脊振山とは
ドライブデート、はたまた家族での行楽、それとも純粋な登山。色んな目的を兼ねて脊振山頂に行ってみたいなら、ひとまずは脊振山の基本的情報の入手からはじめましょう。
福岡・佐賀の県境の脊振山
標高1,055メートルの脊振山は、福岡県福岡市の早良区南部と、佐賀県神埼市北部にまたがる脊振山系の根幹を成す山です。この山のてっぺんからは360度の絶景が見られ、高原の涼し気な空気に満ち、そして古来よりの歴史と伝説にも事欠きません。
山頂まで車で上がれる
登山の未経験者や登山に興味がない人にもうってつけな理由が、山頂部まで整備された車道の存在です。頂上の駐車場まで車で上ってしまえば、あとは背振神社の僅かな参道をあがって頂上を目指すという、簡単な登山と観光旅行を楽しめます。
自衛隊レーダー基地の存在感
背振山をひと目眺めて気がつくのは、頂上に置かれた白く巨大な円形ドーム。これは航空自衛隊のレーダー基地で、脊振神社の奥に建設されました。脊振神社の真後ろにあるので、まるで神社の御神体かのよう。近づくほどにかなり存在感を示します。
脊振山の歴史
脊振山の周囲につながる登山道へと、一歩づつ踏みしめてください。そうすると背振山が長い年月のあいだに蓄積してきた、奥深い歴史にも触れることができます。
修験道の山
7世紀に修験道の開祖だった役行者が、修行の場としてこの地を選んで以来、脊振山は修験道の霊山としての役割があります。山頂は上宮嶽と呼ばれて、むかしから多くの修行者が暮らしていました。今でも当時の修行場の面影を残す遺跡が、脊振山のそこかしこに見られます。
廣瀧山と呼ばれた経緯
もっとも古くは戦国時代から、江戸時代後期の頃に至るまで、この山は脊振山ではなく廣滝山の名を冠していました。この名の由来は、戦国時代のかの有名な織田家の末裔の武家である、廣滝家が住んでいたことに関係していました。
日本茶発祥の地
脊振山の南山麓には、かつて脊振千坊と呼ばれた霊仙寺が繁栄していました。平安時代にこの寺の僧だった栄西が、中国より茶の種を持ち帰って脊振山にて茶の栽培を始めたことから、日本茶発祥の地と呼ばれています。脊振山の南の吉野ケ里町では、栄西茶というレアな特産品も登場しています。
脊振山のアクセス
脊振山の頂上までは、ひとまずぶらっと自動車で行ってみたいとなれば、福岡側の道路と佐賀側の道路、大きく分けて2つの道が存在しています。
福岡市側から車で
早良区内の海辺より山岳地へ通っている国道263号から、県道136へ折れて南の脊振山へと走ります。板屋峠付近から山頂へ向かっている、自衛隊道路に入ります。そこからは脊振山の頂上の駐車場を目指してください。
神埼市側から車で
吉野ヶ里遺跡で知られる佐賀県の、長崎自動車道・東脊振インターから、国道385号を走って北の脊振山地に入ります。吉野ケ里町の県道46号と、神埼市の305号の山道を経て、脊振山の山頂まで向かいます。
脊振山の登山ルート①
脊振神社の表参道ルート
車で頂上まであがれる脊振山の登山ルートで、もっとも初歩的で初心者も苦がないルートです。駐車場から脊振神社の参道の階段を上がっていくだけの短距離さですが、途中に普通じゃない見どころがあるので退屈はしません。
表参道ルートの道のり
脊振山駐車場から自衛隊道路に沿う階段をあがり、しれっと佇む役行者(役小角)像を過ぎれば、徐々に南側から視界が開けます。頂上までは10分とかからずに到着。アンテナ塔と朽ちた燈籠の並ぶ場所を過ぎれば、真正面の脊振神社の石鳥居と石の社殿が鎮座する境内は、360度の絶景展望台です。
表参道ルートの駐車場
山頂部の自衛隊基地と、脊振山キャンプ場の間にある、脊振山駐車場を利用できます。ここは料金は無料、トイレ付きと充実した設備があり、山頂に辿り付いた時の休憩にも使えます。
脊振山の登山ルート②
日本茶発祥の地碑ルート
脊振山登山道のひとつですが、近くの名所にあやかって「日本茶発祥の地碑ルート」とでも呼び表します。南斜面の「地碑」の西側に、山頂へ向かう登山口を確認できます。特に短距離・短時間で見どころ盛りだくさんな登山を求めるかた向きです。
日本茶発祥の地碑ルートの道のり
出発すると登山ルートは北へと伸びていますが、山頂までは1.6キロなので時間をかけません。途中で樹齢400年という巨木、なんで遭難したのか気になる飛行家ジャッピー氏遭難の地、たにし仏などの見どころを通り、脊振神社のある頂上まで向かい、上りは1時間20分程度です。
このルートの西側で矢筈峠に向けて開放されている、矢筈峠経由ルートと連結してみてください。するとぐるりと廻れる周回ルート化します。脊振山の山頂を楽しんでから、1周して元に戻るのがおすすめです。
日本茶発祥の地碑ルートのアクセス
佐賀県側から訪れ易い立地です。県道305号を8合目まで上がると、道路が大きくカーブしている地点に登山道があります。道路を分断している白いガードレールが目印になります。
日本茶発祥の地碑ルートの駐車場
脊振山へと登りゆく登山口のど真ん前に、駐車場として準備されているらしき空き地が奥ゆかしく用意されています。見たところこの駐車場は、せいぜい2~3台駐車できる程度です。
脊振山の登山ルート③
矢筈峠経由ルート
登山口は先程の地碑ルートと同一の場所にあり、アクセス方法も駐車場についても同じです。ルートは脊振山西側の矢筈峠を登りきってから、東の矢筈峠へと向かいます。距離的には短い部類に入るので、日本茶発祥の地碑ルートと合わせて周回路にしても良いです。
矢筈峠経由ルートの道のり
登山口からしばらく樹林帯で、途中で清流の流れる沢を渡ったりと、斜面には変化があります。矢筈峠は標高903メートルで、ここから脊振山までは高低差はそれほど気にならない尾根道です。上り所要時間は1時間半ほどになります。
脊振山の登山ルート④
車谷ルート
北側の車谷登山道は、福島市早良区椎原地区から山間部の林道を進んだ先の、車谷に位置しています。登山口と駐車場があるのは、椎原川上流の脊振山方面へと遡った標高400メートル地点です。登山口から脊振山までの道のりは割と短距離なため、気軽な登山に向いています。
車谷ルートの道のり
車谷のスタート地から出発して間もなく、沢に沿ってゆるい坂道が南方へと上っています。途中で浅い沢を渡るポイント、尾根手前の急な坂、展望台として注目な標高903mの矢筈峠等、地形は刻々と変化を見せます。尾根道を伝って山頂の駐車場に入り、山頂の脊振神社までは、上り2時間程度です。
車谷ルートのアクセス
早良区の市街地より訪れる場合、県道136号線を南下し、椎原地区のバス停のあたりで右折します。バス停から南方の駐車場までは、椎原川に沿って林道が続いています。
車谷ルートの駐車場
車谷の登山口から離れていない場所には、小規模な駐車場が幾つかあります。それぞれの駐車場は道沿いの単なる空き地といった風情が抜けない小スペースです。車は3~4台でいっぱいになります。
脊振山の登山ルート⑤
九州自然歩道・小爪峠ルート
佐賀市三瀬村の藤原地区に登山口を擁する、西側からの登山ルートです。ルートの主要部は九州全域に2,900kmも根を張っている九州自然歩道です。脊振山系の尾根道を伝って、東方の脊振山へと縦走します。全体として標高の高めなルートになり、随所で北部九州全域を拝める絶景に恵まれています。
椎原峠ルートの道のり
最初の標高770mの小爪峠を登ってしまえば、尾根道は苦痛にならないレベルで東へ伸びています。鬼ヶ鼻岩は福岡平野の市街地が見渡せる絶景展望台です。唐人の舞も大岩の名で、かつて唐人が岩で舞ったことから名づいたと言い、岩の上も絶景地点として知られます。脊振峠まで上り3時間半です。
椎原峠ルートのアクセス
佐賀市街地からは国道263を北上し、三瀬村の三瀬郵便局の交差点から県道46号を東へ向かい、珈道庵三瀬山荘の横を通って小爪峠に向かいます。現地には小さく小爪峠登山口の標識があります。
椎原峠ルートの駐車場
小爪峠登山口に近寄ってみれば、小さな駐車スペースが確認されます。2~3台も停めればいっぱいになってしまいそうな狭さです。しかし小爪峠ルートは年間を通じて登山者が多いルートではないので、よっぽどでなければ問題なさそうです。
脊振山の登山ルート⑥
九州自然歩道・坂本峠ルート
佐賀県内の九州自然歩道区間のうち、脊振山を通る南側のルート。各地の入り口から、自分にちょうど良い距離とルートを選び出すことができます。ここでは佐賀県三養基郡みやき町北端の、坂本峠登山口からのルートをご紹介します。
坂本峠ルートの道のり
登山口から入ってしばらく森のなかの林道を歩くと、しばらくして蛤(はまぐり)水道と呼ばれる江戸時代前期の水道を通過します。蛤岳は標高862メートルの低山で、これより先は背振山地の尾根に沿って歩きます。脊振山の山頂までは上り3時間の距離です。
坂本峠ルートのアクセス
九州新幹線に沿うようにして南北に伸びるのは、1車線の国道385号線。これを通って脊振山地の坂本峠へアクセスできます。五ケ山ダムからほど近い、千石山へと向かう林道とのY字路の道沿いに、登山口があります。
坂本峠ルートの駐車場
坂本峠からの九州自然歩道の登山口あたりには、公式的に準備された駐車場らしきスペースは見当たりません。現地では登山者が颯爽と路駐している車がチラホラと見られます。どうやら国道とは言え、特に取締が厳しくはなさそうです。道路の広めの場所を狙って駐車をしてください。
山頂の脊振神社と展望台
脊振山へとひとたび登れば気になってしまうのは、まるで天空の遺跡のようにも見える脊振神社の姿です。この神社の領域こそが、脊振山の展望台としても機能しています。
脊振神社の展望台の絶景
頂上の一帯は脊振神社の神域であり、無数の石灯籠に独特な石鳥居、そして真正面の石造本殿と、全てが石石石に満たされています。背振神社が鎮座する山頂は、悠然とした脊振山系や筑紫山地の山並み、それに福岡の中心市街地までも眺望できる展望台として人気を独り占め中です。
脊振神社の由緒
ときは動乱の古墳時代の4世紀、新羅遠征に勝利した神功皇后は、戦勝記念として脊振山の山頂に脊振神社を建立したと伝わります。その時に祭神とされたのが、七福神の女神として絶大な人気の弁財天、そして対馬海峡の女神市杵嶋姫でした。両女神を合わせ、脊振神社は五穀豊穣の神社とされています。
脊振神社の伝説
脊振神社の上宮の本殿では七福神の女神である弁財天が祀られていますが、地元で語られる龍に纏わる伝説があります。それによれば昔、天竺より弁財天を乗せた龍がこの頂上に飛来し、いななきを響かせてから背びれを打ち振ったので、脊振山と名づいたと言われています。
脊振山の見どころ
役小角像
山頂の展望台手前には、飛鳥時代の呪術者で、修験道の開祖、役行者(役小角)の古びた石造が座っています。自衛隊基地の敷地内にあるために、フェンス越しにしか見ることができませんが、役行者がその昔にこの場所を駆け回ってい様子に思いを馳せることができます。
飛行家ジャピー氏遭難の地
1936年の11月、フランス・パリから飛行中のアンドレ・ジャピー氏の飛行機が、悪天候に見舞われて背振山のこの地点に墜落してしました。しかし地元民により手厚く救助されたことで一命を失わず、彼は帰国を果たしました。当時の出来事は今でも村の誇りとして語り継がれています。
背振山へ行こう
あちこちの登山ルートで
極めて短距離な脊振神社ハイキングから、ハイレベルな九州自然歩道ルートまで。背振山には自分好みな東西南北からの登山ルートを見つけられます。しかもそれぞれに絶景の見どころ、歴史・自然の名所も確認されました。背振山の違う方面から、何度でもチャレンジをしてみませんか。
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