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残暑の候の読み方や意味は?使う時期や使い方を例文を使って解説!

手紙を書く時に使う四季折々の時候の挨拶は、その季節にあった細やかな心づかいが伝わる挨拶の言葉です。例えば「残暑の候」は夏の盛りを過ぎたころによく使われますね。今回はその「残暑の候」について読み方や意味、使える時期や例文などを詳しくご紹介していきたいと思います。
2020年8月27日
kureko
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残暑の候の読み方は?

「残暑の候」の読み方を一字ずつ見ていきますと下記のようになります。

残:音読み ザン  訓読み のこる 表外 そこなう

暑:音読み ショ  訓読み あつ・い

候:音読み コウ  訓読み そうろう

続けて読む場合は全てを音読みにして、ざんしょのこうと読みます。「候」はまれに戸惑う方もいるようですが「残暑」はよく使う言葉なので問題なく読むことが出来たと思います。また時候の挨拶の読み方はたいていは音読みで大丈夫ですのでとりあえず音読みで読んでみて下さい。

残暑の候の意味は?

「残暑の候」の意味は、広辞苑によると「残暑」は立秋後の暑さ、秋になってなお残る暑さ、とあります。また「候」は時節、季節とあり、「暦の上では立秋は過ぎましたが、まだまだ真夏の暑さが残る時節です」のような意味になります。

立秋とは、旧暦の二十四節気の一つで、春、夏、秋、冬をより細かく表したものです。また二十四節気とは1太陽年を24分割したものを言い、その分割点を含む日に季節を表す名称を付けたものです。

旧暦と新暦の差

「旧暦」は太陽と月の動きを基にした「太陽太陰暦」で、自然に適合した暦です。現在使われている新暦は太陽の動きを基にした「太陽暦」で1872年(明治5年)からこの新暦を使用し始めました。

旧暦では、1月~3月を春、4月~6月を夏、7月~9月を秋、10月~12月を冬と考えます。「立春」や「冬至」も旧暦の考え方です。8月はまだ暑い盛りですが、旧暦では7月~9月が秋になりますので新暦で生活している私達にとっては「暦の上では秋…」というような表現になるわけです。

残暑の候の使い方・時期はいつまで?

では具体的に「残暑の候」の挨拶が使われる時期はいつまででしょうか。「残暑の候」は、立秋を過ぎてから使用する時候の挨拶なので、二十四節季の立秋(8月7日頃)から白露(9月8日頃)の前日までに使われる挨拶になります。立秋の日にちは毎年変わりますので、目安として8月初旬から9月初旬、と覚えておくと安心です。

多少過ぎても差しさわりはありませんが、相手に届く時期を頭に入れて書くことをおすすめします。8月はまだまだ暑く、それゆえ暦の上では秋となったけれども夏の暑さが残るので残暑と表現するわけですが、近年は地球温暖化の影響などで季節外れの温度の変化が起きたりします。

8月後半に急に寒くなったりした場合は「残暑の候」はふさわしい挨拶ではなくなるので注意しましょう。また、実際その夏が冷夏の場合もありえますので、その時は残暑の候と同じ時期の、立秋から白露の時期に使える時候の挨拶として「新涼の候」というのがあります。あまり馴染みのない言葉かもしれませんが、覚えておくと安心ですね。

残暑の候・まずは文章の基本を!

「残暑の候」の意味や使い方などがわかったところで、ここからは例文で使い方を見ていきましょう。その前に、まず丁寧な手紙の文章についての基本をお話いたします。まず、あらたまった手紙は「前文」の頭語(とうご)で始まり、「末文」の結語(けつご)で終わります。


頭語と結語はセットになっています。そして丁寧の度合いによってさまざまな組み合わせがあります。一例として、一般的な使い方は、「拝啓」で始めた場合は「敬具」や「敬白」で終わります。女性の場合は「かしこ」や親しい間柄なら「ではまた」でも良いと思います。

丁寧な使い方をする場合は、「謹啓」で始めたら「謹言」や「謹白」などで結びます。「前文」では、頭語の後に時候の挨拶の「残暑の候」などを書き、次に相手の健康や安否を確認する文章を書きます。文章の最初に頭語をつけるのは手紙の相手に敬意の気持ちを表すという意味があります。それでは次の章で例文を見ていきましょう。

残暑の候の例文

手紙は「前文、主文、末文、後付」「で構成されますが、ここでは前文と末文(結びの文章と結語)の例文を紹介します。

前文

拝啓 残暑の候 ○○様には日々ご活躍のことと存じます。

拝啓 残暑の候 貴社にはますますのご清栄のことと存じます。

拝啓 残暑の候 皆様ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
謹啓 残暑の候 暦の上では立秋ですが毎日暑い日が続いております。 

謹啓 残暑の候 ご家族の皆様にはお変わりなくお過ごしのことと存じます。

末文

残暑厳しき折り、体調を崩されませぬようご自愛ください。敬具

暑さはまだしばらく続きそうですが、健康には一層ご留意ください。敬白

立秋とは名ばかりの暑さが続いておりますが夏バテにはくれぐれもお気をつけください。敬具
厳しい暑さが続きますが、くれぐれもご自愛下さいませ。謹言

残暑厳しき折りご健康には一段とご留意くださいませ。謹白

ビジネス文章や友人への挨拶の例文

手紙の基本や「残暑の候」の使い方がわかったところで次はビジネスでの文章や、知人、友人への実際の使い方の例文をご紹介します。

残暑の候・ビジネス文章の例文

残暑の候、貴社の皆様方おかわりございませんか。

残暑の候、暑さが厳しい毎日ですが、貴社ますますご健勝のことと存じます。

残暑の候、暑い日が続きますが、貴社ますますご健勝のほどお喜び申し上げます。いつも一方ならぬお力添えを頂き誠にありがとうございます。

残暑の候・知人への挨拶例文

残暑の候、○○様にはおかわりございませんか。

残暑の候、秋にはまだ遠く暑い日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。

残暑の候、○○様にはますますご清栄のことと存じます。
残暑厳しい日が続きますが、皆様にはご健勝の事とお喜び申し上げます。

立秋とは名ばかりの暑さですが、○○様はじめご家族の皆様おかわりございませんか。

残暑の候・親しい相手への挨拶例文

残暑の候、先日近くの公園で盆踊りがありました。つい雰囲気に飲まれ踊りの輪に入ってしまいましたがとても楽しかったです。

残暑の候、夏休みはいかがお過ごしでしょうか。きっとご家族で楽しい計画などおありの事と思います。

残暑の候、先日家族で花火大会を見に行ってきました。人が多くて大変でしたがとても楽しかったです。

暑い日が続きますがお変わりございませんか…中略…涼しくなったらランチでもご一緒しませんか。

こんにちは、猛暑が続いていますがいかがお過ごしですか?

あえて頭語や結語を省略するのも親しさの表現方法の一つになります。

「残暑の候」以外の時候の挨拶もあるの?


「残暑の候」はよく耳にする言葉なのでたまには他の時候の挨拶も使ってみたいと思われる方もいると思います。「残暑の候」は、立秋(8月7日頃)を過ぎてから白露(9月8日頃)の前日までに使われる挨拶ですから、この同じ時期に同じ使い方が出来る時候の挨拶を集めてみました。

1立秋の候

・読み方「りっしゅうのこう」

・意味「秋の始まりの季節」「この時期を境目に少しずつ季節が秋になっていきますよ」「立秋でございます」

2秋暑の候

・読み方「しゅうしょのこう」

・意味「立秋が過ぎても暑い季節」「秋に入ったのに、まだまだ暑い」

3残夏の候

・読み方「ざんげのこう」

・意味「残夏の候は夏の暑さが残る季節」

・解説 夏は音読みで「カ」ですがこの場合「ゲ」と読みます。夏至も「ゲシ」と読みますね。

4納涼の候

・読み方「のうりょうのこう」

・意味「夏の暑さを避けて涼しいところで凌ぐ季節ですね」

新涼の候

・読み方「しんりょうのこう」

・意味「初秋になり涼しくなってきた季節」「秋になって涼しい時期ですねえ」

・解説 「新涼の候」は日常会話では使うことはなく、かしこまった特殊な書き言葉になります。

「晩夏の候」という時候の挨拶について

「残暑の候」を使う同じ時期には、前の章でもご紹介したようにいろいろな時候の挨拶がありますが、他にも「晩夏の候」という時候の挨拶があります。こちらは夏が終わりに近づく頃に使われる時候の挨拶です。読み方は「ばんかのこう」、意味は夏の終わりや夏の末です。「残暑の候」とほぼ同じ時期の使い方です。

具体的に使い方はいつからいつまでかと言いますと「残暑の候」は、二十四節季の立秋(8月7日頃)から白露(9月8日頃)の前日までですが、「晩夏の候」の時期は、始まりは8月7日頃からと同じですが、いつまでかとなると8月20日頃までになり、「晩夏の候」の方が「残暑の候」よりも短くなります。

言葉のイメージとして「晩夏」はなんとなく、夏が過ぎ去り、秋の入り口にさしかかった印象を受けますが、使えるのは8月の中旬ごろまでになります。この時期は一年でいちばん暑い時期なのですが、暦の上では立秋になり「晩夏の候」は立秋の挨拶という事で、夏の終わりを強調したい時の使い方と考えて下さい。

「残暑の候」・豆知識

ここまで「立秋」を中心に「残暑の候」の話をしてきました。「残暑の候」は立秋から白露の前日までという事もお分かりいただけたと思います。ところで「立秋」と「白露」の間には「処暑」があります。そこで「処暑」を含め、「残暑の候」が使える時期「立秋」、「処暑」「白露」のことをもう少しお話したいと思います。

立秋


・読み方は?:りっしゅうと読みます。

・時期はいつからいつまで?:8月7日~8月22日頃まで。

・意味は?:秋に入る日という意味です。

立秋は夏至と秋分の中間にあたります。そして秋の気配が感じられる時期なったというような使い方をします。8月7日頃といえば暑い盛りですが、この日を境に暑中見舞いから残暑見舞いに切り替わります。

処暑

・読み方は?:しょしょと読みます。

・時期はいつからいつまで?:8月23日~9月6日頃まで。

・意味は?:暑さが少し落ち着く時期という意味です。

処暑の「処」にはおさまる、落ち着かせるという意味があります。

白露

・読み方は?:はくろと読みます。

・時期はいつからいつまで?:9月7日~9月22日頃まで。

・意味は?:本格的に秋が訪れ、草花に朝露が付くようになる時期という意味です。

白は雪をイメージし冬を連想させますが、中国の陰陽五行では「白」は秋の色としています。

まとめ

今回は時候の挨拶「残暑の候」について、意味やいつからいつまで使えるか、使い方は、などを例文も含めて紹介しましたが、いかがでしたか。「残暑の候」は立秋以降に使われる時候の挨拶です。そして立秋は旧暦の二十四節気の一つですが、今は、明治時代に新暦を取り入れられた結果、旧暦と約1ヶ月のずれが起きてしまいました。

その結果、実際の季節との違和感があるため挨拶文も「暦の上では秋…」などの使い方をするようになりました。「残暑の候」の使い方を通して、時候の挨拶は、文章の冒頭の決まり文句という事だけでなく「頭語」や「結語」など手紙の書き方の基本も理解できたことと思います。

今回は「残暑の候」がメインでしたが、時候の挨拶は季節によってまだまだたくさんありますし、旧暦の二十四節気に触れることも日々の暮らしがいきいきとしてくると思います。今回を期に、四季折々の時候の挨拶にさらに関心を持っていただき、皆さんの生活をよりいっそう知的で楽しいものにして下さい。