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犬走りとは?建築でよく聞く犬走りの意味と施工目的を解説!本当に必要?

「犬走り」という言葉を聞いたことはありませんか?建築で施工される犬走りは、古くからある日本の建築技法の一つです。今もなお施工され続けている犬走りとは、どのような意味なのでしょうか?また、犬走りの造りや施工目的など、犬走りについて紹介します。
更新: 2023年12月23日
haduki0
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犬走りってなに?

犬走りとは、住宅などの建築物の隣にある、「犬が通れるくらいの細い道」のことをいいます。自宅の周辺に、砂利やコンクリート作られた道はないでしょうか?それが「犬走り」です。

 

犬の足跡

犬走りの意味には諸説あり、「犬が走り足跡が付いた道」という説もあります。

犬が土の上を通ることで足あとが付き、その様子を犬走りと命名されたのです。近年でもその様子は見ることができます。生乾きのコンクリートの上を猫が通り、乾いた後、足あとが付いている様子を見たことはないでしょうか?

それと同じように、犬の足跡が付くことがあります。ハプニングではありますが、一目で「犬走り」だとわかる可愛らしい模様といえるでしょう。

犬走りの目的とは

なぜ、わざわざ犬走りを施工するようになったかというと、雨水が跳ねるのを防止するために施工されるようになりました。

昔の日本建築は、今とは違い「雨どい」はありませんでした。そのため、雨水は屋根からそのまま落ちていました。しかし、屋根と地面までは距離があります。屋根から落ちる水滴は地面に落ちることで弾け、住宅の壁に水汚れや泥汚れを作ってしまっていたのです。

水や泥汚れは見た目が悪くなるだけではなく、基礎部分を腐らせ家をダメにしてしまいます。そこで、犬走りを施工し、水はねや泥はねを防止するようにしたのが始まりです。

犬走りの幅はどれくらい?

犬走りは、「犬が通るような細い道」ではありますが、幅に正確な決まりはありません。

そのため、建築の際に、好きなように幅を決めることができます。ただ、あまり大きく幅を取ってしまうと敷地が狭くなってしまいますし、逆に幅が狭すぎると、水はね防止が不十分になってしまいます。そのため、一般的な犬走の幅は、大体40~60cm程といわれています。

あまり高くはないとはいえ、建築費用は当然必要になります。「大は小を兼ねる」とはいいますが、余分な費用を出さないためにも、必要な幅で施工しましょう。
 

犬走りの材質

犬走りは幅と同様に、材質にも決まりはありません。そのため、好きな材質で施工することができます。ですが、施工のしやすさや費用の関係から「砂利」か「コンクリート」を使用することが一般的とされています。


砂利施工

砂利で犬走りを作る際は玉砂利などを使用します。ホームセンターなどで、庭用の玉砂利が販売されていますので、それを家の周辺に敷き詰めましょう。

メリット

砂利で施工するメリットは、作りやすいことです。除草シートや大きさなどにこだわらなければ、市販の砂利を巻くだけですぐに犬走りができます。幅や範囲も変更しやすく、状況に合わせて施工できるのが強みです。

また、砂利は昔から防犯対策に利用されてきました。砂利の上を歩くと音が出ますので、誰かが来たことを伝える役割があるのです。いつ、自分の住まいが空き巣などの被害にあうかわかりません。

少しでも被害にあわないよう、砂利で防犯対策をするをおすすめします。他にも、水はけが良いなどのメリットがあります。

デメリット

造り安く防犯対策ができる砂利施工ですが、しっかり施工しないと、砂利の隙間から雑草が生えてしまうことがあります。また、トイレと間違えて猫や犬も寄ってきやすくなり、こまめに管理しないと外見が汚くなってしまいます。

雑草は薬品、猫や犬は猫除けなど対策法はいくらでもありますが、「ただ砂利を撒くだけ」ではデメリットになりかねませんので、自分で施工する際は、よく調べてから施工するようにしてください。

コンクリート施工

砂利以外で有名なのがコンクリート施工です。丈夫で施工しやすいことから、家の建築の際に一緒に作ってしまうことが多いです。自分で施工もできなくはないですが、知識が無いと見た目や水はけが悪くなってしまいますので注意が必要です。

メリット

コンクリートで施工することによって、丈夫で使いやすい犬走りにすることができます。平坦ですので転びにくく、高齢者でも安心して犬走りを移動することが可能です。また、猫や虫など、生き物が侵入しにくくなります。

動物たちは草木や砂利道などの自然を好みますので、人工物であるコンクリートにはあまり近づきません。絶対に防げるわけではありませんが、砂利施工よりも効果はあります。

デメリット

コンクリート施工は砂利施工とは違い、幅やサイズの調整が難しくあります。一度固まれば丈夫で長持ちするコンクリートですが、それゆえ、完成してしまうと、後で調整がしにくくなってしまうのです。さらに、コンクリートの施工には知識や費用が必要です。

綺麗に施工するためにはどうすればいいかや、そのための道具など、DIY初心者には少々面倒な部分があります。

説明書などがありますので初心者でもできなくはないですが、道具の費用や手間などを考えるなら、建築の際に一緒にお願いしてしまう方がいいかもしれません。


犬走りのメリット①:「水はね防止」

犬走りを施工することで、「水はねや泥はねを防止」することができます。犬走りの本来の目的である水はね防止は、現代建築でも通用します。また、犬走りを施工すれば、雨で地面がぬかるんでいてもスムーズに移動することができます。

雑草についた雨水で服を濡らしたり、ぬかるんだ土で足元を汚さなくてすむのです。ただし、濡れたコンクリートなどは滑りやすくなるため注意が必要です。

泥汚れや水汚れを気にするのなら犬走りがおすすめです。

犬走りのメリット②:「雑草が生えない」

犬走りは砂利やコンクリートで地面を覆ってしまいます。そのため、施工した部分には雑草が生えなくなります。

雑草は土があればどこにでも生えます。ですが、土が無ければ雑草も生えることはできないでしょう。仕事などが忙しく、庭の手入れ難しいようなら、犬走りだけではなく、すべて施工してしまえば、整備の手間が省けます。

ただし、施工が甘いと、隙間から雑草が生えることもあります。特に砂利は隙間がありますので、除草シートなどを敷いていないと生えてしまうことが多いです。簡単にすませてもいいですが、本気で雑草対策をする場合は、費用も掛かりますので注意してください。

犬走りのメリット③:「虫が入りにくくなる」

犬走りを施工することによって虫が家に入りにくくなります。というのも、虫は雑草など自然の中で生きています。コンクリートや砂利で犬走りを作ることによって雑草が生えなくなり、虫が少なくなるのです。もちろん完全にいなくなるわけではありません。

飛ぶ虫は気にしませんし、ゴキブリやシロアリのように住宅を目的にする害虫もいます。特にシロアリはコンクリートを好むといわれていますので、施工が悪いと増えるかもしれません。そのため、完全に防止するためには薬品など別の手段が必要になります。

ですが、百足や蟻などの家や人に害をもたらす生物は少なくなり、虫嫌いの人も住みやすくなります。

犬走りの注意点

犬走りは、ただ施工するだけで後は放置しておけばいい物ではありますが、よく考えて施工しないと、余計に悪くなってしまう場合があります。家を守るための事が家を悪くしてしまうようでは意味がありません。注意点をよく確認し、正しく施工するようにしてください。

注意点①:「水はけ」

犬走りは、水はねなどを予防するために施工しますが、施工の仕方が悪いと水はけが悪くなってしまいます。溜まった水は湿気を含み、蒸し暑くするだけではなく、住宅の基礎構造を湿気で腐らせる可能性があります。

また、泥水が跳ねることで、犬走りが汚れることもあります。壁面は無事でも犬走りが汚いようでは景観を損ねてしまいます。自分で行う際は、溝を作って水はけを良くしたり、水が浸透しやすいように砂利で犬走りを作るなどしましょう。


注意点②:「ひび割れ」

犬走りを壁面と設置させて施工すると、壁と犬走りの間に亀裂が生じることがあります。これは、年月が経ち、地面が沈むことで生じるといわれています。地盤沈下や風化などにより地面が凹み、それに合わせて犬走りに負担が生じ、ひび割れを起こしてしまいます。

ただ、ひび割れ事態に問題は生じません。壁面と犬走りが離れるだけですので、倒壊などの心配は滅多にありません。ですが、隙間ができることでそこから虫が入り込んでしまうことがあります。中でもシロアリは小さいですので、少しの隙間があれば簡単にシロアリ被害にあってしまいます。

そのようなことが無いように、犬走りを施工する際は、壁面と犬走りの間に砂利を挟み、直接、壁面と犬走りが接合しないように注意してください。

犬走りは必要なの?

建築を依頼する際、「犬走りは必要なのか」という疑問を持つ人もいます。施工費用がかかりますし、雑草などはこまめに管理すればいいと思うからです。

近年、本来の意味である「水はねを防止」は、雨どいの設置や壁面のコーティングといった技術の進歩によって犬走りは不要になりつつあります。実際に、犬走りを施工していない建築も多く、昔とは違い絶対に必要とはされていません。

たとえ施工されていても、「移動しやすい」ということ以外は詳しい理由を知らない人が多いのではないでしょうか?

確かに、犬走りは雑草処理の手間が無く移動も便利になります。ですが、逆にいえば、足元に注意して管理をしっかりと行えば不要ともいえます。犬走りは昔とは違い、近年では「あると便利だけど無くても困らない」という認識が強いといえるのかもしれません。

住宅以外の犬走り

一般的に、犬走りといえば住宅に施工されるのが一般的だと思います。ですが、住宅以外にも犬走りは存在しています。中でも、城や堀に施工されている犬走りは有名です。犬走りを施工することで、崩落を防いだり、整備がしやすくなります。

また、土手や線路にも犬走りはあります。監視員や作業員の連絡橋として使われ、多くの場所に施工されています。
本来の意味とは違う使い方ではありますが。「犬が通れるくらいの小道」として、様々な通路や作業スペースのために施工されているのです。

まとめ

近年の建築では、積極的に犬走りを施工する事はあまりありません。近代化につれ、本来の意味がなくなるだけではなく、余計な費用がかかるからです。若い人は「犬走り」という言葉自体知らない人も多く、昔と比べて廃れてきているといえなくもないでしょう。

ですが、犬走りは現代でも活躍する施工です。犬走りがあれば泥濘を移動する心配はなく、犬走り自体が家の見栄えを良くしてくれます。また、防犯対策にもなるなど、本来の意味とは違いますが、様々なメリットをもたらしてくれます。

絶対に必要とはいいませんが、家を建築する際は犬走りをぜひ検討してください。施工すればきっと、良さがわかると思います。意味は変わってしまいましたが、昔からある伝統の建築技法を、是非自宅に取り入れましょう。