ホンダCBの魅力に迫る
昔からホンダのフラッグシップモデルの車名に燦然と輝いてきたのが”CB”の二文字です。1959年のベンリィCB92スーパースポーツの誕生から数え、2019年には生誕60周年を迎えます。華々しい栄光に彩られたCBシリーズの歴史や時代を彩った歴代の名車、現行モデルをご紹介、ホンダが誇るCBの魅力に迫ります。
ホンダCBシリーズとは
CBの語源にはいろいろな説があります。一番有力と言われるのが、モーターサイクルのCYCLEの頭文字であるCと、クラブマンレース出場を目指したモデルであったことからCLUBMANのBからとったという説です。他にもBESTやBETTERなどからBの文字をつけたなどの説もあります。いずれにしても、レースに勝つほどのスペックを持ったホンダの自信作につけられた名前であることには間違いがありません。
ホンダCBの歴史
スタートはクラブマンレース
CBの開発は、全日本ロードレースと併催されていた、市販車対象のクラブマンレースへの出場を目指してスタートしました。構造の欠陥によるCB71の直前での発売中止などを経て、1959年にベンリィCB92スーパースポーツがCBシリーズの第一号として発売されます。その後、ドリームC70をベースにしたドリームCB72も発売されます。2台はそのレーサー譲りの走りと、市販車とは思えないハイスペックな装備でたちまち人気車種となりました。
CB750FOURの成功
大型バイクが人気となりはじめた1960年代末、ドリームCB750FOURが登場します。その重厚なボディや迫力の排気音、ハイスペックな走りや豪華な装備で、たちまち日本にナナハンブームを巻き起こします。その後、カフェレーサースタイルのドリームCB400FOURや、2気筒エンジンのCB400THAWKⅡ発売され、空冷エンジンを搭載したスポーツバイクの代名詞として、CBシリーズが日本のバイク界を席捲します。
ツインカム化とレースでの活躍
1969年登場のドリームCB750FOURは、日本の大排気量車の歴史を切り開いた名車として君臨していましたが、ライバルメーカーが次々とツインカムや4バルブを導入していく中で、スペック的には見劣りするようになってきました。そんな中、耐久レースで活躍していたRCBをベースにしたDOHCエンジンを搭載したCB900F、750Fが登場します。その圧倒的な走りはライバルを寄せ付けず、当時人気だったプロダクションレースでも大活躍し、以後、空冷DOHCエンジンがCBの代名詞的な存在となります。
プロジェクトBIG1での復活
エンジンまで覆うフルカウルをまとったレーサーレプリカが全盛の時代、かつてCB750FOURに憧れたホンダのデザイナーたちが、あえてネイキッドのビッグバイク造りに挑みました。最初は見向きもされなかったものの、レプリカブームに辟易していた人々から予想外の反響を得て本格プロジェクト化、”プロジェクトBIG1”をコンセプトにCB1000SFが生み出されました。大型バイク然とした堂々としたボディに美しく高性能な水冷インラインフォーエンジンを搭載したバイクは、たちまちライダーの人気を集めることとなりました。その後、ハーフカウルを装着したスーパーボルドールなどの派生車種も生まれ、現在のフラッグシップであるCB1300SFへと伝説が継承されていきます。
ホンダCBの歴史を彩る名車①
ドリームCB72スーパースポーツ
ホンダが全日本オートバイロードレースの市販車部門である全日本モーターサイクルクラブマンレースへの参戦を目的に開発したバイクがドリームCB72スーパースポーツです。純粋なレース仕様車であるCR71とほぼ同スペックを持つエンジンは新たに設計されたパイプフレームに搭載され、レーサー譲りの脅威の走りで人気を集めました。前年に発売されたベンリィCB92と並んで、CBシリーズの礎を築いたバイクと言えます。
スペック
エンジン形式:空冷4ストロークOHC2バルブ並列2気筒
排気量:247cc
最高出力:24ps(18.0 kw)/9,000rpm
最大トルク:2.06kgf-m(20.2N・m)/7,500rpm
全長×全高×全幅:2,000mm×950mm×615mm
車両重量:153kg(乾燥重量)
タイヤサイズ(フロント):2.75-18
タイヤサイズ(リヤ):3.00-18
発売年:1960年
ホンダCBの歴史を彩る名車②
ドリームCB750FOUR
1960年代、ホンダがメインと考えていたアメリカ市場をターゲットに開発した大排気量車がドリームCB750FOURです。ダブルクレードルフレームに搭載されたロードレース由来のエンジンは、当時としては高性能な67馬力を絞り出し、最高速は200キロを超えるなど、走りの面でも他のモデルを凌駕していました。その人気は国内でも750ブームを巻き起こし、その後のホンダのフラッグシップモデルといえば、CBの名を冠される歴史を築いた記念的なモデルとなりました。
スペック
エンジン形式:空冷4ストロークSOHC2バルブ並列4気筒
排気量:736cc
最高出力:67ps(49.3kw)/8,000rpm
最大トルク:6.1kgf-m(59.8N・m)/7,000rpm
全長×全高×全幅:2,160mm×1,120mm×885mm
車両重量:235kg
燃料タンク容量:17.0リットル
タイヤサイズ(フロント):2.75-19
タイヤサイズ(リヤ):3.25-17
発売年:1969年
ホンダCBの歴史を彩る名車③
ドリームCB400FOUR
それまでのCBシリーズの重厚なイメージから一変し、当時人気だったカフェレーサースタイルのおしゃれなボディをまとって登場したのがドリームCB400FOURです。エンブレムではなくステッカーとなったタンクのロゴマークや、4into1マフラーの流麗なエキゾーストパイプの曲線など、当時としては斬新なスタイルが人気を博しました。走りの面でも、直列4気筒のシリンダーレイアウトと集合マフラー、当時としては珍しかった6速ミッションの組み合わせによる鋭い加速性能も魅力でした。
スペック
エンジン形式:空冷4ストロークSOHC2バルブ並列4気筒
排気量:408cc
最高出力:37ps(27.2kw)/8,500rpm
最大トルク:3.2kgf-m(31.4N・m)/7,500rpm
全長×全高×全幅:2,050mm×1,040mm×705mm
車両重量:185kg
燃料タンク容量:14.0リットル
タイヤサイズ(フロント):3.00S18-4PR
タイヤサイズ(リヤ):3.50S18-4PR
発売年:1974年
ホンダCBの歴史を彩る名車④
CB400T HAWK-Ⅱ
昭和50年の自動二輪免許制度の改正により、中型限定免許で運転できるバイクとして投入されたのがCB400T HAWK-Ⅱです。それまでのCB400FOURのカフェレーサースタイルから、”やかんタンク”と称される独特の丸いタンクにスタイルを一新しました。エンジンはSOHC4サイクルの並列2気筒となりましたが、極端なショートストロークに、吸気2排気1バルブの特徴的なバルブ配置で、排気量で勝る4気筒の400FOURをスペック的に上回っていました。スムーズに高回転まで吹け上がるエンジン特性は、見た目以上に走りを楽しめるバイクとして高い人気を獲得しました。
スペック
エンジン形式:空冷4ストロークSOHC3バルブ並列2気筒
排気量:395cc
最高出力:40ps(29.4kw)/9,500rpm
最大トルク:3.2kgf-m(31.4N・m)/8,000rpm
全長×全高×全幅:2,150mm×1,180mm×840mm
車両重量:181kg
燃料タンク容量:13.0リットル
タイヤサイズ(フロント):3.60-19
タイヤサイズ(リヤ):4.10-18
発売年:1977年
ホンダCBの歴史を彩る名車⑤
CB750F
登場と同時に高い人気を博したドリームCB750FOURでしたが、発売から10年以上を経過しSOHCのエンジン形式では、ライバル車に対しスペックで見劣りするようになってきました。そこで、レースで高い実績をおさめていたRCB1000の流れを受け継ぐ新たなフラッグシップとして登場したのがCB750Fです。デザインは、それまでの重厚なドリームCB750FOURのイメージから、流れるような現代的なフォルムに一新されました。DOHC16バルブのハイパワーエンジンや、アンチダイブ機構、リザーバタンク付きリヤショックなどレースで培った技術を惜しみなく投入し、走りの面でもフラッグシップの何に恥じないものでした。
スペック
エンジン形式:空冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒
排気量:748cc
最高出力:70ps(51.5kw)/9,000rpm
最大トルク:6.0kgf-m(58.9N・m)/7,500rpm
全長×全高×全幅:2,180mm×1,125mm×800mm
シート高:800mm
車両重量:250kg
燃料タンク容量:20.0リットル
タイヤサイズ(フロント):100/90-18
タイヤサイズ(リヤ):130/80-18
発売年:1979年
ホンダCBの歴史を彩る名車⑥
CB1100R
市販車を改造して出場するプロダクションレースを視野に、CB900Fをベースに作られたのがCB1100Rです。鍛造ピストンやクリップオンハンドル、アルミ燃料タンクやFRP製カウルなど、レースを強く意識したパーツ類を全て手組みで仕上げるという豪華なものでした。生産台数は約5000台で価格も250万円と高価ながら、その脅威の走りで高い人気を誇ったモデルです。
スペック
エンジン形式:空冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒
排気量:1,062cc
最高出力:120ps(88.0 kw)/9,000rpm
最大トルク:10.0kgf-m(98.1N・m)/7,500rpm
全長×全高×全幅:2,115mm×1,340mm×770mm
シート高:795mm
車両重量:235kg
燃料タンク容量:26.0リットル
タイヤサイズ(フロント):3.50-19
タイヤサイズ(リヤ):130/90-18
発売年:1981年
ホンダCBの歴史を彩る名車⑦
CB1000SF
ホンダの大排気量フラッグシップモデルに新たな歴史を刻むべく始動した”プロジェクトBIG1”をコンセプトに生み出されたのが、CB1000SFです。エンジンは水冷のDOHC16バルブと現代的なものになったものの、鋼管製のダブルクレードルフレームや、丸型のヘッドライトなど、ドリームCB750FOUR以来のCBシリーズの伝統をしっかり守り抜いています。大柄な車体にもかかわらず随所にアルミニウムを使用することによる軽量化も図られており、見た目よりは軽快な走りも魅力のひとつです。
スペック
エンジン形式:水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒
排気量:998cc
最高出力:93ps(68kw)/8,500rpm
最大トルク:8.6kgf-m(84.3N・m)/6,000rpm
全長×全高×全幅:2,220mm×1,130mm×785mm
シート高:800mm
車両重量:260kg
燃料タンク容量:23.0リットル
タイヤサイズ(フロント):120/70R18
タイヤサイズ(リヤ):170/60R18
発売年:1992年
現行ホンダCBのおすすめバイク①
CB1300SF
現在のCBシリーズのフラッグシップモデルがCB1300SFです。プロジェクトBIG1のコンセプトで作られたCB1000SFのスタイルを踏襲しつつ、1300ccとなった排気量によるハイパワーな走りを実現しています。ハーフカウルを装備した派生車種であるスーパーボルドールも、ネイキッドとは一味違った魅力で人気です。2019年モデルではオーリンズサスやブレンボキャリパーを装備した仕様も追加されています。
スペック
エンジン形式:水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒
排気量:1,284cc
最高出力:110ps(81kw)/7,250rpm
最大トルク:12.0kgf-m(118N・m)/5,500rpm
全長×全高×全幅:2,200mm×1,125mm×795mm
シート高:780mm
車両重量:268kg
燃料タンク容量:21.0リットル
タイヤサイズ(フロント):120/70ZR17
タイヤサイズ(リヤ):180/55ZR17
現行ホンダCBのおすすめバイク②
CB125R
カフェレーサースタイルを現代の解釈で表現したスタイリングを持つのがCB125Rです。維持費が安いことで注目される125ccカテゴリーながら6速ミッションのマニュアルモデルで、250並のボディに倒立フォークなどの豪華装備を持ち、本気の走りを楽しめるバイクとして人気です。
スペック
エンジン形式:水冷4ストロークSOHC2バルブ単気筒
排気量:124cc
最高出力:13ps(9.8kw)/10,000rpm
最大トルク:1.0kgf-m(10N・m)/8,000rpm
全長×全高×全幅:2,040mm×1,055mm×820mm
シート高:815mm
車両重量:127kg
燃料タンク容量:21.0リットル
タイヤサイズ(フロント):110/70R17
タイヤサイズ(リヤ):150/60R17
現行ホンダCBのおすすめバイク③
CB1100
現行モデルながら空冷エンジンを採用し、スペックよりものんびりとした走りを楽しむことができるのがCB1100です。どこか懐かしさを感じさせるスタイリングに、ゆったりとしたライディングポジションで、若者だけでなく大人のライダーまで楽しめるバイクに仕上がっっています。
スペック
エンジン形式:空冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒
排気量:1,140cc
最高出力:90ps(66kw)/7,500rpm
最大トルク:9.3kgf-m(91N・m)/5,500rpm
全長×全高×全幅:2,190×1,130mm×835mm
シート高:785mm
車両重量:256kg
燃料タンク容量:17.0リットル
タイヤサイズ(フロント):110/80R18
タイヤサイズ(リヤ):140/70R18
現行ホンダCBのおすすめバイク④
CB500X
これまでのCBシリーズとは趣を異にするクロスオーバーアドベンチャーとして、ヨーロッパ市場に投入されたのがCB500Xです。欧州での馬力によって分けられる免許制度に合わせ出力は35kWと控えめながら、中低速を重視したセッティングにより道を問わず走れる扱いやすい特性が持ち味です。日本モデルは排気量を400ccとし、”CB”の名が冠されない400Xとして登場しました。
スペック
エンジン形式:水冷4ストロークDOHC4バルブ並列2気筒
排気量:471cc
最高出力:47.6ps(35kw)/8,600rpm
最大トルク:4.4kgf-m(43N・m)/6,500rpm
全長×全高×全幅:2,155×1,410mm×825mm
シート高:830mm
車両重量:197kg
燃料タンク容量:17.7リットル
タイヤサイズ(フロント):110/80R19
タイヤサイズ(リヤ):160/60R17
ホンダCB伝説はこれからも続く
ホンダがフラッグシップと位置付けるバイクには、常に”CB”の名が与えられてきました。CBの歴史をたどり、その名が冠されたバイクを並べてみると、CBを名乗るバイクがいかに名車ぞろいであったかがわかっていただけたと思います。時代の流れはSOHCの2バルブからDOHC4バルブ、空冷から水冷へとエンジン形式を変えてきましたが、それも常に最高のスペックを持つことを義務付けられてきたCBの宿命と言えます。これからも続くホンダCBの名車伝説から目が離せません。