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ポリエステル素材の特徴は?繊維の性質やメリットデメリットを解説!

衣服だけでなく、生活のさまざまなシーンで見られるポリエステル素材。今回、身近な素材であるポリエステルの特徴について、メリット・デメリットともに解説しております。耐久性・伸縮性に富み、発色のよさや光沢など魅力的な特徴の多いポリエステルについて、学びましょう。
更新: 2021年3月10日
森川 美月
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ポリエステルとは?

アパレルショップで、さらりとした生地のブラウスやワンピースを見かけたら、その素材はほとんどがポリエステル100%生地です。それぐらい、日本ではごく一般的な衣服の素材として流通しています。今回は、そのポリエステルの特徴や性質について、詳しく解説してまいります。

科学的な意味

日常生活に浸透しているポリエステル素材ですが、その科学的な意味についてはあまり知られていません。科学的な定義としては以下の通りになります。

ポリエステル (polyester) (PEs) とは多価カルボン酸(ジカルボン酸)とポリアルコール(ジオール)との重縮合体である。

コーティングで特徴が変わる

晴雨兼用日傘

ポリエステル生地の晴雨兼用日傘です。

ポリエステルは、コーティングによってその特徴が変わる素材です。例えばテントなどに使われているポリエステルは、ポリウレタンコーティングを施して撥水性を高めています。また、晴雨兼用傘や日傘は、ポリエステル100%生地にUVカット加工を施して、紫外線カット率を上げているのです。

ペットボトルとポリエステル

皆さんがスーパーやコンビニでよく見かけるペットボトル、実はポリエステルと原料が同じなのです。寒い季節に大活躍の暖かなフリース素材が、ペットボトルを原料に生まれたものであることは、おそらく大抵の人がご存じでしょう。ペットボトルは、フリースだけでなくスーツやカーテンなどの繊維製品にも生まれ変わるのです。

ポリエステルが使われているもの一例

洋服

ポリエステルの洋服

ポリエステル100%生地のワンピースです。

ポリエステルは、私たちの生活用品にさまざまな形で利用されています。とりわけ衣服、特にスポーツウェアは、動きに合わせて伸びる伸縮性と汗の速乾性が評価され、ポリエステル繊維が採用されているのです。吸湿性が低いポリエステルは洗濯の乾きも早く、しわになりにくいためノーアイロンで済み、忙しい主婦の味方でもあります。

着物

ポリエステル着物

ポリエステル100%の着物です。

かつて、着物とは「扱いを丁寧にしなければいけない高級品」であり、樟脳と共に桐ダンスに大切にしまわれていました。そのため、冠婚葬祭やお正月など、晴れの舞台でしか出番のないイメージがあります。

昨今では、もっと気軽に、身近な衣服として着物を着ようという流れがあり、「クリーニング可能な着物」としてポリエステル100%のものが人気です。

帽子

ポリエステルの帽子

ポリエステル混の帽子です。

帽子の素材としてポリエステルがよく使われているのは、そのメリットでもある吸湿性の低さと耐久性が高いためです。帽子をかぶると蒸れやすい頭部が乾きやすくなりますし、日常的な使用にも耐えうる強さを持ちます。学校の体操帽も、ほとんどが伸縮性のあるポリエステルです。

バッグやリュック

ポリエステルのバッグ

ポリエステル生地のバッグです。

バッグやリュックに求められる耐久性を持つ素材、それがポリエステルです。型くずれしにくいというメリットがありますので、通勤カバンや通学リュックなどにも最適。背中部分の蒸れも、吸湿性の低いポリエステルならすぐに乾くので快適です。


毛布やシーツなどの寝装品

毛布やシーツなどの寝装品

ポリエステル生地の毛布やシーツなどの寝装品です。

接触冷感をうたうベッドパッドなどは、ポリエステル製です。素材の特徴である吸湿性の低さから、水分がすばやく蒸発するため速乾性の高い寝具として好まれます。快適な眠りを求める方は、ポリエステルのピローパッドを使用すれば、伸縮性によりフィット感も得られ、快適な眠りが得られるでしょう。

カーテンやカーペット

 ポリエステルのカーテン

ポリエステル生地のドレープカーテンです。

カーテンに求められるのはドレープ性、すなわち流れるような生地のなめらかさです。ポリエステルという素材はそのメリットである美しい光沢・しわになりにくさ、耐久性などの点からカーテンに最適といえます。一度かけたら滅多に変えることのないカーテンですから、丈夫に越したことはないのです。

テーブルクロス

汚れがつきやすく、頻繁に洗濯するテーブルクロスは、吸湿性の低いポリエステル生地のものがメンテナンスが簡単です。繊維に撥水加工を施したクロスだと、なお使い勝手がよいでしょう。しわになりにくい性質をもつため、ノーアイロンで食卓にかけられるのもメリットです。

傘やテント

ポリエステル生地の傘

ポリエステル生地の傘です。

傘の生地にはナイロンや綿も使われますが、多くの傘には吸湿性の低いポリエステルが使われています。その理由は色柄に対する発色の良さ、また、耐久性があることです。しかしながら、ナイロンなどに比べると色が移りやすい性質が、デメリットとされています。

外科手術用縫合糸

外科手術

外科手術の様子

大きな裂傷で出血が止まらない場合、外科手術で傷口を縫合することがあります。後に抜糸をおこなう表面的な縫合に使われるのが、合成繊維のポリエステル製縫合糸です。伸縮性と耐久性にすぐれ、組織への影響が少ないという特徴があります。

ケーブルやロープ

ケーブルやロープに使われている素材は、耐久性の高いポリエステル繊維です。身近なところでは、スポーツジムのトレーニングマシーンで、重りを持ち上げて体に負荷をかける器具に、ケーブルが使われています。

ポリエステル素材の特徴①なめらかな手ざわり

見た目に光沢があることからも分かるように、ポリエステルは、シルクのようになめらかな手触りで、ドレープの美しい素材です。そのため、女性用のワンピースやドレス、スカート・パンツの裏地などに使われ、男性用ではノーアイロンのワイシャツやスーツに使われています。

ポリエステル素材の特徴②光沢

ウェディングドレスやパーティードレスには、発色がよくしわになりにくいポリエステル製のものが多いです。織り方によってサテンのような光沢をもたせたポリエステルやビロードのようなポリエステルは、高級感がありドレッシーな装いにピッタリ。

ポリエステル素材の特徴③吸湿性が低い


フリースジャケット

吸湿性が低く速乾性の高いフリースジャケットです。

幼稚園や小学校の体操服や帽子は、たいてい吸湿性の低いポリエステル100%です。毎日のように汚れ、頻繁に洗濯するものなので耐久性を持つポリエステルが向いています。また、伸縮性があるので頭にフィットしやすいのです。

速乾性に優れる

速乾性と伸縮性が求められるスポーツウェアや帽子に、ポリエステル素材はよく使われています。汗をかいてもすぐに乾くので、快適にスポーツを楽しむことができますね。頻繁なクリーニングを繰り返しても型くずれしにくい、耐久性も魅力です。

ポリエステル素材の特徴④しわになりにくい

ノーアイロンでOK

ノーアイロン

ポリエステルはノーアイロンでOKです。

ポリエステルは、伸縮性としわになりにくい性質があるため、男性のワイシャツや女性のブラウスにも多用されています。洗濯が終わったら、干して乾かすだけでOKなポリエステル製品は、忙しい毎日の心強い味方です。

ポリエステル素材の特徴⑤カビや虫に強い

ラグ

ポリエステル素材のラグです。

ラグの素材としては、ポリエステルやアクリル、ナイロンなどの合成繊維のものと、綿やウールなどの天然繊維のものがあります。虫はどちらかというと天然繊維を好みますので、合成繊維の持つカビや虫に強いという性質が、ラグに採用される理由なのです。

ポリエステル素材の特徴⑥プリーツが美しい

プリーツ

ポリエステル生地のプリーツスカートです。

合成繊維であるポリエステルは、高温で加熱することによって成型が容易になる「熱可塑性」繊維です。そのため、プリーツスカートなどの加工に向いており、美しいプリーツ形状が保持されます。

ポリエステル素材の特徴⑦抜群の耐久性

日光に強い

「耐火性が低い」というデメリットと矛盾しているように思いますが、ポリエステルのメリットの一つは、「耐熱性にすぐれる=日光に強い、耐候性にすぐれる」という性質です。長期間屋外で使用しても、その強度はほとんど低下しません。

洗濯に強い

型崩れしにくい性質をもつポリエステルは洗濯にも強く、濡れても特性は変わりません。そのため、洗濯により縮みやすい綿素材と繊維を混ぜた衣服をよく見かけます。洗濯表示のラベルに「ポリエステル85%、綿15%」などと表記されているのが、一例です。

ポリエステル素材のデメリット

静電気が発生しやすい

特に冬場の乾燥シーズン、静電気が発生しやすいのがポリエステルのデメリットです。スカートの裏地によく使われていることから、ナイロン製のストッキングとの摩擦で静電気が起こり、スカートが脚に張りついた経験をお持ちの方も、少なくないでしょう。


アレルギーを起こすことも

ポリエステルドレス

ポリエステル生地のドレスです。

ごくまれに、衣類にアレルギー反応を起こす人がいます。衣服に接している部分にかゆみが出たり、赤くはれたり、花粉症に似た症状(目のかゆみやくしゃみ)が出ることもあるのです。ポリエステルそのものの成分というよりも、染料や洗剤などがアレルゲンとして関わってくる場合もあります。

毛玉ができやすい

ポリエステル100%の服

ポリエステル100%のニットは伸縮性が高いのが魅力ですが、毛玉が目立っています。

ポリエステル繊維のデメリットのひとつに、毛玉のできやすさが挙げられます。衣服として流通量の多いポリエステルは、最近では伸縮性のあるニットやセーターにも加工されていますが、何度か洗濯を重ねるとすぐに毛玉ができてしまうため、洋服としての寿命は案外短いのです。

可燃性:容易に燃える

フリースの上着を着て油料理をしていたら、引火して燃え上がった、というニュースをお聞きになったことはありませんか?ポリエステル100%の衣類は大変燃えやすく、繊維は溶融しながらぽたぽたと溶けるように燃えます。フリースやポリエステル素材の衣服を着用しているときは、十分な配慮が必要です。

汗を吸いにくい

ポリエステルの性質である「吸湿性の低さ」は、メリットととらえるなら洗濯の水分や汗の乾きが早いといえますが、デメリットととらえると、汗を吸わないということになります。つまり、夏場の素材としては綿より蒸れやすいのです。

色移りしやすい

ポリエステル着物

色移りした着物です。

濡れたままの傘をたたんだ状態で放置していて、折りたたんだ部分の色が変わったことはありませんか?ポリエステルには色移りしやすいという性質があり、デメリットの一つといえます。また、ポリエステル製の衣服は、長期間たたんだままで収納していると濃い色が薄い色の生地に移る場合がありますので、間にタオルをはさむなどの工夫が必要です。

ポリエステル素材の特徴は?まとめ

ミラーカバー

ポリエステル製のミラーカバーです。

夏は汗を吸いにくく、冬は静電気が起こるポリエステル。確かに、私たちは自然と夏は綿、冬はウールの衣類を好んで着ています。肌にさらりとまとうポリエステルが心地よく感じられるのは、春秋の過ごしやすい季節、ということですね。

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