イシモチの基本情報
1.釣り対象のイシモチは2種類
イシモチとはシログチとニベに代表されるグループの魚です。両方とも釣り人には混同されていますが別種。両種の特徴を比べれば判別は難しいものではありません。生息域も異なっており、そちらでも大まかな判断は可能です。また、スズメダイを始めとするテンジクダイ科の魚にも「~イシモチ」と名の付く魚が何種か存在します。しかし、この2種とは違って釣り対象魚ではありません。
2.イシモチ(シログチ)
シログチはスズキ目ニベ科の魚です。国内では東北以南の海に生息。水深100mまでの砂泥底を群れで回遊し、小魚や甲殻類を食べる動物食性です。沖合いに生息するため主に船釣りで狙う事になります。大きさは最大45cm。イシモチと呼ばれる魚の中でも耳石が特に大きく、聴覚と体のバランス感覚に優れています。体色は白っぽく、胸鰭のやや上に黒斑があって尾の縁が真っ直ぐになっているのがシログチ固有の特徴です。
3.イシモチ(ニベ)
ニベはシログチと同じくスズキ目ニベ科の魚です。シログチより沿岸性が強く、潮通しの良い砂泥底の海を群れで泳ぐ性質があります。若魚の頃は甲殻類を食べ、成魚になると小魚を食べる動物食性。シログチと比較して体色が黄色がかり、尾の形が扇状で黒斑が無いのが特徴です。大きさは最大60cmにまで成長します。釣り人がイシモチと言えばこのニベが一般的です。
イシモチの釣り期と旬を解説
1.釣り期は周年
イシモチの釣り期は周年、つまり一年を通して釣れるチャンスがあります。特に5月~10月の温暖な気候の時期に狙うのがおすすめです。
2.春の旬と冬の旬の違い
イシモチの旬は2通りあるとされます。まず産卵期を控えて卵を持つ初夏から夏ごろが第一の旬。そして身に脂が乗る冬、これが二番目の旬です。特に冬のイシモチは刺身が美味との評価もあります。一年中釣れる魚でもあるので、食べたい旬のイシモチを狙って釣るとよいでしょう。癖の無い白身魚のため、食べ方やレシピも豊富にあるのが嬉しいところです。
イシモチ釣りはここを狙おう!
1.砂浜・防波堤・河口がポイント
イシモチ2種のうち、ニベは岸近くに寄るので陸での釣りに適しています。外洋に面した潮通しの良い海で、底が砂泥質であれば最適です。障害物回りやヨブ、カケアガリといった地形の変化を狙いましょう。ヨブは荒波が作る緩やかな溝状の地形、カケアガリは海底の急な傾斜のこと。他にも河口付近で小魚が集まる地点や、深く掘り込んである船道なども良いポイントです。
2.基本は夜釣り
基本的にイシモチは両種とも夜行性が強いので、夜釣りで狙う事になります。灯りの少ないポイントで釣りをする場合はあらかじめ下見をしておき、ヘッドライトやランタンなどの光源を準備しましょう。
3.濁り潮でも釣れる!
イシモチ釣りに適した条件とは、日光が差し込まないことだと言えます。夜間の他には、雨後の潮が濁った状況などがそれにあたります。この場合は日没まで待たなくても釣れるチャンス。また、波気があったほうが活性が良く、少し荒れ気味の天気がイシモチ釣りには適しています。ただし、海が荒れた状況での夜釣りは危険です。慣れないうちは日没までに切り上げましょう。
投げ釣りでイシモチを狙おう
1.投げ釣りの解説
投げ釣りは重量のある仕掛けを遠投することで広範囲の魚を狙える釣り方です。仕掛けは集魚効果のあるパイプを通したものがベスト。仕掛けを投げ込んだらそのまま待つのではなく、リールを巻いてヨブやカケアガリを探しましょう。仕掛けが海底の変化に差し掛かるとリールのハンドルが重くなるのが目印。有望なポイントを見つけたら複数の竿を出して魚の反応を待つのも手です。
2.投げ釣りタックルの解説
投げ釣りに必要な竿は長さ3.6~4.5m、オモリ負荷25~30号のもの。リールには投げ釣り専用の大型タイプが適しています。ラインはナイロン製の3号かPE製0.6~0.8号にチカライトを結びましょう。テンビンの重量は20~25号、仕掛けは市販品でOK 。ハリは丸セイゴ、サイズは10~14号が良いでしょう。
3.エサの種類は虫エサ・身エサ
イシモチのエサはアオイソメや魚の切り身などです。アオイソメは頭を取ると針に刺しやすくなります。魚の切り身にはイワシやサバなどの匂いの強いものが良いでしょう。なお、どの仕掛けでもエサは共通です。
胴突き仕掛けで狙う沖のイシモチ
1.胴突き仕掛けの解説
中心となる太いラインに複数の枝ハリが付いた仕掛けが胴突き仕掛けです。こちらはイシモチでも沖に多いシログチを狙うためのもの。仕掛けの最下部にオモリを結びます。
2.胴突き仕掛けのタックル解説
胴突き仕掛けを扱うには船用の小物竿で長さ2~2.4mのものが適します。竿先が柔らかで食い込み良い竿が理想的なので、シロギス竿やメバル竿も代用可能です。リールは小型両軸タイプにナイロンライン3号かPEライン1号を巻き込みましょう。仕掛けは市販品か船宿製のものが便利です。
3.エサ釣りは向こうアワセ
エサ釣りではイシモチのアタリがあってもアワセを入れず少し待ちましょう。アワセを入れなくても口にハリが刺さるような食べ方をするので、イシモチ釣りは基本的にアワセ不要です。
ルアーでも狙えるイシモチの釣り方
1.ルアー釣りの解説
ルアーでもイシモチ釣りが楽しめます。主に使用するのはソフトルアー。中でも味や匂いの付いたワームが食いつきもよく最高です。仕掛けは中通しオモリを用いたキャロライナリグにすると根掛かりがし難くなります。
2.ルアー釣りのタックル解説
ルアー釣りにはルアーの扱いに長じた竿が最適です。ポイントが近い釣り場なら6~7ftのアジングロッド、やや遠目を狙うなら8~9ftのシーバスロッドやエギングロッドが良いでしょう。リールには中小型のスピニングリールにナイロンラインかPEを巻き込みます。中通しオモリの重量は2~5号、球形など様な形状がありますが好みのものでOK。フックはオフセットタイプの4~6番が2インチのワームに合うサイズとなっています。
3.ルアーは即アワセ
エサ釣りとは異なり、ルアー釣りではアタリが合ったらすぐにアワセを入れましょう。魚には唇にも味覚を感じる器官があり、少しでも違和感があると反射的に吐き出してしまうからです。今回、味つきソフトルアーの使用をおすすめするのは可能な限り魚に違和感を与えないためでもあります。
綺麗にできる!イシモチの下処理法
1.さばき方の基本:うろこ取り
魚を調理する前に基本のさばき方を把握しておきましょう。まずはうろこ取りから始めます。包丁を使うと刃こぼれの原因になるので、可能な限りうろこ落しなどの道具を使いましょう。
2.さばき方の基本:内臓を取る
魚の腹を開くときは肛門から包丁の切っ先を入れ、頭部に向かって切り開きます。内臓を包丁の先で掻き出したら流水で内部をよく洗いましょう。魚を姿のまま調理する場合の下処理はここまで。動画では頭と共に内臓を取っていますが、頭を落とすかどうかは調理法によって違います。
3.さばき方の基本:三枚おろし
刺身や切り身にして調理する場合は魚を三枚におろしましょう。先に包丁を入れた腹部側から今度は尾の先に向かって切り込みを入れ、尾のヒレ前で包丁を止めます。次に背ビレ側沿って切り込みを入れていき、尾から包丁を入れて頭側に向かって包丁を進めましょう。頭を落とした場合は頭の切り口から刃を入れてもOK。最後に中骨に沿って切りつつ身を骨から外せば完了。反対側も同じさばき方で切り離せば三枚おろしの完成です。
イシモチの刺身を作ろう
刺身のレシピ:調理手順1
【材料】イシモチ一尾
刺身を作るために三枚におろした身の皮を剥ぎましょう。皮側を下にし、皮と身の間に包丁の刃をいれて切り離していきます。このとき、尾の幅が狭くなる箇所から切り込んでいくと良いでしょう。もしくは尾の部分で包丁を一旦止め、皮をつまんで左右に引っ張りながら剥ぐと綺麗に皮を引けます。
刺身のレシピ:調理手順2
皮を引いたら血合い骨を取り除きます。身の中央の血合い部分にある骨で、三枚におろす際に一緒に切り取ったものです。血合い部分を避け、背側と腹側の二つに切り分けましょう。血合い部分を切り出すように行うと間違いがありません。腹側の身に付いている骨は薄く削いで切り出しましょう。血合い骨を切り出した身を冊と呼びます。
刺身のレシピ:調理手順3
切り出した柵をそぎ切りにして器に盛れば刺身の完成です。刺身を上手に切るコツは柵をまな板の中央より下側に置くこと。こうすると包丁の長さを十分に使え、綺麗な形で仕上がります。大型のイシモチを調理するときは刺身包丁を使うと、より綺麗に仕上げられるでしょう。また、柵の高さがある方を奥に、低い方を手前にすると切りやすくなります。
刺身のレシピ:昆布締めにチャレンジしてみよう!
昆布締めは魚の身に昆布の旨みと風味を移す料理です。旬を迎えたイシモチを調理すると格別。表面を日本酒で軽く拭いた昆布二枚で柵を挟み込み、ラップでしっかりと包んで一日以上冷蔵庫で寝かせば完成。二日経ったものが食べ頃。盛り付ける際は刺身と同じ要領で切っていけばOKです。イシモチは身に水分が多いので、身の表面に薄く塩を振りかけて水気を抜くとしっかりした歯ごたえになります。
イシモチを塩焼きにしよう:調理手順とコツ
塩焼きのレシピ:調理手順
【材料】イシモチ1尾分、塩適量
イシモチを塩焼きにする場合は料理前に皮に切り込みを入れ、塩をまぶしておきましょう。料理する10分前に塩を振りかけておくと味が良くなります。表面に染み出てきた水分はキッチンペーパーなどで軽く拭き取っておくと焼き上がりが綺麗です。
塩焼きのレシピ2:料理のコツ
イシモチは切り身でも姿のままでも料理が可能です。姿焼きを魚焼きグリルなどで料理する場合は、尾ヒレを始めとした各ヒレに化粧塩をまぶすと焼け焦げを防げます。さらに味を良くしたいなら、水分のある荒塩より焼き塩などを使用するとプロの味に近づけるでしょう。
塩焼きのレシピ3:粕焼きにチャレンジ
【材料】イシモチ2切れ、酒かす50g、みりん大さじ1、酒大さじ1、塩小さじ1/5
栄養豊富な酒かすを使った料理です。酒かす、みりん、酒、塩をよく混ぜて粕床を作ります。イシモチは切り身にし、薄く塩をまぶして水分を抜いておきましょう。ラップに粕床を乗せ、その上に切り身、再び粕床で覆ってしっかりと包みます。半日冷蔵庫に置けば食べ頃。粕床は焦げやすいので弱火でじっくりと焼きましょう。
イシモチでかまぼこを作ろう
かまぼこのレシピ:調理手順1
【材料】イシモチ・白身魚など、塩、砂糖、みりん、卵白1個~1.5個分
イシモチ入りのかまぼこは高級品とされます。グチ入りと表示されているものがそれ。グチとはイシモチの別名です。調味料の分量は素材となる魚の重量を元にしますので、厳密な決まりはありません。
目安としては塩3%、砂糖9%、みりん6%となります。魚の重量は料理の過程で改めて計量するので、はじめから準備する必要はありません。
かまぼこのレシピ:調理手順2
魚のさばき方を参考にイシモチを三枚におろして刺身の手前、冊の状態にしたものを用意します。縦に細く切り、粗く刻みましょう。氷水に入れて汚れやうろこ、残った骨などが浮いてきたら取り除いて布きんで漉します。強く水分を絞り、ここではじめて魚の重量を測りましょう。次に塩を全体の半量入れ、粘りが出るまですり潰します。粘りが出たら残りの塩と調味料、卵白を加えさらにすり続けましょう。弾力が出てきたらラップなどに包んで両端を捻って成形します。
かまぼこのレシピ:調理手順3
最後に蒸し上げる作業に入ります。加熱時間は15分ほどが目安です。新たに用意した氷水に漬け、3分間冷やしたら完成。出来立てをわさび醤油につけるのがおすすめの食べ方です。
ミンチにする 『身だけ』になった魚を、トントンと包丁で叩いて軽くミンチ状にしておきます。 洗う 身を器に入れて、水を注ぎます。 かき混ぜて、しばらくおいておくと、ウロコや取りわすれた小骨などが浮かんでくるので、それを丹念に取り除きます。 綺麗になった身を、ガーゼにとります。 箸 ガーゼを絞って、徹底的に魚の水気を切ります。 箸 水気を絞った魚の身を計量しておきます。 身の重さによって、塩等加える調味料の分量が決まってきますので、 ここはキチンと計量しておいたほうがよいです。 魚の身をすり鉢に入れて、 そこへ使用する塩の半分をまぶしておきます。 魚肉は、塩の持つたんぱく質溶解作用により、ネバリがでてきていると思います。 ここで残りの塩を全て投入し、さらにすります。 砂糖を身の9%、味醂を身の6%、卵白を一個半投入し、さらに練ります。 すり身がプリプリなったところでようやく蒲鉾の素できあがり。 蒸す 成形した板カマボコを、蒸します。 蒸す時間は、作る大きさによっても若干違ってくるとは思いますが、大体15分ぐらい蒸しあげれば芯まで火が通っていました。 各自試されてみてください。 蒸しあげた板カマは、氷水にとり、3分程度漬けておき、その後取り出して、水気をとります。
イシモチ釣りと美味しい食べ方のまとめ
釣り初心者にイシモチはおすすめ!
『釣って食べたい「イシモチ」とは?その釣り方と美味しい食べ方をご紹介!』は以上です。イシモチは比較的簡単に釣れるうえ、光の乏しい状況で釣れる魚の変化を学べるよい練習相手となるでしょう。魚のさばき方も標準的な難易度です。それに加えて、食べ方やレシピも豊富なので釣って食べる喜びもあります。旬のイシモチは特に美味。釣りたい魚に迷ったら、イシモチ釣りに行ってみてはいかがでしょうか?
まずは砂浜が有望。地形を地道に探っていくのがイシモチへの近道。