ヒラスとは
ヒラスとは、ヒラマサと言うアジ科の魚の西日本での地方名です。
スズキ目アジ科の魚で、最大で1.5メートルにもなる魚です。見た目はブリやカンパチとそっくりですが、3種類の中では一番水揚げ量も少なく、高級魚として扱われます。独特な上品な味わいがとても美味しい魚で、料理人に人気があります。
また、銀ひらすと言う魚と間違われやすいですが、銀ひらすは深海魚で、ヒラスとはまた違う魚になります。今回はヒラスについて、生態や釣り方、食べ方など詳しくご紹介していきます。
ヒラスの特徴
ヒラスは流線型のミサイルのような体型と、黄色いラインが特徴です。アジ科の約150種類の魚の中で一番大きくなる魚で、過去には全長2.5メートル、魚体重が100kg近い記録があります。
ただし、市場に一般的に流通するのはそこまで大きな個体は少なく、1メートルくらいまでの個体が主流です。料理人から、ブリは大型の個体が脂が乗り好まれますが、ヒラスは小さめの個体の方が味が美味しくて好まれます。
ヒラスの別名
ヒラマサの地方名がヒラスですが、ヒラマサはもともと地方名が多い魚です。ヒラス以外にはヒラサ、ヒラソ、ヒラサ、ヒラブリ、ヒラソウジ、ヒラなどと呼ばれています。
ヒラマサは平べったいたい身体をしているため、「平政」と言う漢字で表されますが、各地方名もその特徴を捉えた呼び方が多いです。
ヒラスの生態
ヒラスの生息地
ヒラスは、小笠原諸島を含む日本各地に生息しています。北は北海道から、南は沖縄まで幅広い範囲に生息していますが、琉球列島にはやや少ないとされています。国外でも、太平洋やインド洋の広い範囲に生息しています。
沖合を小さな群れで回遊していますが、岩礁域がある場所には根付いている個体もいます。
ヒラスの食性
ヒラスは泳ぐスピードが40~50kmを超えるため、「海のスプリンター」とも呼ばれています。そのスピードでアジやサバ、イワシなどの小魚の群れを追いかけて食べています。その生態をいかして、ルアーフィッシングや泳がせ釣りなどで人気があります。
ヒラスの産卵期
ヒラスの産卵期は春から夏にかけてです。ブリやカンパチと産卵期はほとんど変りませんが、産卵後の身体の回復が早いと言われています。そのため、ブリの味が落ちる夏にも美味しく食べられ、夏が旬と言われています。
孵化した稚魚は、ブリの稚魚と違って流れ藻に着くことはなく、沖合を漂って生活をしています。平均寿命は10年前後と考えられ、過去の最高記録は12歳と言われています。
シガテラ毒
ヒラスは、暖かい南の海に主に生息しているので、シガテラ毒に注意しましょう。シガテラ毒と言うのは、熱帯の海に漂う植物プランクトンの1つ、渦鞭毛藻が作る毒のことです。
そのプランクトンを食べた小魚を、さらに大型魚が食べ、食物連鎖の上位にいる魚ほど、体内にたくさんの毒をため込み、その魚を我々が食べると中毒症状を起こします。
海外では死亡例があるほどの毒ですが、見た目からはその魚がシガテラ毒を保有しているか分らないので注意が必要です。また、熱を通しても変らないので、食べ方による違いもありません。大型の個体ほど、毒をため込んでいる可能性があるので、食べる際には注意しましょう。
ブリやカンパチとの違い
ブリとの違い
ヒラスはブリと比べると平べったい身体で、黄色い縦縞の色が鮮やかです。
ブリは主上顎骨後縁上部と呼ばれる部分が角張っていますが、ヒラスは丸くなっているのが特徴です。ブリは養殖が盛んですが、ヒラスの養殖が少なく、天然物が主流です。
生態は似ている部分が多いですが、ブリは日本海の寒ブリが有名なように、やや北の方を好んで生息しています。また、ヒラスと違い、冬が旬とされ大きな個体が美味しい言われています。
カンパチとの違い
カンパチには、名前の由来となった正面から見ると漢字の「八」に見える特徴的な模様があるので、パッと見でも見分けやすいでしょう。また、やや体高が高く、体色も赤みがかっているので、他の2種とは少し違った雰囲気に見えるでしょう。
生態は似ている部分が多いですが、生息地がやや南よりで暖かい場所を好む魚です。ヒラスと同じで小さいうちから美味しいと言われています。
銀ひらすとの違い
銀ひらすとは
スーパーに行くと銀ひらすと言う魚が売られており、よくヒラスと間違われることがあります。ヒラスはヒラマサの地方名ですが、銀ひらすは通称名シルバーというニュージーランドやオーストラリア周辺に生息する深海魚の流通名です。
深海魚なので、生態は分っていいない部分が多いですが、銀ひらすはいろいろな魚の代用品として使われる魚で、皆さんも知らず知らずのうちに食べているであろう魚です。スーパーなどで購入する際は、間違えないように注意して下さい。
銀ひらすの利用方法
銀ひらすはあまり馴染みのないように感じる魚ですが、実は日本では様々な料理に加工して使われ、非常に重要な食材です。淡泊な白身が特徴の魚で、特にお総菜として売られている、白身魚のフライや煮魚などの原料となっています。
きっと皆さんも知らないうちに銀ひらすを食べているでしょう。時折、スーパーでも切り身としても販売されていることがあります。一般的な白身魚としての食べ方であれば美味しく食べられるので、機会があれば、ぜひ銀ひらすを食べてみて下さい。
ヒラスの釣り方①旬と釣り場
釣り人憧れの魚
大きくなると1.5メートルを超え、非常に引きが強く、釣り人から人気のある魚です。ブリやカンパチほど釣れる数が多くなく、釣り人憧れの魚ともなっています。どう猛に小魚をたべる生態に合わせて、ルアー釣りや泳がせ釣りが人気です。
どんな食べ方にも合う高級魚ですので、自分で釣って料理するのもいいですね。
ヒラスの釣り旬
ヒラスの年中釣れますが、釣り旬としては4月から12月頃までです。その中でも7月から10月の夏の間がベストシーズンと言われています。黒潮に乗って北上するため、シーズンの最初は西日本で釣れ始め、徐々に北日本でも釣れるようになります。
数を狙うのであれば夏、大型個体を狙うのであれば、春と晩秋がおすすめです。
ヒラスの釣り場所
ヒラスは基本的には、沖合を回遊していることが多いため、船釣りや、沖磯での釣りがメインとなります。千葉県の外房や、長崎県の五島列島はメッカとして知られています。
特に外房ではヒラマサ狙いの釣り船が多くあり、時期になると多くの釣り人が訪れます。時期によっては沿岸域に回遊してくるので、潮通しのよい堤防や、地磯からも釣れることがあります。
ヒラスの釣り方②仕掛け
①ルアーフィッシング
近年人気があるのが、船からのルアーフィッシングです。トップウォーターゲームでもジギングでも釣ることができます。どちらの場合も、7~8フィートのロッドに大型スピニングリールをセットしましょう。
ヒラスが生息している外洋は、透明度が高いため、使用するルアーはナチュラルな物するといいです。その時に捕食している小魚が分れば、それに近い物を選択すると、より釣果があがります。
②カゴ釣り
昔から主流な釣り方がカゴ釣りです。4~5号の磯竿に、石鯛用などの大型両軸リールをセットします。10号前後の道糸に、市販の船用カゴ釣りの仕掛け+ヒラマサ用の針を付けます。
巻き餌にオキアミを使い、オキアミはイカの切り身を付けエサに使いましょう。地域によって、少しずつ釣り方が違うので、釣り船の船長さんに教えてもらうと確実です。
③泳がせ釣り
大型の個体を狙うのであれば、泳がせ釣りが一番です。カゴ釣りと同じように、4~5号の礒竿に大型の両軸リールをセットします。クッションゴムの先に、大きめのヒラマサ針をつけたシンプルな仕掛けです。
エサには活きたアジやイワシをメインに使いますが、手に入るのであれば、小さめのメジナや、ハナダイをエサに使うといいでしょう。大型の個体は、釣り針にかかると一気に根の奥に入ろうとするので、最初は一気に巻き上げるのがポイントです。
ヒラスの旬
ヒラスは初夏から夏にかけてが旬と言われています。食性や産卵などの生態から冬が旬と思われがちですが、実は違うのです。特に夏になると、ヒラスの漁獲量が増えて、ブリの味が落ちるため人気が出ます。
ブリやカンパチと比べると、味が落ちる期間が短く、旬の時期が長いと言われます。
ヒラスのおすすめの食べ方
ヒラスの味
ヒラスは、ブリと比べて脂乗りが控えめで、さっぱりとした味としっかりとした歯ごたえがあるのが特徴です。味にクセがないので、どんな食べ方にもあう万能な魚です。旬が長いので、美味しく食べられる時期も長いです。
EPAやDHAが豊富で、健康にもいい食材です。流通が少なく、食べる機会が少ないですが、チャンスがあればぜひ食べてみて下さい。
お刺身
定番の料理ですが、ヒラスの味を楽しむのであればシンプルにお刺身がおすすめです。ブリほど脂は乗りませんが、逆にさっぱりとした上品な味が特徴的です。
絞めたてはコリコリとした食感があり、数日寝かすと旨味が増してまったりとした食感となります。特に夏場は旨味が増すので、とても美味しいです。カボスとの相性が抜群ですので、醤油ではなく、塩とカボスで食べるのもいいですね。
カマの塩焼き
ブリカマの塩焼きが有名ですが、同じようにヒラスのカマの塩焼きもおすすめです。調理の際は、多めに塩を振り、強めの火で一気に焼くのがポイントです。程よく脂が乗って、くどくなく美味しいです。特に頭の締まった肉は絶品です。
お酒にも合う食べ方です。カマが手に入れば、ぜひ試して頂きたい一品です。
煮魚
ヒラスは煮魚にもあう魚です。煮汁に程よい脂が溶け込み、非常に美味しく頂けます。さっぱりした味なので、青魚が苦手な人でも食べやすいのが良いですね。歯ごたえがあり、身離れが良いので、小さなお子様にも食べやすい料理です。
カルパッチョ
ヒラスのクセのない味はカルパッチョにしても美味しいです。玉ねぎやパプリカ、トマトなど彩りのよい野菜と組み合わせ、お好みのハーブを添えれば完成です。どんなお酒にも合う、おしゃれなおつまみにもなります。
フライ
ヒラスは定番料理のフライにしても美味しい魚です。脂が控えめなので、揚げてもくどくない、さっぱりと食べられます。タルタルソースとの相性も抜群で、お子様にも喜ばれる食べ方です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?ヒラスは釣っても楽しい、食べても美味しい魚です。プロの料理人に人気の高級魚故に、なかなかスーパーには並ぶことがありませんが、チャンスがあれば、ぜひ食べてみて下さい!
釣ることができれば、色々な食べ方で味わうことができるので、ぜひ釣りでも狙ってみて下さいね。