スカルキャップとは
スカルキャップとはどのようなハーブなのでしょう。日本ではあまり知られていませんが、アメリカでは古くから先住民族（インディアン）の生活にはかかせない薬草だったようです。
一体、どのような場面で使われてきたのでしょうか。最近では日本でも注目が集まってきているスカルキャップを取り上げてみましょう。
スカルキャップ情報
スカルキャップは、学名Scutellaria laterifloraのシソ科タツナミソウ属で多年草のハーブです。花の額が頭蓋骨やつばのないぴったりとした帽子を思わせることからこの名が付けられました。
さまざまな種類の神経疾患、精神または身体障害にも効果あるとされています。リラックス効果のあるハーブや爽快感を得られるハーブがありますが、スカルキャップはその両方を持ち合わせた優秀なハーブなのです。
スカルキャップの特徴
スカルキャップは、成長すると30～70ｃｍ程の高さになります。のこぎりの歯のような葉、よく枝分かれする茎に、夏から秋にかけて鮮やかな青紫色の可憐な花を穂状に咲かせるのが特徴で見た目にも魅力的です。
花、葉、茎だけでなく根も使用可能な万能のハーブです。主にハーブとしての利用方法はティーや漢方などがあります。
原産国
北アメリカ原産のカナダ、アメリカに分布するハーブで、日本ではコガネバナやコガネヤナギ、オウゴンの名で山野草として親しまれています。シベリア、モンゴル、中国、朝鮮半島を原産とするものもあると言われています。アメリカ原産のものとアジア原産のものは近縁種だという説もあります。原産国はどこも冷涼な土地で、スカルキャップには耐寒性があります。
スカルキャップに含まれる成分
スカルキャップに含まれる成分には、フラボノイド・イリドイド配糖体・タンニン・ミネラル・精油などがあり、スカルキャップは、神経、精神面への作用が期待されています。豊富なミネラルとフラボノイドが効能を発揮して精神安定や神経強壮に役立つと言われています。
また、神経や筋肉を緩めてリラックスさせる働きもあり、安眠のために入浴時や睡眠前の使用もされています。
スカルキャップの効果・効能
スカルキャップには、神経の疲労や緊張によるストレス、苛立ちを緩和させるリラック効果があるとされています。神経や精神に働きかけるだけでなく、生理痛や頭痛、動悸、筋肉の緊張をほぐし痛みを和らげる効果もあるようです。
反対に不安による情緒不安定や気分の沈み、うつ感、不眠、悪夢をみるなどの症状がある時に使用すると安心感や幸福感、高揚感を与えてくれるとされています。まさに他にはない万能のハーブです。
スカルキャップの作用
スカルキャップは疲労回復、滋養強壮、鎮静、鎮座、高揚の作用があると言われています。神経疲労や精神不安、体力低下、生理痛、頭痛、うつ症状などの神経や筋肉の緊張をほぐしてくれる治療ハーブなのです。
スカルキャップの葉の部分は薬草の成分が花や根より少なくその効果や効能は低いですが、補助的に利用したい場合の摂取に適しています。
古くからの薬草
アメリカ原住民族（インディアン）は動物や虫に噛まれた傷を癒すための薬草として、また精神的な不調や興奮状態を落ち着かせるために使っていました。その効果や効能を得るため、狂犬病の治療にも使われていました。
それはヨーロッパでも知られるようになり、医師が神経疾患や精神不調の治療薬として処方するようになり、狂犬病の治療薬「狂犬病のハーブ」の名でも注目を集めました。
女性のお守り
治療薬としての使い方だけでなく、スカルキャップは、「妻がそれを身に付けていると、夫が他の女性に目移りしないように守ってくれる」という愛情や忠誠、安心のお守りとしても親しまれていたようです。スカルキャップ自体が心の安定や余裕を守ってくれる存在だったのです。
禁煙・禁酒の力強い味方
スカルキャップは、タバコやアルコールを断つ際にも利用されるそうです。
禁煙や禁酒からくる禁断症状などの苦痛を軽くし、禁断生活で起こる筋肉の緊張や苛立つ気持ちを落ち着かせ、タバコやアルコールへの依存心からの開放を助けてくれる力強いサポーターとして使われています。
スカルキャップの使い方
食用でも外用でも
ドライにしたスカルキャップの花、葉、茎に熱湯を注ぎ5～10分程蒸らして入れたハーブティーを利用する他に、生薬としても利用されています。ハーブティーは、数週間から1か月程度飲み続けることでより効果・効能が高まるそうです。
また、スカルキャップのハーブティーを入浴剤や温湿布にして直接患部の痛みや炎症を軽減、鎮痛させるために利用することもあるそうです。
漢方薬として
スカルキャップの根を乾燥させて生薬にした漢方にオウゴンがあります。オウゴン（黄ごん）の名前の由来は根が明るい黄色であることからきています。
消炎、解熱、鎮痛、胆汁分泌の促進、胃液分泌の抑制といった効き目があるとされ、多数の漢方処方に配合されているようです。
ハーブブレンド
スカルキャップ自体は苦味が感じられるハーブで、その葉は草らしい味がするのが特徴です。なので単独で摂取されることはあまりなく、その使い方として一般的にハーブティーによく使われる種類のハーブと組み合わせる方法で親しまれています。
また、その組み合わせによって得られる効能も異なり、ブレンドすることでその効果は高まるそうです。
スカルキャップとのハーブブレンド例
不眠には、バレリアンとの組み合わせが効果を高めるとされていて、この組み合わせのサプリメントも販売されています。他には、月経前や更年期の不快症状や情緒不安定には、セージが気分の高揚を促すには、ラベンダー、レモンバームなどの組み合わせがより症状改善に努めてくれると言われています。
お好みのハーブや目的に合ったハーブを選んでブレンドすることで、その効果・効能も高められ、スカルキャップの苦味も気にせず摂取できそうです。
スカルキャップの育て方
スカルキャップの種まき・開花
種まきは、暖かくなってきた春に行います。発芽適温が15度～25度なので、4月初旬のまだ寒い時期を避けて、暖かくなってきたころが良いです。適温時期より早すぎても遅すぎても発芽率は下がります。
開花は、7月～9月の初夏～秋頃で、収穫もこの時期になります。
スカルキャップは、発芽までの日数が1か月程と非常に長く、発芽が難しいことが特徴なので初心者には難しいかもしれませんが試してみる価値はありそうです。
地植えでの育て方とポイント
スカルキャップを地植えで育てる場合は、土は弱酸性（弱アルカリ性）で水はけがよく風通しのよい涼しい場所を選びます。やや湿り気のある土壌を好むので、水を絶やさないようにします。
また、耐寒性で冬は地上部は枯れますが、地下茎で生きているので水やりが必要になります。こぼれ種でも増えるので、次年の成長も期待できます。
鉢植えでの育て方とポイント
地植えだけでなく、容器栽培も可能です。スカルキャップをコンテナや鉢植えで育てる場合も条件や育て方は同様ですが、地植えよりも水を絶やさないよう注意が必要です。また、鉢植えでは夏場は半日陰の涼しい場所に移動するのが望ましいです。日光も必要なので、涼しい時期には日向での管理をします。
まとめ
スカルキャップは、全草使用可能で花姿も美しいハーブです。ティーや生薬、漢方といった用途があり、古くからその万能さが知られアメリカだけでなくヨーロッパでも利用されていました。日本ではまだ馴染みがありませんが、その多岐にわたる効果、効能が広まる日は近そうです。日本でもドライハーブやペットの精神安定サプリメントが販売されています。日常生活でのストレスや疲労、禁断症状対策や神経治療に誰にでも利用する機会や価値がありそうです。
注意事項
まだ、日本での使用例や情報が少ないので、心臓疾患がある場合や妊娠中・授乳中の摂取は控えます。ハーブティーとしての飲用は、成人で1日1～2カップ程までに止めます。治療に用いる場合も医師との相談、処方に従って用量を守って下さい。