。そのため1月中旬の沖縄から5月中旬の北海道までと長い期間、桜を楽しむことができます。仮に近所の桜を見逃しても、北にバイクを走らせれば間に合う場合もありますし、桜前線に合わせて何度もお花見ツーリングを楽しめるのも魅力です。
お花見ツーリングスポット①大村公園(長崎市)
長崎県の中央部、大村湾の東岸に位置する大村市にある大村公園は、藩主大村家の居城であった玖島城跡にある公園です。「さくらの名所100選」にも選ばれる人気のお花見スポットで、ソメイヨシノを中心として20種類以上の桜が咲き乱れます。
ライトアップされた夜桜も美しく、写真撮影スポットとしても人気です。付近には大村湾周遊や島原湾などバイクにぴったりの快走ルートも多く、春の長崎ツーリングと合わせて訪れたい桜の名所です。
アクセスルート
長崎自動車道大村インターから国道444号線で大村市方面へ。国道34号線に入り大村市役所方面へ向かいます。大村インターからバイクで約15分です。
花見情報
スポット名:大村公園
見頃:3月下旬〜4月中旬
入場料:無料
桜の種類:ソメイヨシノ、オオムラザクラ、ヤエザクラなど
桜の本数:約2000本
駐車場:有り(無料)※シーズン中は臨時駐車場もあり
お花見ツーリングスポット②眉山公園・西公園(徳島県)
徳島市郊外にある眉山公園と、それに隣接する西公園は、約1500本の桜が咲き誇る花見の名所です。市内からロープウェイでも行くことができる山頂からは桜とともに徳島の街並みが一望できる絶景で、絶好の写真撮影スポットとなっています。
山頂に至る道は眉山パークウェイと眉山ドライブウェイの2本があり、桜のピーク時には満開のソメイヨシノの咲くワインディングをバイクで走り抜けることができます。
アクセスルート
徳島自動車道の徳島インターから国道11号線で徳島市内を目指します。そのまま道なりに徳島本町交差点を直進し、国道55号線を走ります。国道438号線から眉山パークウェイに入り、眉山山頂を目指します。徳島インターからバイクで約20分ほどです。
花見情報
スポット名:眉山公園・西公園
見頃:3月下旬〜4月上旬
入場料:無料
ロープウェイ料金:610円、往復1020円
桜の種類:ソメイヨシノ
桜の本数:約1500本
駐車場:有り(無料)
お花見ツーリングスポット③斐伊川堤防(島根県)
島根県東部の雲南市に流れる斐伊川の堤防は、2キロにわたって続く桜並木の名所として有名です。満開時にはさながら桜のトンネルのような絶景の中を歩くことができます。
シーズン中は道沿いにボンボリも飾られ、懐かしい沈下橋から見える夜桜を眺めたり、写真を撮影するのもおすすめです。
この斐伊川沿線の地域はヤマタノオロチをはじめとした神話の伝説にゆかりの施設や、出雲湯村温泉などの日帰り温泉施設など、バイクツーリングで立ち寄りたいスポットも数多くあります。
アクセスルート
中国横断自動車道の三次ジャンクションから松江自動車道に入ります。三刀屋木次インターで下りて県道322号線を進み、斐伊川を渡ったら県道45号線に入ればすぐです。三刀屋木次インターからバイクで約3分です。
花見情報
スポット名:斐伊川堤防
見頃:4月上旬〜4月中旬
入場料:無料
桜の種類:ソメイヨシノ、エドヒガン、ジンダイアケボノ
桜の本数:約800本
駐車場:有り(無料)
お花見ツーリングスポット④吉野山(奈良県)
奈良県の中央部に位置し、「さくらの名所100選」にも選ばれている日本を代表する桜の名所が吉野山です。その歴史は1300年前にさかのぼり、修験道の開祖である役行者(えんのぎょうじゃ)が山桜の幹に本尊を刻んだのがその始まりと言われています。
4月の初旬から末にかけ、山の麓から上に向かって順に開花していく様は他に例をみない絶景で、最高の写真撮影ポイントとなっています。
この吉野山から高野山、熊野にかけてユネスコの世界遺産に指定されている「紀伊山地の霊場と参拝道」をバイクでめぐるツーリングもおすすめです。
アクセスルート
南阪奈道路の葛城インターから大和高田バイパスを終点まで行きます。小房交差点を右折して国道169号線に入り、突き当りを左折して吉野川に沿って走り、吉野川大橋まで行けば吉野町です。葛城インターからバイクで約1時間ほどです。
花見情報
スポット名:吉野山
見頃:4月上旬〜4月下旬
入場料:無料
桜の種類:シロヤマザクラ他
桜の本数:約30,000本
駐車場:有り(シーズン中は車は1,500円必要、バイクは無料)
お花見ツーリングスポット⑤奥琵琶湖(滋賀県)
日本最大の湖である琵琶湖の北部、海津大崎から奥琵琶湖パークウェイに至るエリアは、滋賀県でも有数の桜の名所として知られています。約20キロ以上にわたって続く桜並木をバイクで走らせれば、花見気分を十二分に満喫することができます。
パークウェイ中ほどにある尾崎展望台から見える琵琶湖の絶景や、竹生島と桜のコントラストは、絶好の写真撮影ポイントとなっています。
アクセスルート
北陸自動車道の木之本インターで下り、国道8号線から国道303号線で高島方面へ進み奥琵琶湖パークウェイに至ります。木之本インターからバイクで約20分です。
花見情報
スポット名:海津大崎・奥琵琶湖パーウウェイ
見頃:4月上旬〜4月中旬
入場料:無料
桜の種類:ソメイヨシノ他
桜の本数:約3000本
駐車場:有り(無料)
お花見ツーリングスポット⑥高遠城址公園(長野県)
長野県南部にあり国史跡にも指定されている高遠城址は、天下第一の桜の絶景ポイントとして知られています。花びらがやや小ぶりでピンク色が濃い「タカトオコヒガンザクラ」が咲き誇る「桜雲橋」は絶好の写真撮影スポットです。
城址公園に入るには500円の入場料が必要ですが、ツーリングで訪れたならバイクの機動力を生かし、近くの五郎山から高遠城址の桜を見下ろしたり、遠くに見える駒ケ岳と桜のコントラストを楽しむのもおすすめです。
アクセルルート
中央自動車道伊那インターで下り、国道361号線を高遠方面へ向かいます。バイクで約30ほどですが、桜の季節は渋滞しますので注意が必要です。
花見情報
スポット名:高遠城址公園
見頃:4月上旬〜4月中旬
入場料:一般(高校生以上)500円、子ども(小中学生)250円
桜の種類:タカトオコヒガンザクラ
桜の本数:1500本
駐車場:有り(さくら祭り期間中はバイク100円)
おすすめお花見ツーリングスポット⑦日本平(静岡県)
爽快なワインディングロードと、富士山や駿河湾の絶景が楽しめる日本平パークウェイは、桜の名所としても有名です。道路に覆いかぶさるように咲き誇る桜のトンネルを走れば、春の気分を満喫することができます。
山頂広場では桜の向こうに浮かび上がる富士山といった、素晴らしい写真を撮影することも可能です。かつての有料道路も現在は小排気量車でも通行可能となり、小型バイクから大型バイクまで楽しめるおすすめツーリングルートとなっています。
アクセスルート
東名高速を清水インターで下ります。県道54号線から県道197号線を通り、日本平パークウェイに至ります。清水インターからバイクで20分ほどです。
花見情報
スポット名:日本平パークウェイ
見頃:3月下旬〜4月上旬
入場料(通行料):無料
桜の種類:ソメイヨシノ他
桜の本数:約2000本
駐車場:有り(無料)
おすすめお花見ツーリングスポット⑧秩父(埼玉県)
都内からも程近い手軽なツーリングルートとして知られる秩父は、春のお花見スポットとしても有名です。特に長瀞の「北桜通り」は約2.5キロに渡って桜のトンネルを走ることができますし、タイミングが合えば桜をバックに疾走する秩父鉄道のSLの勇姿を写真におさめることもできます。
またソメイヨシノが散った後も、羊山公園では芝桜が咲き誇る見事な絶景が楽しめます。
アクセスルート
関越道を花園インターで下ります。国道140号線に入り約18キロ走れば長瀞に至ります。花園インターからバイクで約30分ほどです。
花見情報
スポット名:長瀞
見頃:3月下旬〜4月下旬
入場料:長瀞地区 無料、羊山公園 一般300円
桜の種類:ソメイヨシノ、ヤエザクラ、エドヒガン、シダレザクラ他)
桜の本数:約3000本
駐車場:有り(有料)
お花見ツーリングスポット⑨日光街道(栃木県)
栃木県内を走る国道119号線は、江戸時代には五街道のひとつに数えられていたかつての日光街道です。特に宇都宮から日光に至る区間は、約16キロにわたってヤマザクラが咲き誇るお花見の名所として有名です。
長い桜のトンネルを走り抜けた先には、日光ロマンチック街道やいろは坂、中禅寺湖などの絶景スポットも多く、ツーリングで訪れるのにもおすすめのルートです。
アクセスルート
東北自動車道を宇都宮インターで下り、国道119号線を日光に向かって走ります。桜並木は宮環上戸祭町交差点から日光市山口まで約16キロにわたって続きます。
花見情報
スポット名:日光街道
見頃:4月上旬〜4月中旬
入場料(通行料):無料
桜の種類:ヤマザクラ
桜の本数:約1500本
駐車場:なし
お花見ツーリングスポット⑩北上展勝地(福島県)
岩手県南西部にある北上市にある北上展勝地は、北上河畔に広がる東北を代表する桜の名所として知られています。広大な敷地内にある約1万本の桜や北上川沿いに続く約2キロの桜のトンネルは「さくらの名所100選」に加え、「みちのく三大桜名所」にも選ばれています。
桜のピークとなる「さくら祭り」期間中には、川の上を鯉のぼりが飾られノスタルジックなイメージの遊覧船が運航されるなど、その絶景は最高の写真撮影スポットともなっています。
アクセスルート
東北自動車道を北上江釣子インターで下り、国道107号線を東に進み、北上川を渡るとすぐ右手にあります。北上江釣子インターからバイクで約15分ほどです。
花見情報
スポット名:北上展勝地
見頃:4月中旬~5月上旬
入場料:無料
桜の種類:ソメイヨシノ、エドヒガンザクラ、ベニヤマザクラ他
桜の本数:約10,000本
駐車場:有り(普通車は駐車協力金500円、バイクは無料)
お花見ツーリングスポット⑪弘前公園(青森県)
津軽氏の居城であった弘前城を中心とした弘前公園は、東北はもとより日本を代表する桜の名所として有名です。ゴールデンウィークの頃まで桜が楽しめるスポットとしても有名で、ソメイヨシノのほかシダレザクラなど約2600本の桜が咲き乱れる絶景は圧巻の一言につきます。
夜桜の美しさでも知られており、ライトアップされた幻想的な桜を写真に収めるのもおすすめです。
アクセルルート
東北自動車道を大鰐弘前インターで下ります。国道7号線(弘前バイパス)に入り弘前市内を目指します。大鰐弘前インターからバイクで約20分です。
花見情報
スポット名:弘前公園
見頃:4月下旬〜5月上旬
入場料:大人(高校生以上) 310円、子ども(小・中学生) 100円
桜の種類:ソメイヨシノ、シダレザクラ他
桜の本数:約2600本
駐車場:なし(付近の有料駐車場を利用)
お花見ツーリングスポット⑫二十間道路桜並木(北海道)
北海道日高の静内にある二十間道路は、約7キロにわたって約3000本の桜が咲き誇る花見スポットです。ここはもともと皇室の御料牧場があった土地で、この牧場を視察するための道路として整備されたのが二十間道路です。
北海道らしいまっすぐな道の両脇に広がる桜のトンネルはまさに絶景で、二十間(約36メートル)の道幅の道路をバイクで走れば、春の気分を満喫することができます。
道路脇にはバイクを停める十分なスペースや歩道もあり、徒歩で写真を撮りながら桜を楽しむこともできます。
アクセスルート
日高自動車道日高門別インターで下り、国道235号線を走ります。道道71号線に入り、新ひだか町方面へ向かいます。日高門別インターから、バイクで約40分です。
花見情報
スポット名:静内二十間道路桜並木
見頃:5月上旬〜5月中旬
入場料:無料
桜の種類:エゾヤマザクラ、カスミザクラ、ミヤマザクラ他
桜の本数:約3000本
駐車場:なし(道路脇に駐車可能)
お花見ツーリングの注意点
しっかりとした寒さ対策を
桜が開花したとはいえ、春先のこの季節はまだまだ朝晩の気温は低く、日中でもバイクを走らせていると風が冷たく感じられることもあります。そのためお花見ツーリングでは、しっかりとした寒さ対策も不可欠です。
春の寒暖の差の激しい時期に合わせ、レイヤーで体温調節のしやすいウェアでツーリングに出かけることをおすすめします。
渋滞に注意
桜の名所となっている地域は、花見客で大渋滞が発生する場所が多いのが現実です。ツーリング計画を立てても予定通りに進まず、イライラしたりすることも予想されます。あらかじめ時間に余裕をもたせた計画で、精神的にもゆとりをもって走るようにしましょう。
また駐車場も渋滞している場合もありますが、バイクだからと言って駐車場ではない場所に停めて、他人に迷惑をかけないよう気をつけたいものです。
事故に注意
車道が渋滞していると、バイクの機動性を生かして脇道をすり抜けて進みたくなるのはライダーの心情です。でも花見の季節は脇道に車を停めて花見をしていたり、道の両側を歩いて桜見物をしている歩行者も数多くいます。
くれぐれも事故に注意をしてツーリングを楽しみましょう。また駐車場などでも子ども連れや高齢者の動きに注意し、最徐行でバイクを走らせる配慮が必要です。
花見の後はバイクお手入れを
朝晩の気温が低いこの季節や積雪の多い地方では、凍結防止剤として撒かれた塩化カルシウムが道の両脇に残っていたりします。この成分がバイクの足回りについたまま放置すると、塩害によりサビを誘発します。
また桜吹雪の中をバイクで走るのは爽快なものですが、車体に付着した花びらをそのままにしておくと、塗装をいためてイヤなシミを作ったりもします。そのためお花見ツーリングから帰った後は、バイクの洗車や手入れを入念に行うようにしましょう。
お花見ツーリングに出かけよう
全国のお花見ツーリングの名所についてご紹介してきました。満開に咲き誇る桜の絶景は見た目に美しいだけでなく、暖かくなってツーリングの季節が到来したことをライダーに実感させてもくれます。
またお花見ツーリングにかこつけて周りの観光名所を見て回ったり、その土地のグルメを味わったりなど、プラスアルファの魅力に溢れているのもお花見ツーリングの魅力です。みなさんも桜前線の到来に合わせ、桜を見に行くツーリングに出かけてみませんか。