バスプロとは何か?
「ブラックバス」という外来魚をルアーで釣る技術および知識に特化し、なおかつ多くのブラックバスフィッシング大会で優秀な成績を収め、多くのバスアングラー達から認知され人気を集めた特定のアングラーを、一般に「バスプロ」と呼んでいます。
バスアングラーであれば、誰しも夢見たことはある職業でしょう。しかし、「プロ」の定義、資格などがオフィシャルに存在しないため、その実態を知る人は実に少ないです。
プロとアマチュアの違いとは
一般には、バス釣りで年収を稼ぎ、生活の礎になっているアングラーを「プロ」と呼びます。ただし、プロと名乗るのであれば技術はもちろん、世間への認知度、人気度も大切です。
トーナメントプロ、メディアプロの2種類が存在する
バスプロの中でも、大きく分類すると「トーナメントプロ」と「メディアプロ」の2種類に分けられます。この中で、国内においては圧倒的にメディアプロが多く活躍しています。
トーナメントプロについて
トーナメントプロというのは、バス釣り大会の賞金で生計を立てるアングラーの事を言います。ただ、残念ながら国内大会では賞金が少なく、トーナメントプロとして生計を立てているアングラーはほとんど存在しません。
メディアプロについて
国内のバスプロのほとんどは、大会を実績と名声を得る場として認知しています。大会で好成績を残せればスポンサーである各メーカーの目に止まり、メーカーと専属契約できれば様々な仕事が舞い込みます。こうしたアングラーを「メディアプロ」と呼びます。
プロの定義が曖昧な職業でもある
バスプロとは、非常に曖昧な職業であることを忘れてはなりません。毎月、固定給が支払われることもありません。このため、バスを釣って生活する!を現実にするためには、いかに自分自身の価値を高め、釣り業界に利益を産み出せるかがカギです。
バスプロの年収について
バスプロの年収はどのくらいでしょう。おおよその年収を把握することでバスプロという職業の魅力度も何となく見えてくるかと思います。
バスプロで生計を立てようと思うならば、国内では大会の賞金だけでは不可能です。国内の大会は興行収益が低く、また大会参加に莫大な諸経費が発生します。バスプロで生計を立てるのであれば、賞金以外の収入源が不可欠です。
年収内訳~スポンサー契約、大会賞金など~
バスプロの主な収入源は、大会の賞金、スポンサー契約金、TV出演料、商品開発料、雑誌などの原稿執筆料などがあります。バスプロの平均年収は約300万~1,000万円とかなりの開きがあります。
プロ団体主催の大会賞金については、実は非公開です。数年前に明らかになった情報では、約50~300万円程度とされています。サラリーマンの平均年収が500万円前後としても、賞金だけでは自立できる年収には遠く及びません。
人によっては年間赤字!?必要な諸経費など
バスプロの年間支出の例としては、先ずボートの購入費用が発生します。更にはボートのガソリン代など維持費、大会への参加費や釣り道具全般の費用などが発生します。この事を鑑みると、年間で大会の優勝賞金並みの諸経費が発生しています。
バスプロは年収1000万円前後は無いと、仕事として成立させるのが難しいでしょう。そのため、プロはスポンサー料など様々な形で収入を得ています。ただし、それは一握りのプロのみが可能としている生活で、中にはガイドなど副業で年収を稼ぎ、大会へ参戦している人がほとんどです。
バスプロの主な仕事①:トーナメント賞金稼ぎ
国内には、「JB/NBC」というバス釣り団体があり、プロが参戦するJBクラスの大会では賞金が発生します。この大会は誰もが参加できるわけではなく、団体から選ばれたアングラーのみが参加でき、参加できる事がイコール、バスプロともいえます。
賞金が出るトーナメントへ参加
たくさん釣ったら賞金が出る大会、と聞くと全てのアングラーにとっては夢のような話です。それほどバス釣りに対して、多くのメーカーがスポンサーとなって協賛している企業が多い=世間の注目度、人気が高いということが言えます。
トーナメント賞金額
一般に、プロが参戦する大会賞金は、50~300万円ほどと噂されています。ただし、トーナメントの細かなレギュレーションや褒章などの情報については一般に出回っておらず、実際に参加されるアングラーに対して公開されています。
バスプロの主な仕事②:スポンサー契約、タレント活動
大会で入賞するなどし、世間から注目を集める存在になれればファンが集まり、ファンがいるからスポンサーがついて、スポンサーがつくからメディア露出ができて、より多くの人の目に止まるとこができます。
人を惹きつける魅力が必要!釣り番組や動画へ出演
人気釣り番組などへ出演しているアングラーは、その道を極めた、いわゆるプロであり、スポンサー契約をして自社商品のPRのため、釣り番組やYouTubeなどの動画配信を行い多くのアングラーにその魅力を伝えていきます。
メーカーの新商品のPRでは、当然釣りあげる成果も必要でしょうし、新商品をわかりやすく魅力的にPRしなければなりません。バスプロにはコミュニケーション能力やプレゼン能力も求められます。
全国駆け回って大忙し!釣りイベント、トークショーなどへ参加
プロになって知名度が上がってくると、全国各地の釣り具屋などが主催するトークショーや釣り教室のインストラクターとして招待されることがあります。バスはほぼ全県に生息し、バスフィッシングも全国的に人気の釣りです。
毎年開催されるフィッシングショーは多くのお客で賑わいます。ここではプロ選手によるトークショーなども開催され、著名なプロになるとお声がかかることがあるかもしれません。バスプロは意外にトーク力も必要なお仕事です。
バスプロの主な仕事③:商品開発
バスプロには、スポンサーメーカーとの共同開発でオリジナルモデルのルアーを開発している方もいます。釣り具屋などに行くとよく「○○プロモデル」といったステッカーが貼られたルアーを目にする事があります。
自身の名を釣り具のセールスに役立てる
バスプロの名を冠したモデルのルアーを発売するメリットとしては、一般アングラーに対してのPR効果が狙えます。どのルアーを買おうか迷ったときに、プロが開発したルアーと聞くだけで何だか良く釣れそうなイメージが沸きます。
オリジナル開発商品で実績をつくる!使用インプレも
メーカーは新商品を開発するにあたりプロに実釣してもらい、プロから飛距離やキャスト時の挙動、バイト時のフッキングなど細かな意見をもらいます。そして目指すは良く釣れる人気のルアーです。双方が協力して商品開発します。
また、自身で開発したルアーならば、そのルアーの上手な使い方などを動画などで解説して、商品のプロモーションとして活用しているメーカーもあります。よりスポンサーの利益が産み出せる様、釣れるルアー、人気のルアーを開発できるかどうかはプロとしての腕の見せどころとなるでしょう。
バスプロの主な仕事④:フィッシングガイド
バスプロとしてのスキルを活かすならば、フィッシングガイドという職業はまさにうってつけでしょう。
ガイドという仕事を副業にしているプロも存在します。ガイドという仕事はスキル以外に接客力や安全意識の徹底が必要ですが、ガイドとしても釣りに携われれば、本業も副業も釣り三昧で、ある意味ガイドという仕事は天職でしょう。
プロになればガイドとしての信用度がアップ!
ガイドやとして活躍するならば、バスプロの肩書きは大変有効です。プロがガイドとして技術を教えてくれるとなれば、教えを請いたいアングラーも多いでしょう。
選ばれたアングラーのみが参戦しているJBクラスのトーナメント出場選手ともなれば、他のアングラーからみれば雲の上の存在です。ガイドとしての信用度が上がればお客も多く集まり、ガイドの収入も安定します。
得意とするホームエリアでガイドとしても活躍!
バスプロには、得意なホームエリアがあります。ガイドとして働くのにこれ以上の好条件はありません。どのようにすれば釣れるか、ガイドとして一番教えやすい場所でしょう。ガイドとして働くうえで、地形を知り尽くしているからこそ、攻め方や穴場スポットなど釣果に結びつく講習をすることができます。
バスプロの主な仕事⑤:店舗経営
釣具店で働きながら、バスプロとして活躍する選手もいます。また、自身が経営者となり、釣具店などを経営する傍ら、プロのアングラーとしての顔を持ち活躍することも可能でしょう。そこには、様々なメリットも挙げられます。
釣りに囲まれる生活を獲得!
釣具店で働くという事は、昼夜問わず釣り生活を会得できます。釣具店では実に様々な業者やお客が来店します。メーカーなどから新商品の情報を得たり、常連客からは釣果情報などが聞けますので、誰よりも早く新商品のルアーを試したり、仕入れた情報を元にこっそり釣りに行ったりなど、色々な恩恵が考えられます。
また、バスフィッシングに詳しい店員というだけで、情報交換がしたく通ってくる固定客の獲得にも一役買うことでしょう。また会社の経費で船舶の資格取得も可能かもしれません。
経営者となるメリット:高年収、最新釣り具など
釣具店の経営者ともなれば、メーカーとタイアップしてオリジナルルアーを販売したり、新商品をイチ早く試したり、また大きな収入を得る事ができるでしょう。実際、バスプロとして活動するうえで船舶の購入、資格取得や維持費など大きな出費がありますので、収入は多いに越した事はありません。
バスプロの主な仕事⑥:副業、その他
バスプロとして活躍する裏で誰しも生活があるので、どのようにして生計を立てるか重要な問題です。プロとしてタレントのように活躍する人もいれば、まったく業界とは関係の無い仕事をして生活費を稼ぎ、プロのトーナメントへ参加している方も多いでしょう。
サラリーマンバスプロも存在!高収入な仕事を選ぼう
サラリーマンとして一般企業に勤めながらバスプロを続ける方も中にはいらっしゃいます。ただし、バスプロは出費のかさむ職業なので、高収入な仕事を選択する必要があります。国家資格などを取り、専門分野で資格を活かして働ける職業などおすすめです。
目指せプロアングラー!バスプロになるには?
バスプロになるには、どのようにすれば良いのか把握している人は実に少ないのが現状です。実際に自他共に認められるバスプロになるには、釣りの技術だけではなく、知識と教養、ある程度の予算が必要となります。バスプロになるにはどうしたら良いのか、迷っている方は参考にしてください。
プロ証明書などは特に無し?プロに必要な資格など
バスプロになるには、資格試験などがあるわけではありません。自他共にプロとして認められる存在にまで自分を高める必要があり、特に資格証や免許証はありません。とても曖昧な存在で不安になるかもしれませんが、バスプロになるには、最も必要な要素は周りからプロと評されるようになるまでの「努力」が必要です。
大会で成績を残し、上位大会に出れればプロと呼べる!
バスプロになるには、基本的なステップとして先ず必要な資格の小型船舶免許を取得し、①NBC主催アマチュア大会参戦、②国内バスプロ団体「JB/NBC」の面接、登録を通過して上位の大会へ参戦。
といったステップがあります。選ばれたアングラーしか上位大会に参戦できないため出場することがプロとしての証明でもあります。
バスプロへのステップ①:アマチュア大会参戦
バスプロになるには、国内最大規模である「JB/NBC団体」の大会から上がっていく方法がセオリーです。申し込みの流れなどをまとめてご紹介します。
先ずは大会申し込み。「バスマガジン」購読から始めよう
バスプロになるには、NBCチャプタートーナメントへの参加が必要な資格といえます。大会への申し込みや大会情報については、月刊紙「バスマガジン」の年間購読契約が必要で、購読申し込み後にトーナメントブックが届くので、詳細はそちらに記載されています。
トーナメントで成績を残して次のステップへ!
トーナメント出場に必要なステッカーや用具を用意します。バスマガジン購読時に送付されるものもありますが、不足している場合は実費で揃えます。なお、アマチュアの大会とはいえ、プロと同様、ボートでの釣りとなりますので船舶の資格は取得が必要です。そして次のステップには、大会で上位入賞が必須です。
バスプロへのステップ②:セミプロ大会参戦
バスプロになるには、NBCチャプタートーナメントに参戦することによりプロアマが交じる上位の大会へ参加資格を得る事ができ、JB団体の面接を経てJBⅡ、JBローカルといったプロアマ混合のトーナメントへ参戦する事ができます。
プロアマ入り乱れてのトーナメントが各地で開催
トーナメントは全国各地のレイクを転戦し、釣果によってポイントが加算されます。JBプロアマシリーズでは全国の5会場で行われ、プロとペアを組んで戦うタッグ戦です。JBローカルシリーズでは全国9拠点でのトーナメントとなっており、全国各地の著名なレイクで行われます。
年間成績上位の常連となれれば道が拓ける
年間の釣果成績で国内バスフィッシングトーナメントの最高峰へと参加資格を得る事ができます。JB団体との面接を経て、JBプロトーナメント、JBマスターズといったプロのみで行われる大会へ登録が可能となります。
バスプロへのステップ③:TOP50大会参戦
年間ランキング上位選手のみが参加できる最高峰トーナメント
TOP50に選出される選手は、紛れも無く国内最高レベルのバスプロたちです。参加できる者は前年のランキング上位50名のみとなり、3日間連戦のトーナメントを全国5会場で開催します。釣り上げたバス5匹の総重量でポイントが加算され、トップの選手が日本一のバスアングラーとなります。
参加者はプロと名乗れるレベル!?有名アングラーも勢ぞろい
参加するメンバーはいずれも釣り番組や釣りイベントなどにも出演しているような有名な選手ばかりです。毎年参戦している選手もいれば、初参加の選手もいたりと全員が戦略を練り頭脳戦、技術戦の熱い戦いが繰り広げられます。
バスプロへのステップ番外編:プロ養成学校
バスプロになるには、国内最大団体のJB/NBC主催の大会へ出場し成績を残して上位大会へ上がっていくのがセオリーですが、釣りの技術はほとんどの選手が独学だったり、人の真似をする事で身に付けています。しかし国内には、プロアングラー、プロガイドを養成している学校があります。
フィッシングカレッジについて
バスフィッシング、ルアー研究、ガイド講習など様々なコースに分かれて釣りについての知識と技術を学ぶ国内唯一の「釣りの学校」です。実際に卒業生であり現在はバスプロとして活躍するルーキー「藤田京弥」選手はデビュー早々にTOP50大会に出場し2017年河口湖戦で優勝を果たしています。
フィッシングカレッジのトーナメントプロ専攻は、卒業課題とバスプロ団体会長の面接を経て、いきなりJBマスターシリーズやTOP50参戦資格が得られますので、バスプロになるには最適な環境で、プロに必要な資質を学べる学校です。
プロを目指しながら釣り業界で就職も可能!
その他にも、ルアー制作のコースやフィッシングガイド養成コース、更には釣具店の経営を学ぶコースもあったりと、まさにアングラーとして生計を立てていくための養成学校なのです。河口湖、大阪、福岡に学び舎があります。
バスプロへのステップ番外編:動画サイトの有名人
昨今では、YouTubeなど動画サイトの普及により所謂YouTuberと呼ばれる動画サイトの有名人が溢れており、それは釣り業界においても同様です。プロのトーナメントなど出場経験がなくとも、彼らは多くのユーザーに支持され、人気を博している方もおります。
プロへの道は1つではない!動画サイトからスポンサーが付くかも!?
YouTuberという仕事は、広告掲載のインセンティブ報酬以外にも、有名な方であればメーカーがスポンサーとして付くことがあり、自社商品を使ってもらい、メーカーの広告塔として報酬を得ている例もあります。つまり、釣り動画を作成してファンを増やせば、メーカーとしても放っておかない存在になれる可能性があります。
人気YouTuberも存在!独自の釣りビジョンで有名アングラーを目指そう
実際に釣りチャンネルを開設しているプロもいます。(チャンネル登録数で上位は「Kのフィッシングちゃんねる」、「釣りよかでしょう」など人気チャンネル多数)。オリジナル性のある釣り動画を作り人気が出れば、アングラーとして生計を立てられるようになるかもしれません。
バス釣りの最高峰!日本バスプロも憧れるUSAトーナメントについて
海外のブラックバストーナメントについても触れておきます。ブラックバスはアメリカから日本に輸入された魚ですが、本場アメリカでは日本とは比べ物にならない程、ブラックバス市場は大変な人気があり、興行収入もケタ外れです。
日本とはケタ違いの興行収入!
アメリカのバストーナメントは、優勝賞金が数千万円、トータル億を超えるほど、日本の10倍以上のビッグビジネスが展開されています。ランキングトップの選手の総獲得賞金額もケタ外れの億越えと、プロスポーツ選手並みの報酬を得ています。
日本人参加者も!日本人でもトーナメントプロになれる
アメリカに渡りトーナメントに出場している日本人選手もいます。過去には並木敏成選手が日本人で初めて参加し、以降、国内でもランキングトップに連なる程のプロが本場のトーナメントに参加しています。遠征費など諸経費を考慮すると並大抵の覚悟では望めませんが、アメリカンドリームを感じる大きなイベントです。
国内バスプロランキングについて
現在国内では、JB団体に登録しているいわゆる「バスプロ」は1000人以上にのぼると言われていますが、バスフィッシングで生計を立てている選手はほんの一握りです。ではそのトップクラスの選手ランキングはどのようになっているのでしょうか。
2018年JBランキング上位選手
現在の国内ランキングはこのようになっています。
No.1 青木大介 選手
No.2 市村修平 選手
No.3 山岡計文 選手
No.4 市村直之 選手
No.5 小林明人 選手
いかがでしょう、ランキング上位の顔ぶれを見ますと、やはり釣り番組やイベントなど常連の選手が多いですね。ランキングは毎年変動しますが、上位50名がJB TOP50などの大会へ参加資格を得ます。
人気バスプロランキング
トーナメントの釣果ランキングとは別に、何年も前からバスフィッシング業界を賑わせてきた人気プロアングラーも多いため、個人的に思う人気バスプロランキングを発表します。(順不同)
今江克隆 プロ
田辺哲男 プロ
並木敏成 プロ
奥村和正 プロ
小野敏郎 プロ
いかがでしょう、皆さん甲乙付けがたい有名人ですが、今後更なる活躍を見せるのか、または新たなプロが生まれるのか、今後のバスフィッシング業界の動向が楽しみです。
まとめ
バスプロはタレントとしての働き方に近い、エンターテイメント性の高い職業です。釣りが好きで目立つことが好きな人には天職ですね。先ずはある程度の年収を稼ぎ、小型船舶免許資格を取得しましょう。そして、プロ団体主催の大会で自分の実力を世間にPRしましょう!