高妻山(たかつまやま)とは
百名山にも登録されている高妻山とは、新潟県と長野県にまたがる戸隠連峰(とがくしれんぽう)の最高峰で、標高は2353mです。山頂まではとにかく急坂の連続ですが、視界の開けた山頂では、大パノラマの絶景が迎えてくれます。一説では、日本神話の天の岩戸伝説の岩が戸隠連峰の戸隠山(とがくしやま)と伝えられており、高妻山を含む戸隠連峰が修験の地として栄えた歴史もあります。
高妻山の難易度
登山者の山岳遭難防止のため、長野県と長野県山岳遭難防止対策協会では、「山のグレーディング」を行っています。これは山の難易度を数値化したもので、体力レベルが10段階、登山道の技術的難易度がA〜Eの5段階で評価されています。(レベル1Aが最も易しい山です)高妻山の難易度は4D。つまり上級者向けのコースです。
Dランクのレベルには登山経験はもちろん、地図読み能力、岩場や雪渓(せっけい)を安全に通過できる技術が必要です。またコース上には、鎖場や不安定なガレ場が含まれます。挑戦される方は、ご自身の経験や体力に見合うかどうか、十分に検討しましょう。
高妻山の天候
高妻山付近の気象条件は、ほぼ北アルプスとかわりません。特に11月上旬から4月中旬までの積雪期は、戸隠連峰ほぼ全体が危険区域です。冬山における登山技術に優れる方でなければ、入山は控えるべきです。夏山の場合、8月の真夏でも平均気温は15度前後です。服装には注意が必要で、夏山登山でも防寒着が必須です。登山口やキャンプ場のある戸隠牧場でも、標高は約1200mあります。寒さで夜眠れなかった、なんてことがないよう、キャンプ場でも服装は秋・冬用の用意があると安心です。
高妻山登山コース
ポイント | 時間 |
---|---|
戸隠キャンプ場 | 6:00 |
10分/0.6km | |
一不動登山口 | 6:10 |
120分/2.0km | |
一不動避難小屋 | 8:10 |
60分/1.3km | |
六弥勒 | 9:10 |
120分/1.8km | |
高妻山 | 11:10 |
90分/1.8km | |
六弥勒 | 12:40 |
120分/2.9km | |
一不動登山口 | 14:40 |
10分/0.6km | |
戸隠キャンプ場 | 14:50 |
定番の登山地図、山と高原地図のコースタイムを元に計算しました。行程時間8時間50分。日帰り可能ですが、明るい時間に下山するために、なるべく早い時間に出発したいですね。高妻山へのルートは、一不動登山口からと、弥勒尾根登山口からの2つがあります。一不動登山口は谷筋の急な登りや、鎖場などを経由するため、下りより登りで利用した方が無難です。
戸隠牧場〜一不動避難小屋
戸隠キャンプ場を出発し、まずは一不動登山口へ。登山口の標高が約1200mあります。高妻山の標高2353mまで、標高差約1100mを登ります。まずは一不動避難小屋を目標に、谷筋を登って行きます。登山口を出発してから、ぐんぐん標高が上がっていきます。この区間は、2017年の大雨の影響により登山道が荒れている区間がありますので、要注意です。途中の滝では鎖場があり、その先には「帯岩」が待ちかまえています。ここも鎖伝いに登りますが、足元が滑りやすいので十分注意が必要です。
一不動避難小屋〜高妻山
一不動避難小屋からは、高妻山へと続く尾根道を歩きます。急な谷筋を登ってほっと一息とつきたいところですが、まだまだ登りが続きます。途中の六弥勒までは、小さなアップダウンを交えながら標高をあげていきます。六弥勒から先が、今回のルートで最も過酷な急坂です。特に高妻山山頂手前が急で、滑落や落石に注意が必要です。山頂は展望が良く、パノラマ絶景が広がっています。
高妻山〜弥勒尾根
高妻山の山頂では、写真のような絶景が広がっています。この絶景のために登ってきたわけですから、存分に楽しみましょう。ここから先は下りルートです。弥勒尾根を利用しますが、このルートは一不動避難小屋を経由するより距離が短く、鎖場などの危険箇所が少ないです。下りのルートには弥勒尾根をおすすめします。ただし登山口まで急坂が続きますから、気を引き締めて下りましょう。道迷いや山岳事故の多くは下りで発生しています。
高妻山〜戸隠山縦走コース
ポイント | 時間 |
---|---|
戸隠牧場 | 4:00 |
10分/0.6km | |
一不動登山口 | 4:10 |
120分/2.0km | |
一不動避難小屋 | 6:10 |
60分1.3km | |
六弥勒 | 7:10 |
120分1.8km | |
高妻山 | 9:10 |
90分1.8km | |
六弥勒 | 10:40 |
40分1.3km | |
一不動避難小屋 | 11:20 |
70分/1.1km | |
九頭龍山 | 12:30 |
50分1.2km(この間に戸隠山を経由) | |
八方睨 | 13:20 |
110分/1.2km | |
戸隠神社奥社 | 15:10 |
20分/0.8km | |
隋神門 | 15:30 |
45分/2.7km | |
戸隠牧場 | 16:15 |
高妻山から戸隠山への縦走を考えた場合、早朝3時起床、4時には出発したいところです。行程時間12時間15分、健脚向きのコースです。山小屋があれば1泊したいところですが、途中の一不動避難小屋は緊急時の使用のみに限られています。日帰りで歩き通すのが基本ですので、無理のない登山計画を入念に用意しておきましょう。
一不動避難小屋〜戸隠山
高妻山までのルートは、先述した通りですので割愛します。高妻山から下山して一不動避難小屋まで戻り、ここから戸隠山への縦走ルートへ進みます。これまでの区間と比べて急坂はありませんが、九頭龍山を過ぎてからの崖には注意が必要です。
戸隠山
戸隠山の標高は1904m。日本200名山に登録されており、信州山のグレーディングでは3Dに指定されています。高妻山と同じく上級者向けの山ですね。ハイライトは写真の「蟻の塔渡り」で、左右が切れ落ちています。戸隠牧場から登るにも、戸隠神社から登るにも、険しい登りや岩場があります。ですが山頂からの展望は非常に良く、北側にそびえる高妻山や西側の西岳を眺めると、難路を超えてきた苦労も吹き飛ぶことでしょう。
戸隠山〜八包睨〜戸隠神社奥社
戸隠山から先は、縦走ルートの最難関区間です。「蟻の塔渡り」と呼ばれるナイフブリッジは、写真のように左右が切り落ちた崖です。山と高原地図には危険マークが付いており、長さは約20mで人ひとりが通るのがやっとの道幅です。おまけに傾斜も急なので、他の登山者と譲りあい、事故のないように通過しましょう。その先も鎖場が連続しており、壁に張り付くように進む箇所もあります。かなり高度感がありますので、高いところが苦手な方は辞めておいた方が無難です。また鎖場や岩場を多く通過するので、服装にも注意が必要です。強度の弱いアウターだと、岩に当たって擦り切れる可能性があります。信頼できる登山ウェアを用意しましょう。
高妻山周辺&アクセス情報
高妻山への登山で8時間50分、戸隠山への縦走登山で12間15分を要します。前日入りして、早朝から登山を始める必要があります。おすすめの宿泊地をご紹介します。
戸隠キャンプ場
高妻山への登山なら、戸隠キャンプ場への宿泊が便利です。予約不要のフリーサイトや電源付きのサイト、バンガローやコテージも充実しています。登山口まで徒歩10分のアクセスの良さも魅力です。
おすすめはバンガロー
3畳ほどのスペースで、最大5名まで利用可能です。利用料金は、車1台込みで5000円からと(2018年8月現在)と、とてもリーズナブル。バンガローであればテントの用意は必要ありません。難易度の高い山に挑戦されるなら、なるべく他のことは簡単に済ませて、登山に集中したいですよね。
アクセス
◾️自動車でのアクセス
東京方面:関越道ー藤岡JCTー信濃町I.C(最寄り)ー戸隠キャンプ場
名古屋方面:小牧JCT(中央道)ー岡谷JCT(長野道)ー更埴JCT(上信越道)ー信濃町I.C(最寄り)ー戸隠キャンプ場
◾️電車とバスでのアクセス
東京:北陸新幹線ー長野駅ー川中島バス(約1時間)ー戸隠キャンプ場
大阪:東海道山陽新幹線ー名古屋特急しなのー長野駅ー川中島バス(約1時間)ー戸隠キャンプ場
名古屋:特急しなのー長野駅ー川中島バス(約1時間)ー戸隠キャンプ場
戸隠キャンプ場
住所:長野県長野市戸隠洞沢3694
TEL:026-254-3581
FAX:026-254-3022
駐車場は高妻山登山者用、無料駐車場をご利用下さい。
高妻山登山者用、無料駐車場
戸隠キャンプ場から徒歩1分の場所に、公共の無料駐車場があります。駐車台数は70台。前日に到着して、車中泊するのも1つの方法です。
住所:長野県長野市戸隠
いつか挑戦したい信州の名峰
高妻山、戸隠連峰はいかがでしたか?上級者向けの高妻山・戸隠山縦走ですが、登山そのものは日帰りが可能です。服装や装備を十分に吟味し、登山経験を積んだ上で挑戦したい山ですね。ナイフブリッジや鎖場を超えた先には、大パノラマが広がっています。幾人もの登山者の心を掴んだその景色。是非あなたのその目に焼き付けて下さい。
戸隠キャンプ場のそばにある、公共の無料駐車場です。