FFヒーターとは?
FFヒーターのFFとは、Forced draught balanced Flue systemsの略です。Forcedは「強制する」、draughtは「通風」、balancedは「バランスの取れた」、Flueは「熱気送管」、systemは「機構」という意味です。
インターネットなどで見てみると、「強制吸排気式」と訳されることが多いようです。つまり、ヒーター自身で換気を行うため、特別換気の必要がないヒーターということです。今回は、このFFヒーターについてお話していきます。
FFヒーターの仕組み
一般的なガスヒーター、ファンヒーターとは異なり、換気が必要ない分、仕組みは複雑です。
建物の外、あるいは車では車外に取り付けられた吸気口から空気を取り入れ、その空気と燃料タンクから送られてきたガスとを混合し着火、燃焼室で燃焼、熱交換器によって空気を暖め、ファンによって暖かい空気を送り込み、室内、車内を、暖かくしています。
その過程で生じた排気ガス(一酸化炭素)は、吸気口と同じく、外に取り付けられた排気口から排出します。それゆえ、換気の必要がないのです。
FFヒーターの主な用途
FFヒーターは、寒冷地の暖房や、アウトドア時の車内暖房、キャンピングカーの暖房などとして使われています。換気の必要がないFFヒーターは、車内泊等にも適しています。
FFヒーターの使い方の注意
注意点として挙げられるのは、定期的な配管のメンテナンス(清掃)が必要であること、配管を伴うため、設置場所の移動が容易ではないこと、また、吸排気口がふさがれていないか点検しながら使う必要があること(特に豪雪地帯)などがあります。仕組みが複雑であり、また、メリットが大きい分、使い方には注意が必要なようです。
FFヒーターの主なメーカー
FFヒーターの有名メーカーとしては、ドイツのバベスト社が挙げられます。建物用に関しては国内メーカーのサンポット、トヨトミ、コロナ、リンナイなども製造しているのですが、キャンピングカーなどに取り付ける車載用に関しては、バベスト社のシェアが高いようです。
FFヒーターをアウトドアに!
お待たせしました。そろそろffヒーターの基本的なことについてはわかってきたかと思いますので、そろそろ本題の、キャンピングカーなどへの車載についてお話していきます。例としては、国内で高いシェアを誇るべバスト社の製品を主に取り扱います。(他のメーカーの場合も大きな差はないかと思います。)
車載用FFヒーターのお値段は?
べバスト製の場合、ディーゼル車用のもので18万円からと、決して安いとは言えません。ガソリン車であれば、20万円は見ておかなければなりません。もちろん、仕組みも複雑ですから当然といえば当然とも言えます。しかしながら、そのパフォーマンスはとても魅力的なので、多くのアウトドア愛好家たちが利用しているのです。
燃費を知りたい!
べバスト製の場合は、8時間の使用で燃料の消費が1ℓ程度と非常に少なく、車内泊での暖房としても安心です。キャンピングカーなどにもよく使われているようです。
FFヒーターは自分で取り付けることはできるの?
インターネットで検索してみると、自分で取り付けている人も散見されますが、とてもお勧めはできません。というのも、取り付けは基本後付けであるので、車載のために、さまざまな加工が必要になってくるからです。
後付けであるということで、車体への穴あけなどの加工を伴いますし、燃料タンクへの配管も必要です。車体の加工のミス、配管ミスなどは命にかかわります。車内泊などを想定しているのであればなおさらです。工賃はかかりますが、業者に依頼しましょう。
ディーラーを探そう
後付け加工(そもそもFFヒーターの場合後付けが大半のようです)を行ってくれるディーラは、どこにあるのでしょうか?例として国内でシェアが高いべバスト社の場合をとってみます。
べバスト社認定のサービスショップはHPから確認することができるのですが、それに限らずとも、取り付けを行ってくれるディーラーや、工場は、各地に存在するようです。例えば、キャンピングカーの販売店や、車両改造工場等です。自分で車載加工を行うのは安全とは言い切れませんから、ぜひ一度探してみてください。
やむを得ず自分で車載加工する場合
後付けの重要ポイント
あくまでも、やむを得ない場合のお話ですが、自分自身で取り付けを行う場合は、仕組みをよく理解したうえで行い、特に燃料タンクからの燃料配管と、電気配線については、確実に配線、配管するようにしましょう。
燃料タンクの配管は本当に失敗すると危険ですのでくれぐれも注意してください。また、FFヒーターの取り付け位置は水平なところを選びましょう。電源は、サブバッテリーからとるのがお勧めです。(キャンピングカー等サブバッテリー装着車種の場合)
必要な工具等
・トルクレンチ
・電動ドリル
・エアカッター
・フレキナイフ 等
値が張るものもありますし、リスクを考えれば後付けでディーラーに持ち込み取り付ける場合の工賃と大差ないかもしれません。
その他、固定用の金具などが必要になってきます。
詳細な取り付け方法
何度も言う通り、決してお勧めはできませんが、ご自身での改造にこだわる方もいらっしゃるでしょうから、先ほどの重要ポイントも踏まえつつ、詳細な取り付け方法についてもお話していきます。
なお、大切な自分のキャンピングカーですから、よく考えたうえで行うようにしてください。あくまでも自己責任でお願いします。また、例としてはべバスト社の製品を用いていますが、メーカーによって差がある部分がある可能性もありますので、ご自身での確認をお願いします。
①取り付け場所の選定
後付けである以上、どこにでも取り付けられるというわけではありません。不安定な場所に設置するのは危険ですから、できるだけ、水平かつ配管等の取り回しがしやすく、しっかりと固定できる場所を選びましょう。
②燃料タンクの取り付け
当然のことながら、燃料は上から下に流れますから、燃料タンクの位置は、ヒーター本体よりも上側にというのがセオリーのようです。(燃料タンクも後付けする場合。車両の燃料タンクから供給する場合はこの限りではありません。)
また、燃料タンクの使用する向きにもよりますが、穴あけ加工が必要なパターンが多いようです。燃料漏れなどの事態を防ぐため、穴あけした部分からの配管はしっかりと金具で固定しましょう。
③燃料配管を行う
先ほど加工した燃料タンクから本体へと燃料配管を取り回します。穴と、配管の間は金具でしっかり固定しましょう。そして、配管用に車体にも適宜穴あけ加工を行い、ヒーター本体に燃料配管を接続します。
④吸排気管の取り付け
ヒーター本体に空気を供給する吸気管と、燃焼後の空気を排出する排気管を配線します。ここでは、車外に配線を行う必要があるため、確実に車体への穴あけ加工が必要です。車の仕組みをある程度は理解したうえで行うのが良いでしょう。
また排気管が破れたり、熱の影響で不具合を生じてしまうと、最悪そこから一酸化炭素が車内に充満してしまう可能性がありますので、車内泊などを考えている場合は特に慎重な部品選び、作業が求められます。
⑤車外の吸排気管の固定
排気管は、車内泊時の危険回避のためにもきちんと場所を選定して取り付ける必要があります。よくあるパターンは車体横です。ただ、この配線は、空気の循環の仕組みを理解して取り付ける必要があります。吸気管は、そこまで神経質になる必要はありませんが、水などがかかりにくい場所を選びましょう。
⑥ポンプの固定
配管の最後は、ポンプの取り付けです。取り付け時の留意点として、水平ではなく、ポンプの排出側が高くなるよう、30度程度傾けて取り付けることが推奨されています(べバスト製の場合)。
⑦電気配線
一番専門知識が必要なのはおそらくここではないでしょうか。電源と、コントローラーそれぞれに配線が必要で、それぞれ、穴あけなどの加工が必要です。ある程度の専門知識は必要であると思われます。詳しい配線の詳細は、説明書等をを確認してください。
後付けの心得
ここまでお話ししてきた通り、自分自身での取り付けはお勧めはしませんが、決して、不可能なわけではないのもまた事実です。しかしながら、完全な素人が行うのには、あまりにも難易度が高すぎます。
せめて、ある程度の、車、電気配線などの知識がある状態で行うことをお勧めします。何が言いたいかといいますと、”無知”は何よりも恐ろしいということです。せめて、知識は持ちましょう。
車載用FFヒーターの使い方
車載用のFFヒーターの使い方はとても簡単で、ON/OFFの切り替えは、スイッチまたはダイヤルで簡単に行えます。電源を入れても温風が出てくるまで少し時間がかかります。温度調整は、温風が出てきてから行いましょう。また、電源を切ってもしばらくは本体の冷却のための送風運転を行うため、すぐに運転が止まるわけではありません。
車載用FFヒーターの特徴
FFヒーターの特徴として、車(キャンピングカー)のエンジンを切っても使えるということがあります。
通常の車の暖房装置は、エンジンの熱を利用する仕組みになっているため、エンジンを切ると使えません。かといって車内泊などで暖房を使おうとエンジンを稼働したままにすると、排気ガスが出続けることになるので、環境にもよくありません。
その点、FFヒーター(少なくともべバスト社製について)は、使用時にエンジンを稼働する必要がないので、排気ガスの排出も少なく、車内泊などで一晩中暖房を使ったとしても、比較的環境に優しいのが特徴です。
車載用FFヒーターの使い方の注意
基本的には、建物用のFFヒーターの使い方の注意と似ているのですが、使い方の注意として、一番に挙げられるのは、車外の雪に注意する、ということです。車の下が雪でふさがれると、車の下から排気ガスが抜けなくなり、最悪、車内に排気ガスが逆流することもあるようです。
また、室外の吸排気口がふさがれていないか注意してから使う、ということです。室外の吸排気口がふさがれてしまうと着火できないことがあるようです。特に、冬場の、車内泊、暖房時には注意が必要です。
FFヒーターでアウトドアを快適に
というわけで、ここまでFFヒーターでアウトドアを快適にする方法をお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか。後付け加工をするのは、自作にしても、ディーラーに依頼するにしてもなかなか大変なものですが、それを補って余りある暖房能力、素晴らしいパフォーマンスを発揮してくれるでしょう。
アウトドア愛好家なら、そして、キャンピングカー愛好家なら、ぜひとも装備しておきたいグッズです。この記事が少しでもみなさまのお役に立てていたらうれしいです。