釣りの前にカーエーを知ろう
1．カーエーとは？
カーエーとはスズキ目アイゴ科に属する魚です。標準和名はゴマアイゴ（胡麻藍子）で、カーエーは沖縄本島周辺で呼ばれる名前。見た目には尾の付け根の大きな橙色の斑点が特徴的です。銀色の下地にオレンジ色の斑点を持っていて、その体色は胡麻を散らした様子に喩えられます。琉球列島の汽水域や岩礁地帯に生息するほか、本州では和歌山県串本や鹿児島県笠沙、国外では台湾、西沙諸島～西太平洋に分布します。
2.釣り対象魚として
カーエーはアイゴ科の魚としては大型で、最大40～50cmと大型に成長します。本州の磯釣りでよく知られるアイゴと同じく本種も釣り対象魚。アイゴ・グレなどの磯釣りの釣り方に似た釣り方で狙う事になりますが、大型になるだけにリールのハンドルが重く感じるほどの強烈な引きが楽しめます。
3.実は高級魚！
年間を通して味が落ちにくく、それでいて臭みの少ないカーエーは食用かつ高級魚で重要な水産資源となっています。釣り対象としても食用としても評価が高く、沖縄県ではもっとも人気のある魚の一つです。
4.毒針に注意！
アイゴ類には尾ヒレを除く全身の各ヒレに毒針を持ちます。カーエーも例に漏れず毒針をもっているので、素手で扱うことは絶対に避けましょう。
カーエー釣りのシーズンを解説
1.釣りの最適な時期は？
カーエー釣りが可能な時期はほぼ通年、1年間を通して可能です。最盛期は初夏の時期から梅雨の時期となります。雑食性のため、餌となる生物達が活発に動き出す時期に集中して釣りをするとよい釣果を得られるでしょう。
2.産卵の時期と味の変化
カーエーが産卵する時期は4~10月と長く続きます。しかし、産卵時期の前後でも身の味が落ちにくく美味です。多くの魚が産卵の時期には身が細って食味が悪くなりますが、カーエーにその心配はいりません。
3.暑い時期は夜釣りで狙おう
カーエー釣りの本場は沖縄県。沖縄と言えば本州より早い時期に気温が上がってしまいます。そのため、沖縄の方は熱中症を避ける目的で気温が低い夜に釣りをすることが多いそう。暑い時期に釣行の計画を立てた場合は、陽が高い時間帯を避けるか夜釣りでじっくりカーエーを狙うとよいでしょう。
カーエー釣りのポイントはココ！
1.攻めるポイントは障害物地帯
岩礁地帯やサンゴ礁帯、汽水域など広い水域に姿をみせるカーエーには群れで回遊する性質があります。中でも磯や岩場、沿岸のテトラ帯などの餌が豊富なポイントが釣り場として有力になるでしょう。撒き餌を打ちつつ、カーエー群を足止めする釣り方が基本となります。
2.強いタックルで強引に引き剥がす！
岩場などの障害物帯にはカーエーがよく回遊してくるので好ポイントになります。しかし、大型のカーエーともなると引きは他の魚では比較にならないほど強烈です。しかもスタミナが続くタイプなのでよく走り、簡単に岩場の穴やテトラの隙間に潜り込れてしまうでしょう。このため、釣り針やラインなどの仕掛けから竿、リールに至るまでカーエーのパワーに負けないタックルで挑む必要があります。
カーエー釣り用タックルの解説
1.大物用磯釣りタックルで勝負！
大型カーエーが針掛かりすることも考えると、タックルは太仕掛けを扱えるパワーがあるものが適します。このため、竿は磯竿2~3号を用意しましょう。2~3号の磯竿は大物向けなのでグレ・メジナ釣りをする方ならそのまま流用できます。リールは2500～3000番台。ナイロンライン4~6号をリールに巻き込んでおきましょう。PEラインを扱う場合は太さ1号～2号、リーダーは6号前後がベスト。なお、ドラグ性能が高いリールならカーエーとのファイトもしやすくなります。また、レバードラグリールなども有効です。
磯竿
リール
スピニングリール 21 ネクサーブ 2500
出典:AmazonPEライン
リーダー
2.カーエーの仕掛けを解説
仕掛け部分は単純で、ウキと釣り針があれば基本は押さえられます。ウキには感度の良い自立棒ウキ1~2号を使います。釣り針はカーエー専用針7~10号に針素（ハリス）4~6号を準備しましょう。メインラインと針素の結束は小型サルカンを使えばOKです。
自立棒ウキ
カーエー専用針
ハリス
小型サルカン
3.仕掛け用の小物類を解説
上記のタックルや仕掛け以外に必要なものを挙げると、ウキ止めゴム・絡み防止パーツ・ガン玉などです。ウキ止めゴムは仕掛けの水深を調整するために、絡み防止パーツはラインと仕掛けのイト絡みを防ぎます。ガン玉は小型のオモリで、ウキの浮力調整や水中での仕掛けを安定させる役割です。上記の順でメインラインに通していけば仕掛けは完成。根掛かりの多い磯や岩場ではガン玉の位置を釣り針の根元付近、もしくはサルカンと絡み防止パーツの間に噛ませると根掛かり防止になります。
ウキ止めゴム
第一精工 ウキ止めゴム 31021
出典:Amazon絡み防止パーツ
ガン玉
カーエーが好む釣り餌を使おう！
1.オキアミ
カーエー釣りによく用いられる餌がオキアミです。撒き餌として使うオキアミを刺し餌としてもOK。形が整っていて両目が付いているものを選びましょう。尾羽を千切って釣り針の形に沿って刺していけば餌づけは完了です。
2.練り餌
マルキュー(Marukyu) ねりエサの素
出典:Amazonオキアミと同じくカーエー釣りで頻繁に使用されるのが練り餌です。植物性の素材をベースにオキアミやサナギの粉末などを練り合わせたものがカーエーには効果的。使い方は米粒サイズに丸めた練り餌を釣り針の先に刺すだけです。携帯性や保存性に優れるのでオキアミより有効な場合も。もちろん自作も可能で、釣り人は各々が工夫を凝らした練り餌を使用しています。
3.サナギ・海苔類
雑食性の強いカーエーは昆虫のサナギや海藻類も餌にします。特に匂いの強いサナギはおすすめで、粉末にしたものを練り餌に混ぜることもあります。
撒き餌でカーエー釣りを制覇！
1.撒き餌は専用品が便利
ダイワ 新鮮パック 強力チヌニンニク
出典:楽天カーエー釣り専用の撒き餌は市販されているので、そのまま使用すればOKです。一度の釣りで使用する分は概ね1/4袋～多くても1/2袋で済みます。もし専用品が手に入らない場合はチヌ用の撒き餌で代用可能です。
2.押し麦が視覚に効く！
つり用押し麦約900g
出典:Amazonカーエーは表層から落下してくるものに強い関心を持つようです。このため、撒き餌には押し麦入りが有効。専用品なら漏れなく素材になっている筈ですが、撒き餌も自作したい方はこの押し麦を欠かさずに加えるとよいでしょう。
自作練り餌でカーエー釣り！
1.酒かすベースの練り餌の作り方
練り餌を自作する場合、素材の候補には匂いが強いものが挙げられます。先にご紹介のサナギ粉をはじめ、おろしにんにくなども有効です。これらを酒かすをベース素材にして混ぜ込んでいきましょう。酒かすはカーエーが特に好む植物性素材として有名で、撒き餌にも多く含まれています。
2.アミノ酸の相乗効果で餌効果アップ！
おろし生にんにく 290g
出典:Amazonカーエーをはじめ、魚類はアミノ酸を匂いとして感知して餌を探し始める習性があります。これを利用したものが撒き餌や練り餌。酒かすにはアミノ酸が豊富に含まれていて、それだけでも効果があります。しかし、にんにくやサナギ粉、オキアミ粉などをさらに混ぜ込むのはアミノ酸同士の相乗効果を狙うため。アミノ酸には一種類だけを多量に使用するより、少量でも別々に2種類以上を混ぜ合わせたほうが効果が高くなる性質があるからです。
知っておきたいカーエー釣りのタナ取り法
1.餌はほとんど底に
仕掛けを海に投入する際に気をつけるべきは仕掛け・釣り針の位置になります。カーエー釣りでは餌の付いた針は海底から5~10cm以内、ほとんどスレスレに浮かべる程度でなければなりません。
2.ウキ下を調節してタナ合わせ
魚がいる水深に仕掛けを的確に浮かべることをタナ合わせと呼びます。今回はウキ釣りのため、ウキの位置を上下にずらすことでタナ合わせが可能です。タナ合わせの方法は、はじめに針先にオモリを吊るして海底まで落とします。ウキの位置は適当な長さにしておき、どの程度ウキが沈んだか、あるいは水面に浮いているかで調整をしていきます。水面を基準に、仕掛けを浮かせたいならウキを下に、沈めたいなら上にずらせばOKです。
3.ウキの頭は海抜1cm
棒ウキの感度を最大限に活かすためにはウキの頭を水面から僅かにだけ出すようにしましょう。ウキの浮力を調整するためにはウキの号数を確認すればOK 。例えば1号の浮力を持つウキなら1号のオモリと釣り合う計算です。今回はガン玉を使用するので、それを含めた仕掛け全体の重量で浮力を維持するようにします。
4.ガン玉のより詳しい使い方が気になる方はこちらもチェック！
ガン玉の重さは重要？重量をチェックして使い方をマスターしよう！
釣りで使われるガン玉と言われるオモリの最少サイズの重さはわずか約0.07gです。そのガン玉が仕掛けに与える影響は大きく仕掛けを沈めてくれたり...
カーエー釣りのコツを公開！
1.僅かなアタリをキャッチ！
アタリがあってもウキが少ししか動かないのがカーエー釣りの難しいところ。ですが、ウキが水面下に消し込む前に少し浮き上がる場合があります。この時は餌を食い上げている証拠です。不審なウキの動きを確認したら迷わずアワセを入れましょう。
2.空気を吸わせてネットイン！
上手く釣り針に魚を掛けられたら障害物に潜り込まれる前に引き剥がしましょう。竿を立てて魚の引きをいなしていけばあと少し。魚が強く引くときにはリールを巻かず竿の操作で凌ぎましょう。水面まで引き上げたら、空気を吸わせると大人しくなります。そのまま抜き上げてしまうのは危険が伴うので、必ずフィッシュネットに入れて引き上げましょう。
フィッシュネット
3.カーエー釣りは粘りが肝心
カーエーが最も釣れるとされる潮は干潮に向かう下げ潮です。それでも反応が得られない場合もあり、最終的なチャンスは干潮直前の潮止まり。下げ潮から潮止まりまでは短くとも数時間を要しますが、カーエーを狙うなら気長に待つことも重要な要素です。
ルアーでカーエー釣りをするには？
1.チニングタックルが好適正
ルアーでのカーエー釣りは未開拓の分野です。そのため情報に乏しいものの、時折チニングタックルでの釣果が寄せられます。通常のチニングタックルよりやや強いタックルと仕掛けで挑めば、ルアー釣りであっても大物カーエーを釣り上げられるでしょう。チニングと同様にリールをゆっくりと巻いてアピールする釣り方のように様々なパターンを試してみるのが大物への近道です。
2.チニングタックルの紹介と解説
チニングとは黒鯛のルアー釣りのこと。感度の良い竿先とパワーのあるチニングロッドならカーエーのアタリを取りつつもカーエーに力負けすることはありません。リールには2500～3000番のスピニングリールが最適。餌釣り用のタックルと同じく、ドラグ機能に優れたリールを用いるとよいでしょう。このリールにPEラインの1~2号を巻き込み、ナイロンかフロロカーボン製リーダー6号結びましょう。ルアーにはソフトタイプルアーが効果を示します。
3.ソフトルアーとジグヘッドの組み合わせで挑もう
カーエーのルアー釣りでは魚を模したルアーでは無くソフトルアーを使います。ソフトルアーには集魚力に優れる匂い付き・味付きタイプの使用がベスト。ジグヘッドはチニング用の根掛かり軽減タイプや太軸フックを備えたタイプがよいでしょう。チニングロッドの重量負荷を把握した上で選べばOKです。また、テキサスリグなどのルアー釣りで用いられる釣り方（リグ）用いてもよいでしょう。
カーエー釣りに揃えたい道具
1.フィッシュネット
いわゆる玉網のことです。水面まで引き上げたカーエーを安全に陸に揚げられます。釣り針が外れても逃がすことが無くなるので確実に魚を確保できます。
2.フィッシュグリップ
鰭に毒がある魚や歯が危険な魚などを安全に持ち上げるのに役立つ道具です。魚体を直接掴むタイプや口に引っ掛けるタイプなどがあります。
3.針はずし
カーエーに直接触れる事態は釣り針を外す際にも考えられます。グローブをしていても危険が伴いますので、針はずしを利用すればより安全です。
夜間のカーエー釣りの注意点
1.光源を確保しよう
夜釣りには灯りの確保が不可欠です。ヘッドライトや懐中電灯など、灯りとなるものを持参しましょう。また明るい時間帯にあらかじめ地形を確認しておくことも安全に繋がります。
2.磯用ブーツ
テトラ帯や磯場などの足場の悪いポイントで釣りをする場合は滑らないようにブーツを履きましょう。濡れた海藻類が付着する部分はブーツでも滑ってしまうこともあるため、できる限り避けるのが賢明です。
沖縄北部のカーエー釣りポイント3選！
1.ルネッサンスホテル横
所在地は沖縄県国頭郡恩納村山田3425－2
護岸を降りた敷石が釣りのポイント。数と形の両方が揃ってカーエーが狙えます。ポイント自体は広めなものの、釣り人が多い点と水満潮時には水没する点に注意。下げ潮から干潮手前に行くのがベストです。
那覇空港より車で60分（沖縄自動車道石川ICより10分）
2.安和海岸付近の河口
所在地は沖縄県名護市安和872。許田ICから車で30分。
カーエーの数釣りができる好ポイントです。河口付近は両側に敷石があるので釣りがしやすくなっています。
3.本部ザ・ビッグ裏
所在地は沖縄県国頭郡本部町大浜851－1
食料品店の裏、テトラ帯がポイントです。沖より手前に敷石があるのでそれより沖に仕掛けを飛ばしましょう。群れが入ってくると数が釣れ、型にも恵まれます。
沖縄中部のカーエー釣りポイント3選！
1.アラハビーチとハンビー海岸周辺
所在地は沖縄県北谷町北谷2－21
沖縄本島の中部、西海岸側にあるポイントです。ビーチ横の敷石と突堤付近は有名なポイントの一つ。
数も釣れるのでおすすめです。干潮には沖に見える島に徒歩で渡れます。安良波公園駐車場が無料かつ約150台の収容スペースが利用可能です。
2.熱田漁港
所在地は沖縄県中頭郡北中城村熱田2060。北中城ICから車で20分。
港内スロープや堤防先端、外海側のテトラが名ポイント。特に外海側が2桁に届くカーエーが釣れる可能性も！本島東海岸では有力ポイント。広い駐車スペースがあるので優れた釣り場の一つです。
3.宜野湾港マリーナと牧港付近
所在地は沖縄県宜野湾市真志喜4－4－1
型に優れ、数も釣れる名ポイントの一つです。マリーナは河口付近のテラスと左側の港があるうち海側が狙い目。牧港は右側に見える港内のスロープと防波堤の先端付近が好ポイントです。
・那覇空港からバスで60分系統番号99番（料金目安490円） 那覇空港～コンベンションセンター前 沖縄コンベンションセンターから徒歩で3分
沖縄南部のカーエー釣りポイント3選！
1.糸満周辺
糸満市役所が目印のポイントです。周辺の堤防やテトラ帯が主な釣り場。豊崎にある水路やビーチ隣に隣接するヨットハーバーなどもよいポイントです。糸満市役所の所在は沖縄県糸満市潮崎町1丁目1番地。また、渡し舟を利用すれば西崎一文字堤やイカダで釣りができます。こちらも名ポイントの一つです。
2.志喜屋漁港
所在地は沖縄県南城市知念志喜屋40。県道137号線垣花交差点から7分程度。那覇空港からは車で50分。
漁港左に位置する堤防の先端付近がポイント。また右側に見える堤防は内海側がよく釣れます。
3.馬天漁港
所在地は南城市佐敷津波古400－81。那覇空港から車で30分ほど。
沖縄本島南部では屈指の名ポイントです。右側に見える堤防は先端、外海向きはテトラ帯からキャストしましょう。港湾内はスロープが狙い目です。
カーエー釣りの聖地・伊江島に行こう！
1.伊江島の玄関・伊江港
沖縄本島の北西約9kmの洋上に浮かぶ島が伊江島です。ここ伊江島は本島の本部新港からフェリーで30分の立地で、島内には24時間経営のコンビニが2件あります。最初に降り立つ伊江港は港内のテトラ地帯がカーエー釣りのポイントです。また、すぐ隣の具志漁港でもカーエー狙いの釣りができます。伊江島はカーエー釣りのメッカとして有名で、53cm超の大物記録はここ伊江島から出ています。
2.西崎港
外海向きにはハタ類やタマンなどが狙える釣りのメッカ。ハタは大型が釣れ、時にはGTなども。カーエー狙いには内海の穏やかなポイントが狙い目です。
釣ったら食べたいカーエー料理のご紹介
マース煮・刺身が美味！
カーエーの引きに満足したら次はそれを使った料理も楽しみましょう。本場沖縄の味を試したいならマース煮がおすすめです。マース煮とは塩水煮のこと。あっさりとした味付けで身から良い出汁が出る人気の一品です。また、刺身や洗いなども美味。辛し味噌をつけてもまた違った味わいが楽しめます。季節の菜の物を添えればお酒にもピッタリ！
まとめ
沖縄へカーエー釣りに行こう！
『カーエー釣りに行こう！釣れるポイントや仕掛けやタックルなどの釣り方を解説！』は以上です。沖縄で楽しめる大物のカーエー。沖縄への旅行の合間や遠征のご予定があったら釣りに行ってみてはいかがですか？沖縄には本州では見られない魚も沢山います。カーエー狙いだけでなくても様々な魚が釣りファンの目を楽しませてくれることでしょう。