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スノーボード「ビッグエア」の魅力とは?競技ルールや技名、注目選手をご紹介!

2018平昌オリンピックから、スノーボード新競技「ビッグエア」が登場しました。宙を舞うライダーが魅せる高度なトリック、そのスピード感に引き込まれること間違いありません。そんなスノーボードビッグエアの魅力とルールや技、注目選手をご紹介します。
更新: 2022年1月26日
mamacamper
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目次

スノーボード競技ビッグエアとは

2018年平昌オリンピックから新しく正式競技となったのが、「ビッグエア」です。30m以上の高さからの急斜面を滑降し、キッカーと呼ばれるジャンプ台から飛びだし、空中で技(トリック)を見せる競技です。

ストレートのランディングから一発勝負のダイナミックなジャンプ、初めて見る人でも選手の技の違いやルールが分かりやすい競技です。

若者に人気のビッグエア

北米を中心に世界中で話題の賞金大会「Xゲームズ」で若者を中心に人気を集め、オリンピック競技の採用につながったと言えます。日本国内でも2014年まで札幌で行われていた「TOYOTAビッグエア」は、競技と音楽とライトアップの演出で、まるで音楽フェスのような盛り上がりを見せました。

さっぽろ雪まつりのイベント

さっぽろ雪まつりの大通り公園会場に高さ24m全長60m、最大傾斜39度の巨大ジャンプ台が設置されます。「白い恋人パークエアー」と題し、スノーボード競技ビッグエアとフリースタイルスキー競技を市民も間近で見ることができる最高の場所です。

選手も子供からプロまで参加し、見ごたえのあるトリックが連発します。市街地でビッグエアを楽しめるほかにはないイベントですね。

スノーボード競技ビッグエアの魅力

ビッグエアの魅力、それは何といっても「トリック(技)」です。初心者でも何本かのトリックを見ていたら「すごい!」と思える技が出てきます。そしていつの間にかスピード感と浮遊感をライダーと一緒に味わっているような気持になります。25mプールを軽く超える大ジャンプ、高度な大技を決める選手たちに世界中の若者たちがあこがれます。

身震いするような高さから急斜面を滑り降りて飛ぶ…それだけでもケガや事故などの危険と隣り合わせのスポーツです。高速回転からの着地はバランスが取れずに転倒もつきもの…。また天候や風、滑走面の状況にも左右されます。そこから伝わる緊張感と奇跡のジャンプに心奪われます。

スノーボード競技ビッグエアのコース

高さ30~40m、助走部の傾斜角度は45°で長さ70m、ジャンプは高さ約6m、着地走路の斜度36°になります。スキーのジャンプ台を一回り小さくしたくらいの大きさですが、10階建てのビルから、まるで直角に感じる斜面を滑り降りるようなもので、とても迫力があります。

スノーボード競技ビッグエアのルール

基本のルール

平昌オリンピックのルールではジャンプの難易度、完成度、高さ、着地などが採点の基準となります。「DEAL Scores」が取り入れられ、各基準をわかりやすくジャッジするシステムが採用されています。

6人の審判が各100点でジャッジ、最高点と最低点を除く4人の平均点で決められます。ルール上選手は3本のランディングのうち、得点の高い2本の合計点で競います。ただしこの2本は異なるジャンプでなければなりません。

技だけじゃない。ビッグエアのルール

ルール上の「異なるジャンプ」とは、異なる向きからのアプローチからジャンプすること。ノーマルスタンスあるいはスイッチスタンスなど。異なる向きからのテイクオフ。フロントサイドあるいはバックサイドなど。

また、きれいな軌道を描くジャンプが良いとされています。そして最後のランディングまで全体をコントロールされていることが大切です。ルールを知るとより一層ビッグエアを楽しむことができます。

スノーボードのグラブ

ビッグエア競技では欠かせないのが「グラブ」です。グラブとは板のエッジを手でつかむことです。しっかりエッジをつかむことができたら、姿勢が安定し高得点につながるので大事な技です。

オリンピックのルールでも「グラブでトリックの難易度が変わる」とあり、どの腕でボードのどこをグラブするかによってトリックの評価がかわり、全ての技において重要なものです。ミスや弱いグラブはジャッジに影響するとされています。

スノーボード競技ビッグエア技の名前①

インディとミュート

インディとは進行方向の後ろ側の手(テール)で両足の間で体の前側のエッジ(トゥエッジ)をつかむ技です。前側の手(ノーズ)でトゥエッジをつかむ技の名前がミュートです。

スノーボード競技ビッグエア技の名前②

メランコリーとステルフィッシュ


前側の手(ノーズ)でボードの後ろ(ヒールエッジ)の両足間をグラブする技をメランコリーといいます。それを後ろ側の手(テール)でボードの後ろ(ヒールエッジ)の両足間をつかむとステルフィッシュという技の名前になります。

スノーボード競技ビッグエア技の名前➂

ノーズグラブ

ノーズグラブとは、ノーズ側の手で板の先端部分をグラブする技の名前です。かっこよく簡単そうに見えますが、腕を伸ばして板をつかむというよりも、前の足を体にひきつけ後ろの足を伸ばして、ボードの角度を調節する緻密な技です。

スノーボード競技ビッグエア技の名前④

テールグラブ

テールグラブとはノーズグラブとは逆にテール側の手で板の後ろ部分をつかむ技です。グラブ技は他に、両手で板先端をグリップするロケットという技や、股の間に腕を通してグリップするローストビーフ、タイペンという技などがあります。

スノーボードのスピン

ビッグエアの技でやはり一番の見どころは「スピン」です。縦横または3Dに回る回転方向、そして高速で稼ぐ回転数、スピンの間にも決めるグラブ。審判のジャッジにも大きく影響するのが回転技の完成度です。そのスピン技をご紹介します。

スノーボード競技ビッグエア技の名前⑤

フロントサイドスピン

フラットスピンとは地面と平行の横回転のスピンになります。最も一般的なフラットスピンがフロントサイドスピンです。レギュラースタンス(左足前)から反時計回りにスピンします。グーフィースタンス(右足前)の人は時計回りにスピンします。

スノーボード競技ビッグエア技の名前⑥

バックサイドスピン

フロントサイドスピンとは逆方向に回転します。レギュラーでは時計回りにスピンします。視界の閉じている後ろ方向に回る回転なので最初は恐怖を感じる人が多いようですが、慣れた選手になるとバックサイドの方が好きという人が多いようです。

スノーボード競技ビッグエア技の名前⑦

バックフリップ・フロントフリップ

縦回転を入れたトリックをフリップトいいます。板を上向きに跳ね上げるバックフリップと逆の下向きに回転していくフロントフリップがあります。

スノーボード競技ビッグエア技の名前⑧

バックサイドコーク・フロントサイドコーク

体の軸を横の回転から縦の回転へとずらしていく技です。バックサイドスピンに縦回転を入れるのをバックサイドコーク、フロントサイドスピンから斜めに板を回転し縦回転を入れるのがフロントサイドコークです。オリンピック選手が高得点を狙うのもこの技が多いです。

スノーボード競技ビッグエア技の名前⑨

ロデオフリップ

後方回転にフロントサイドスピンを加えたような斜めの軸になる3D回転をする技です。体を比較的前に倒した形になります。逆のエッジを効かせその反動で回転します。


スノーボード競技ビッグエア技の名前⑩

バックサイドロデオ

独特な遠心力に振り回されるというバックサイドロデオ。バックフリップにブラインド540°スピンを組み合わせたトリックです。後方の斜め上45°を見るように飛びます。上級レベルのかっこいい技です。

スピンの量

トリックの名前には「スピンの方向」と「スピンの量」を続けて言います。180はワンエイティ、360はスリーシックスティ、900はナインハンドレッド、1080はテンエイティなどです。
例えばフロントサイド1080なら、反時計回りに3回転(360°×3回転)するということです。

助走速度(アプローチスピード)を速くしたら、それだけ飛距離を伸ばせます。でもそれでは高さを出すことができません。高さはキッカーの踏切で変わります。高さが出るとそれだけ滞空時間が長くなり、複雑なトリックを生み出すことができます。

日本女子代表選手の大技!!バックサイドダブルコーク1260°

2018年5月、ノルウェーで行われたXGamesビッグエアで日本人の若者2人が優勝しました。世界中の有名選手が招待され、「事実上の世界一」を決める大会です。村瀬心椛(13)が決めた優勝の決め手となったトリックが「バックサイドダブルコーク1260°」です。

このスピンを自在に操ることのできる女子選手は、世界中で村瀬選手のみと言われています。しかも13歳での成功にスノーボード界が揺れました。

世界の女子代表選手の大技!!キャブダブルコーク1080°

オーストリア出身のアンナ・ガッサー、平昌オリンピックで魅せた「キャブダブルコーク1080°」です。見事金メダルを獲得しました。ギリギリで回っているというより、余裕をもってトリックを決め着地をするそのしなやかさは、体操で鍛えた身体能力と、今後まだまだ進化するアンナ・ガッサーのトリックへの余力を感じさせる完成度です。

日本男子選手の大技!!フロントサイドトリプルコーク1440°

2018年5月、ノルウェーで行われたXGamesビッグエア男子で優勝した大塚健選手、フロントサイドトリプルコーク1440°という大技を決めました。バックサイドスピンの方が遠心力を作りやすいのに対し、フロントサイドで挑むということは、それだけ高難度の技になるという点も評価されました。17歳での優勝です。

世界の男子代表選手の大技!!バックサイドクアッドコーク1800°

スピンの進化は「トリプル」から「クアッド」へ。ビッグエアの助走、ジャンプ台から考えても「クアッド」でのスピンが限界ではと言われています。また、挑戦者は高回転のスピン、高さのあるジャンプからの着地に優秀な男子選手でも恐怖を覚えるでしょう。

そんな中アメリカ男子代表のクリス・コーニング選手がバックサイドクアッドコーク1800°を決め98.0という高得点を記録しました。完璧なバックサイドクアッドコーク1800°と言われています。

男子選手の大技!!バックサイドクアッドコーク1980

2018年2月アメリカのコロラドで開催されたXGamesビッグエアで、日本の角野友基がこの大会で初となる「バックサイドクアッドコーク1980°」という大技に挑みました。縦4回転、横5回転半を融合させた国際的な選手でも限界を超えるジャンプです。角野友基はバックサイドトリプルコーク1440°も成功させています。

ここまで回転すると素人には何回転なのか何のトリックだったのか、見分けがつきませんね。現地でジャッジするオリンピックや国際大会の審査委員も確かな目が必要とされます。

スノーボード競技ビッグエア日本代表選手①

國武大晃選手、平昌オリンピック日本代表選手団の中で最年少16歳での出場になりました。これまでは17年日本選手権スロープスタイル優勝。18年ワールドカップ杯2位という成績を残しています。平昌オリンピックでは残念ながら決勝には進めませんでしたが、今季の大会では世界の注目を集めること間違いない、実力派の男子代表選手です。

スノーボード競技ビッグエア日本代表選手②

岩淵麗楽、女子の日本代表選手です。平昌オリンピックは17歳での出場で、女子ビッグエア4位入賞しています。

2018年12月のワールドカップ(アメリカ)では169.25点をマークして初優勝を飾りました「JAPAN ACTION SPORTS AWARD2018」にてスノーボーダー・オブ・ザ・イヤー受賞、「SAJスノーボードアワード2018」にてネクストヒーロー賞を受賞しています。


スノーボード競技ビッグエア日本代表選手➂

藤森由香、4大会連続でオリンピック女子代表として出場を決めました。国内のスノーボードクロスのパイオニア的存在です。スロープスタイル、ビッグエアに種目を変更して臨んだ平昌オリンピック。

スロープスタイルでは9位、日本代表女子選手の中でトップの成績を残しました。ビッグエアでは7位、世界の大舞台でも安定した好成績を残す、ベテランの選手です。

スノーボード競技ビッグエア日本代表選手④

大久保勇利、ビッグエア男子日本代表選手です。小学校3年生でスノーボードを始め中学2年でプロ資格を取りました。2017年のジュニアワールドチャンピオンシップのビッグエアではみごと優勝しています。その後ドイツで開かれたワールドカップでは2位入賞を果たしています。

スノーボード競技ビッグエア日本代表選手⑤

日本のビッグエア女子選手、広野あさみ。好きな言葉は「99%の努力と1%の才能」だという、努力家の選手です。高校卒業後にスノーボードを始め、2011年にはスノーボードクロスにてプロのライセンスを取得しています。

スノーボード競技ビッグエア日本代表選手⑥

鬼塚 雅選手、ビッグエア日本女子代表選手です。早稲田大学スポーツ科学部のトップアスリート入試に合格した事が発表されました。国際的な活躍が期待される選手が対象になっています。南国熊本出身の鬼塚選手ですがすでに小学校1年で国内大会で優勝するなどの実力の持ち主です。平昌オリンピックビッグエアでは8位入賞をしています。

スノーボード競技ビッグエア世界の代表選手①

セバスティアン・トゥータンはカナダの男子代表選手。平昌オリンピックビッグエア男子の金メダリストです。スロープスタイルでは11位にとどまったものの、ビッグエアでは「トリプルコーク1620」を決め、金メダルに輝きました。

スノーボード競技ビッグエア世界の代表選手②

アンナ・ガッサーはオーストリアの女子代表選手で、同じく平昌オリンピックビッグエア女子の金メダリストです。みごと「キャブダブルコーク1080」を決めたことが勝利につながりました。

スノーボード競技ビッグエア世界の代表選手➂

平昌オリンピック男子ビッグエア、銀メダリストのカイル・マック。彼が決めたダブルグラブ「ブラッディドラキュラ」という技がとても高難易度のものでした。板を縦に立て、後ろに両手でグラブするというもの。このグラブを入れてスピンを加えた技に世界が驚きました。

スノーボード競技ビッグエアまとめ

世界に認知され始め、まだまだ技も技術も進化を続けているスポーツ、ビッグエア。これからルールの進化もあるかもしれませんね。そして男子の力強いトリックを、今後女子もどんどん決めていくのかと思うと目が離せません。若い選手の躍進に4年後の冬季オリンピックでの活躍が期待されます。