今ストリートファイターが熱い
無駄な贅肉を削ぎ落とした攻撃的なフォルムに、ハイパフォーマンスなエンジンを搭載したストリートファイターがライダーに人気です。
かつてはカステム手法の一つでしたが、近年では各バイクメーカーもストリートファイタースタイルのモデルを数多く発表しています。そんな人気のストリートファイターのおすすめモデルや、ストファイカスタムの手法についてご紹介します。
ストリートファイターバイクとは
スタイル
走ることを目的に作られたスーパースポーツモデルをベースに、そのカウリングを取り外したモデルが基本となります。でも単にカウルを外してネイキッドとするだけではなく、アップハンドルへの換装や、異形ヘッドライトの採用、低く構えて尻上がりとなっていく独特のフォルムなど、全体的にアグレッシブなスタイリングが取り入れられます。
またエンジンなどの走りのパーツをデザインの一部とすることで、よりメカニカルでスパルタンな印象を持たせたモデルが多く見られるのが特徴です。
エンジン
スーパースポーツのエンジンをそのままベースとしたものが多く、ハイパワー、ハイスペックなのが特徴です。また爆発的な加速感やストリートでの扱いやすさ出すために、中低速トルクを重視したセッティングにチューンされる傾向にあります。またシフトもそれに合わせローレシオに変更される場合が多く見られます。
足回り
その強大なパワーを受け止めるため、フロント、リヤともにサスペンションは強化されます。また直進安定性を増すためにキャスター角を寝かせて、ホイールベースを長めに取ったモデルも多く見られます。またブレーキシステムもハイパフォーマンスな走りに見合うよう、制動力が強化される傾向にあります。
おすすめストリートファイターバイク①
カワサキ Z1000
カワサキのZX-9Rをベースに、カウルを取り去ったスパルタンなカスタムを施したフォルムでライダーに人気のストリートファイターが、かつての空冷カワサキの名車の名を与えられたZ1000です。スーパースポーツゆずりのハイパフォーマンスな走りに、デザインコンセプトである「凄み」にふさわしい挑みかかるようなスタイリングが魅力です。
フォルム&パフォーマンス
低く構えたクラウチングスタイルに、黒豹の眼を想起させるLEDヘッドライトが凄みのあるストリートファイタースタイルに貢献しています。
エンジンはスーパースポーツ由来の水冷4ストロークのツインカム4気筒で、ネイキッドスポーツとしては突出したハイパワーを誇ります。路面追従性の高い足回りにモノブロックのキャリパーの制動力が、ハイスペックなエンジンのパワーをしっかりと受け止めます。
スペック
車名:カワサキZ1000
エンジン形式:水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒
排気量:1,043cc
最高出力:104kW(141PS)/10,000rpm
最大トルク:111N・m(11.3kgf・m)/7,300rpm
おすすめストリートファイターバイク②
スズキ SV650
スズキがオートバイ本来の楽しさという原点回帰に挑んで作り出したストリートファイターがSV650です。無駄な贅肉を削ぎ落とした軽量なボディに、パワフルに回るVツインエンジンを搭載し、ストリートで高次元なスポーツ走行が楽しめるミドルクラスのネイキッドに仕上がっています。
フォルム&パフォーマンス
Vツインエンジンのタイトなシルエットが、スリムなボディと軽快なハンドリングに貢献しています。不等間隔に爆発するV型2気筒エンジンは、圧倒的というわけではないものの、必要にして十分なパワーで、ストリートファイターらしいスポーツライディングにライダーをいざなってくれます。
スペック
車名:スズキSV650ABS
エンジン形式:水冷4ストロークDOHC4バルブ90°Vツイン
排気量:645cc
最高出力:76.1ps/8500rpm
最大トルク:6.5kgf・m/8100rpm
おすすめストリートファイターバイク③
KTM 1290スーパーデュークR
モトクロスやエンデューロをはじめとしたモータースポーツで有名なオーストリアのバイクメーカーであるKTMのストリートファイターがスーパーデュークです。戦闘的なスタイリングと、凄まじいまでのパワーで高い人気を誇ります。
フォルム&パフォーマンス
低く構えるヘッドライトや無駄なものをそぎ落としたような外観はストリートファイターそのもので、ライダーが扱いやすい軽い車重にも貢献しています。
フレームはスチール製のトラス構造で、ありあまるエンジンパワーをしっかりと受け止めます。75度とほぼL型に近い2気筒エンジンは、179馬力とストリートファイター中でも随一とも言えるパワーを誇ります。
スペック
車名:KTM 1290 SUPER DUKE R
エンジン形式:水冷4ストロークV型2気筒
排気量:1,301cc
最高出力:179ps(132KW)/8,870rpm
最大トルク:14.6kg・m(144N・m)/6,500rpm
おすすめストリートファイターバイク④
ヤマハ MT-07
アグレッシブなスタイリングにパワフルなエンジン、俊敏なハンドリングで人気のヤマハMTシリーズの中でも、トータルバランスの高さで特にライダーから高い人気を得ているストリートファイターがMT-07です。
フォルム&パフォーマンス
無駄を省いたコンパクトなボディは、エンジンなどのメカニカルなパーツをデザインの一部とすることで、よりスパルタンな印象を醸し出しています。
DOHCパラレルツインのエンジンは粘り強くコントローラブルなトルク特性で、スポーツライディングそのものを楽しむことができます。独特なしなやかさと剛性を両立させたスチールフレームが、ハイパフォーマンスなコーナーリングを可能にしています。
スペック
車名:ヤマハMT-07 ABS
エンジン形式:水冷4ストロークDOHC4バルブ並列2気筒
排気量:689cc
最高出力:73PS/9,000rpm
最大トルク:6.9kgf・m/6,500rpm
おすすめストリートファイターバイク⑤
ドゥカティ ストリートファイターS
ドゥカティのスーパースポーツモデルである1098のカウリングを取り去り、アップハンドルへの交換、キャスター角の変更などのカスタムを施したモデルが、その名もストリートファイターです。ハイパワーなエンジンにスパルタンなスタイリングで、まさに現在のストファイ人気を象徴するモデルと言えます。
フォルム&パフォーマンス
ベースモデルとなった1098のキャスター角を寝かせることでホイールベースを延長、強烈なエンジンパワーながら高い操縦安定性を誇ります。
イタリアンスポーツバイクである1198譲りの過激なエンジンは、トルク感を増すことでさらに力強い加速を体感することができます。オーリンズ製の前後サスペンションは路面追従性も高く、ライダーの意のままにコーナーを駆け抜けることができます。
スペック
車名:DUCATI Streetfighter S
エンジン形式:水冷デスモドロミック4バルブL型2気筒
排気量:1,099cc
最高出力:114ps(84.0 kw)/9,500rpm
最大トルク:11.7kg・m(114.7N・m)/9,500rpm
おすすめストリートファイターバイク⑥
スズキ GSX-S1000
スズキのフラッグシップモデルともいうべきスーパースポーツGSX-R1000をベースに、ストファイカスタムを施したモデルがスズキ GSX-S1000です。レーサー由来のハイパワーを継承しつつ、ストリートでのライディングを重視したチューニングを施された、走りを楽しめるストリートファイターです。
フォルム&パフォーマンス
ヘッドライトからテールへと流れるシャープなラインは非常に戦闘的で、挑み掛かる猛獣をイメージさせるスパルタンなスタイリングとなっています。ロングストロークのエンジンは強大なパワーを誇りながらも滑らかなスロットルレスポンスで比較的扱いやすく、ライダーは全開で峠を駆け抜ける楽しさを体感することができます。
スペック
車名:スズキGSX-S1000
エンジン形式:水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒
排気量:998cc
最高出力:148PS/10,000rpm
最大トルク:10.9kgf・m/9,500rpm
おすすめストリートファイターバイク⑦
トライアンフ ストリートトリプル
トライアンフのスーパースポーツであるデイトナ675をベースにしたストリートファイターがストリートトリプルです。エンジンの基本設計はデイトナ675をそのままに、よりストリートで扱いやすい仕様にカスタムが施されています。
フォルム&パフォーマンス
獣の眼を思わせるデュアルヘッドライトが、アグレッシブなフォルムを際立たせています。3気筒という独特のシリンダーレイアウトは、並列4気筒よりもスリムなシルエットながら、2気筒エンジンにはないスムーズさを実現しています。
ショーワ製の倒立フォーク、オーリンズ製のリヤサスペンションに、確実な制動を可能にするブレンボ製のキャリパーなど、その足回りもストリートファイターの名に恥じないものに仕上げられています。
スペック
車名:TRIUMPH STREET TRIPLE R
エンジン形式:水冷4ストロークDOHC4バルブ並列3気筒
排気量:765cc
最高出力:118PS/12,000rpm
最大トルク:77N・m/9,400rpm
おすすめストリートファイターバイク⑧
ホンダ CB1000R
名車ホーネットの後継で、ホンダ伝統のCBの名を冠されたストリートファイターがCB1000Rです。熟成された水冷4気筒のハイパワーエンジンはストリート仕様にカスタムされ、その安定した足回りもあって、ライダーは走りそのものを楽しむことができます。
フォルム&パフォーマンス
2017年のモデルチェンジで、それまでのアグレッシブなフォルムに流行りのネオレトロスタイルのテイストが注入されました。
スポーツモデルであるCBR1000RRのものをベースにしたエンジンは、ストリート用にトルク重視のセッティングが施され、ローレシオ化されたミッションもあって市街地やワインディングでのファンライドを楽しむことができます。
スペック
車名:ホンダCB1000R
エンジン形式:水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒
排気量:998cc
最高出力:145PS/10,500rpm
最大トルク:10.6kgf/8,250rpm
おすすめストリートファイターバイク⑨
BMW S1000R
BMWのスーパースポーツモデルであるS1000RRをベースに、無駄なものを一切削ぎ落とし、シンプルに走りを楽しむことを目的につくられたストリートファイターがS1000Rです。クラス最高となるハイパワーで、ライダーに走りの真髄を体感させてくれます。
フォルム&パフォーマンス
スパルタンなフロントマスクにテールの上がったアグレッシブなフォルムは、まさにストリートファイターそのものといったスタイリングです。
スーパースポーツS1000RR譲りのエンジンは165馬力というハイパワーを誇りつつ低中速重視のチューンが施され、その抜群なスロットルレスポンスの良さもあって力強い加速感を楽しむことができます。カスタムオプションでシフトアシストを選択すれば、ライダーはより走りそのものに集中することが可能になります。
スペック
車名:BMW S1000R
エンジン形式:水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒
排気量:999cc
最高出力:165PS/11,000rpm
最大トルク:114N・m /9,250rpm
おすすめストリートファイターバイク⑩
ドゥカティ モンスター1200S
1993年の登場以来、まさにストリートファイターというジャンルを切り開いていきたフロンティアとも言えるのが、ドゥカティのモンスターです。アグレッシブなフォルムにハイパフォーマンスを誇る強大なパワーのエンジンを装備し、常にストリートファイターというカテゴリーの先駆的なポジションを守り続けいています。
フォルム&パフォーマンス
まさに”怪物”の名にふさわしいそのアグレッシブなスタイリングは、常にライダーを魅了します。スーパーバイク由来のテスタストレッタエンジンは、その過激なスペックもモンスターのネーミングに恥じないものです。
オーリンズ製のサスペンションの路面追従性の高さと、ブレンボ製キャリパーの制動力が、その強大なパワーをしっかりと受け止めます。
スペック
車名:DUCATI MONSTER1200S
エンジン形式:水冷4ストローク デスモドロミック4バルブL型2気筒(テスタストレッタ11°)
排気量:1,198cc
最高出力:147PS/9,250rpm
最大トルク:12.6kgf・m/7,750rpm
ストファイカスタムも熱い
これまでバイクメーカーが作り上げたストリートファイターについてご紹介してきました。でも、ストリートファイターの起源は、サーキットでの走りを重視したスーパースポーツをベースに、無駄なカウリング類などの贅肉を削ぎ落とし、バーハンドルなどでよりストリートでのパフォーマンスを高めたカスタム化にその本質があります。
そんな市販車をベースにしたストリートファイターカスタムも、ストリートファイターというジャンルの楽しみ方の一つと言えます。
ストリートファイターのカスタム手法
カスタム手法①:ネイキッド化
ストリートファイターカスタムでまず第一に行われるものが、カウリングなどの外装品を取り外すことです。ベース車自体がネイキッドであればその必要はありませんが、スーパースポーツなどのフルカウルであれば取り外してネイキッド化します。
またカウルを取り付けるためのステーなどがあれば、それも取り外したり切断するなどして取り除き、完全に無駄な贅肉を削ぎ落としていきます。
カスタム手法②:ハンドルの変更
ハンドルの換装もストリートファイターカスタムの重要な手法の一つです。セパレートハンドルが中心のスーパースポーツのハンドルは、ロー&ワイドなバーハンドルに交換します。
一部にはアップハンドルに交換する場合もありますが、低く構えたストリートファイターのフォルムを作り出したい場合には、やはりローポジションのストリートハンドルがぴったりです。
カスタム手法③:ライト類の変更
ストリートファイターの精悍なイメージの象徴ともいえるのが、ヘッドライトのカスタムです。基本は異形ヘッドライトで、挑み掛かる獣の眼のような顔を作り上げます。
リヤの尻上がりなイメージを形作るため、テールランプは先細りのテールカウルに合わせた小型なものに交換します。ウィンカーもストリートファイターのスパルタンなイメージに合う小型なものに変更することをおすすめします。
カスタム手法④:シートカウルの変更
ストリートファイターのその独特なフォルムは、低く構えたボリューミーなフロントから尻上がりでテールに向かって尖っていくようなラインが魅力です。この直線を作り出すため、シートカウルからテールカウルにいたる直線はできるだけリヤに向かって先細りで上に向かっていくデザインのものに交換します。
カスタム手法⑤:エキゾーストの変更
ここまでくれば、ストリートファイターのアグレッシブなスタイルはかなり出来上がってきました。最後の総仕上げとしてエキゾーストを変更します。ネイキッドでエンジンがむき出しのストファイには、エキパイの取回しにもこだわってメカニカルなイメージを演出します。
そして尻上がりのラインに合わせたアップマフラーで、極端にサイレンサーが短くカットされたものに交換すれば、スパルタンなストリートファイターの出来上がりです。
ストリートファイターから目が離せない
ストリートファイターの魅力についてご紹介してきました。かつてはその暴力的なまでのパワーに無駄なものを排除した身軽なボディでストリートを駆け巡るためのカスタム手法だったストファイも、今では立派なバイク界のジャンルとしての地位を確立しています。
今後も各メーカーから続々と生み出され、ライダーを魅了し続けるストリートファイターから目が離せません。