CANYON(キャニオン)ってどんなブランド?
キャニオンはドイツ コブレンツに本社を置く、カーボンフレームの評判が高い総合自転車メーカー。 キャニオンとして正式に創業した2001年から、メーカーとカスタマーの間で発生するマージンを排除し、高品質なバイクをリーズナブルな価格でカスタマーに直販する革新的なダイレクトセールスの手法を採用していました。
そのため、工業用CTスキャンを用いたカーボン製フレームやパーツの全数検査、耐久テスト、一貫した自社生産を徹底して品質に対する信頼性を確保しています。これはWEBを通したダイレクトセールスにおいてはとても重要なことで、品質管理のほか、カスタマーサポート、アフターケアなどを充実させることによって高いレベルで評判を維持する結果につながっています。
CANYON(キャニオン)の評判は?
プロチームへの機材供給
ロードバイクのカテゴリーでは、ツール・ド・フランスなどのトップレースに参加するUCIプロチーム モビスター(スペイン)、カチューシャ・アルペシン(ロシア)、キャニオン・スラム(ドイツ、ウィメンズ)に周辺パーツを含めたフレームセットを供給しています。
実績
2009年にはカデル・エヴァンスの世界選手権優勝、2011年にはフィリップ・ジルベールのアルデンヌ・クラシック4連勝、2014年にはナイロ・キンタナによるジロ・デ・イタリア総合優勝など、ビッグレースにおいて数々の輝かしい戦績に貢献しています。直近ではアレハンドロ・バルベルデが2018年の世界選手権を制し、改めてキャニオンの名を世界に轟かせました。
受賞歴
キャニオンは自社のフレームがいかに優秀かを、その受賞歴をもって示しています。レッドドットデザインアワードをはじめとし、デザイン&イノベーションアワード、ユーロバイクアワード、バイクオブザイヤーなどを複数回受賞しており、デザイン性や品質、耐久性といった面で国内外から高い評判を得ているのです。
売上の増加
前述の通りダイレクトセールスという方式と、自社でフレーム製造からバイクの組み立て、発送まで一元的に管理することでリーズナブルな価格と高い品質を維持し、評判のよいメーカーとして着々とセールスを伸ばしています。既に100を超える国々への販売実績を持ち、過去7年間で前年比30%の売上増を果たしているキャニオンは、名実ともにヨーロッパ最大のメーカーのひとつであると言っても過言ではないでしょう。
これらのことから、世界的に見てもキャニオンの評判が高いことは間違いありません。2014年にはキャニオン・ジャパンが設立されたため、日本でも評判に違わぬキャニオンのフレームを手に入れやすくなるのではないでしょうか。
CANYON(キャニオン) ロードバイクの組み立て方
キャニオン公式 組み立て方動画の紹介
キャニオンで購入したバイクは、ほぼ組み立てられた状態で届きます。初心者でも、自身でパーツ交換や簡単なメンテナンスをしたことがある方にとっては、マニュアル通りにパーツを取り付けて組み立てることはさほど難しいことではないでしょう。Park Toolの総代理店である工具メーカー HOZANは、キャニオンの組み立てやメンテナンスに関する動画を特設ページに多数掲載しているため、そちらを参考にしてもわかりやすいはずです。
キャニオンは初心者には積極的におすすめできない?
キャニオンは評判がよくコストパフォーマンスの高いロードバイクをリリースしていますが、1台目の選び方として初心者が購入するのはあまりおすすめできません。以下3つがその理由です。
組み立てとメンテナンスに関して
組み立て自体は初心者でもそれほど困らないはずですが、組み立て後のチェック(パーツの取り付け位置、角度、突き出し量、締め付けトルクなど)における正否の判断が、初心者にとって難しいのではないでしょうか。また、初心者かどうかに関わらず、日常的なメンテナンスを怠ればライダーの命に関わる事故を引き起こす可能性も否定できません。それらを初心者が全てカバーすることができるかどうか、疑問が残ります。
他店で購入したバイクの組み立てやメンテナンスを受け付けてくれるショップを探せるのであれば、初心者でも心配する必要はないでしょう。ただし最近では、持ち込みOKでもキャニオンは例外ということがあるようなので、ショップの選び方には注意して探してください。
ポジション調整に関して
キャニオンはハイクオリティなバイクを製造するためにいくつかの製品において特徴的な規格を用いており、代表例がフォークコラム径で、1-1/4"というスーパーオーバーサイズを採用しています。通常、オーバーサイズの1-1/8"が適用されることが多く、販売されるステムとスペーサーのサイズも同様です。
1-1/4"のステムももちろん販売されていますが、どうしても流通量が少なく自由な選び方ができないのが現状と言えます。また、完成車として購入した際は、フォークコラムがカットされた状態でキャニオンの工場から発送されるため、ハンドルは一定の位置以上の高さにはできません。つまり、サイズが定まっていない初心者が購入するとパーツの変更が簡単にはできず、サイズの選び方を間違えばフィットしないポジションのまま乗り続けてしまう可能性があるのです。
価格的なメリットに関して
キャニオンは非常にコストパフォーマンスに優れたメーカーとしても評判です。初心者であっても必要な知識を得て、組み立てとメンテナンスを自身でやる価値はじゅうぶんすぎるほどあります。しかし、継続してメンテナンスを続けるには、それなりの工具を購入しなければなりません。さらに完成車で購入すると、キャニオンは初期パーツを交換して発送はしてくれないので、パーツ交換が必要な場合は別途購入しなければなりません。また、輸送費や関税などを考慮すると、エントリーグレードでは価格的なメリットがあまり感じられないのではないかと考えます。
以上の理由から、今後、フレームもしくは各パーツのサイズを変更するかもしれない初心者が、1台目の選び方としてキャニオンを候補に挙げることは積極的におすすめできません。しかし、先に述べた通り購入後のサポートをしてくれるショップや知人がいるのであれば、選び方の一選択肢として挙げた方がよいメーカーであるはずです。
おすすめロードバイクの紹介
選び方の基準について
ここでは、ポジションがある程度定まっていて、購入するサイズがわかっているライダーが2台目以降のバイクとして購入することを想定し、ミドルレンジ以上のカーボンロードバイクをメインにおすすめを紹介します。ただし、各バイクのスペックを全て紹介することは不可能なため、詳細はリンク先の公式ホームページにて確認してください。また、国内外のインプレや評判などをチェックし、簡単にまとめたものをあわせて載せています。
※価格に関しては2018年11月15日時点でHP記載の数字になります。
CANYON(キャニオン) おすすめロードバイク1
ULTIMATEシリーズは10年以上キャニオンのトップモデルに君臨し、高い評判を得続けているバイクで、軽さと剛性に加え、快適性、空力性能、ハンドリングなど全ての面が究極のレベルでまとまっているピュアレーシングマシンです。
ULTIMATE CF SLX 8.0 Di2
このバイクは最新鋭の技術が注ぎ込まれたSLXグレードのフレームセットにシマノ アルテグラ R8050 Di2をフルセットでアッセンブル、オールラウンドに使えるカーボンホイール MAVIC コスミックプロカーボンUST(40mm)が合わせて組み立てられます。さらに剛性と軽さ、空力に寄与するステム一体型ハンドルが取り付けられ、まさに隙のないレースレディバイクと言えるでしょう。価格(送料・関税などは別途)は¥479,000ですが、コンポとホイールだけで¥400,000前後になるので、いかにコストパフォーマンスに優れているかがわかります。
インプレまとめ
国内外のインプレ記事などを参考にすると、やはりまず最初に感じるのは「軽さ」のようです。コンポやホイールを取り付けた完成車平均重量 7.0kg(カタログ値)のバイクは、特にヒルクライム、ロングライドで効果を発揮します。モデルチェンジ後は要所でさらに剛性アップされ、鋭い反応性は残しつつ、以前は指摘されることがあったハンドリング性能が大幅に改善しているとのことです。また、エアロダイナミクスが向上したチューブ形状は疲れにくさにも影響するようで、その恩恵を評価するインプレも見受けられました。
CANYON(キャニオン) おすすめロードバイク2
ULTIMATE CF SL 8.0
SLグレードのフレームセットは、カーボンレイアップを変化させることで乗り心地を求めたモデルです。アルテグラ R8000のグループセットと頑丈なDT SWISS製のアルミリムホイールセットが取り付けられたバイクは、SLXより万人向けであると言え、アルミホイールで組み立てられながら平均重量は6.9kgと驚異的な軽さを誇っています。
インプレまとめ
SLグレードは、乗り心地を重視する選び方をしたい方におすすめです。以前のULTIMATEは剛性ガチガチのまさにレーシングマシンといった様相で、硬すぎると言われていたことがありました。しかし、最新モデルは幾分快適性が見直されており、カーボンレイアップを微妙に変えているSLグレードはさらに乗り心地がよくなっているようです。
CANYON(キャニオン) おすすめロードバイク3
かのホアキン・ロドリゲスやフィリップ・ジルベールが愛用していたAEROADは、数度のモデルチェンジを経て、弱点と言われていたヘッド周りとBB周辺の剛性が高められ、風洞実験によってより優れたエアロダイナミクスを得ました。
AEROAD CF SL 8.0 Di2
エアロロードとして理想的なパッケージなうえ、ハイコストパフォーマンスのバイクです。エアロダイナミクスを追求したフレームセットに、F1レースの空力を担当するSwiss Side社と共同開発したDT SWISS製 ARC 1400 DICUTホイール(62mm)、シマノ アルテグラ R8050 Di2(ダイレクトマウントブレーキ)グループセットで組み立てられます。取り付けられるステム一体型ハンドルはDi2のジャンクションなどを内臓可能で、さらに空力性能が高められています。
インプレまとめ
パッケージ全体が持つハイレベルな空力性能のおかげで明らかに速度維持が楽なため、レースでの疲労蓄積を抑える効果が期待できます。改善されたハンドリングはダウンヒルのコーナーにおいてアンダーステアを軽減し、旧モデルと比べ安心して下ることができるようになっているとのことです。
CANYON(キャニオン) おすすめロードバイク4
AEROAD CF SL 8.0
AEROAD CF SL 8.0 Di2との違いは機械式コンポとホイールのみ。しかし、こちらに取り付けられるReynolds AR 58C(58mm)も非常に評判がよく、リムが若干低い分オールラウンドに使えるかもしれません。また、シマノ アルテグラ R8000 グループセットで組み立てることによってさらに求めやすい価格となっています。
インプレまとめ
ホアキン・ロドリゲス曰く、ULTIMATEに比べて横方向にしなやかなAEROADは非常に扱いやすいバイクだとのことです。エアロダイナミクスによる恩恵を加味すると、ファストツーリングや淡々とのぼるヒルクライムを目的とした選び方にもおすすめできます。しなりを活かせる分、こちらのバイクの方が合うライダーも多いかもしれませんね。
CANYON(キャニオン) おすすめロードバイク5
レーシーなイメージが強いキャニオンですが、販売の約半数はエンデュランス系のバイクであると言われています。そのキャニオンが本気でつくったENDURACEは快適な剛性と軽さ、風洞実験により得た空力性能をあわせ持ったオールラウンダーです。
ENDURACE CF SL DISC 8.0 Di2 AERO
ENDURACEは快適性を追求するため、剛性・重量・空力を最適化したバイクです。シマノ アルテグラDi2の油圧ディスクブレーキセットは強力でコントローラブルな制動力だけでなく、リムへのダメージを心配せずエアロホイール MAVIC キシリウムプロカーボンを使用できるメリットをもたらしてくれます。履かせるタイヤは28mmと太めで、荒れた路面でもパンクのリスクを軽減してくれるでしょう。
インプレまとめ
専用設計の低重心なジオメトリ、縦方向に高められた振動吸収性、優れた空力を生み出すパッケージの恩恵を受け、安定感抜群で疲れにくいバイクになっているようです。また、エンデュランス系のバイクにありがちな重さも感じられず、ULTIMATEとAEROADのよい点をバランスよく譲り受けたようなバイクだと言えます。
CANYON(キャニオン) おすすめロードバイク6
ENDURACE CF SL DISC 8.0 AERO
キャニオンの快適性に対する解釈は、ただ楽であることだけではなく、より速く遠くへ到達するためのピースであるべきだとしています。つまりその結論が、軽量なフレームセット、Reynolds AR41(41mm)エアロホイール、シマノ アルテグラ R8000 油圧ディスクブレーキセットへと現れていると考えられます。
インプレまとめ
ホイールの固定はスルーアクスルとなり、ディスクブレーキの制動力に耐え得る剛性を確保しています。ディープリムホイールなので高い直進安定性と振動吸収性を備えていますが、若干取り回しの重さを感じるようで、それを嫌う方はリムハイトの低いホイールを取り付けたENDURACE CF SL DISC 8.0が用意されています。
CANYON(キャニオン) おすすめロードバイク7
キャニオンでは通常のラインアップの中に、WMNラインを展開しています。これは女性にあわせたジオメトリーやサイズ、フレーム形状など、体格差によってフィットしないバイクを渋々使うことがないよう、専用に設計されたモデルです。
ENDURANCE WMN CF SL DISC 8.0 LTD
スタイリッシュな外観に高性能で実用的なパーツを取り付けて組み立てられた、サイクルアパレルブランド Rapha とのコラボバイク。女性専用設計のフレームセットにシマノ アルテグラ R8050 Di2(油圧ディスクブレーキ)セット、軽量で快適なDT SWISS製ホイールセットをアッセンブルした抜かりのないモデルです。
インプレまとめ
繰り返しになりますが、WMNシリーズは女性が使うために全てが最適化されています。ユニセックスモデルだと、無理したポジションになったり剛性が高すぎたりする場合がありますが、それらに関しても解消されているとのことで、抜群の乗り心地を体感することができるようです。サイズによっては男性でも選び方のひとつに挙げられるモデルでしょう。
CANYON(キャニオン) おすすめロードバイク8
ENDURACEがオンロードにおけるオールラウンダーなのであれば、GRAILはオフロードでの走破性も視野に入れたバイク。近年、国内でもよく耳にするようになったバイクパッキングも簡単にできるオールロードバイクです。
GRAIL CF SL 8.0
見た目は個性的ですが、全てが理に適っているGRAIL。2層構造のハンドルと特徴的なジオメトリーはアップライトなポジションで快適に楽しめるよう考慮されています。シマノ アルテグラの強力な油圧ディスクとそれを受け止めるスルーアクスル、リアディレイラーはスタビライザーつきのアルテグラRXが取り付けられ、どんな路面でも楽しめるでしょう。
インプレまとめ
低重心で安定感抜群、エアボリュームのあるタイヤと相まって乗り心地も非常によいとのことです。レーシングロードと比べるとさすがに重さは感じるようですが、これ1台で舗装路から砂利道、シングルトラックまで楽しめることを考えるとあまり気にならないかもしれませんね。
CANYON(キャニオン) おすすめロードバイク9
ULTIMATE CF EVO 10.0 SL
キャニオンが自ら究極のバイクと語るULTIMATEシリーズの頂点に立つモデル。単なるショー向けではなく「実用性を兼ね備えた」超軽量バイクで、剛性・快適性・耐久性を確保するため通常のULTIMATEとは完全に別モノとなっています。コンポはスラム レッド、クランクにはTHM Clavicula M3、ブレーキも同じくTHM Fibula、ホイールセットはセラミックスピードを組み込んだLightWeight Meilestein Obermayerを取り付けて、完成車重量は驚異の5.1kg(平均)。全く妥協がないこのバイクの価格は¥1,149,000です。
インプレまとめ
超軽量のフレームセットですがしっかりとしたバイクに仕上がっていているようで、ヒルクライムレースでは飛び道具となりそうです。これら尖ったバイクには宿命とも言える、軽量性が影響したピーキーさは残るものの、それはULTIMATE CF SLXと比べれば、とのこと。まさしく究極を求める方に。
CANYON(キャニオン) おすすめロードバイク10
FACTORY OUTLETでの選び方
キャニオンでは、型落ちモデルや製造ラインなどでわずかな傷がついてしまったものをアウトレットで販売しています。ただでさえリーズナブルなのに、さらに安価に購入できるシステムとあって、すぐに売り切れてしまううえにサイズが揃っているわけではないので、安く手に入れたい方はお目当てのモデルとサイズがあるかどうかを頻繁にチェックしましょう。
フレームセットという選び方
また、ほとんどのモデルにはフレームセットが用意されています。完成車と同じく豊富なサイズが用意されているので、取り付けるパーツは自分で選びたいという方にはこちらもおすすめです。
CANYONのおすすめロードバイク まとめ
ここまで、キャニオンのおすすめロードバイクや購入後の組み立て方、初心者におすすめできない理由を紹介してきました。ロードバイクは、誤解を恐れずに言えば、高価な機材ほど性能が高くなっていく乗り物です。キャニオンは、その高性能な機材をできるだけリーズナブルな価格で購入したいという矛盾を叶えてくれるメーカーではないでしょうか。ライダー自身や他人にも危険を及ぼさないよう、サイズ選びやメンテナンスにはくれぐれも注意して、キャニオンの高性能なバイクを楽しんでください。