イソメとは
物心ついた時から割と手にしているイソメですが、ムカデやミミズの仲間くらいに思っていませんでしたか?知られざるイソメの正体から迫ってみましょう。
多毛類イソメ目の生物
イソメは多毛類という、細長い体が特徴的な生物の一種です。イソメは世界中の浅瀬の砂地などに生息して、海中の小動物や海藻などを食べています。小さいものは数センチから、大きい種類では1メートルを超える種類もいます。
釣りエサとして使われるイソメ
イソメの種類は多様ですが、日本国内で釣りのエサとして使われるイソメの種類は、かなり限定されています。青イソメや赤イソメといった種類が中心です。
イソメの別名
釣りショップに行くと、イソメではなくゴカイと名札が出ていることがあります。イソメとゴカイは同じ生物を表す名前です。また、ちまたではイワムシだとか、青虫、赤虫などと呼ばれることがあります。ゴカイなだけに誤解のないように覚えておきたいポイントです。
イソメの生態
普段イソメ(ゴカイ)がどんなふうに生活しているか、その生態を知っていますか?イソメの生態の知識を高めたほうが、釣りをする上ではきっとプラスです。
海の砂地に巣をつくる
海のイソメの種類は、岩場に囲まれている海水面下の砂地に、巣を作る生態を持っています。その巣は粘液で固めた柔らかいU字型だったり、鞘状だったりと様々な生態を見せます。1つの巣につき1匹が生息しているのが基本です。
素早く生物を捉える捕食者
人間にとってイソメの生態を見れば、弱々しく思われてしまいます。しかし大きいイソメの個体になるほどに、鋭い顎が発達して恐ろしい捕食者となります。獲物を目の前にすると、驚くほど俊敏に反応して獲物に食らいつく獰猛な生態もあるのです。
千切れても生きる生命力と再生力
イソメに慣れている人ならわかりますが、イソメは千切れた切れ端だけでも、長い時間うごめいています。たいへん生命力が強い生き物です。そしてイソメの生態としては、再生能力は特筆されます。仮に体の後ろ半分が千切れても、1日や2日もあれば、ほとんど再生してしまうのです。
海水がなくても生きられる
海の生物のほとんどは海水がなければ死んでしまいますが、イソメは海水なしでも生きられる、不思議な生態があります。たとえば青イソメは、水無しの状態であっても、冷蔵庫のパックの中で2週間も生き続けることができます。
イソメの違い
エサとなるイソメは、種類ごとに外見の違いがあります。よく釣具店でも見かけられる、3種類の違いを見てみましょう。
青イソメ
体長は5~20センチほどもある、イソメの代表格が青イソメ。表側の見た目が青っぽいことからこの名があります。しかし裏返すと赤っぽいので、表と裏を間違えると赤イソメと誤判断してしまいそうです。青イソメは体が千切れにくく頑丈だと言われています。
赤イソメ
表側の色が赤っぽい色合いをしていることから、赤イソメと呼ばれています。別名は岩イソメ、赤虫。大物がよく食いつくのは、青イソメより赤イソメという話もあります。
袋イソメ
イソメの住居(袋状)ごと販売しているのが、袋イソメです。スゴカイとも呼ばれています。この種類は釣り場で使う時、袋を破って中身のイソメを取り出すことになります。そのため、保存の時からイソメの鮮度が保たれやすい特徴があります。
イソメの購入の注意点
イソメを購入できる場所は、釣具店を中心としますが、近年は通販でイソメを購入できます。ただ通販の場合は、どうしても問題が出てくるようです。
通販のイソメ
イソメの通販は、小さなパック詰めになっているのが基本です。保冷剤と一緒になって、輸送会社に運ばれてきます。イソメ通販では、ダンボール箱で運ばれる場合と、ポスト投函のタイプがあります。
通販のイソメの問題点
問題が出るのはポスト投函のイソメです。輸送時の衝撃で、中の保冷剤が動いてイソメがズタボロになりやすいのです。届いた時には全滅という不幸は頻繁です。
特に気温が上がる5月から10月にかけて、ポスト投函のイソメ生存率は低下します。この時期のイソメ通販は、特に箱詰め輸送をおすすめします。
自動販売機のイソメ
釣具店によっては、イソメを自動販売機で売っていることがあります。自動販売機はよく冷えているので、鮮度には問題ないとされています。近隣にイソメの自動販売機はありませんか?
釣り直前に釣具店がベスト
ともかく新鮮で活きの良いイソメが何よりならば、通販よりは釣具店での購入がベスト。事前に釣具店がどこにあるのか、イソメは扱っているかなど、基本的な情報は下調べしておきたいですね。
天然イソメの入手方法
イソメは買うものだと認識されていますが、実は海に行けばでタダで捕獲することもできます。どこで取れるのか、取る方法なども覚えておきたい知識です。
海辺で石と砂が堆積した場所
青イソメや赤イソメは、手頃な石や砂ががゴロゴロとしている、海水に浸った砂地を好む生態があります。砂を軽く掘るだけで、天然もののイソメをウヨウヨとゲットできる可能性があります。
干潮の海辺
さらに干潮時に海底が露出した地面は、格好のイソメの生息地です。土と砂が混ざり合っていて、富栄養化が進んでいるために、イソメが好んで暮らしています。天然ものを入手したいなら、干潮時にあらわれる地面を、数センチ~50センチほども掘ってみてください。
イソメの保存方法
軽石の細かい砂の中で保存
パック詰めのイソメは、鮮度が落ちやすい状態です。海水を適度に浸透させた砂浜の砂や、軽石の細かい砂の中で保存すると、イソメはかなり長生きします。軽石はもっとも細かい種類のものを選びます。
イソメの常温保存
常温での保存ができるのは、1日の最高気温が15度以下になる秋から春の時期に限定されます。とくに冬場ならば、イソメは1週間程度、常温保存をして問題がありません。ただ冬でも、暖房の利いた部屋はNGです。夏場の気温が高い時期の場合は、常温保存をすると1日で全滅するでしょう。
イソメの冷蔵庫での保存
季節をとわず、保存期間を伸ばすのであれば、冷蔵庫での保存が推奨されます。イソメは冷蔵庫内ならば、長ければ2週間は生き残っていると報告されています。釣りで残った青イソメや赤イソメが残っているなら、すぐに冷蔵庫のかたすみに保存して、次回用にとっておいてください。
釣りの時の保存
冬の釣りでは、外の日陰なら放置しても問題がないです。しかし春から秋にかけての釣りでは、イソメは冷やしながら保存する必要があります。保冷剤入のクーラーボックスなどに保存をすることで、炎天下での生存率を高めます。
イソメの付け方
釣りのイソメには、実は正しい付け方が存在しているのは、ご存知でしたか?正しい付け方をしてこそ、魚がヒットする確率が上昇するので、覚えておきたい情報です。
ちょん掛け
イソメの頭部に近い所を釣り針に刺す、一番簡単な付け方です。イソメがもっとも自然な動きをしてくれるので、魚も食いつきやすくなります。しかし反面で、強度のない付け方なので、すぐに外れてしまう欠点もあります。
通し刺し
釣り針の形状に合わせた付け方です。イソメの頭から胴体にかけて、釣り針を包み込む形に付けられるため、外れにくくなる利点があり、初心者にもおすすめできます。釣り針の先端を出す場合と、出さない場合があります。この付け方は、慣れるまでもそれほど時間を要しません。
縫い刺し
イソメを釣り針に縫うようにして3か所ほど刺していく、高度な付け方です。縫い刺しによってイソメが釣り針から外れにくくなることや、イソメのエサを大きく見せるという効果もあります。
房掛け
ちょん掛けのパワーアップバージョンが、房掛けの付け方。2~3匹のイソメを、1本の釣り針に刺します。青イソメなどをまるごと数匹房掛けする贅沢な使い方もあれば、1匹を三等分に切断して、房掛けする方法もあります。エサが大きく見えることでヒット率が高まります。
パワーイソメとは
近年生きたイソメと共に注目されているエサに、マルキューが製造販売しているパワーイソメがあります。生きたイソメは苦手という人も、これなら触れるし使いやすいと人気です。
パワーイソメの見た目
イソメの外見的な特徴を、まるっきりコピーした形状をしているのが、パワーイソメです。その色は青イソメ、赤イソメなどのほか、茶イソメ、桃イソメといった種類もあってカラフルです。太さは細、中、太、極太と、魚によって違うものが選べます。
パワーイソメの原材料
パワーイソメに用いられている原材料は、生分解性樹脂という自然由来のものです。これは海中に放置されても、プラスチックと違って自然に分解して無害です。パワーイソメによって、環境に配慮した釣りができます。
パワーイソメの正しい付け方
生きイソメと使い方は同じ
パワーイソメの付け方は、生きイソメとほとんど同じと考えられます。動きが無い分だけ、イソメ恐怖症も克服することができます。そのままの長さで使ったり、ハサミで切断して短くしたものを使用します。
推奨されるのは通し刺し
パワーイソメでよく使われている付け方は、通し刺しです。本物のように生きていない分だけ、付ける作業は簡単です。パワーイソメの場合も、釣り針全体を包み込む通し刺しと、釣り針の先端を出す通し刺しの付け方があります。
イソメで狙ってみたい魚
イソメを好む魚は、根魚を中心としてたいへん多いようです。ここではイソメを使う仕掛けで、どんな種類の魚が釣れるのかをチェックします。
キス
青イソメを使わなきゃ始まらないとまで言われるのがキス釣りです。キスは遠浅の砂地の海底を主な生息地としています。イソメを好物としているため、イソメをつけた仕掛けに真っ先に食らい付きます。
ヒラメ
ヒラメも日本近海の砂地の海底に生息している魚で、煮付けはヒラメの代名詞的な料理です。胴突仕掛けなどにイソメを使うことで、ヒラメが食いつく可能性を高めます。
メバル
近海の岩礁帯や港などでもよく見られる、根魚の代表格がメバルです。メバルは主に小魚をごはんにしていますが、動くエサならイソメでも何でも良いと言った感じの、見境なしの生態を持っています。
アジ
小型~中型で美味しい魚の代表格のアジは、イソメを好物としています。近場の港でもよく見られる魚で、釣りはサビキのし掛けが一般的です。サビキの幾つもの釣り針に、短くしたイソメを通し刺しをします。
基本的になんでも釣れる
以上に挙げた魚にとどまらず、海底の砂地の魚、岩礁の魚、沖合の青物、アオリイカまで、なんでも釣れてどんとこい状態なのがイソメです。魚にとって好き嫌いが少ないイソメなら、釣れる魚の種類に制限はありません。
釣れるイソメの仕掛け①
ウキ釣り仕掛け
昔から釣りの基本といえば、シンプルなウキ釣り仕掛けです。イソメを使う釣りでは、食いついた時にすぐに目で見てわかりやすいという利点があるので、初心者向きな釣り方にもなります。
シーバスのウキ釣り
海岸沿いによくいるシーバスは、ルアーフィッシングが流行りですが、青イソメを使った釣り方もできます。シーバスのウキ釣りのタックルでは、スピニングロッドや万能ロッドを用います。電気ウキと呼ばれる光るウキを使うのが特徴的です。
アジの浮き釣り
ウキ釣りでアジを狙う釣り方があります。小型の1.0~1.5号程度の磯竿を用い、棒ウキを使います。アジは口が細いので、短くしたイソメを通し刺しにします。パワーイソメなら細型を選ぶのが好ましいです。
釣れるイソメの仕掛け②
胴突仕掛け
近海の海底に潜む根魚が釣れる仕掛けといえば、胴突仕掛けが使われています。オモリが仕掛けの最も下に付くのが最大の特徴で、オモリで海底を確認しながら根魚を狙います。
メバルの胴突仕掛け
タックルはスピニングロッドに中型スピニングリールを用い、胴突仕掛けはメバル用で釣り針が3本のもの、オモリはナス型の3~5号を使います。イソメはそのまま、通し刺しや房掛けをすると良いです。
釣れるイソメの仕掛け③
サビキ仕掛け
胴突仕掛けの一種で、複数の釣り針を取り付けてあります。釣り針が多いことに加え、カゴに入れたコマセのエサを散らして魚をおびき寄せることで、釣りの確率を上げている釣法です。
アジやイワシのサビキ仕掛け
小型で焼き魚として好まれるイワシやアジは、漁港でもよく釣れる魚の代表格です。スピニングロッドに、2~3号の道糸、その先にスキンサビキと呼ばれる、釣り針が7本付いたものなどを使用するのがおすすめです。
袋からこぼれ出るコマセが魚をおびき寄せ、イソメに食いつきやすくします。
イソメでヒットしない時の工夫
エサの取り替え
魚がイソメをチビチビと突付いている感触はあるのに、一向に釣れる気配がない時があります。エサは確実に食われて損するばかりですが、適切な時にリールを巻いて、随時新鮮なイソメに取り替えてあげましょう。
イソメの付け方を変更
全く釣れる気配すらなかったのに、イソメの付け方一つでいきなり釣れることもあります。場所の移動をする前に、イソメの付け方4種類から、その釣り場に合うやり方を見つけてみてください。
イソメに切れ込み
釣れる確率を向上させるとっておきのイソメの裏技が、イソメに切れ込みを入れる方法です。浅い切れ込みを何か所か入れることで、体液が海水中に流出するので、魚を寄せ付ける効果があります。千切れるほど深く切れ込みを入れないよう、注意を払ってください。
イソメ釣りをマスターしよう
エサ釣りでは絶対に必要な、イソメの奥深さが見えてきませんでしたか?これまでルアーばっかりな人も、たまにはイソメやパワーイソメで海釣りにトライしてみれば、新鮮な気持ちで釣りに向き合えそうです。
サビキが気になる方はこちらもチェック!
サビキ釣りの仕掛け特集!おすすめの竿・リール・エサなど道具セットご紹介
初めての釣りに最適!サビキ仕掛けを使ったアジ釣り道具をご紹介します。手軽に釣りを試せる低価格のセット竿、簡単にセットできるセットサビキ仕掛け...