海老芋のレシピ
海老芋は古くから日本で食べられているのでレシピが豊富にある里芋です。見た目だけではなくその味や食感にも特徴があるので皆さんも一度体験ししてみてはいかがでしょうか。
クセが無いのでどのような料理にも合わせやすく、スイーツを作る事も出来ます。下ごしらえも簡単で、里芋の下処理の最難関である皮剥きもしやすい美味しい品種なのでオススメです。
海老芋の特殊な栽培方法
海老芋の栽培には葉の数を調整する摘葉という作業があります。
摘葉することによって必要な葉にしっかりと光が当たり、無駄な葉に養分を取られないために良い芋が出来るとされています。里芋の仲間は種芋の上に親芋ができていくので、できるだけ大きな鉢に3分の1ほど土を入れ、そこに種芋を植えます。
しばらくして成長してきたら土を足していきます。そうすることによって子芋が沢山取れるようになり、収穫量もサイズも簡単にアップするのでお試し下さい。
海老芋と普通の里芋との違い
味も食感も似ており、料理方法もほとんど同じな里芋と海老芋ですが、里芋は米が日本に渡るより以前は日本人の主食であったことがわかっているほど古くから日本にあったのに対して、海老芋は江戸時代に長崎土産として京都に持ち込まれた物が始まりであることが違いです。
そして里芋がインドネシア原産のイモであることに対して、海老芋は中国のヤマサトイモ(野芋)が始まりであるとされ、来歴だけではなく種そのものが違います。
ただ同属ではあるので味わいや香りは近く、里芋より海老芋の方が緻密な肉質である事が食味の違いとして挙げられます。
冬の貯蔵性
里芋の仲間には様々な系統があり、それぞれ貯蔵性が異なります。南方系の植物であるために寒さに弱く、常温での保存が難しいことがおおいです。特に八つ頭は貯蔵性が悪く、腐りやすいのが特徴です。
海老芋は比較的強く、湿度の保てる場所であれば関東以西であれば冬越しできる可能性も高いです。最も寒さに強いと考えられるのが千葉まるという品種で、段ボールにいれて常温でも難なく冬を越しました。
海老芋のレシピ:海老芋の下処理
多くの里芋科の植物が毒をもっているように、海老芋や里芋もえぐみを持ちます。
食用の物は野生種の中からえぐみのないものを選抜して育てたのが始まりで、原産地では未だに野生種を食用にする事もあります。海老芋は普通の里芋と違い、えぐみが薄いので下処理が簡単で、皮を剥いて茹でれば食べる事が出来る様になります。
里芋の下処理で躓く第一の要因は皮を剥いているときにぬめりで剥きづらい事ですが、海老芋は内部のぬめりが強く外側はそれほどぬめりが無いので下処理が楽な芋です。
サトイモ類のえぐみ成分
里芋の仲間にはえぐみが非常に多く食べられないものから、海老芋のようにえぐみがわずかなものまでがあります。えぐみの成分はタケノコと同じくチロシンの分解により精製されるホモゲンチジン酸で、重曹などのアルカリ成分により分解が可能です。
ほかにはシュウ酸などがえぐみの成分として知られますが、茹でることによって簡単に取り除けるので海老芋はどちらかというとこちらしか含まれていないように思います。
海老芋のレシピ:1.磯辺揚げ
海老芋のレシピで簡単で美味しい物に磯辺揚げがあります。下処理でボイルまで済ませた海老芋を下ごしらえとして30分ほどだし汁に漬けておきます。
その間に生青のりと小麦粉、水、卵で衣を作っておき、下ごしらえが終わった海老芋に小麦粉をまぶして衣をつけて揚げます。これで完成です。のりの風味が里芋とマッチして美味しいのでオススメです。
衣は硬めが良い
青のりを入れると衣がゆるくなるほか、磯辺揚げの場合はある程度衣に厚みがあった方が美味しいため、天ぷらよりもやや硬めの衣を作ると良いでしょう。また、ゆるく作ると青のりが揚げている最中に分離してしまうので気をつけてください。
海老芋のレシピ:2.海老芋まんじゅう
海老芋でよく見られる人気のレシピが海老芋まんじゅうです。
海老芋まんじゅうは味付け次第でおかずにもスイーツにもなる人気料理です。まず海老芋を潰していきます、そこに下ごしらえとしてだし汁などを加え味を調えます。つぎに丸めて小麦粉で衣をつけて揚げれば完成です。
様々な味付けができるのも人気の理由でしょう。具材をいれて楽しむ事も出来るのでオススメです。あんかけやスープのレシピなども見られるので、中華料理にも洋風料理にもなる優れものです。
お弁当にも
海老芋まんじゅうはお弁当でも人気のある料理で、揚げる前に寒天やゼラチンで固めたタレをまんじゅうの内部にいれてから揚げると、小籠包のようにも出来ますし、挽肉でアンを作れば肉まん風のりょうりにもなります。
色々アレンジの効く料理なのでオススメです。
海老芋のレシピ:3.海老芋ステーキ
海老芋は焼くだけでも簡単に美味しい料理になります。下処理を終わらせた海老芋に下ごしらえとして塩胡椒をふり、小麦粉をまぶして衣をつけ、ニンニクの香りを移したオイルで焼きます。
海老芋はぬめりがありますが、小麦粉をまぶして衣をつけることによってぬめりを落とさずに楽しむことが出来るのでオススメです。ソースはステーキソースにバターを加えたものをかけると美味しいです。
ステーキソースの作り方
ステーキソースには甘味が強いタイプと酸味が強いタイプがありますが、今回は酸味のあるタイプを利用します。まず玉ねぎをアッシェにしてあめ色になるまで炒めます。次に醤油、砂糖、酢、すりおろしニンニクを加えて煮詰めれば完成です。
ほかにグレイビーソースやバルサミコ酢、カシスリキュールなどを煮詰めてソースを作る事が出来ます。
海老芋のレシピ:4.海老芋コロッケ
コロッケというとジャガイモのイメージがありますが、実は海老芋でも美味しく作る事ができます。里芋の仲間なのでぬめりが心配かも知れませんが、海老芋はデンプン質も豊富なのできちんとホクホク感のあるコロッケになります。
まず海老芋を潰さずにマッシュにします、コツはスケッパーや包丁などで切る様にして細かくする事です。次に塩胡椒、チキンコンソメで味を調え衣をつけて揚げます。グレービーソースなどで食べても美味しいです。
エビフライ風にも
海老芋という名前からかエビフライ風のコロッケにする事もあるようです。マッシュして味付けをした海老芋でエビをつつみ、衣を付けて揚げます。見た目も楽しい一品なので試してみてはいかがでしょうか。エビはできるだけ大きい物を使うと良いでしょう。
海老芋のレシピ:5.いもぼう
海老芋と言えばいもぼうです、と言うのもいもぼう発祥の芋が海老芋だからです。
京都に持ち込まれた海老芋は、平野権太夫に栽培が委託されました。そして平野家によりいもぼうが開発されたのです。いもぼうとは海老芋と棒鱈を煮物にした京料理で、棒鱈のあくを取り除くことに極意があります。
まず棒鱈を数日水で戻し、毎日水を換えます。充分に柔らかくなったら醤油と酒で棒鱈を煮込み、アクを取り除いたら水で薄めて海老芋をいれます。じっくり煮込んだら完成です。冷まして1度冷蔵庫に入れると味がしみこみ美味しいいもぼうになります。
棒鱈
棒鱈は鱈の干物の一つで、カチカチに干されて硬くなっており、棒鱈で釘が打てるという話もあります。関西ではおせちなどにもつかわれ、独特の食感と味が人気の品です。
数日水で戻したものを利用しますが、煮物から蒸し鶏のようにほぐしてサラダにする事も出来ます。保存の利く食材なので古い時代には欠かせない物でした。
海老芋のレシピ:6.海老芋のピザ
海老芋はチーズやバターなどと相性がよいので、ピザで美味しいです。下処理をした海老芋をスライスし、下ごしらえとしてだし汁に漬けておきます。その間にピザ生地とトマトソースを作り、のばしておきます。
牛肉を炒め焼き肉のタレで味を付けピザにのせ、上から海老芋を並べてチーズを振りかけ焼きます。250度で20分、480度で1分で焼けます。美味しいピザになるのでオススメです。ぬめりが丁度良くソースと絡まるので、万人受けすると思います。
ピザの伸ばしかた
ピザを伸ばすときには麺棒を使うイメージがあるかも知れませんが。
実は麺棒を使うとせっかく発酵させて作った気泡が潰れて生地が膨らまなくなってしまいます。そのためにピザは手で伸ばすのが理想です。まず伸ばせる柔らかさになるまで常温で15分程度置いておき、指を使って軽く平たい形にしていきます。
つぎに右手の平で軽く回転させながら左手の平で伸ばしていきます。最後に持ち上げ両手でたぐるようにして厚みを整えて完成です。ソースを塗っている時に若干縮まるので焼く前にも一度整えましょう。
海老芋のレシピ:7.海老芋のグラタン
海老芋はクリーミーな物と風味がマッチするのでグラタンにする事も出来ます。
器は深い皿であれば何でも構いませんが、大きめのココットを用意すると良いでしょう。下処理を終えた海老芋をまず煮物にします。次にペンネやマカロニなどの短いタイプのパスタをボイルし手起きます。
その間に小麦粉、バター、牛乳でベシャメルを作っておくと良いでしょう。最後にココットにパスタ、海老芋、ベシャメルの順にいれ、チーズをかけて焼いたら完成です。焼く前のものを冷凍保存する事も可能です。
ベシャメルの簡単な作り方
本格的なベシャメルは手間がかかりある程度の技術もいりますが、そこまでしなくとも簡易的に作る事ができます。
本来はバターの油で小麦粉を練り、火が通った所で牛乳で伸ばしていき、丁度良いところで塩とコンソメなどで味を調えますが、火を通さずに小麦粉を牛乳でネリ、モッタリとしたドロドロになったところで溶かしたバターを加え、軽く混ぜ合わせたら、弱火で加熱しながら牛乳に溶かしていきます。
味をつけ好みの固さに整えれば完成です。
海老芋のレシピ:8.海老芋の大学芋
大学芋というとサツマイモのイメージですが、海老芋でも美味しいです。
揚げてしまうのでぬめりの心配も無く、甘味をつけるのでお子さんにも人気があります。まず海老芋を揚げますが揚がったときのカリカリになった部分に味が染みこむので、しっかり揚げると良いでしょう。
海老芋を揚げている間に醤油と砂糖、もしくはハチミツを合わせとろみがつくまで熱しておきます。海老芋が揚がったらタレとゴマを絡ませ完成です。
さしすせそが大事
調味料を先に合わせずに大学芋を作る時には、料理の基本と言われるさしすせそが大事になります。大学芋の調味料は砂糖と醤油が主ですが、砂糖をまず芋に絡ませ、最後に醤油をいれて煮詰めていきます。
この方法の利点はサツマイモと違い海老芋の甘味が濃くないので、しっかりとした甘味をつける事が出来ることと、醤油の焦げによるアクセントが出来るために味の深みが増します。
まとめ
海老芋は里芋の一種ですが、植物学的には別種なので細かな違いが沢山あります。
例えば大きさの違い、形の違い、そして肉質やえぐみの量なども違います。和食高級レストランでは毎年シーズンになると必ず使われるほど人気で、繊細な味付けから濃い味付けまで自由自在なところからますます人気が高まりつつあります。
中国原産なためかインドネシア原産の里芋よりも保存性が高く、なかなか腐らないのも良い所ですね。里芋と比べて下処理や下ごしらえが簡単なのでオススメです。