やっぱりバイクはスーパースポーツ
数あるオートバイのジャンルの中でも速く走ることに特化し、そのために生み出されたバイクがスーパースポーツです。無駄な贅肉を削ぎ落としひたすらスピードを追求した姿は、見た目にも美しくライダーを魅了し続けています。国内外のメーカーが誇るスーパースポーツのおすすめや、その特徴やスペック比較をご紹介します。
スーパースポーツとは
オートバイの技術は、各メーカーがスピードを競い合うレースで培った技術を、市販車にフィードバックするという形で進化を遂げてきました。中でもサーキットで良い成績をあげたレーシングマシンの技術を、そのまま市販車に投入したのがスーパースポーツです。
レース用のマシンに公道を走行できるように保安部品を取り付けただけのようなモデルも多く、バイクが本来持っている醍醐味のひとつである操る喜びを味わえるマシンとして、多くのライダーの支持を集めています。
おすすめスーパースポーツバイク①
カワサキ Ninja H2
大排気量バイクメーカーとして確固たる地位を築いているカワサキの、まさにモンスターともいうべきスーパースポーツがNinja H2です。
グループメーカーである航空宇宙カンパニーと共同開発したスーパーチャージドエンジンは、ラムエア加圧時には実に200PSを超えるハイパワーを発揮します。世界最高速を競うボンネビルのスピードウィークでは337キロのスピードを記録し、ライバルと比較してもその脅威のパワーを見せつけました。
スペック
エンジン形式:水冷4ストローク DOHC4バルブ 並列4気筒
排気量:998cc
最高出力:205PS(150.8kW)/11,000rpm
最大トルク:13.6kgf-m(133.5N・m)/10,000rpm
全長×全高×全幅:2,085mm×1,125mm×770mm
シート高:825mm
車両重量:238kg
燃料タンク容量:17.0L
タイヤサイズ(前):120/70 ZR17 M/C(58W)
タイヤサイズ(後):200/55 ZR17 M/C(78W)
おすすめスーパースポーツバイク②
ホンダ CBR1000RR
ホンダのレーシングチームであるHRCのワークスレーサーのテクノロジーを注ぎ込んだレプリカマシンがCBR1000RRです。
レースでテクノロジーを発達させてきたメーカーであるホンダが誇るスーパースポーツのフラッグシップにふさわしく、MotoGPを彷彿とさせるスタイリングやスピード感をもちながら、比較的一般のライダーでも乗りやすいバイクに仕上がっています。
スペック
エンジン形式:水冷4ストローク DOHC4バルブ 並列4気筒
排気量:999cc
最高出力:192ps(141kW)/13,000rpm
最大トルク:11.6kgf-m (114N・m)/11,000rpm
全長×全高×全幅:2,065mm×1,125mm×720mm
シート高:820mm
車両重量:196kg
燃料タンク容量:16.0L
タイヤサイズ(前):120/70ZR17 M/C(58W)
タイヤサイズ(後):190/50ZR17 M/C(73W)
おすすめスーパースポーツバイク③
スズキ GSX-R1000
かつてRGΓでレーサーレプリカブームを牽引したメーカーであるスズキのフラッグシップスーパースポーツがGSX-R1000です。
”トップパフォーマー”をスローガンに掲げて開発されたバイクにふさわしく、”走る・曲がる・止まる”を極限まで突き詰めたハイスピード、ハイパワーを誇るハイスペックマシンですが、ロングストロークのエンジンの影響もあって、比較的扱いやすい特性も魅力です。
スペック
エンジン形式:水冷4ストローク DOHC4バルブ 並列4気筒
排気量:999cc
最高出力:202ps(148.5kW)/13,200rpm
最大トルク:12kgf-m(117N・m)/10,800rpm
全長×全高×全幅:2,075mmx1,145mmx705mm
シート高:825mm
車両重量:203kg
燃料タンク容量:16.0L
タイヤサイズ(前):120/70ZR17 58W
タイヤサイズ(後):190/55ZR17 75W
おすすめスーパースポーツバイク④
ヤマハ YZF-R1
ヤマハが1998年に発売し、その斬新なスタイリングやハイスペックで、停滞していたスーパースポーツ界にふたたびブームを巻き起こした火付け役となったバイクがYZE-R1です。
スーパーバイクなどレース投入を前提としたスピード・パワーや、他メーカーの同クラスの車種と比較して軽量な車重など、スーパースポーツの走りの醍醐味を味わえるマシンといえます。
スペック
エンジン形式:水冷4ストローク DOHC4バルブ 並列4気筒
排気量:998cc
最高出力:200PS(147.1kW)/13,500rpm
最大トルク:11.5kgf-m(112.4N・m)/11,500rpm
全長×全高×全幅:2,055mm×1,150mm×690mm
シート高:855mm
車両重量:200kg
燃料タンク容量:17.0L
タイヤサイズ(前):120/70ZR17M/C(58W)
タイヤサイズ(後):190/55ZR17M/C(75W)
おすすめスーパースポーツバイク⑤
ドゥカティ 1098
イタリアの伝統あるバイクメーカーであるドゥカティのスーパースポーツバイクがこの1098です。直列4気筒エンジンが大勢を占めるスーパースポーツの中にあって、L型2気筒エンジンを採用する1098ですが、比較的なめらかに吹け上がるエンジンは、マルチエンジンと比べても遜色を感じさせません。
細身のエンジンによって実現したコンパクトな車格もあり、小柄な日本人にとってもハイスピードなスポーツライディングを楽しむのに最適です。
スペック
エンジン形式:水冷4ストローク デスモドロミック4バルブ L型2気筒
排気量:1,099cc
最高出力:162.2ps(119.3kw)/9,750rpm
最大トルク:12.5kg-m(123N・m)/8,000rpm
全長×全高×全幅:ーmm×ーmm×ーmm
シート高:820mm
車両重量:171kg
燃料タンク容量:15.5L
タイヤサイズ(前):120/70ZR17
タイヤサイズ(後):190/55ZR17
おすすめスーパースポーツバイク⑥
トライアンフ デイトナ675
イギリスで長い歴史を誇るバイクメーカーであるトライアンフのスーパースポーツがデイトナ675です。スポーツバイクとしては珍しい3気筒のレイアウトが可能にしたスリムなエンジンにより、同クラスバイクと比較してもコンパクトなボディを実現、ライダーの意のままにマシンを操ることを可能にしています。
国産バイクに比べ比較的控えめなスペックも、逆にベテランから初心者までライダーが制御しきれる扱いやすさに貢献しており、操る楽しみを満喫できるバイクということができます。
スペック
エンジン形式:水冷4ストローク DOHC4バルブ 並列3気筒
排気量:675cc
最高出力:128PS(94.1kW)/11,750rpm
最大トルク:7.54kgf-m(74N・m)/11,900rpm
全長×全高×全幅:ーmm×1,112mm×695mm
シート高:820mm
乾燥重量:174kg
燃料タンク容量:17.4L
タイヤサイズ(前):120/70 ZR17
タイヤサイズ(後):180/55 ZR17
おすすめスーパースポーツバイク⑦
BMW S1000RR
ボクサーツインやシャフトドライブといった独特の形式にこだわってきたメーカーとして知られるBMWが、直列4気筒、チェーンドライブといった現代の設計思想で新たに挑んだスーパースポーツがS1000RRです。
ハイパワーエンジンを搭載するボディはスピード感あふれるカウリングをまとい、これまでのBMWとは異なる新たな魅力を放っています。ABSやトラクションコントロールに加え、クラッチ操作不要のシフトアシストプロなど、ライダーの走りをサポートする機能も充実しています。
スペック
エンジン形式:水冷4ストローク DOHC4バルブ 並列4気筒
排気量:999cc
最高出力:199PS(146kW)/13,500rpm
最大トルク:11.5kgf-m(113N・m)/10,500rpm
全長×全高×全幅:2,055mm×1,140mm×720mm
シート高:815mm
車両重量:210kg
燃料タンク容量:17.5L
タイヤサイズ(前):120/70 ZR17
タイヤサイズ(後):190/55 ZR17
おすすめスーパースポーツバイク⑧
アプリリア RSV4
MotoGPなどレースでの活躍でも有名なイタリアのバイクメーカーであるアプリリアの、市販車スーパースポーツがRSV4です。V型4気筒の独特のエンジンレイアウトを持ち、スーパーバイク参戦を前提に開発されていることもあり、他者のマシンと比較してもハイスペックなバイクに仕上がっています。
レースで培ったテクノロジーが遺憾無くフィードバックされた各種コントロールシステムも、ライダーの高次元な走りをサポートしてくれます。
スペック
エンジン形式:水冷4ストローク DOHC4バルブ 65°V型4気筒
排気量:999cc
最高出力:184ps(135.0 kw)/12,500rpm
最大トルク:11.9kgf-m(116.7N・m)/10,000rpm
全長×全高×全幅:2,040mm×1,120mm×735mm
シート高:845mm
車両重量:205kg
燃料タンク容量:18.5L
タイヤサイズ(前):120/70ZR17
タイヤサイズ(後):200/55ZR17
おすすめスーパースポーツバイク⑨
ホンダ CBR600RR
ホンダのミドルクラスのスーパースポーツであるCBR600RRは、そのコンパクトなボディを生かした重量配分などの設計思想が、純粋なワークスマシンであるRC211Vにもっとも近いと言われています。
滑らかに吹け上がるエンジン特性ながら比較的パワーバンドは広く、スーパーバイク初心者のライダーでもハイスピードなスポーツライディングを気軽に楽しめる扱いやすさも魅力です。
スペック
エンジン形式:水冷4ストローク DOHC4バルブ 並列4気筒
排気量:599cc
最高出力:119.6PS(88kW)/13,500rpm
最大トルク:6.7kgf-m(66N・m)/11,250rpm
全長×全高×全幅:2,029mm×1,115mm×684mm
シート高:823mm
車両重量:196kg
燃料タンク容量:18.1L
タイヤサイズ(前):120/70ZR17
タイヤサイズ(後):180/55ZR17
おすすめスーパースポーツバイク⑩
スズキ GSX-R600
スズキのスーパースポーツのコンセプトである”トップパフォーマー”の名にふさわしいハイスピード・ハイパワーなスペックと、リッタークラスのバイクと比較してコンパクトでスリムなボディが生み出すコントロールのしやすさが、もっとも両立していると言われるのがGSX-R600です。
1985年の登場以来、30年以上の長きにわたってスピードを求めるライダーの高い支持を集め続けています。
スペック
エンジン形式:水冷4ストローク DOHC4バルブ 並列4気筒
排気量:599cc
最高出力:非公表
最大トルク:非公表
全長×全高×全幅:2,030mm×1,135mm×710mm
シート高:810mm
車両重量:187kg
燃料タンク容量:17.0L
タイヤサイズ(前):120/70ZR17M/C (58W)
タイヤサイズ(後):180/55ZR17M/C (73W)
おすすめスーパースポーツバイク⑪
カワサキ Ninja250
2008年の登場以来爆発的人気を獲得し、250ccクラススーパースポーツブームの立役者ともいわれるバイクがこのNinja250です。パラレルツインエンジンがもたらすスリムでコンパクトなボディは、小柄なライダーも比較的コントロールしやすく、ある意味スポーツバイクを操る喜びをもっとも味わえるバイクといえます。
スペック
エンジン形式:水冷4ストローク DOHC4バルブ 並列2気筒
排気量:248cc
最高出力:31ps(23kw)/11,000rpm
最大トルク:2.1kgf-m(21N・m)/8,500rpm
全長×全高×全幅:2,020mm×1,110mm×715mm
シート高:785mm
車両重量:172kg
燃料タンク容量:17.0L
タイヤサイズ(前):110/70-17M/C 54H
タイヤサイズ(後):140/70-17M/C 66H
おすすめスーパースポーツバイク⑫
ホンダ CBR250RR
かつてレーサーレプリカブームを牽引したCBR250が、並列2気筒とエンジンレイアウトもあらたに復活しました。250クラス最高のパワーを誇るエンジンに加え、軽量で柔軟性に富むトラス構造のフレーム、倒立式のフロントフォークなど、操るライダーの目線に立ったトータルバランスの高さは、さすがホンダと言わしめるものがあります。
スペック
エンジン形式:水冷4ストローク DOHC4バルブ 並列2気筒
排気量:249cc
最高出力:38ps(28kw)/12,500rpm
最大トルク:2.3kgf-m(23N・m)/11,000rpm
全長×全高×全幅:2,065mm×1,095mm×725mm
シート高:790mm
車両重量:165kg
燃料タンク容量:14.0L
タイヤサイズ(前):110/70R17M/C 54H
タイヤサイズ(後):140/70R17M/C 66H
スーパースポーツバイクの変遷
レーサーレプリカの大ブーム
1980年代、当時WGPと呼ばれたオートバイのロードレース最高峰の舞台で、国内4メーカーをはじめとしたバイクメーカーが熾烈なスピード競争を展開していました。そんなレースで好成績を収めたノウハウは、すぐさま市販車にフィードバックされ、それがそのままメーカーの販売実績にも大きく影響していました。
国内でのカウリング装着の認可や空前のバイクブームもあり、サーキットからそのまま抜け出してきたかのようなレプリカモデルが次々に登場、レースで争われた2ストローク車に加え、4ストロークのレプリカも加わり、スポーツバイクの世界は隆盛を極めました。
環境問題とレプリカブームの終焉
1990年代後半になると環境問題の高まりから、2ストロークエンジンは徐々にラインナップから姿を消していきます。4ストローク車も厳しくなる排ガス規制に対応できず次々と販売終了を発表しました。
バイクを求めるライダーの嗜好も多様化し、ネイキッドやツアラー、アドベンチャーなどバイクの車種も多様化してきました。逆にスポーツバイクのラインナップは徐々に減っていき、メーカーのフラッグシップの座も明け渡すなど、スーパースポーツブームは終焉を迎えるかに見えました。
ハイパワー化と新たなムーブメント
近年、スーパーバイクやMotoGPのレギュレーション変更による大排気量化や、エンジンのフューエルインジェクション化によってハイパワー化が進み、コンパクトで軽量になったボディにハイスペックエンジンを搭載した、モンスターマシンが次々に登場しました。
また250クラスなどライダーがコントロールしやすいスポーツバイクのラインナップも増え、スーパースポーツの世界はふたたび活況を呈してきています。
スーパースポーツこそバイクの醍醐味
スーパースポーツのおすすめモデルや、スーパースポーツの歴史についてご紹介してきました。レースなどで培われたテクノロジーをフィードバックしたスーパースポーツには、いつの時代もライダーが本来持っているスピードに対する憧れを具現化してくれる力があります。
また速く走るために無駄な贅肉を削ぎ落としたスタイリングも、かえってライダーの心を惹きつけます。魅力あふれるスーパーバイクで、オートバイを操る喜びをぜひ体験してみてください。