西吾妻山とは
西吾妻山は、山形県と福島県をまたぐ吾妻連峰の一座で、日本百名山に数えられています。吾妻連峰とは、吾妻小富士、東吾妻山、一切経山、浄土平、東大巓、中吾妻山、中大巓、西吾妻山、西大巓など、東西20kmに渡って連なる火山帯で、その最高峰が標高2,035mの西吾妻山になります。
西吾妻山の魅力
初級者から上級者まで、豊富なコース
西吾妻山の登山コースはいくつもあります。ロープウェイやゴンドラ、リフトを使ってアクセスできる初級者でも比較的登りやすいルートから、上級者向けの急登や沢を抜けるルート、また吾妻連峰を縦走するコースなど多彩です。また、山が2つの県にまたがっていることから、両県側からのアクセスが可能で、それぞれの特徴を楽しむことができます。ひとつの山に登るのに、コースを変えて何度もチャレンジする人もいます。
四季の楽しみ
西吾妻山は、四季を通じで登山者を楽しませてくれます。春から夏にかけては雪解けとともに姿を見せるミズバショウから始まり、チングルマ、コバイケイソウ、ワタスゲ、ゴゼンタチバナ、リュウキンカ、レンゲツツジなど種類も豊富な高山植物。秋の紅葉はナナカマドやダケカンバ、ミネカエデやミネツツジ、ブナなどが9月下旬頃から色づき始め、11月まで楽しませてくれます。そして真冬には、この地ならではの樹氷を見ることができることでも有名です。
西吾妻山へのアクセス
西吾妻山へのアクセスは、山形県側からと福島県側からの2つの方法があります。山形県側からは、米沢八幡原インターチェンジから国道13号で天元台高原へ、福島県側からは猪苗代磐梯高原インターチェンジから国道115号〜459号を経由してグランデコリゾートへ入るというものです。
そこからの登山ルートも、両県側からそれぞれにアクセスすることになります。
福島県側と山形県側の起点
天元台高原【福島県】
西吾妻山への福島県側からの起点となる天元台高原は、11月下旬から5月上旬までスキー場になります。標高1,350mの天元台高原は、トレッキングや登山に訪れる人たちの他に周辺を散策して高山植物や景色を楽しむ人たちでにぎわいます。高原の展望台は蔵王や月山、飯豊、鳥海、朝日連峰も見渡せる絶景ポイントです。麓の白布温泉から天元台高原まではロープウェイで5分ほどなので、西吾妻山への日帰り登山の最短ルートとして利用されています。
グランデコリゾート【山形県】
山形県側から西吾妻山へのルートの起点となるのがグランデコリゾート。ゴンドラが標高1,390mの高原まで一気に運んでくれるので、標高2,035mの西吾妻山山頂へ初級者でもあまり時間をかけずに登頂することができます。冬期間はスキーヤーたちでにぎわう人気のスキー場になりますが、グリーンシーズンは特に秋の紅葉が見事なエリアです。
西吾妻山登山の注意点
登山時期
登山適期は6月〜10月。冬は、スキー場になる天元台高原、グランデコリゾートは毎年11月はじめにはグリーンシーズンのゴンドラ、ロープウェイの運行を終了します。今年も11月4日までで運行終了となりました。グリーンシーズンの営業については下のリンクから確認を。
冬には、山スキーや樹氷を見に行く上級登山者もいますが、服装や装備を整えて、必ず豊富な経験のある人や地元の方と行動を共にしましょう。
服装・装備
まず足下から
西吾妻山の登山道は湿地帯が多いこともあり、天候にもよりますが、泥道になることが多いといわれています。まず足下の装備を確実にしましょう。歩き慣れた人は長靴という選択肢もありますが、ゴアテックスのトレッキングシューズが最適でしょう。ズボンの裾汚れ、濡れなどを防ぐ、足首からふくらはぎにかけて覆うスパッツを付けるのがおすすめです。
寒さ暑さの対策と必携の持ち物
防寒対策を忘れずに。標高の高いところは寒暖の差が激しくなります。服装は脱ぎ着しやすいものや、汗をかいたり寒くなっても冷えない速乾性のあるインナーが必須です。寒さ対策の防寒着や暑さ対策の帽子など登山での服装には十分気を使いましょう。また、雨具、熊除けの鈴は必ず携行したいもの。水分と行動食も計画に合わせた量を持参するようにしましょう。日帰り登山でも、服装と装備のチェックはしっかりと。
西吾妻山への登山コース①
【山形県側から】天元台高原からロープウェイとリフトを利用する初級者向けコース
リフトを降りてから西吾妻山山頂までの所要時間は2時間ほど。比較的難易度の低い初級者向けのコースです。
コース内容
天元台湯元駅[920m](ロープウェイ)→天元台高原駅[1,350m](リフト)→北望台[1,820m]→かもしか展望台[1,940m]→梵天岩[2,005m]→天狗岩[2,005m]→西吾妻山山頂[2,035m]→西吾妻小屋[2,035m]→天狗岩→梵天岩→かもしか展望台→北望台→天元台高原駅
コースタイム
天元台湯元駅(ロープウエイ)5分→天元台高原駅(リフト3台)40分→北望台 30分→かもしか展望台 60分→梵天岩 15分→*天狗岩 20分→西吾妻山山頂 20分→西吾妻小屋
天狗岩からの別ルート
→*天狗岩 15分→西吾妻小屋 20分→西吾妻山山頂
コース概要
天元台高原無料駐車場に車を停め、ロープウエイに乗車。3台のリフトを乗り継ぎ標高1820mの北望台へ到着。ここから登山開始です。急な登りを30分ほどでかもしか展望台。この先しばらく木道になります。このあたりは遅くまで残雪があり、池塘や高山植物が見られます。水場を過ぎると再び登山道になり梵天岩。天狗岩の周辺からは飯豊連峰、朝日連峰、蔵王連峰などが見渡せます。ここから西吾妻山山頂へ登るルートと西吾妻小屋を回るルートがあります。西吾妻小屋周辺は磐梯山や桧原湖などが見渡せる絶景。一方西吾妻山山頂は樹林に覆われていて周囲の景色はほとんど見えません。
西吾妻山への登山コース②
【山形県側から】若女平登山口から上る上級者向けコース
登山口から山頂までの所要時間は4時間ほど。足場も悪く難易度の高いコースです。
コース内容
若女平登山口[860m]→若女平[1,350m]→西吾妻小屋[2,035m]→西吾妻山山頂[2,035m]→若女平→若女平登山口
コースタイム
若女平登山口 180分→若女平 30分→西吾妻小屋 20分→西吾妻山山頂
コース概要
白布温泉駐車場に車を停め、若女平登山口から登山開始。はじめ狭い急登や藪漕ぎもありますがしだいに開けてきます。水場のある分岐まで60分、スギやカラマツ、ダケカンバやシラビソの林を抜けて若女平へ。木道を通り西吾妻小屋まで。見晴らしを堪能したら、吾妻連峰最高峰の西吾妻山山頂を制覇。足場が悪く滑りやすい道が多い直登ルートです。登りはこのルートで、下りは天狗岩、梵天岩を通って下り、リフトとロープウェイを使うということもできます。体力や時間、レベルに応じてルート選択してください。
西吾妻山への登山コース③
【福島県側から】グランデコスノーリゾートからロープウェイを利用する中級者向けコース
ゴンドラ山頂駅から西吾妻山山頂までは3時間ほど。天元台高原からのコースより所要時間が長い分、少し難易度は上がります。
コース内容
グランデコセンター山麓駅[1,010m]→ゴンドラ山頂駅[1,390m]→西大巓[1,982m]→西吾妻小屋[2,035m]→西吾妻山山頂[2,035m]→西大巓→ゴンドラ山頂駅
コースタイム
グランデコセンター山麓駅 15分→ゴンドラ山頂駅 120分→西大巓 40分→西吾妻小屋 20分→西吾妻山山頂
コース概要
グランデコリゾートの無料駐車場に車を停め、山麓駅からゴンドラで一気に1,390mの山頂駅到着。絶景足湯と展望台があり、裏磐梯の雄大な景色を眺められます。ここから30分ほどスキー場のゲレンデを登ると西大巓登山道入口があります。西大巓まで90分。途中安達太良山や磐梯山を眺められる見晴らしのいいポイントがあります。西大巓からは、飯豊、朝日連峰、月山、磐梯山や桧原湖も望める360度パノラマの景色が広がります。西吾妻小屋を通って西吾妻山山頂になります。
西吾妻山への登山コース④
【福島県側から】早稲沢口から登って下る健脚向けコース
登山口から西吾妻山山頂までの所要時間は4時間30分ほど。難易度の高いコースです。
コース内容
早稲沢口駐車場→早稲沢登山口[1,200m]→布滝[1,200m]→西大巓[1,982m]→西吾妻小屋[2,035m]→西吾妻山山頂[2,035m]→西大巓→布滝→早稲沢登山口
コースタム
早稲沢登山口 30分→布滝→180分 西大巓→40分 西吾妻小屋 20分→西吾妻山山頂
コース概要
早稲沢口駐車場から登山口に入り、吾妻川に沿って登ります。布滝は50mの高さから落下する自然の水の造形が圧巻です。滝の横を登り、沢を渡り、樹林帯の急登が続きます。足下は石や岩、木の根などが多く注意が必要です。西大巓で一気に視界が開け、西吾妻山や磐梯山、安達太良山などが望めます。西吾妻小屋を通り西吾妻山山頂へ。西大巓、布滝を通って下山します。
【福島県側から】早稲沢口から登り、デコ平探勝路を巡ってゴンドラで下山するコース
登りは難易度の高いコースですが、西吾妻山山頂からグランデコゴンドラ山頂駅まで下山して、平らな遊歩道を1時間ほどのんびり散策してゴンドラで下りることで難易度が下がります。
コース内容
早稲沢口駐車場→早稲沢登山口[1,200m]→布滝[1,200]→→西大巓[1,982m]→西吾妻小屋[2,035m]→西吾妻山山頂[2,035m]→グランデコゴンドラ山頂駅[1,390m]→デコ平湿原[1,320m]→百貫清水[1,300m]→ゴンドラ山頂駅
コースタイム
早稲沢登山口 30分→布滝 180分→西大巓 40分→西吾妻小屋 20分→西吾妻山山頂 100分→グランデコゴンドラ山頂駅 20分→デコ平湿原 40分→百貫清水→ゴンドラ山頂駅
早稲沢口から入るコースの下山の選択肢またはグランデコ周辺トレッキングコースとしておすすめなのがデコ平探勝路。デコ平湿原は季節ごとにいろいろな花を見ながら散策できる1周35分の遊歩道。名水百選のひとつ百貫清水は、ブナとカラマツの林から湧き出す小野川湧水源流です。パノラマゴンドラに乗って、車窓からの景色を堪能しながら下山します。
西吾妻山への登山コース⑤
【福島県側から】白布峠から西大巓を通って登る健脚向きのコース
登山口から西吾妻山山頂までの所要時間は3時間30分ほど。健脚向けの難易度の高いルートです。
コース内容
白布峠[1,400m]→矢筈山[1,510m]→西大巓[1,982m]→西吾妻小屋[2,035m]→西吾妻山山頂[2,035m]→天狗岩[2,005m]→西吾妻小屋→西大巓→矢筈山→白布峠
コースタイム
白布峠 150分→西大巓 40分→西吾妻小屋 20分→西吾妻山山頂 20分→天狗岩 20分→西吾妻小屋→西大巓→白布峠
コース概要
福島県と山形県の県境にある白布峠駐車場。登山口まではすぐです。樹林帯の中アップダウンが続きます。標高1,510mの矢筈山を通過すると、大きな岩場や急登が続き時間と体力が必要な道です。西大巓の山頂に近づくにつれてだんだん視界が開けてきます。西大巓山頂からの眺望は360度の大パノラマ。西吾妻山小屋を通り西吾妻山山頂へ。下山は高山植物を眺めながら天狗岩、吾妻神社に参拝して行くのがいいでしょう。
西吾妻山を通る縦走コース
さらに難易度は上がりますが、上級者には1泊する吾妻山の縦走コースもおすすめです。
コース内容
浄土平[1,600m]→一切経山[1,949m]→家形山[1,880m]→烏帽子山[1,879m]→弥兵衛平[1,810 m]→明月荘[1,830m](泊)→弥兵衛平→人形石→天狗岩→西吾妻山→西大巓→グランデコゴンドラ山頂駅
コースタイム
浄土平 80分→一切経山 40分→家形山 105分→烏帽子山 100分→弥兵衛平 25分→明月荘(泊)
明月荘 25分→弥兵衛平 90分→人形石 60分→天狗岩15分→西吾妻山 55分→西大巓 80分→グランデコゴンドラ山頂駅
コース概要
1泊2日の縦走コース。湿地やガレ場、岩場など変化に富んだ縦走路です。月山や蔵王、朝日連峰などの展望、季節ごとの高山植物を楽しみながら歩きます。1泊する明月荘は弥兵衛平小屋ともいわれる避難小屋で、電気、水道、燃料などはありません。こんな、玄人好みの小屋での宿泊も縦走登山の醍醐味です。縦走距離約19km。
周辺の楽しみ
下山後にに温泉でゆっくりするのも登山の魅力のひとつ。天元台高原の麓、山形県の白布温泉や秘湯といわれる福島県の高湯温泉は、西吾妻山登山の帰りにぜひ立ち寄りたい温泉です。足湯や共同浴場から旅館の貸し切り温泉などもあるので、お好みの温泉で疲れを癒したいですね。
西吾妻神社
吾妻山は古くは修験道の山であり、信仰の対象の山として崇められてきました。西吾妻山への登山道の途中にある天狗岩には山の神を祀った吾妻神社があり、地域の方たちに整備され守られています。登山者の多くがここで参拝をして登頂または下山していきます。
西吾妻山登山まとめ
2,035mと、東北の山々の中では高めの標高を持つ西吾妻山。まずは麓の高原トレッキングからはじめて、日帰り登山、縦走とレベルを上げながらこの山のコースバラエティを楽しんでみてはいかがでしょう。
東北地方のおすすめ情報が気になる方はこちらもチェック!
せっかく東北へ行ったら、登山だけでなくのんびり楽しめるスポットにも足を運びたくなるかも。訪れてみたい東北地方の情報が満載です。
【2018】秋の名所を厳選!東北地方の人気おすすめ観光スポット11選!
秋の観光は東北地方を選んでみてはいかがでしょうか。6つの県それぞれに素敵な観光スポットがあっておすすめです。本記事では、秋におすすめの東北地...
東北地方の名湯&秘湯が堪能できるおすすめ温泉地12選!一度は行くべき!
東北地方は温泉の宝庫といえるほどたくさんの温泉地があります。誰もが知っている有名温泉地や穴場の秘湯など種類は豊富です。本記事では、東北地方の...