北穂高岳ってどこ?
荒々しい山肌を見せる北穂高岳(3106m)は、岐阜県、長野県、富山県、新潟県にまたがる北アルプス(飛騨山脈)の南部に位置しています。岐阜県と長野県の県境山脈にあり、穂高岳(3109m)や槍ヶ岳(3180m)と肩を並べている岩稜の山になっています。地図で確認する場合には、山と高原地図のNo.34日本アルプス総図の地図やNo.38槍ヶ岳・穂高岳の地図に掲載されていますので参考にしてください。
北穂高岳の特性
北アルプスの北穂高岳地域は穂高安山岩とよばれる岩山になっていて、標高3千メートルという厳しい風雪などの気候にさらされ続けた荒々しい山肌をみせています。日本有数の岩場となっているため難易度の高いルートが多くあることでも知名度が高く、高度な技術を持った登山家達にとって憧れの山になっています。
北穂高岳へのアタックの登山口
北穂高岳へアタックするコースは、地図で確認して頂くと分かるように、登山口を上高地にするのが一般的なルート選びですが、登山口を新穂高温泉にしてアタックする手段もあります。上高地や新穂高温泉へのアクセスはとても便利で、マイカーでアクセスしても上高地と新穂高温泉の登山口には大きな駐車場があるので安心です。また公共交通機関でのアクセスでも便利のよい登山口になっています。
北穂高岳へのアタック 5ルートを紹介
北穂高岳へアタックするためのルートを、上高地を登山口としたルートと新穂高温泉を登山口としたルート、さらに縦走ルートに分けて紹介していきます。ただし、地図上で確認して頂いても分かるようにかなり難易度の高いルートになりますので初心者には難しいルートになります。
北穂高岳へのアタック① 上高地からのコース
上高地~前穂高岳(難易度:中級者コース)
マイカーの方は沢渡駐車場に車を止めて公共交通機関で上高地に入ります。まずは登山口である上高地バスセンターを出発して、目の前に見える岳沢を登っていくルートになります。岳沢を3時間ほど登りつめると山小屋の岳沢小屋に到着です。ここからが急斜面の登りで名高いルートの重太郎新道を登っていきますが、鎖場や梯子の連続する気の抜けない岩場を3時間ほど歩く難易度の高いルートになります。このルートを登りきると紀美子平に着き、ここから前穂高岳へ往復1時間ほどで行くことができます。
前穂高岳~北穂高岳(難易度:上級者コース)
吊尾根↑
前穂高岳を往復したあと、紀美子平からさらに吊尾根という切り立った岩場の難易度の高い縦走コースを慎重に2時間ほどトラバースしていくと、地図で確認してもわかるように、日本第3位の高峰である3190mの奥穂高岳に到着です。奥穂高岳山頂には2mはあろうかという大きなケルンが積まれていて素晴らしい眺望も味わえます。ここから30分ほど歩くと山小屋の穂高岳山荘が見えてきます。穂高岳山荘の山小屋を後にして進むと、鎖場と梯子の連続する切り立った岩場のコースを慎重にアップダウンを繰り返しながら3時間で北穂高岳に到着です。
地図上での参考時間
上高地→3時間→岳沢小屋→3時間→紀美子平→30分→前穂高岳→20分→紀美子平→1時間50分→奥穂高岳→30分→奥穂岳山荘→20分→涸沢岳→2時間15分→北穂高岳
北穂高岳へのアタック② 涸沢からのコース
上高地~徳沢園(難易度:初心者コース)
徳沢園↑
マイカーの方は沢渡駐車場に車を止めて、バスかタクシーで上高地に入ります。登山口の上高地から梓川沿いに1時間30分ほど歩いていくと明神分岐に着きます。このあたりを過ぎる頃になると観光客も少なくなってきて、徳沢園まで来るとさらに少なくなってきます。上高地の大正池から徳沢園につながる道は、地図にも書いてあるように奥上高地自然探勝路になっているので観光客の方も多く散策している道です。
徳沢園~涸沢(難易度:初心者コース)
涸沢と北穂高岳↑
徳沢園からは登山者だけになってきて、ここから2時間30分ほど歩くと横尾に着きます。この横尾には地図でも確認できるように山小屋の横尾山荘があります。ここから山道のルートになり3時間ほど足を進めていくと涸沢に入ります。地図でも確認できますが、この涸沢には山小屋の涸沢ヒュッテと涸沢小屋があり、大きなテント場がありますので1日目はここでの宿泊にします。
涸沢~北穂高岳(難易度:中級者コース)
2日目は涸沢からの出発で、ハイマツ地帯を抜けたあたりから鎖場と梯子のある岩壁の登りになります。ここを登りきったところが南稜取付になり1時間30分ほどの登山になります。南稜取付からは鎖場を経て岩場のトラバースが続く縦走で難易度の高いルートを慎重に2時間ほど歩いていくと南峰に着きます。ここから北穂高岳山頂までは30分ほどの登山ルートです。
地図上での参考時間
上高地→2時間40分→徳沢園→1時間10分→横尾→3時間→涸沢→1時間20分→南陵取付→2時間→北穂高岳
北穂高岳へのアタック③ 新穂高温泉からのコース
新穂高温泉~白出沢出会(難易度:初級者コース)
白出沢出会↑
マイカーの方は新穂高温泉駐車場に車を止めます。登山口の新穂高温泉を早朝に出発して奥穂高岳登山口である白出沢出会までは林道歩きの2時間になります。林道沿いに素泊まり専用の山小屋である穂高平小屋がありますが、この後は地図で確認しても分かるように穂高山荘の山小屋まで山小屋はないので、1日で穂高山荘の山小屋まで9時間の登山を強いられるロングコースになります。この素泊まり専用の山小屋である穂高平小屋を出発点にすれば8時間の工程になるのでおすすめです。
白出沢出会~穂高山荘(難易度:中級者コース)
重太郎橋↑
白出沢出会からは樹林帯を経て白出沢にでると木で作られた重太郎橋を渡り梯子で崖を登るルートになり、その先は鎖を頼りに沢沿いの崖をトラバースするルートになります。荷継小屋跡を経て穂高山荘へと向かうこのルートはそれほど難易度の高いルートではありませんが、道迷いに注意が必要なルートなので、初心者の方は経験者との同行が必須です。
穂高岳山荘~北穂高山荘(難易度:上級者コース)
2日目の穂高岳から北穂高岳へのルート↑
2日目は穂高岳山荘の山小屋からの登山になります。穂高岳山荘の山小屋を出発してまもなくすると、高度のある岩場のアップダウンを繰り返すルートになり鎖と梯子が連続するルートになるので、気を抜かずに慎重に足を進めていくと3時間ほどで北穂高岳に到着します。
地図上での参考時間
新穂高温泉→2時間→白出沢出会い→3時間30分→荷継小屋跡→3時間30分→北穂高岳
北穂高岳へのアタック④ 西穂高岳から北穂高への縦走コース
奥飛騨温泉~西穂山荘(難易度:初心者コース)
登山口となる新穂高温泉からは新穂高ロープウェイに乗りますので西穂高口まで10分ほどで着いてしまいます。本日の事実上の登山口となる西穂高口から西穂山荘の山小屋までは、無雪期の好天時なら初心者でも1時間30分ほどで行くことができるルートになっています。
西穂山荘~独標(難易度:中級者コース)
2日目は山小屋から1時間30分ほど登っていくと西穂独標のピークが現れています。西穂山荘から途中の丸山までは危険な個所もないルートですが、西穂独標下は急な斜面で両側が切り立った岩場の狭いルートになっているので慎重に足を進めていくと西穂独標に到着です。
西穂独標~西穂高岳(難易度:中級者コース)
西穂独標から先は切り立った岩場の大きなアップダウンの続くルートで、登山経験の少ない初心者には難しい所も数か所る縦走ルートを1時間30分ほど歩くと西穂高岳山頂にたどり着きます。西穂独標から西穂高岳へは岩登りの経験があった方がよいルートになっています。
独標~北穂高岳(難易度:超上級者コース)
ジャンダルム↑
西穂高岳を出て奥穂高岳への歩きは、超難易度の高いジャンダルムという岩場を歩いていかなければなりません。高い登山技術と強い精神力と強靭な体力が必要なので初心者ではとても縦走できるようなコースではありません。
地図上での参考時間
西穂高口→1時間30分→西穂山荘→1時間30分→西穂独標→1時間30分→西穂高岳→3時間→天狗のコル→3時間30分→奥穂高岳→30分→奥穂岳山荘→20分→涸沢岳→2時間15分→北穂高岳
北穂高岳へのアタック⑤ 槍ヶ岳から北穂高への縦走コース
槍ヶ岳~南岳 (難易度:中級者コース)
大喰岳から眺める槍ヶ岳↑
槍ヶ岳を出発して南岳までへのルートは、ジグザクのルートを飛騨乗越まで下ってから大喰岳(おおばみだけ)へのゆるやかな登りが続き、大喰岳から中岳へはアップダウンの続くガレた岩場を歩くルートなので気が許せません。3時間30分で山小屋の南岳小屋に到着します。
南岳~北穂高岳 (難易度:超上級者コース)
大キレット↑
南岳からは急な岩場の痩せた尾根を降りるルートになっていて、大キレットという非常に難易度の高い場所を縦走します。高度感のある痩せた岩場を縦走するルートになり、アップダウンを繰り返す下りルートを1時間30分ほど歩くと長谷川ピークという最低鞍部にたどり着きます。長谷川ピークからの縦走は危険なやせ尾根の登りになるので、集中力を切らさないようにルートを進めていくと2時間30分ほどで北穂高山荘の山小屋に着きます。北穂高岳へは目の前の階段を登れば到着です。
地図上での参考時間
槍ヶ岳→40分→飛騨乗越→2時間50分→南岳→1時間20分→長谷川ピーク→2時間10分→北穂高岳
北穂高岳へのアタックの時期
4月~6月
まだまだ残雪が多く腰あたりまでの雪に覆われています。突然の猛吹雪に出会うことも普通にあります。北穂高岳もまだ雪にスッポリと埋もれてるので、ツルツルの氷と雪に覆われた岩場を歩く登山になります。さらに雪崩の危険と隣り合わせの登山にもなるので、冬山登山と岩登りの技術力が不可欠なベテランの領域になっています。初心者が山に入ることはとても危険な状態にです。
7月~10月
一般的な登山シーズンになります。ピッケルやアイゼンなどの特別な道具を使わなくても登山ができる季節です。登山者も多くなる季節なので狭い岩場のトラバースのルートでは待たされることもよくあります。9月下旬から10月上旬には、スケールの大きいとてもきれない紅葉がみられる時期になります。
11月~12月上旬
11月になれば突然の大雪に見舞われることもあり、あっという間に銀世界の雪山に変わってしまうことも当たり前です。この季節にはピッケルやアイゼンなどの装備も必要になり、シッカリと使いこなせる冬山登山の技術も必要になってくる時期です。
小生も11月上旬に穂高一帯を登山中に大雪に見舞われてことがあります。あっという間に雪が積もり雪中での岩場登りになってしまいましたが、当然のことながらアイゼンやピッケルなどの冬山装備は持っていましたから大丈夫でした。
12月中旬から2月
ベテランの人しか入ることができない領域なので、初心者の登山者が安易な気持ちで入山することは絶対にしてはいけません。冬山といっても天気の良い日には見通しもよく歩いているときには汗ばんでくることもあるくらいですが、いざ吹雪になったらどうにもならない状況が何日も続きます。これらの状況を的確に判断して適切な対応ができる経験が必要になってきます。装備も重くなり雪道の歩行なので体力もかなり必要になる登山です。
北穂高岳へのアタック 無雪期の基本装備
基本的な登山装備としては、登山靴・登山リュック・雨具はどんな登山であっても必需品です。もちろんアンダーウェアなどの替えや防寒用の着衣なども必要ですが、鎖場の歩行時や梯子の昇り降りなども多くあるので滑らない手袋とヘルメットも必需品になってきます。また泊りの登山では宿泊先でゆったりと過ごせるような部屋着もあるとすごく助かります。朝晩と日中との気温の差が大きいので、行動中の体感温度に合わせて素早く温度調節ができる重ね着がおすすめです。
北穂高岳へのアタック 夏山は雷雨に注意
天気の良い日の夏山登山では積乱雲による雷雨に合う確率が高くなります。樹木のない岩場のコースなので雷から身を守るすべはありません。積乱雲は朝からあちらこちらに発生して、その中の一つが午後2時ごろまでに急速に発達し雷雨が起こります。この急速に発達ている雲をチェックしながら、できる限り早朝に出発して午後の2時~3時頃までには宿泊地に付けるように行動計画を立ててください。
北穂高岳アタック 登山口の上高地 アクセス情報
マイカーによるアクセス 長野県から
河童橋で有名な上高地へのマイカー乗り入れは自然保護のために規制がされていて、釜トンネルの手前までしか入れません。マイカーは釜トンネル手前につくられている沢渡(さわんど)駐車場に止めます。この駐車場は2000台の駐車スペースがあるので、この駐車場に車を置いてシャトルバス又はタクシーに乗り換えて上高地まで向かうことになります。
マイカーによるアクセス 岐阜県から
岐阜県側には平湯温泉に大規模な駐車場がつくられていて、ここの平湯温泉駐車場に850台の車がおけます。ここからシャトルバスがでていますのでそれに乗り換えるか、タクシーに乗り換えて上高地に行きます。
公共交通によるアクセス
JR高山駅、JR松本駅、JR松本駅から松本電鉄上高地線に乗り継いだ新島々駅の各駅からバスで上高地までアクセスすることができます。また、東京、大阪、名古屋などから上高地行きの直通バスでアクセスすることができます。さらに夜行バスでのアクセスは時間の節約になりおすすめです。
北穂高岳アタック 登山口の新穂高 アクセス情報
マイカーによるアクセス
新穂高ロープウェイ乗り場へのアクセス方法は、高山IC・富山IC・松本ICから新穂高ロープウェイ乗り場までマイカーでアクセスすることができます。マイカーの駐車場は、新穂高温泉駐車場に230台と鍋平高原駐車場に790台の車が置けますので、これらの駐車場を使えば便利です。
公共交通によるアクセス
JR高山駅とJR松本駅からバスで新穂高までアクセスすることができます。また、JR新宿駅前から高速バスで新穂高までアクセスでき、JR名古屋駅前やJR大阪駅前からは高速バスで高山までアクセスできますので、これらの公共交通機関でのアクセスもおすすめです。
まとめ
北穂高岳への登山について紹介してきましたが如何でしたか?北穂高岳は日本有数の岩場となっているのでアルピニストの憧れの山になっています。しかし初心者には難しい難コースがたくさんあるので、登山歴の浅いあなたが北穂高岳への登山をしたいという思いがあれば、登山経験の豊富な方たちと一緒に山へ通い経験を積むことが近道になります。あなたも北穂高岳アタックに向けて頑張ってみませんか?