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サイドスリップの調整方法とは?車検での検査基準や自分でのやり方を解説!

サイドスリップの調整方法を紹介します。車検のチェック項目の1つであるサイドスリップは、車検を取得するためだけでなくその車の走行性能にも大きく関わる大切な要素です。サイドスリップの仕組みや自分で行う調整方法、テスト方法、依頼する場合の工賃などをも説明します。
2020年8月27日
tryyua
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はじめに

自動車を所有している方ならだれでも知っているのが2年に1度訪れる車検です。この車検の際に検査される項目の1つとして知られているのがサイドスリップですが、今回はこのサイドスリップについて紹介します。サイドスリップの定義やその構造・仕組み、そしてテスト方法、調整方法や調整に必要な工具など、工賃節約のためにユーザー車検を検討している方が学習・習得したい内容・知識が満載です。

サイドスリップの定義

直進中にタイヤが横滑りする程度

サイドスリップは車が直進しているときに発生するタイヤの横滑りの程度を表すものです。ステアリングをまっすぐにした状態でタイヤが直進方向に確実に向いていれば、車はまっすぐ走ります。しかし、もしハンドルをまっすぐにした状態でタイヤが正確に直進方向を向いていなければ、車が進むたびに左右どちらか横にずれてしまうのです。これが直進中のタイヤの横滑り、つまりサイドスリップというものになります。

正面から車を見てみる

サイドスリップを検査するには検査器具や工具そして基準値を定めるなど必要条件が数多くありますが、サイドスリップを理解する最初のステップ・やり方としてまずは正面から車を見てみると良いです。ステアリングをまっすぐにして、その状態で車を正面から観察します。この時に確認するの車ではなく、フロントタイヤです。フロントタイヤを注意深く見てみると、左右のホイールがハの字や逆ハの字、ないしはそれらの中間つまりまっすぐな状態になっているのです。左右の開き・閉じ具合を細かく検査すると若干違いがあることも目視で確認できます。

車検でもチェックされる

サイドスリップは車検でチェックされる項目の1つになります。そのため、車検前にはもちろん、常日頃からサイドスリップ検査をいつでも受けられるように車両に適した基準値に自分でやるないしは業者にやってもらうことが大切です。

サイドスリップ理解に必要な専門用語

トーイン

タイヤの角度が内側に向いている状態をトーインと言います。トー角がトーインとなっている場合、タイヤが内側に向いているため車を真上から見るとハの字になっているのが特徴的です。トーインの場合、プラスという基準値がついてから数値が付けられます。日本ではmmで表されることが多いので、数値が大きければ大きいほどより内側に向いています。トーインに調整されたフロントタイヤ(前輪)は緩いステアリング特性と直進安定性を生み出し、トーインのリアタイヤはコーナーリング性能を高めます。

トーアウト

トーアウトはトーインと対をなすものです。つまり、トー角が外側に向いていて真上から見ると逆ハの字になるようなトー角になっているものを示します。意図的にトーアウトにするのは前輪のみで、後輪をトーアウトにするセッティングは基本的にはありません、なぜならトーアウトよりもトーインに調整された後輪はより限界性能が高いからです。


アライメント

ホイールの位置を調整することをアライメントといいます。トーイン・トーアウトに関係するトー角の調整もアライメントの1つです。アライメントのやり方次第で車の走行性能は大きく変化します。トー角以外には、タイヤトレッド面と地面の接地量に影響するキャンバー角や、操舵回転の中心軸の角度を示すキャスター角もアライメントに含まれています。それぞれ調整のやり方は違い、自分ですぐ調整できるアライメントから、手間のかかるアライメントまでいろいろあるのです。

サイドスリップ(トー角)調整に必要な工具

レンチとモンキー

サイドスリップ(トー角)調整に必要な工具に外せないのがレンチとモンキーです。トー角は、タイロッドとタイロッドエンドの長さを弄ることでトーインにしたりトー角にしたりと調整することができます。具体的にはタイロッドを回すことでタイロッドの長さを変更させるのですが、その際にはロックナットを緩めたりタイロッドを回すためにその規格にあったレンチやモンキーが必要になるのです。モンキーなら幅を調整できるので、レンチの代用として重宝します。

アライメントゲージ

トー角に関して言えば、アライメントゲージはトー角がどれくらいの角度になっているのかを示す工具です。かなり良いお値段しますので、おそらく自前で持っている方は少ないことでしょう。アライメントゲージを使えばトー角がインを向いているのかアウトを向いているのか、そしてそれらがどれくらいなのかを角度で教えてくれる便利な工具です。

フロアジャッキやジャッキスタンド

フロアジャッキとジャッキスタンドを揃えておくと作業を効率的に進められます。トー角調整しようとするとタイロッドを弄るやり方しかありませんので、フロアジャッキでフロントタイヤを浮かした状態でステアリングをロックするまで回してタイロッドを弄るやり方をするとタイヤにも整備者にも優しいです。万が一を考えてジャッキスタンドにかけておくと安心でしょう。

サイドスリップの調整方法

現状のトー角を測る

そもそもサイドスリップの調整が必要かどうかを判断するために、まずは該当車両のトー角を測定します。問題はその時のトー角の確認方法です。販売されているアライメントゲージを使うやり方が手っ取り早いですが、1600mmくらいの固くてまっすぐな2本の棒を利用して測定するやり方もあります。やり方は自身にとって都合の良いやり方で行えばよいでしょう。いずれかのやり方で測定した後、またはその前にサイドスリップテスターで基準値ないかどうかをざっくり調べるやり方でも良いです。

タイロッドとタイロッドエンドのロックナットを緩める


トー角がどれくらいになっているのか調べたら実際にトー角を調整します。フロントタイヤの前側と後ろ側どちらにタイロッドがあるかを確認して、タイロッドエンドとタイロッドを固定しているロックナットを緩めてください。タイロッドエンドをレンチやモンキーで抑えて回らないようにして、それからロックナットを同じようにレンチやモンキーで緩めます。

タイロッドを調整する

タイロッドがタイヤの前側か後ろ側にあるかでタイロッドの弄り方が変わります。後ろ側にある場合、タイロッドを伸ばすことでトーイン、縮めるとトーアウトとなります。タイヤ前側にタイロッドがある場合、タイロッドを伸ばすとトーアウトで、縮めるとトーインです。希望の方向に自分でタイロッドを調整してあげましょう。本締めはまだ行わないでください。

変更後のトー角を測る

トー角を調整したら、再度サイドスリップやトー角をチェックして基準値を満たしているか確認します。トー角でチェックするなら、トー角0度になるように揃えておけばOKです。納得するまで何度も調整を繰り返します。

本締めしてテスト走行

基準値内のサイドスリップやトー角になったらロックナットを本締めしましょう。本締めしたらテストで家の周りを1週走行してロックナットにゆるみがないか一度確認してください。しっかり閉まっていることを確認できたら、作業は完了です。

サイドスリップ調整と車検

車検でチェックされる

上述したように2年に1度行われる車検ではサイドスリップの検査が行われます。サイドスリップの検査に合格しなければ当然車検を取ることができません。そのため、車検前には必ずサイドスリップ量が規定内に収まるように、事前に自分でトー角を調整する又は業者に依頼して工賃を払って調整してもらいましょう。自分で調整する場合、テストをして正確にしたうえで本締めをするようにしてください。

1m移動したときに±5mm以内ならOK

車検のサイドスリップ検査では、車が1m移動したときの前輪サイドスリップ量は±5mm以内に収まっていなければなりません。これは、道路運送車両の保安基準の細目を定める告示 第91条のルの項目においても定められています。別の言い方をすれば、1m移動したときのフロントタイヤのサイドスリップが±5mm以内であれば、多少トー角がずれていても問題ないということです。以上のことから、正確なトー角であることに越したことはないが多少はずれてもOKということになります。DIYでするようなやり方の場合には多少のずれは妥協しましょう。

サイドスリップ調整にかかる工賃

ディーラー相場は4,000円くらい

サイドスリップ調整を業者に依頼した場合の工賃は、ディーラーの相場では4,000円程度と言われています。なおこの場合の作業手順としては、まず初めにサイドスリップを測って現状を確認し、測定結果が基準値外であったら調整を行う、というような感じです。陸運局(車検場)の近くにあるテスター屋でもサイドスリップ調整は可能で、テスター屋だと比較的安い費用でできると言われています。

部品交換時にかかる費用


交通事故や縁石との接触などでタイロッド部分に強い衝撃が加わった場合、タイロッドやタイロッドエンドが壊れてしまう場合があります。その場合には部品を新品ないしは異常のない中古部品に交換する必要が発生するのです。気になる部品の価格ですが、コンパクトカーであればタイロッドで3,000円弱、タイロッドエンドならそれよりも安い価格になります。もしタイロッドが折れるくらいの衝撃が加わると、タイロッドだけでなくクロスメンバーなども壊れる可能性がありますので、DIYで直す時にはタイロッド交換の際にはその周りも同時に自分で確認するようにしましょう。

サイドスリップ調整時の注意点その1

調整を確実に行う

サイドスリップの長を確実に行うようにしましょう。つまりはトー角調整ということになりますが、トー角調整が基準値からかけ離れているとハンドリングやタイヤの摩耗に悪い影響を与えます。そのため、工賃をはらってやってもらうならそれはそれでOKです。自分でやる場合には環境を整え、テストをして調整結果を必ず確認してください。

サイドスリップ調整時の注意点その2

できるだけ水平な地面でおこなう

トー角調整やサイドスリップ測定の際は、できるだけ水平な地面でテストしてください。そうすることで正確な数値を出すことができ、基準値かどうかを確実に調べられます。テスト環境を整えることが大切です。

まとめ

信頼できる整備工場に工賃を払ってやってもらうと確実ですが、工賃節約・技術習得を目的にDIYでサイドスリップ(トー角)調整に挑戦しても良いでしょう。必要工具や環境など注意点などいくつかありますが、ぜひ挑戦してみてください。

アライメントに関して気になる方はこちらをチェック