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ヒラタクワガタの飼育方法は?繁殖させるコツから幼虫の飼育方法まで解説!

ヒラタクワガタの力強さは魅力的で、飼育してみたいと思う方も多いはず。しかし、飼育していく上では正しい飼い方を知っておく事も必要。ヒラタクワガタ初めて飼う人や、産卵や繁殖を見据えた「ブリード」を目指す人ならではの飼い方もご紹介いたします。
更新: 2022年4月17日
amarunba
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ヒラタクワガタの飼い方:はじめに

国内で12亜種 外国産も含めれば20亜種以上

ヒラタクワガタと言うのは、非常に大きなカテゴリー。地域によって個体差があり、日本国内でも本州などに生息する「本土ヒラタ」と言われる物から、「ツシマ」「ダイトウ」「イキ」などの離島に生息する物まで様々。地域によってその生態が変わりますので注意が必要です。
 

初めて飼うなら、貴方の住んでいる地域のヒラタクワガタを

地域によって亜種に分かれるヒラタクワガタ。全く気候が違うという種類は管理も大変です。
自分が住んでいる地域に生息する種類のヒラタクワガタなら、温度管理など楽になります。もちろん野生のヒラタクワガタを捕まえてもOK!飼い方は変わりませんし、何より地元のヒラタクワガタを飼育できると言うはブリードの醍醐味です。

ヒラタクワガタの飼い方:基礎知識

ヒラタクワガタとは?

ヒラタクワガタはオオクワガタに近い種類のクワガタ。熱帯地域が原産とされ、湿度の高い場所を好みます。海外では100mm超、日本国内でもイキヒラタで80mm個体が野生で存在するなど、クワガタでは最大級の種類。

本土ヒラタのメスはオオクワガタ・コクワガタに似ています。ツヤはありますがオオクワガタのように羽にスジはほとんど見られず、コクワガタと違って前足が湾曲しているのが特徴です。

南にいくほど大型 北では個体数減

元々熱帯が原産とされるヒラタクワガタ。西日本では多く見られるのですが、東日本ではサイズも小さくて個体数も少ない傾向。関東地方ではオオクワガタ同様にお目にかかれないということで、一部地域では純絶滅危惧の指定を受けている場所もあります。

ヒラタクワガタは飼い方が難しい?

ペアリングが少々手間 通常の飼育はオオクワガタ同様に簡単

ヒラタクワガタは気性の荒さが魅力的なのですが、メスに対しても攻撃的な行動に出る場合があるのでペアリングの場合は手間がかかります。最悪「メス殺し」というケースも考えられます。

これが「ヒラタクワガタの飼育が難しい」と言われる要因なのでしょうが、正直オオクワガタでもオスがメスを攻撃したり、またはその逆のケースがあります。どの品種でも多かれ少なかれペアリングにはリスクが伴います。如何にしてそのリスクを回避するかが、ただの飼育とは違う「ブリード」と言われる領域なのではないでしょうか。

国内種の成虫寿命は2-3年 余裕を持った飼育が可能

雪が降る地域であっても、そこを生息地にするヒラタクワガタは越冬が可能です。成長での寿命は2-3年と言われています。

なので焦って無理に繁殖させようと思わなくても大丈夫。2-3年の間にペアリングを完了し、産卵へとつなげれば良い訳です。むしろ1度越冬させた方が産卵数が多くなると言われており、産卵させる時期はペアリングした年の秋か翌年の春が考えられます。

ヒラタクワガタを「買う」

オオクワガタより安価?

かつてのクワガタブームでの火付け役となったオオクワガタ。1mmで数万円数十万円の値段が変動してたわけですが、これは飼育方法の確立によって大型化が容易になったことで価格が安定化しました。
ヒラタクワガタならオオクワガタより安価だろう?

と思っていたら、大間違い。今でも数万円単位の価格で取引されることは珍しく無いのです。これはただの大きさではなく、クワガタの見た目や地域性も含めた血統などが重視されているため。しっかりとした血統の持ち主はブランドになるのです。

とはいえ、高ければ良いという物でもありません。野生で捕まえればタダみたいなものですが、野生採集個体というのも立派なブランドになるのです。ペットとして迎え入れられる良いヒラタクワガタを選びましょう。

初めて飼うなら、飼育セットで

ヒラタクワガタの成虫を飼うのであれば、飼育セットを揃える必要があります。専門的に取り扱っているショップであれば必要な用品を見繕って貰えますので、合わせて購入しましょう。飼い方も教えてもらうと、より安心です。

飼育に関する情報に溢れている

飼育方法ははいろいろ

調べればヒラタクワガタの飼い方はわかります。それでも「良い飼育セットは?」「針葉樹マット?発酵マット?」「ペアリングの時期はいつ?」「幼虫に使うのはマット?菌糸ビン?」と悩みどころは尽きません。そもそも明らかにベテランであろう人達が、ショップの中で悩んでいますから、初めて飼う方が悩まないわけが無いのです。私もそれなりにクワガタを飼育し続けていましたが、今でも悩みどころはあります。

その悩みどころを共有し、より良い飼い方を求めるのがブリードの楽しさ。ここからご紹介する内容で、こだわりの飼い方を見つける手助けになれば幸いです。

飼育ケースの選び方

コバエ対策済みの飼育ケースがオススメ!


ヒラタクワガタを飼育する上でコバエが発生することがあります。これは飼育ケース内にコバエが侵入し、そこで繁殖するため。ヒラタクワガタより先にコバエが繁殖するなんてイヤ!というわけで、近年ではコバエが侵入し難いケースという物があります。具体的には
「コバエシャッター」「デジケース」
「クリアスライダー」「クリーンケース」
などがあります。これらのケースを用いた飼育セットは中が観察し易いのがメリットです。

コンテナボックスを飼育ケースに

衣装ケースやコンテナボックスでも代用できます。私自身もコンテナボックス派。コンテナボックスは積み重ねが考慮されており、重量に対する耐久性も高め。コバエの侵入を阻む適度な通気性もあります。

既存の飼育ケースなら新聞紙を活用

既存の飼育ケースがあるなら、フィルターを用いれば大丈夫。不織布や新聞紙をフタで挟み込みましょう。こうすることでコバエの侵入と湿度を保つ機能が付与されますので、マットへの給水回数も少なくて済みます。

インセクトランド 虫よけシート1番

出典:Amazon

ペアリングの時期以外は個別飼育

クワガタは相手を攻撃する事があるので、それぞれ個別管理が必要です。1つのケースを2部屋に仕切ることが出来るケースもありますので、それらを活用しましょう。

成虫用のマットの選び方

ただ飼育するだけであれば針葉樹マットやハスクチップがオススメ

ショップに行くといろんなマットがあります。目的は様々ですが、成虫を飼うだけであればどのマットを選んでも問題はないと言えます。

成虫管理で重要なのはニオイやダニ・コバエの抑制。これらの機能を満たすのが「針葉樹マット」「ハスクチップ」です。針葉樹マットはヒラタクワガタに付着したダニを追い払うのにも使えます。ハスクチップはそれ自体が大粒なので、転倒復帰を手助けする効果も期待できます。他には保湿性を高めるための「水苔」などを使う人も居ます。

エサの選び方

基本は昆虫ゼリー

エサは別にバナナやリンゴでも構いません。ただ、これらの果物はマットを汚し易い上に、鮮度が落ちやすくてコバエ発生の原因になり易いです。

なので、現在は昆虫ゼリーを使うのが一般的になりました。当初は人が食べるゼリーの様な容器でしたが、最近は平皿型のワイドカップもあります。ワイドカップの方がオスが最後までゼリーを食べられるのでオススメです。

産卵前後の時期には高たんぱく質の物を

ペアリングや産卵と言った時期は体力を消耗します。特にメスは産卵する上で卵を産むわけですから、タンパク質を求めるようになり、時にはオスをエサにすることもあります。

これに対してはタンパク質を配合したゼリーがオススメです。これを使うことでメスがオスを襲うというリスクを低減できます。

ペアリングのさせ方

ヒラタクワガタのブリードでの難所?

気性の荒いヒラタクワガタのペアリングには勇気が必要。オスがメスを敵と認識したり、交尾を受け入れない事に腹を立てるなどの理由で攻撃する事があるため。ヒラタクワガタの大アゴは他の昆虫を両断するのは朝飯前。結果としてメス殺しに至ると言うケースがあるのです。
 

ペアリングの時期は「羽化後エサを食べ初めて3ヶ月以上」

サナギから羽化し、その後エサを食べ始める「後食」がヒラタクワガタの成熟度合いの一つの目安。更に成熟を促すため後食開始から大体3ヶ月以上経過した時期をペアリング開始時期となります。他のクワガタやカブトムシですと成熟はもっと早いわけですが、数年単位の成長寿命があるヒラタクワガタの成熟時期はやや遅め。

成熟しないと相手を異性とは認めず交尾につなげられません。これも相手を攻撃する要因となりますので、気長にペアリングの時期を待ちましょう。

同居ペアリングとアゴ縛り


ヒラタクワガタでは必須とも言われる作業。実際のところメス殺しはオオクワガタでも起こることはあるので、大事なメスを守り、なんとしても産卵・繁殖とつなげたい場合はこの方法を使います。

明らかにオスには多大なストレスをかける方法なので1週間の同居ペアリングを目処にこのアゴの拘束は切り外します。縛り上げる際にも自分の指を挟まれたり、結束バンドの切断の際に触角などを切らないように注意が必要です。

ハンドペアリング

交尾と言うのはオスメス共に体力を消耗します。アゴ縛りをした場合のオスのストレスも考えると早めに切り上げた方が良い訳です。

そこでハンドペアリングという交尾を直接確認するペアリング方法があります。この方法では人間の手でオスとメスを接触させ、危険であると判断すれば切り離しも可能。ただ、手を出したところを挟まれる可能性があるので同居ペアリング同様にアゴ縛りをしても構いません。なおオスが時折メスを挟むような動作を見せることがありますが、これは求愛行動です。

極小のオスでペアリング

大きくなれば挟む力も強くなりますし、闘争心や攻撃性も増します。そこで小さなオスをあえて使うと言うのも一つの手段。ようはメスが挟まれなければ良いので、メスを挟むのに苦労するような大きさのオスであれば大丈夫だろうと言う考えです。

産卵のさせ方

重要なのは「マット」の方

クワガタ用の産卵木にも色々。ホームセンターにある産卵木や、キノコの菌糸を培養した産卵木間で様々です。ヒラタクワガタにも産卵木を用いた産卵セットは有効ですが、ヒラタクワガタの産卵セットで重要なのはマット!マットだけのセットでも産みますが、逆にマットの良し悪しが卵や幼虫を左右すると言えるのです。

使用するのは「2次発酵マット」

一般的なホームセンターにあるのは1次発酵マットやカブトムシ向けの黒い発酵マット。ヒラタクワガタに使用するのはその中間の焦げ茶色程度まで発酵させた2次発酵マットです。これで産卵セットを組みます。
この2次発酵マットというのは栄養価が高いマットでして、そのまま幼虫のエサにもなります。菌糸ビンと同様に研究がなされていますので、2次発酵マットでのブリードをしている方も多いです。

幼虫の取り出し時期は産卵セット内に幼虫が見えたら

産卵セットの外から幼虫が見えるようになれば繁殖成功。この時期を見計らってメスを取り出し、更に2週間程残りの卵の孵化を待ってから取り出します。

幼虫と菌糸ビン

菌糸ビンはヒラタクワガタでも有効

オオクワガタでよく使われる菌糸ビンですが、ヒラタクワガタでも多くの方が菌糸ビンでのブリードを行っています。オオクワガタ同様に菌糸ビン1ポンに対して幼虫1匹で管理します。

菌糸ビンの交換時期

菌糸ビンの交換時期は3ヶ月が1つの目安。もちろん以上に菌糸ビンを食い散らかしたりすれば交換です。菌糸ビンの上部に這い上がってくる場合は酸欠などの理由でその菌糸ビンが合っていないからかもしれません。一旦その菌糸ビンの換気や使用中止を考えましょう。

幼虫と2次発酵マット

2次発酵マットでのブリード

菌糸ビンでのブリードが注目されますが、ヒラタクワガタでは2次発酵マットでのブリードも盛んに行われています。

菌糸ビンブリードをする場合、サナギになる時期に幼虫が暴れて体重を落とすことがあります。ヒラタクワガタの場合特に顕著で、その時期の幼虫に菌糸ビンは合っていないのではないかと考えられています。そこで最初から2次発酵マットを使用したり、サナギの時期を見計らってマットでのブリードに切り替える方も居ます。

発酵マットでのブリードはこだわり

実は発酵マットは1次発酵マットなどをベースにして自分で発酵させて作ることが出来ます。作る際には発酵に伴う悪臭もあるのですが、それでもやるのはブリードする上でのこだわり。

もちろん発酵に失敗するケースもありますが、自分の調合で発酵させたマットで結果を求めると言うのもブリードする上での醍醐味かと思います。

ヒラタクワガタ飼育での困り事 コバエ

コバエの繁殖を止める

何かしらの理由で飼育セット内でコバエが繁殖してしまったらどうするか?まずは繁殖をとめる為に繁殖元を止めます。腐敗したエサで発生するショウジョウバエならエサや汚れたマットを取替え。マットをエサにするキノコバエならマット交換です。
 


部屋のコバエを退治する

コバエの繁殖元を断ち切ったら部屋に飛び回っているコバエも退治。ここで退治しないとまたコバエの繁殖につながります。
とはいえ飼育部屋に殺虫剤を撒く訳には行きませんので、それぞれのコバエにあった対処法を使います。ショウジョウバエには誘引剤方式の殺虫用品を使うと効果があります。

キノコバエには紫外線で誘き寄せる電撃殺虫器で退治。これはコバエ以外の虫にも効き目がありますが、ヒラタクワガタもこの光に反応するので、あまり多用しない方がいいとは思います。

ヒラタクワガタ飼育の困り事 温度管理

ヒラタクワガタでも30℃以上はツライ

高温多湿な気候を好むとされるヒラタクワガタですが、野生のヒラタクワガタは日中は日陰で過ごし、涼しくなった夜間に活動します。飼育セット内では涼しい場所に移動できないので、飼育している人間が快適な環境を整える必要があります。

冷温庫やワインセラーを利用

成虫なら~28℃、幼虫なら更に低い温度が望ましいです。
手軽なのが冷温庫を利用する方法。容量は小さいですが、「夏は冷やし」「冬は温める」という2つの機能を同時に果たせるのは魅力的です。

ワインセラーは高価ですが更に大容量です。しかし設定温度は~18度までと低めでそのままでは使えません。温めるためのヒーターやそれを制御する電子サーモスタットの類が必要となるなど、ワインセラー以外の費用もかかりますが、夏の温度管理と言う面では非常に効果的です。

ヒラタクワガタ飼育での困り事 飼育数の増加

増えたヒラタクワガタを管理する環境

当然の事ながら産卵させ、それを育てればヒラタクワガタは増えていきます。それが繁殖なのです。そこで問題になるのは飼育スペースとコストでしょう。幼虫用にビンが増え、成虫用に飼育ケースが増えるわけです。幼虫用のビンはまだ棚などを活用すれば良いでしょうが、飼育ケースはエサを与える手間も考えなければいけません。

そこで私は「サンイデア 釘ボルト箱 #104」と言うものを使って成虫を管理しています。釘やボルトを収納するための物で仕切りが付いており、そのままで最大10の個室が作れます。アマゾンやホームセンターのコメリなどで取り扱われています。

飼いきれない場合は殺処分も

明らかにキャパオーバーの場合は飼い方が間違っています。その場合は誰かに譲り渡すか、殺処分を検討します。野生に放つのはダメです。その地域で取れた物ならばまだしも、他の地域のヒラタクワガタを野に放つのは遺伝子汚染となり、その地域固有のヒラタクワガタが消えてしまいます。
殺処分と聞くと非常に可哀想だと思いますし、それに踏み切るというのは間違った飼い方をした事を認めねばなりません。野に放つのは天敵に晒すことで、生殺与奪を自然の摂理に委ねただけ。それはあまりにも身勝手な行為ですし、やっていることは犬や猫を捨てるのと変わりありません。

まとめ

ブリードを楽しむコツ 「命を扱うことを理解する」

「飼う」という事は「命を見届ける」と言うこと。生と死を受け入れるというのは難しい事だと思いますし、悩まずにはいられません。
しかし飼う上で悩むのは正しいと言えます。それだけヒラタクワガタの事を考えるが故に悩みが出るわけです。逆にヒラタクワガタを飼うことで悩める人は正しくヒラタクワガタを飼うことが出来ると思いますし、ブリードをする上で楽しむことも出来る人だと思います。