大山ってどんなところ?
はじめに、大山の特徴をご紹介。美しいピラミッド状のこの山は、昔からその美しさからも、山頂からの景色からも、重宝されてきました。登山としてはもちろん、霊山としても親しまれてきたのです。
登山初心者向けの大山
ピラミッド型の大山は、見た目からも分かる通り、傾斜が比較的緩やかです。そのため、初心者が登りやすい山であり、ハイキングコースにもなっています。また、登山口が複数ありどのルートを通るかによっても難易度が変化します。今回は、お勧めのコースを難易度別に6つご紹介します。
大山の見どころ
大山では、夏であれば青々とした木々や野草があなたを迎え入れてくれます。秋であれば目が覚めるような紅葉が、冬であっても雪の中、その素晴らしい景色を見るために上る方もいます。
山腹や頂上では、(天気にもよりますが)富士山や、ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンにて二つ星で紹介された眺望、二重の滝など見どころもたくさんあり、夜景を見るカップルの姿もあります。
信仰の大山
常に雲や霧が生じ、雨を降らしている姿から、古来から雨乞いの信仰の中心地でもありました。そのため、大山は“あめふり山”としても親しまれており、阿夫利神社などが有名です。
大山が祀る神様
山腹には下社、山頂には本社があり、どちらも大山祇神(おおやまつみのおおかみ)が祀られています。大山祇神は富士山の神様である此花咲耶姫(コノハナノサクヤヒメ)の父神様です。
大山神社が内包する寺社
中腹の阿夫利神社下社であればケーブルカーで、すぐにたどり着けます。また、紅葉の美しい大山寺もケーブルカーに駅がありますので、登山ではなくても簡単に楽しむことができます。山頂に着けば、無人ではありますが阿夫利神社本社があります。
大山の場所
神奈川県西部、伊勢原、秦野、厚木市の三つの市に接しており、丹沢大山国定公園の一部となっています。その頂上からは、富士山や江の島、東京のビル群まで見渡すことができます。
大山への公共交通機関でのアクセス方法
大山までの公共交通機関でのアクセス方法がこちら。大山の登山を目指す駅としては、「大山ケーブル」、「日向薬師」、「ヤビツ峠」と3つのルートがあります。
大山ケーブルバス停へのルート
大山ケーブルバス停に降りるには、新宿からも出ている小田急線に乗り、伊勢原駅で降ります。北口にあるバス停4番乗り場から「大山ケーブル行」に乗車。所要時間は約30分。朝7時から8時の間には直通も出ています。
ヤビツ峠、日向薬師バス停へのルート
日向薬師からの登山ルートは、同じ場所から「日向薬師行き」に降りることで行くことができます。「ヤビツ峠」に向かう場合、小田急線の秦野駅で降ります。北口のバス停4番乗り場から「ヤビツ峠」行きに乗車し、約50分で到着します。
大山への自動車でのアクセス方法
車で大山の登山をする予定なら、以下で紹介する駐車場へ停めることをお勧めします。ただし、シーズンの登山では混雑が予想されるため、どうしても駐車されたい場合は、朝早くからの計画を推奨します。
大山ケーブルカーへの自家用車のルート
市営大山第1駐車場、第2駐車場と2つあります。収容台数は、第1が普通・大型車併せて90台、第2が普通・二輪車50台です。料金は、第1は大型・中型1500円、普通600円、二輪車200円。第2は普通1000円、二輪車200円です。
ヤビツ峠、日向薬師への自家用車のルート
ヤビツ峠駐車場は、収容台数は30台ほどです。利用時間は24時間、料金は無料です。駐車できる台数が少なく無料のため、混雑は必至となります。日向薬師側からの登山口では、特に登山する方向けの駐車場はありません。
大山登山する際の服装
大山登山の際の服装・装備では、主に山の中での安全やエチケットを護るために持っていくものになります。山の中では、もちろん今までの生活環境と同じというわけにはいきません。登山する環境を少しでも良くするためにも参考にしてください。
服装
山中での虫除けや枝や岩から素肌を護る目的から、長袖長ズボンなどの服装。登山用の厚手の靴下。吸汗・発汗性に優れた化繊系やトレッキング用のパンツ。下着も発汗性のある繊維のものをお勧めします。汗で体温を奪われてしまうのを防ぐためです。思っている以上に汗をかきますので、服装から準備を怠らないようにしてください。
靴
靴はトレッキングシューズがベストですが、スニーカーでも可能です。履きなれていないと靴擦れを起こすこともあるので、事前に散歩などで履きなれておきましょう。スニーカーは、靴底が擦り減っておらず、滑り止めが機能しているものが条件です。
大山登山する際持っていくもの
大山はルートによっては、小さなお子様連れでも登れる山です。神社もありケーブルカーもあります。けれど、何もかも便利で安全な環境ではなく、危険な動物や虫もいますので、装備も心構えもしっかりしていってください。
道具の装備
服装以外にも、手を護る手袋、熊除けの鈴、雨具、防寒具、日除け対策に防止やサングラス、汗などを拭うタオル、充分な量の行動食・食料・水分、ティッシュ、ごみを入れる袋。それらを入れられるバックパックが必要です。また、場合によっては着替えも必要となります。
あると助かる道具
もしもの時のために絆創膏や、腹痛用の薬など救急医療のキットなどがあると便利です。大山から見ることのできる夜景も有名です。夜景を見るのなら懐中電灯も必要にです。しかし懐中電灯では手がふさがってしまうのでヘッドランプがお勧めです。また、コースによっては方位磁石にGPS、地図の準備をしていってください。
ケーブルカーで楽々登山コース(初級)
体力的にも危険度的にも初心者にお勧めなコース。所要時間は2時間45分、日帰りのコースです。大山ケーブルカー駅までアクセスし、中腹まではケーブルカーで登り、山頂までを歩くルートで、お子様連れもよくこのルートを利用しています。ハイキング感覚で望めるコースです。
大山ケーブル駅バス停~大山ケーブル駅~阿夫利神社下社まで
車かバス停「大山ケーブルバス停」で降り、お土産屋さんが並んでいるこま参道に入ります。大山へ立ち寄った記念に、こちらでお土産を買い求めてはいかがでしょうか?さまざまなお土産屋さんが歓迎してくれます。こま参道を抜けて大山ケーブルカーに乗ります。朝の9時から20分置きに往復しており、平日最終は16時20分、土日は17時。運賃は大人往復1,100円、小児が半額。繁忙期は値上がりしますのでご注意ください。
阿夫利神社下社~富士見台~山頂へ
山頂への道すがら、天気のよい日は、富士見台から富士山の姿を見ることができます。その美しい姿は浮世絵に描かれたこともある程です。
山頂では、山頂標識が出迎えてくれます。多くの方は、ここを折り返し地点と定めて、お昼を食べたり、少し長い休憩をとって身体を休めます。下山では違うルートを通ります。道中、見晴台があります。さらにくだると、二重の滝があり、そこを写真におさめる方も多くいます。
信仰と大展望を楽しむ登山コース(初級~中級)
所要時間は4時間かかりますが、危険度は少ない初心者向けのコースです。信仰の山でもある大山の寺社を初心者でも巡ることができ、景色もよいルートを回れるコースです。こちらもハイキングコースとしても回れます。
大山ケーブル駅バス停から大山不動尊へ
こま参道を抜けた後、男坂女坂の分岐を女坂のルートへ行きます。そちらを登っていくと大山不動尊が見えてきます。ケーブルカーには大山寺駅もあるので、すぐに大山不動尊に行きたいときは、こちらを利用できます。
紅葉の季節では、大山不動尊でとても美しい光景が広がります。人気の観光スポットであり、大勢の人が訪れます。
阿夫利神社下社、山頂
阿夫利神社下社では、御朱印もあり、寺社巡りの方も数多く訪れます。こま参道を通るルートならば必ず訪れる神社にもなります。もし、こちらが目的地なら、登山用の服装もそんなに必要ありません。
山頂には阿夫利神社本社があります。こちらには常駐の神職の方はいません。下山は、別のルートを通ります。見晴台、二重の滝を通り、阿夫利神社下社へ。そこから、今度は険しい男坂をくだっていく下山ルートとなります。
大山日帰り登山コース(初級~中級)
所要時間は2時間10分。登山口とは別に下山するため、バスでのアクセスが望ましいコースです。ケーブルカーを通る道とは別のアクセス方法となりヤビツ峠を通る道となります。ハイキングとしては少し難易度が上がりますが、そんなに難しくないコースです。
ヤビツ峠から大山山頂へ
サイクリングやランニング、ドライブなどでも利用される人気の高いヤビツ峠から登っていくルートです。ヤビツ峠は戦国時代の矢櫃が峠で見つかったことが名前の由来だとされています。ヤビツ峠には展望台もあり、ここからでも美しい景色を見ることができます。ヤビツ峠からヤビツ分岐を通って、大山山頂へ進んでいくルートになります。距離は短いですが、阿夫利神社下社を通るルートより急斜面となっているため、注意が必要です。
大山山頂から下社駅へ
大山山頂から下山するには、富士見台か見晴台、二つのルートから選び下山していきます。ご紹介しているコースでは、富士見台から下山するルートで計算をしていますが、どちらを選んでもそんなに時間は変わりません。富士見台のルートからであれば、美しい富士山を見ることのできます。見晴台のルートからであれば、二重の滝を見ることができます。阿夫利神社下社まで下山しましたら、ケーブルカーに乗って下山します。
大山から日向薬師日帰り登山コース(中級)
所要時間は4時間5分。ヤビツ峠から日向薬師へと抜けていくコース。こちらも、登山口と下山口を別にするコースです。大山の石階段や整備された道を外れるため、難易度は中級者向けとなっています。ハイキングとしては、少し時間がかかりますが、体力に自信があるのなら可能なコースです。
ヤビツ峠~大山山頂~唐沢峠分岐~見晴台まで
写真は夜のものになりますが、ヤビツ峠からのものです。このコースでは時間がかかるため、日の高いうちにヤビツ峠から登山を開始し、ヤビツ峠分岐を山頂を目指して進んでいきます。こちらのルートでは、山頂を通りますが、折り返し地点は、もっと先になります。唐沢峠分岐を見晴台へと進みます。見晴台から日向薬師方面へとルートを勧めるのですが、道中は長くなるためこちらで一度休憩をとることをおすすめします。
見晴台~日向ふれあい学習センター~日向薬師登山口まで
そこから日向薬師登山口のルートへと下山していきます。比較的なだらかな斜面を下山していきますが、歩く距離があるため時間のかかるコースとなっています。途中、いくつかの寺社があります。日向ふれあい学習センターの周辺にはキャンプ場もあります。日向薬師登山口まで下山しましたらバス停があります。しかし、日向薬師を参拝するのならそこからもう少し歩く必要があります。
大山から広沢寺温泉日帰り登山コース(中級~上級)
4時間日帰りコースですが、難易度的に初心者が望むのは、難しいコースになります。体力的にも辛く、危険度も高いため、ハイキングとしては適さないコースです。
ヤビツ峠~大山山頂~唐沢峠分岐~唐沢峠~不動尻まで
アクセスとしては、ヤビツ峠から広沢寺温泉まで抜けてバスで帰るものです。こちらのルートでは、初心者は必ず熟練した人と組む、或いはこのルート自体望まないようにするのと、装備は万全に整えていってください。ヤビツ峠から登り、大山山頂、唐沢峠分岐を越えて、唐沢峠へ向かいます。唐沢峠にあずまやがあるため、そちらを休憩地点とすることができます。そこから、不動尻までおりていき、後は、ほぼ川沿いを東に進みます。
不動尻~山神隧道~広沢寺温泉まで
不動尻から川沿いに東に進むと林道に入ります。しばらく進むと分岐があり、なおも東に進みます。すると山上隧道(やまがみずいどう)という名のトンネル(写真)が現れます。このトンネルを越えるとトイレがあります。更に川に沿って東に進めば、広沢寺温泉にたどり着けます。山道は、大きな道しるべもなく迷いやすいため、方位磁石やGPSの携帯をおすすめします。広沢寺温泉までつきましたら、もうバス停はすぐそこです。
大山北尾根を下る日帰り登山コース(上級)
6時間コースです。ヤビツ峠から大山北尾根を越えていくコースです。難易度が非常に高く、尾根は危険度が増すため、何度か経験を積んで熟練してからの挑戦をお願いします。登山初心者は熟練者の付き添いがあっても、行かないことをおすすめします。ハイキングのレベルではありません。
ヤビツ峠~大山山頂~一ノ沢峠
ヤビツ峠から大山山頂に着きましたら、北のフェンスを越えて大山北尾根へ歩き出します。フェンスを越えていくということが、既にこのコースの難易度を物語っているかのようです。決して、ハイキング感覚でこのコースを歩きださないよう注意が必要です。尾根を渡るということは、滑落の危険性が増すルートにほかならないからです。西沢ノ頭、ミズヒノ頭を越えて、分岐をさらに北に行けば、一ノ沢峠にたどり着きます。
一ノ沢峠~小唐沢橋~物見峠~煤ヶ谷
一ノ沢峠に着いたら、次は東へ進路を取ります。ずっと尾根が続いていたのが、あとはほとんどがなだらかな山道になります。けれど、ここが折り返し地点になり、歩く距離はまだまだあります。途中小唐沢橋を通り過ぎ、物見沢を越え、物見峠へ向かいます。物見峠にたどり着ければ、ベンチがあります。休憩してもいいですが、ここまでくれば終点の煤ヶ谷はもうすぐです。煤ヶ谷までたどり着くと、バス停があります。
まとめ
古来より多くの方に親しまれてきた大山は、様々なコースでその良さを堪能できます。四季折々の美しい景色も人気があり、ケーブルカーを使えば、お子様連れのご家族でも楽しめます。美しい夜景をバックにデートコースにもぴったりです。霊山としても親しまれてきた大山には神社もお寺もあります。老若男女に初級から上級の登山者、寺社巡りまで多くの楽しみ方があるのが、この丹沢大山の大きな魅力なのです。