ビットリア チューブ ウルトラライト
パナレーサー チューブ 700
はじめに
27インチタイヤといえば外径27インチのタイヤと想像つきますが、700cのタイヤと聞いても情報が無ければ何のことかさっぱりわかりません。今回はこの700cという自転車のサイズ規格がどういうものか、27インチタイヤと同じなのか、換算するとどうなるのかなどを紹介します。
自転車の700cとは
自転車のタイヤ規格
700cというのは自転車のホイールサイズの規格を示す値です。自転車のタイヤ規格を示す方法はいくつか種類がありますが、自転車のホイールサイズ表示の1つが700cということになります。
タイヤサイズの表記方法では、700 x 28c や700 x 23c といったように表現されるのですが、この700と700cはまた違ったものです。クロスバイクなどだとこのタイプが見られます。
タイヤ外径 x タイヤ幅・リム形状
700 x 28c と表現されていればそのタイヤのサイズがわかります。1つめの700という数字はタイヤの外径を示す数字になり、その後ろの28はタイヤ幅でアルファベットのcはリムの大きさを示すものになります。
どちらの値もメトリック(mm表示のこと)です。ロードバイクとクロスバイクに見られる表記方法ですが、これが出てきたら「タイヤ外径 x タイヤ幅・リム形状」というものだと覚えておけばまずはOKです。
700Cの正体
これらを踏まえると、700という数字はタイヤの外径を示すものであり、その後ろのアルファベットのcはリムの大きさを教えてくれるものです。つまり、700c規格を持ったロードバイクやクロスバイクであれば、タイヤ外径700mmでリムの大きさがcのタイヤを組めるということになります。
自転車の700cを理解するためのタイヤ知識その1
自転車のホイール構造
自転車の足回り部品でこれがなければロードバイクだろうがクロスバイクだろうがママチャリだろうが動きすらしないのがホイールとタイヤです。ホイールの構造は内側からハブ、スポーク、そしてリムという3つの大きな構造から成っています。
そして、このホイールのリム部分にタイヤをはめ込んでタイヤをホイール側に固定するという仕組みです。なお、ホイールとタイヤの間にはチューブがはめられています(クリンチャータイプ)。このタイプはクロスバイクなどに多いです。
タイヤの構造
自転車のタイヤ構造を理解するには5つの構成要素を理解することが大切です。走行中のタイヤで地面と接する面積が最も多いトレッド、トレッドの左右にあるショルダーとその隣にあるサイドウォール、タイヤ内側にあるカーカス、そしてタイヤをホイールに固定するのに重要な役割を果たすビード、これらがタイヤを構成する要素になります。
自転車の700cを理解するためのタイヤ知識その2
WO規格
WO規格はロードバイクやクロスバイク、軽快車(ママチャリ)に採用されている自転車の規格です。このサイズ規格はイギリス発祥の規格で、流通している自転車の80%はこの規格を採用しているとも言われています。
サイズ表記の単位はメトリックとインチ表記が使われていて、国によってはメトリックのところと、インチ表記を使うところが混ざっている傾向です。ロードバイクやクロスバイクに乗るなら覚えておきましょう。
700cに関係するのはフランス(フレンチ)規格
今回のテーマである700cサイズのタイヤはこのWO規格にあたるもので、フランス(フレンチ)規格とも呼ばれるものです。
このフレンチ規格はタイヤ互換性やタイヤサイズの換算、バルブタイプなどにも関わってくるので、ロードバイク乗りやクロスバイク乗りは要チェックの言葉として覚えておきましょう。ちなみに、同じWO規格でもイギリス規格は、inch×inch分数表記、で表現されます。26×1-3/8といった感じです。
自転車の700cを理解するためのタイヤ知識その3
HE規格
HE規格はアメリカで誕生した自転車のタイヤサイズの規格です。HE規格は、inch×inch小数点表記、で表現されます。28 x 1.20といった感じです。HE規格が採用される自転車はMTB(マウンテンバイク)や子供用自転車で、ロードバイクやクロスバイクには採用されていません。
WO規格とは全く別物
HE規格のサイズ表記方法とWO規格のサイズ表記方法を比較すると、最初の数値はどちらともタイヤの直径(外径)を表していて、後ろの数値はタイヤ幅を表しています。
WO規格でもフレンチ式はメトリックですが、メトリック表記ということを除いては表示方法などは同じです。そのためタイヤの直径・外径が同じHE規格のタイヤとWO規格のタイヤがあって互換性がありそうに見えるのですが、実際、互換性はあります。
700cと27インチは同じではない
ロードバイクやママチャリに使われる700cのタイヤは、インチ換算するとほぼ27インチと言われることがありますが、実際は27インチタイヤと700c規格のタイヤはサイズが違いますので互換性はありません。
27インチと700cではそもそも規格が違いますので、タイヤを交換・購入したい場合には適合するものをその都度確認する必要があります。そもそも、700cと27インチタイヤと表現方法が全く違いますので、サイズを選ぶときに同じように考えること自体が間違いですが。
インチをmmに換算する
インチ表示されているタイヤの幅を仮にmm換算したとします。換算後の数値が同じでも、リム径(ビード座直径)が一致していなければ27インチでも27.5インチのタイヤ外径でも、それらに関わらず組み付けられません。換算するのではなく適合するホイールを確かめる方法が購入時のポイントとなります。
700c以外の自転車の規格
650c
700c以外の自転車の規格(タイヤ径)では650cという規格広く知られています。650cという規格は、タイヤ外径650mmでリムの大きさ(形状)がcであることを示すのです。650c規格に取り付けられるタイヤサイズは、例えば650 x 45Cというものや、650 x 50Cというものがあります。
リムの大きさはa,b,c
ロードバイクやクロスバイクに使われるリム規格は700cや650cが多いですが、リム規格には他にaとbが存在します。数値に換算すると、a/b/cの3つのリムの中で最も大きいのがc、その次に大きいのがb、そして最も小さいのがaです。ほとんど見かけませんが換算するとdというリムタイプもあります
互換性を決める要素の1つ
実際にフレンチ規格のリム規格を見ても、タイヤ直径に当たるタイヤ外径500mmの小さいものにはa、650mmにはbやc、そして700mmにはcのリムタイプが採用されることがあります。タイヤ外径とリム規格が同じ、例えば700cのリム規格なら、700 x 〇〇c のどのタイヤとも互換性を持っているのです。
自転車700cタイヤの互換性について
タイヤ外径とリムの大きさが同じなら互換性あり
上記で少し触れたように、700cのリム規格に沿ったタイヤであれば、そのタイヤの幅に関係なく互換性が生まれます。
例えば、700 x 28c と700 x 23c というごく一般的なタイヤがありますが、これら2つのタイヤは700cリム規格を持つホイールに組み込むことが可能です。一方で650 x 22C という650cリム規格のタイヤでは、同じリム規格でもタイヤ外径が小さいため700cとの互換性はありません。
700cタイヤを組んだ自転車の例
GIANT CONTEND 2
実際に700cリム規格に沿ったタイヤを装着する自転車を紹介します。台湾の自転車メーカーであるジャイアントのCONTEND 2です。
ジャイアントの数あるロードバイクの中でも入門者向けモデルに当たるもので、価格が税抜80,000円というのもうれしいモデル、そんなCONTEND 2はホイールのリム規格が700cとなっています。実際のタイヤサイズは700x25Cです。
700 x 25c
このロードバイクにはタイヤ幅が25mmでロードバイク向けタイヤの中でも比較的細いものが採用されているのが特徴的です。細いタイヤを採用していることでタイヤと地面の設置部分が減って摩擦が少なくなり速度が上がります。
700cの自転車タイヤの各部寸法
表を見てみよう
700cリム規格のタイヤやホイールですと、大体の寸法が決まっています。それらの確認はWOタイヤサイズの表を見れば確認可能ですので、気になるサイズのタイヤがあるときに参考にしましょう。
700cリム規格対応のタイヤの場合、タイヤ外径が700mmであることは確定で、同様にタイヤ内径(ビード座直径、リム径)は622mmに統一となっています。
リム幅より狭いタイヤを組まない
タイヤ外径とリムの大きさが一致していれば、タイヤ幅に関わらずタイヤの互換性が確保されます。しかし、リム幅より狭いタイヤに交換しないようにしましょう。ホイールのリム幅より狭いタイヤを取り付けると、タイヤが本来持っている性能を発揮できなくなります。
700c自転車タイヤを他のサイズと比較する
インチタイヤと比較
700c規格のタイヤとその他の規格のタイヤとではサイズにどのような差が出てくるのかを計算してみます。今回の計算で使うのは、700 x 28cタイヤと27 x 1-3/8サイズのインチタイヤです。
700 x 28c規格のタイヤであれば、タイヤ外径は700mmでタイヤ内径(ビード座直径リム径)は622mm、これに対して27 x 1-3/8インチのタイヤではタイヤ内径が630mmです。
700 x 28cのタイヤ外径は700mmもない
700 x 28cのタイヤ外径は実は700mmもありません。タイヤ外径を計算するには、タイヤ内径(ビード座直径リム径)+タイヤ高さ+タイヤ高さ、という計算が必要になります。タイヤ高さはタイヤ幅とほぼ一致しますのでそれを基に計算すると、622mm + 28 + 28 = 678mmです。
つまり、実際の700 x 28cタイヤのタイヤ外径は678mmなのです。実はこのサイズ表記上の700というタイヤ外径は「呼び」と呼ばれるもので、目安を示すものになります。そのため実際の径と違う場合があるのです。
自転車の700cタイヤを交換する方法
交換手順は特に変わりない
700c規格のタイヤの交換方法ですが、特に交換手順に変わりはありません。リムからタイヤを外し、新しいタイヤをはめるという一般的な交換方法で取り付けられます。交換に関しては互換性のある部品と交換すればよいだけと考えておきましょう。
チューブも規格の合うものを選ぶ
タイヤに関しての説明が多いですが、タイヤだけでなくチューブを選ぶときには規格に合ったものに交換する必要があります。ロードバイクであればほとんどがチューブが必要で、かつタイヤと一体になっていないクリンチャータイプとなりますが、組み付けるタイヤ・ホイールに合った仕様のものを購入する必要があります。
700c規格など各種タイヤ購入に便利なETRTO
購入時のサイズトラブルを防ぐ
このように、自転車のタイヤのはサイズ表記方法が様々で、気を付けて購入しないと間違ったサイズを購入しかねません。
このようなトラブルを防ぐために役に立つのが、ETRTO(The European Tyre and Rim Technical Organisation)というヨーロッパの団体が発表している規格表です。換算表、適応表などと表現するとわかりやすいです。
共通性が最も高い表記
インチやメトリックな混在している自転車のタイヤ表記の中で最も共通性が高いと言われているのがこのETRTOのサイズ表記です。タイヤの太さータイヤ内径(ビード座直径)のmm単位、のルールで表記されています。タイヤを購入する時にこのETRTOを参考にしてタイヤを購入すれば、トラブルフリーなタイヤ購入が可能です。
ためしに見てみる
例えばETRTO規格の「25-622」というサイズ表記、これはタイヤ幅25mmでビード座直径(タイヤ内径)ということを示しています。このタイヤ幅とビード座直径の規格に適合するのはインチ表記の28 x 1.00と28 x 11/16、メトリックなら700 x 25C表記です。
「28-622」ならタイヤ幅28mmのビード座直径622mmで、インチの28 x 7/8とメトリックの700 x 23Cが適合します。ETRTOを理解すればタイヤ幅とビード座直径を確認でき、適合するタイヤの確認だけでなくタイヤチューブの購入も正確にできるようになるので、都度確認するようにしましょう。
700cサイズの自転車タイヤ商品紹介その1
Vittoria Ultralite ロード バイクチューブ
ビットリア チューブ ウルトラライト
700cサイズの自転車タイヤ商品紹介その1はVittoria Ultralite ロード バイクチューブです。ロードバイクに乗っている方なら必ず1度は見かけたことのあるチューブケースでしょう。
タイヤ幅25-28cに対応しているだけでなく、19-23cのサイズもありますので、ロードバイクにお乗りの方ならスペアとして購入して間違いのないタイヤチューブです。なお、タイヤ幅が変わるとそれに応じてバルブサイズも変わるので、覚えておきましょう。
700cサイズの自転車タイヤ商品紹介その2
Panaracer スポーツタイヤ用チューブ
パナレーサー チューブ 700
Panaracer スポーツタイヤ用チューブはW/O700×35~40C(W/O27×1 3/8~1/2)に適合するスポーツタイヤ向けチューブです。
タイヤ幅が35-40cとこれまで紹介した中でも太い部類で、採用例の有る自転車はクロスロードと呼ばれるダートでも速く走れる自転車で、クロスバイクとはまた一味ちがう自転車になります。モノタロウでも購入できるタイヤチューブです。
まとめ
ママチャリなどでは27インチタイヤ採用例が多いのでロードバイクなどでも27インチタイプと考えがちで換算すれば良いと思ってしまいますが、27インチという表記はロードバイクやクロスバイクでは基本使われていません。代わりにメトリック表示とリムサイズを表すアルファベットで表現されているのです。
この27インチタイヤと700cの例を見ても、いかに自転車のタイヤ表記方法が複雑で分かりにくいかということがわかります。今後タイヤ表記方法がよりわかりやすくなるようになることを期待しましょう。
【スペック】
価格:
タイヤ:GIANT S-R4 700x25C
バルブ:仏式バルブ