ズッキーニってどんな野菜?
ズッキーニは南アメリカを原産とする植物です。きゅうりのような見た目ですが、きゅうりとは違い実はかぼちゃの仲間です。ズッキーニが日本に出回りはじめたのは今から40年くらい前。時期尚早だったのか、当時は珍しすぎてあまり売れなかったのだそうです。最近では家庭菜園ブームも手伝って人気がうなぎのぼりです。イタリアン料理などでもよく使われ、通常生では食べずに火を通します。ラタトゥイユやチーズ焼き、てんぷらなどのレシピがあります。ではズッキーニの植え方について詳しく見ていきましょう。
家庭菜園で人気
家庭菜園の夏野菜として人気があります。以前なら夏の時期にはトマトやなすびを栽培していた方が、ズッキーニに目覚めて家庭菜園に取り入れることも増えているようです。では家庭菜園で人気の理由はなんなのでしょうか。
家庭菜園で人気の秘密1・料理しやすい
かぼちゃの仲間ですが、包丁で簡単に切れます。かぼちゃと言うと固くて料理が大変、と敬遠する方もいらっしゃるようですが、ズッキーニは別です。切った感触はそれこそきゅうりに似ています。また、水分が多くくせのない味なので、どんな料理にも合わせやすいのもうれしいところです。
家庭菜園で人気の秘密2・つるが伸びない
かぼちゃはつるが四方八方に伸びるため、ある程度広い畑が必要ですし、つるがワシャワシャとなって整枝するのがちょっと大変です。ズッキーニはつるを伸ばさないのでさほど整枝や支柱たてに手間がかかりません。ただし、株はやや大きくなりますので、株間は広めにとりましょう。
家庭菜園で人気の秘密3・新鮮なものがおいしい
ズッキーニのおいしさは、新鮮さが第一です。収穫して時間が経つと風味や水分が落ちるのでおいしさが半減します。家庭菜園で育てれば、収穫仕立てのフレッシュなズッキーニを味わうことができます。
家庭菜園で人気の秘密4・あまりスーパーで売られていない
はじめに売り出されたころと比べればかなり出回るようになってはきましたが、それでもトマトやきゅうりのようにどこにでもある野菜ではありません。とくに最近の家庭菜園ではあまり見ない珍しい野菜を求める方が多く、ズッキーニは最適です。
家庭菜園で人気の秘密5・育てやすい
かぼちゃなどと比べて栽培期間が短いのが育てやすさの理由のひとつです。途中、追肥をこまめに施すなど、植え方に多少の手間はかかりますが、それでも比較的成功しやすい野菜で、大きな実を収穫できるのも人気のポイントです。
花の特徴
苗を植え付けた時期にもよりますが、花の咲く時期は初夏6月前後です。花は比較的大きく、黄色くてかわいいです。ヨーロッパなどでは花を食べる花ズッキーニも人気です。
葉の特徴
葉っぱの色は濃いグリーン色です。葉っぱの形は手のひらをパーに広げたような形で、表面には無数の毛が生えています。毛に触れると意外と痛いので、追肥や整枝などお手入れの際は手袋を着用しましょう。
ズッキーニの基本データ
科名属名
ウリ科カボチャ属
学名
Cucurbita pepo L.
和名
ズッキーニ
別名
つるなしカボチャ
英名
Zucchini、Courgette
原産国
南アメリカ
ズッキーニ栽培のコツと育て方1・土作り
水はけのよい土質を好みます。畑の場合、もともと田んぼだったような粘土質の場所は避けて、なるべくさらさらと水はけのよい土がある場所を選びましょう。大きく育つ野菜ですが、大きなプランターを準備すれば鉢植えでの栽培も可能です。その場合は、野菜用の土や小粒の赤玉土に少し川砂などを混ぜるとよいでしょう。また、ややアルカリ性の土壌を好みますので、種まきもしくは苗の植え付けの少なくとも2週間くらい前までに、土に苦土石灰を混ぜ込んで寝かせておきましょう。
ズッキーニ栽培のコツと育て方2・肥料(元肥と追肥)
順調に成長すると、次々と実がなり収穫できる野菜なのですが、肥料を好むため途中で肥料不足になって、収穫できなくなることがあります。元肥、追肥ともにしっかり施して、たくさんの収穫を目指しましょう。
元肥
はじめに種まきもしくは苗を植え付けるときに、土に穏効性の固形肥料を混ぜ込んで元肥とします。スタートダッシュがスムーズになり、そのあとの成長と収穫によい影響を与えます。
追肥
はじめの実を収穫したあとから追肥をはじめます。だいたい2週間に一度の割合で追肥を施しましょう。追肥は、野菜専用の肥料がおすすめです。固形肥料、液体肥料どちらでも構いませんが、分量を守ってこまめ追肥をおこないましょう。追肥が少ないと、途中で実がならなくなります。ただし追肥が多すぎると肥料に含まれる成分に害虫が集まって食害にあいやすくなります。
ズッキーニ栽培のコツと育て方3・水やり
あまり水分が多すぎると成長を阻害しますので、土が乾いたな、と思ってから株元に水やりするようにしましょう。水やりしたときの水が葉っぱや茎にパシャパシャと跳ね返りそのままになっていると、病気や害虫が発生しやすくなりますので気を付けてください。畑で栽培するときには、水の跳ね返りを防ぐためにもマルチを敷くことも多いです。マルチが大げさなときは、株元にわらや落ち葉を敷いても有効です。
ズッキーニ栽培のコツと育て方4・場所
日当たりのよい風通しのよいところが大好きな野菜です。逆にじめじめとした場所や日陰の場所ではうまく育たないことがあります。とくにたくさん収穫したい場合は、日当たりのよさを第一に考えて場所を選びましょう。
ズッキーニ栽培のコツと育て方5・種まき
種まきに適した時期は、3~5月ごろです。ただし、夏野菜のため霜に弱いので、遅霜が降りないようになってから種まきしましょう。早めの時期に種まきする場合は、専用のキャップをかぶせると安心です。種は大きめで発芽しやすいです。種まきは、あらかじめ育苗ポットで苗を育ててから植え付ける方法と育てたいところに直播きする方法があります。どちらの場合も、1センチくらいの深さのところに数粒ずつ種まきし、本葉が数枚になったらよい苗を1本残してあとは間引きます。
ズッキーニ栽培のコツと育て方6・植え付け
自分で種まきした苗を植え付けてもよいですし、ちょうど植え付けの時期、4~6月ごろになるとホームセンターなどで苗が出回りますので購入して植え付けてもよいでしょう。苗を植え付けたあとは、しっかり根付くまで、毎日こまめに水やりをおこないましょう。では、苗の植え方のポイントを3つ挙げます。
植え方のポイント1
ひとつめの植え方ポイントは株間です。かなり横に広がる野菜です。複数の苗を植え付けるときは、株と株のあいだを少なくとも40~50センチくらいはあけましょう。株間が狭すぎると本来の大きさに育たず、実付きが悪くなります。
植え方のポイント2
根っこが弱い野菜で、実はあまり移植を得意としません。苗を別の場所に植え付けるときは、根っこを傷めないように気を付けながら育苗ポットから土ごと苗を取り出して、すぐに植え付けるのがふたつめの植え方ポイントとなります。
植え方のポイント3
植え付けたら苗のすぐ足元をぎゅっと手で押さえて固定します。ふわっと植えただけですと、風などで倒れてしまうことがあります。ただ、あまり力を入れすぎては根っこを傷めるので、上手に加減することが3つめの植え方ポイントです。
ズッキーニ栽培のコツと育て方7・支柱たて
トマトやナスほど上に成長する野菜ではないので、支柱は絶対に必要というわけではありません。ですが、成長するにつれ、茎が横にも上にも伸びます。上に伸びた茎が風で折れないよう、支柱をたてて安定させておくと安心です。ただし支柱はあまり長いものではなく短めの支柱にします。支柱が長すぎると、風にあおられて株ごと動いてしまうことがあるからです。長い支柱しかない場合、支柱を半分に折り曲げて使ってもよいでしょう。また、支柱をたてるときに根っこを傷めないように気を付けましょう。一株につきだいたい2~3本の支柱を立てるとよいでしょう。
ズッキーニ栽培のコツと育て方8・剪定と整枝
つるは伸びませんが、かなり葉茎がたくさん出て混みあいますので、成長時期に合わせて適度に剪定と整枝をおこなって風通しよくしてあげましょう。なお、剪定や整枝の際は、葉っぱや茎の表面にある毛でけがをしないよう長そで長ズボンに手袋を着用しましょう。
整枝
つるが伸びませんので、かぼちゃほど神経質に整枝する必要はありません。たとえば、つぼみや新芽を隠してしまっているような茎を、支柱を使ってうまく誘導させて整枝します。茎を切り取っての剪定も有効ですが、ある程度整枝すると剪定量が少なくてすみます。整枝でつぼみや新芽に日光が届きやすくなると、実付きがよくなります。
剪定
剪定1・摘花と摘果
雌花が苗の比較的小さい時期につく特徴があります。そのまま置いておくと雌花が咲いたあとに実がなるのですが、苗がまだ未熟なうちに実がなってしまうと、株自体の成長が妨げられます。とても残念ですが、一番はじめに咲いた雌花は取り除きます。ちなみにこの剪定を滴花と呼びます。もし一番はじめの雌花を剪定し忘れたときは、実がついてからでも大丈夫。実が大きくならないうちに取り除いて剪定しましょう。ちなみにこの剪定を摘果と呼びます。
剪定2・不要な茎を切り取る
成長するにしたがって葉がどんどん出てきます。混みあったところには病気や害虫が発生しやすいですし、何より実の成長を阻害することがあります。株を観察しながら、とくに花や実の邪魔になっているような茎を根元から剪定しましょう。ただし、あまり剪定しすぎると今度は光合成が妨げられますから、適度な剪定を心がけましょう。
ズッキーニ栽培のコツと育て方9・人工授粉
ズッキーニを栽培しているとときどきせっかくついた実が結実せず、途中でぐちゅっと腐ってしぼんでしまうことがあります。これはうまく受粉できていないことが理由の症状です。とくにプランターなど少量の株を育てているときに起こりやすい症状で、人工授粉をおこなうことで解決できます。雄花と雌花が咲いたら、雄花の花粉を綿棒などでこすりつけて、そのまま雌花にこすりつけます。
ズッキーニ栽培のコツと育て方10・病気
灰色かび病
灰色かび病は、じめじめとした環境下に発生しやすく、白から灰色の病斑部があらわれます。放っておくと株全体に広がり枯れてしまいます。雨水や水やりの水が葉っぱなどに残っているときに発生しやすいので、水やりのときは株元にピンポイントにあげるようにします。もしも灰色かび病を見つけたら、わずかな範囲ならその部分を切り取って処分します。かなり広がっている場合は、残念ですが株ごと処分してください。隣の株やほかの野菜、植物にも広がりやすいからです。
うどんこ病
うどんこ病は、春から秋にかけての温暖な時期に発生しやすい病気です。名前のとおり、白い粉のような病斑部が葉っぱや茎にあらわれます。葉っぱの表面を覆い隠すので、光合成の妨げとなり成長がストップします。うどんこ病を見つけたら、すみやかにその病斑部を切り取って処分してください。
ウィルス病
ウィルス病にかかると、葉茎がまっすぐに伸びずに変形したりうまく成長しなくなります。ウィルス病は根治が難しく、一度かかってしまうとその株はあきらめざるを得ません。ほかの株や植物にうつってしまう前に、できるだけ早く取り除きましょう。
ズッキーニ栽培のコツと育て方11・害虫
アブラムシ
アブラムシは緑色をした数ミリの小さな害虫です。つかない野菜はない、というくらい色々な植物を食害します。大きく育っていれば枯れてしまうほどの致命傷にはなりませんが、幼い苗は要注意です。とくにアブラムシが発生しやすい春から夏の時期は、ズッキーニの苗の植え付けの時期と重なります。毎日こまめにチェックして、アブラムシがいたらすぐに駆除しましょう。アブラムシは群生するので放っておくとどんどん増えてしまいます。
ウリハムシ
ウリハムシは数ミリの大きさの黒い害虫です。とても小さいのですが大食漢で、とくに植物のやわらかいところが大好きです。たとえば芽がでたばかりの苗や花のつぼみなど、一日で食べ尽くしてしまいます。苗を畑に植え付けて次の日の朝見たら、全部食べられていたというケースも少なくありません。ウリハムシを見つけたらすぐに駆除しましょう。ただしウリハムシは飛んでやってくるのがやっかいです。苗を植え付ける前に防除のために殺虫剤をまいておくのもひとつです。
ズッキーニ栽培のコツと育て方12・収穫
花の収穫
実だけではなく花も食べられるズッキーニ。エディブルフラワーの側面を持つ野菜です。花が開花しはじめたらすぐに収穫、収穫後はすぐに料理します。花びらにミンチなどを詰めて油で揚げる料理やてんぷらがおすすめです。
実の収穫
花の開花から5日くらいで実が大きくなります。そのまま置いておくとどんどん実は大きくなりますが、あまり大きくすると風味が落ちますし、何より株に負担がかかり次の実付きが悪くなります。適期に確実に収穫しましょう。葉っぱや茎に細かな毛が生えていて手で触れると痛いので、手袋着用が必須です。
ズッキーニ栽培にチャレンジしよう
お洒落野菜として人気急上昇中のズッキーニ。上手な植え方をすれば次々と大きな実を収穫することができます。植え方のポイントは、こまめな追肥と葉っぱの剪定です。野菜は新鮮なものがおいしいですが、とくにズッキーニは新鮮さが命と言われる野菜です。ぜひ家庭菜園でズッキーニ栽培にチャレンジしてみませんか。収穫した実をご近所さんやお友達におすそわけしてもとても喜ばれますよ。
ズッキーニ栽培が気になる方はこちらもチェック
【失敗しない】夏野菜の栽培方法!初心者におすすめの夏野菜を種類別にご紹介!
気温が温かくなる春から夏にかけては家庭菜園を楽しみたいと思う方も多いのではないでしょうか。夏野菜の栽培は比較的育て方が簡単で、管理がしやすい...