ヘリオトロープってどんな植物?
ヘリオトロープは、南アメリカを原産とする植物です。日本の冬のような寒さのない現地では多年草の種類で木のように成長しますが、日本の寒さが苦手です。そのためヘリオトロープは、日本では一年草の種類として分類されます。ヘリオトロープは、可愛らしい花姿から寄せ植えなどガーデニングに人気です。さらにヘリオトロープの花からはとてもよい香りがすることから、香水や精油などさまざまな種類の香り商品が作られます。
ヘリオトロープの花の特徴
ヘリオトロープの花の咲く時期は、5~10月ごろです。ヘリオトロープのひとつひとつの花はとても小さく星のような形をしています。紫の真ん中に白色のはいったちいさな花は、たくさん集まってドーム状を形成します。
ヘリオトロープの葉の特徴
ヘリオトロープの葉っぱの色は、明るいグリーン色で、葉脈がくっきりしています。ヘリオトロープの葉っぱの形は、やや長い楕円形で、先がとがっています。
ヘリオトロープの香り
ヘリオトロープの花はとてもよい香りがします。まるでバニラを思わせるような甘い魅惑的な香りがすることから、さまざまな種類のアイテムに利用されます。香水や石鹸、精油といった種類です。ヘリオトロープは、香りのよさから「匂ひ紫(においむらさき)」、「香水草(こうすいそう)」という別名で呼ばれることがあります。また英語でヘリオトロープは、「cherry pie」。ヘリオトロープはバニラのほか、アーモンドを含んだチェリーパイの香りと評されることもあります。
ヘリオトロープの精油について
とてもよい香りから精油の原料ともなるヘリオトロープ。ただし精油のなかには、本当のヘリオトロープが使われず、合成香料を使った種類も。また、精油は現在、よい香りを楽しむためのもので、効果効能はあまりありません。
ヘリオトロープは寄せ植えにぴったり
ヘリオトロープは、草姿が整った植物。また紫や白の小さな花は、ほかのどんな植物との相性もよく、寄せ植えするのにぴったりです。ヘリオトロープを中心に据えて、背の低い植物を周りに植えると素敵です。ただし、ヘリオトロープは、弱アルカリ性の土壌を好む植物なので、おなじ弱アルカリ性を好む植物を一緒に寄せ植えするとよいでしょう。
ヘリオトロープの基本データ
科名属名
ムラサキ科キダチルリソウ属
学名
Heliotropium arborescense
和名
ヘリオトロープ
別名
木立瑠璃草(きだちるりそう)、匂ひ紫(においむらさき)、香水草(こうすいそう)
英名
Heliotrope、Cherry pie
原産国
南アメリカ
ヘリオトロープの花言葉
ヘリオトロープには、4種類の花言葉があります。どの花言葉も素敵なものばかり。では、4種類の花言葉をひとつずつ詳しく見ていきましょう。
花言葉1・献身
ヘリオトロープには、「献身」という花言葉があります。5~10月と長いあいだ花を楽しませてくれる姿からつけられた花言葉です。なお、花を長期間楽しむためには、定期的に肥料を施し、こまめに花がら摘みなどの剪定をおこなうのがコツです。
花言葉2・永遠の愛
「永遠の愛」という花言葉は、ギリシャ神話の悲恋の物語に由来します。水の精クリティは、太陽神アポロンに秘かな恋心を抱いていました。当時、アポロンにはレウトコエという恋人がいました。嫉妬心にさいなまれたクリティは、二人の仲をレウトコエの父王に密告します。レウトコエは王の怒りに触れ、生き埋めに。クリティは、この事件を哀しみ、また自分のおこないを心から後悔し、何日も地べたに座ったままじっと太陽を見つめていました。そのままクリティはヘリオトロープの姿になってしまいました。
花言葉3・夢中
ヘリオトロープの花はその開花とともに、とても甘くてよい香りを漂わせます。香りを嗅いだひとは誰しもヘリオトロープに夢中になってしまうほど。そんなヘリオトロープの香りの特徴から「夢中」という花言葉が生まれました。
花言葉4・誠実
ヘリオトロープは、原産地の南アメリカでは多年草に属する植物で、一度植えておくと毎年可愛らしい花を咲かせ、人々を楽しませてくれます。そんなヘリオトロープの特徴からイメージされ、「誠実」という花言葉がつけられました。
ヘリオトロープの育て方1・土づくり
ヘリオトロープは、水はけのよい土壌を好む植物です。小粒の赤玉土に腐葉土や川砂を少し混ぜたものを準備しましょう。市販の草花用培養土を利用してもよいでしょう。また、ヘリオトロープは弱アルカリ性の土壌を好むので、苗を植え付ける2週間くらい前に、土に苦土石灰を混ぜ込んで寝かせておきましょう。
ヘリオトロープの育て方2・肥料
ヘリオトロープには、はじめに苗を植え付けるときに元肥として緩効性肥料を施します。そのあと、3~10月ごろまで、1カ月に1度の割合で、同じ緩効性肥料を与えましょう。ただし、真夏の暑い時期は肥料を施すのを控えましょう。
ヘリオトロープの育て方3・水やり
ヘリオトロープは、乾燥に弱い植物で、水が不足すると葉っぱをしわしわにしてサインを出します。とくに寄せ植えなど鉢植えにしている場合は注意が必要です。こまめにチェックして、ヘリオトロープを植えている土の表面が乾いたら、すぐにたっぷりと水やりをしましょう。夏場はさらに気をつけてください。
真夏と真冬の水やり
夏場の水やりは、朝夕の気候の涼しい時間におこないます。昼間の気温の高いときに水やりすると、あげた水が鉢のなかで温かくなり、ヘリオトロープの根っこを傷めてしまうことがあります。また、冬場の水やりは少し頻度を減らしましょう。
ヘリオトロープの育て方4・場所
ヘリオトロープは、日当たりのよい風通しのよい環境を好む植物です。ただし、西日や直射日光がじりじりと当たるのは苦手です。寄せ植えなど鉢植えにする場合は、季節に応じて環境のよい場所に移動させてあげるとよいでしょう。地植えの場合は、根元にバークチップなどを敷いて、暑さ対策をしましょう。
冬越しできれば多年草として楽しめる
ヘリオトロープは、本来多年草なので、うまく冬越しさせることができれば、次の年も花を楽しむことができます。その場合は、ヘリオトロープを鉢植えにして、冬は鉢を室内の暖かいところで管理するのがポイントです。
ヘリオトロープの育て方5・植え付け
ヘリオトロープの植え付けに適した時期は3~6月もしくは9~10月ごろです。ヘリオトロープの苗を土からすぽんと抜き取ります。土を準備した鉢やガーデンにヘリオトロープを植え付けます。植え付けたヘリオトロープが根付いてしっかり安定するまで、日当たりのよい風通しのよいところで管理しながら、水やりを続けましょう。
ヘリオトロープの育て方6・植え替え
ヘリオトロープを寄せ植えなどの鉢植えにしている場合は、根詰まりを防ぐために定期的な植え替えが必要です。だいたい2年に1度の割合で植え替えをします。また2年経っていなくても、鉢の底から根っこがはみ出しているようなときは植え替えをおこないましょう。ヘリオトロープの植え替えに適した時期は、3~6月もしくは9~10月ごろです。
軽く根っこをほぐすのがポイント
これまでよりひとまわり大きめの鉢を準備しましょう。植え替えたいヘリオトロープを土から取り出して、手で軽く根っこをほぐします。新しい土に植え替えたら、根っこがしっかり根付いて安定するまで、日当たりのよい風通しのよいところで管理しながら、水やりを続けましょう。
ヘリオトロープの育て方7・剪定
ヘリオトロープは、花がら摘みや切り戻しなどの剪定をこまめにすることで、より美しい花姿を保つことができます。
花がら摘み
5~10月ごろに次々と花を咲かせるヘリオトロープ。よく観察してみるとひとつの花が咲いているのは3日くらいです。どんどんと枯れていきますので、こまめに花がら摘みをしましょう。花がら摘みには見た目をよくするだけでなく、蒸れを防ぎ病害虫の発生を抑制する役割があります。
切り戻し
ヘリオトロープの花の咲く時期は、5~10月。ただし真夏の暑い時期にはパワーが衰え、花はあまり咲きません。春にひととおり花を咲かせ終えたら、ヘリオトロープの茎をだいたい2分の1くらいに切り戻してあげましょう。切り戻したところから新しい芽が出てきて、秋にまた可愛らしい花を咲かせてくれるでしょう。
ヘリオトロープの育て方8・病害虫
病気
ヘリオトロープには、それほど病気の心配はありません。
害虫
ヘリオトロープには、それほど害虫の心配はありません。
ヘリオトロープの増やし方1・種まき
ヘリオトロープの増やし方のひとつめは種まきです。ヘリオトロープは比較的発芽しやすく、種まきによる増やし方はおすすめです。ヘリオトロープの種まきによる増やし方に適した時期は、3~5月ごろです。ヘリオトロープの発芽適温は約20度ですので、本来9~10月にも種まきできますが、冬が苦手で冬越しが難しいので、春に種まきするのがベストです。種まき用の土を入れた育苗ポットなどに種をばらまきします。土を薄く被せたら、日当たりのよい風通しのよいところで管理しながら、水やりを続けましょう。だいたい1カ月くらいで発芽します。発育のよくないものなどを間引き、本葉が4~5枚になったら苗の完成です。寄せ植えなど好きなところに植え替えましょう。
ヘリオトロープの増やし方2・挿し木
ヘリオトロープの増やし方のふたつめは挿し木です。ヘリオトロープは比較的発根しやすい植物なので、挿し木はおすすめの増やし方です。ヘリオトロープの挿し木による増やし方に適した時期は、5~6月ごろです。寄せ植えなどで育てているヘリオトロープから、程度のよい茎を10センチくらい切り取り挿し木用とします。挿し木用の茎を発根剤を入れた水に数時間浸けておきます。土を準備した育苗ポットや鉢に挿し木します。20度くらいの気温下だと、だいたい1カ月くらいで発根します。挿し木したものから発根して苗が安定するまで、日当たりのよい風通しのよいところで管理しながら、水やりを続けましょう。しっかり根が張ってきたら、挿し木苗の完成です。寄せ植えなど好きなところに植え替えましょう。
ヘリオトロープの香りは香水や精油になる位よい
ヘリオトロープのとても可愛らしい星型の花からは、バニラを彷彿とさせる甘くて魅惑的な香りが漂います。またアーモンドのようなチェリーパイのような香りと言われることもあります。その香りは古くより香水や精油として重宝され、人々に愛されてきました。ヘリオトロープは冬の寒さが苦手なものの、比較的強くて育てやすい植物。ひとつ植えておけば、長いあいだ花を楽しめますし、なにより実際にヘリオトロープの香りを嗅ぐと、甘い香りのとりことなってしまうことでしょう。