登山の前にしっかり計画
登山の前に、しっかりと計画を立てましょう。いつどこの山へ入るのか、一日の行動時間はどのくらいなのか、食料はどれだけ持ち運べば大丈夫か、装備品に不足はないかなどをしっかり確認します。しっかりとした計画が出来上がれば、登山届《登山計画書》はすぐに作成できます。
出して安心、登山届《登山計画書》
登山届《登山計画書》はどうして必要なのでしょうか?登山届《登山計画書》の必要性について考えてみます。
確実な計画のため
計画のないまま、とりあえず行ってみようという感覚で入山すると、目的地までどれくらいでたどり着けるのかもわからない、今、どこにいるのかもわからないといった状態に陥るとも限りません。きっちりと計画することで、一日の行動時間が長すぎるなど、計画上の無理が見えてきます。入山から下山まで無理のない計画をすることは、事故の未然の防止にもつながります。
入山計画の共有
パーティーを組んで入山する場合、詳しい人がいるから大丈夫ではなく、各メンバーが計画内容について共有しておく必要があります。山での行動では、自分の行動には自分が責任を持つというスタンスが基本です。入山から下山までの自分の行動は自分自身が責任を持ちましょう。そのためにも、 登山計画をしっかりと立てて、それを書面にして、その行動計画を参加するメンバーが周知しておかなければなりません。
捜索活動の円滑化のため
御嶽山の噴火による山岳遭難では、登山届《登山計画書》を提出していないひとがたくさんいました。そのため、どれだけの人が現場に居合わせたのかを、把握するのに時間がかかっています。登山届が提出されていないと、何かが起こったときに、場所を特定するだけで非常に時間がかかります。時間がかかればかかるほど、捜索費用も膨らむだけでなく、命の問題にもかかわってきます。事故が起こるような場所は、山小屋に駆け込めるような場所ではまずありません。現在の居場所を伝えるひとつの方法として、登山届があります。
登山届《登山計画書》の書きかた
登山届《登山計画書》はどのように作成すればいいのか、入山届や登山カードなどと呼ばれているのもとどう違うのかを見ていきます。
登山届《登山計画書》
登山届《登山計画書》や登山カードは、各警察のホームページや日本山岳日本山岳・スポーツクライミング協会のホームページに用紙が用意されています。用意されているものをネットからダウンロードして利用してください。基本的には、その内容を埋める形で作成すれば大丈夫です。記載内容は、登山者の住所、氏名、年齢、緊急連絡先、入山から下山までの予定、装備品、持参する食料の量などです。
入山届と登山カード
入山するエリア警察署のホームページや登山ポストに置いてある用紙のなかには、入山届や登山カードといった名称になっているものがあります。基本的には同じ内容のもので、呼びかたが異なっていると考えてください。登山カードという名称で用紙が置かれていても、あらかじめ用意していた用紙を提出しても問題ありません。
下山届《下山通知》
鳥取県の大山のように、入山する山域によっては、登山後に下山届を提出するよう求めている場合があります。登山口まで下山したら、登山ポストを覗いてみてください。下山届は登山届の比べて記載する内容が少ないものがほとんどです。無事に下山しましたということを報告してください。
登山届《登山計画書》は義務!?
条例で提出が義務とされているかどうかにかかわらず、提出しましょう。義務でないからといって提出しなくてもいいというものではありません。ネットで提出できるエリアもあります。また、最近はアプリも提供されています。カードに書くよりも手軽になっています。下山の通知も簡単にできるようになっています。条例により義務とされているところへの入山では、必ず、提出してください。
登山届《登山計画書》を義務としている県
登山届を義務としている県は次のとおりです。これらの県の指定の山へ入山するときは、指定された提出先へ登山届を出してください。
群馬県
谷川岳は登山危険地域が設定されています。その対象地域への入山に対して登山届が義務とされています。登山届の用紙や提出先、提出期限については、下記の群馬県谷川岳登山指導センターの公式ホームページ を参考にしてください。
富山県
冬期の剱岳への入山に対して登山届が義務とされています。登山届の用紙や提出先については、下記のeとやま.netの公式ホームページ を参考にしてください。
岐阜県
北アルプス、御嶽山、白山への入山に対して登山届が義務とされています。登山届を提出しなかったり、登山届の虚偽があったりした場合は、5万円以下の過料とい罰則があります。登山届の用紙や提出先については、下記の岐阜県公式ホームページを参考にしてください。
長野県
北アルプス、中央アルプス、南アルプスなど長野県内の山への入山に対して登山届が義務とされています。対象になる山域、登山届の用紙や提出先については、下記の長野県公式ホームページを参考にしてください。
石川県
白山への入山に対して登山届が義務とされています。登山届の用紙や提出先については、下記の石川県公式ホームページを参考にしてください。
山梨県
富士山、八ヶ岳、南アルプスへの入山に対して登山届が義務とされています。登山届の用紙や提出先については、下記の山梨県公式ホームページを参考にしてください。
登山届(登山計画書)の提出先
登山届《登山計画書》の提出先は、入山予定の山を管轄する警察署です。提出方法は次のようなものがあります。
提出方法 | 提出先など |
---|---|
登山ポスト | 登山ポストは、登山口または登山口近くにある山小屋など設置されています。 |
FAXや郵送 | 入山を予定している山域を管轄する警察署。複数の県にまたがる登山計画の場合は、関係する県すべての警察署に提出します。 |
ネット | ネット上で入山予定の山を管轄する警察署。ネットから提出先として指定できる山域は限られています。 |
山域を管轄する警察署については、下記の公益社団法人日本山岳・スポーツクライミング協会のホームページが参考になります。
登山届《登山計画書》もネットの時代
登山届の提出推進のために、次の県の山域に入山する場合は、各県のホームページから登山届を提出できるようになっています。
山形県、群馬県、埼玉県、山梨県、長野県、富山県(eとやま.net)、石川県、福井県、静岡県、鳥取県。なお、長野県では、NPO法人北アルプスブロードバンドネットワークが提供するサービス「山ピコ」を利用できます。「山ピコ」には、ICカードを利用して、登山の記録を付けるサービスもあります。
登山届《登山計画書》もアプリで簡単に
登山計画の作成から、山行の記録、下山通知までを管理できるアプリが登場しています。このアプリを使えば、簡単に登山計画が立てられます。アプリに入力した情報は、家族などとも共用できます。下山後は、ボタンひとつで下山完了の報告ができる便利なアプリです。スマホが使える山域も広がってきています。非常時の連絡手段としてもスマホが有効になってくる場面もあります。山へ行く前に、スマホにこのアプリをインストールして活用すると気軽に下山の報告まで完了できます。このアプリの特徴や使い方については、下記のホームページをご覧ください。
登山計画書と装備品
登山計画が出来たら、装備品も確認しておきましょう。長らく使用していない靴などは靴底が経年劣化を起こしている可能性があります。そのままにしていたヘッドランプをいざ使おうとしたら、電池が液漏れを起こしているということもあります。下界のように、すぐ近くにコンビニがあるわけではありません。必要な装備品が必要なときに使用できるようにしっかりと確認しておいてください。
日帰りで大峰山系の大普賢岳に行ったときのことです。そろそろ靴底の張りかえが必要かと思っていたけど、日帰りだからいいかとそのまま計画を実行しました。すると、途中から靴底が剥がれ出し、パカパカと音を立て始めました。5時間程度の工程だったので、なんとか持ちこたえましたが、これが宿泊を伴う縦走だったら、途中で諦めて下山しなければならない事態でした。
無理のない登山計画を
最近は、装備品もできるだけ少なくして、山を駆け巡るトレイルランが流行っていたりします。ネットには、日帰りで挑んだ記録がアップされていたりします。流行を追いかけるだけでなく、自分に合った装備品、自分に必要な装備品を見極めて装備品を整えましょう。余裕のある計画を立てて、そこでしか見れない風景を存分に楽しんでください。無理のない計画を立てることが、事故のない登山に繋がります。思い出は楽しいものとして置いておきたいです。
登山届《登山計画書》と山岳保険
登山届には、山岳保険に加入しているかどうかを記載する欄があります。救助要請をした場合、多額の費用が必要になります。登山届には、山岳保険加入済と記載できるように、山岳保険に加入してから入山するようにしてください。
まとめ
無理のない計画を立てて、エスケープルートもしっかりと検討してください。計画が定まったら、必ず、登山届《登山計画書》を提出してください。きっちりとした計画が楽しい山行の始まりです。
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