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圧着ペンチとは?
圧着ペンチ(Crimper)とは電工ペンチとも呼ばれる工具のことで、その名の通り圧着の用途に使用するのはもちろん、電線の切断や被覆の皮むき、ボルトやビスなどの切断もできる多機能な工具です。
圧着工具とは?
圧着工具とは、電線と圧着端子を接合するために使うかしめ用の工具で、日本工業規格JIS C 9711に屋内配線用電線接続工具(Compression tools for wire connectors of interior wiring)と規定されているものを言います。
圧着ペンチの特徴
電工(電気工作)や車の配線などで使われる圧着ペンチですが、具体的にはどのような機能や特徴を持つのでしょうか?こちらでまとめてみました。
圧着ペンチの特徴①多機能で便利な電工工具
端子の圧着機能、電線を切断するカッター機能、電線の被覆の皮むきができるワイヤーストリッパー機能、長いボルトやビスを切断するボルトカッター機能、と多くの機能を有するのが圧着ペンチの第一の特徴です。圧着ペンチだけで電工に必要なケーブルの作成ができるため、非常に便利な工具となっています。
圧着ペンチの特徴②独特の形
圧着ペンチはそれ一つに多数の機能を持つことから、独特の形状をしています。一般的に先端から、ワイヤーカッター、ダイス(電線を端子に圧着させる部分)、ボルトカッター、ワイヤーストリッパー、ハンドルとなっており、平たく長い形状をしているのが特徴です。ワイヤーカッターがワイヤーストリッパーのすぐ側にあるタイプもあります。
圧着ペンチの使用用途
複数の機能を持ち合わせ、電工には必須の圧着ペンチですが、それぞれの用途について詳しくまとめてみました。
圧着ペンチの使用用途①端子の圧着・かしめ
端子を圧着し、電線と接合してかしめる使い方です。かしめるとは、接合部分に差し込まれた、またははめ込まれた金具などを、工具で打つ・締めるなどして固く留める・密着させることを言います。圧着ペンチの用途や使い方として最も用いられるのがこの圧着機能です。
圧着ペンチの使用用途②電線の切断
圧着ペンチの先端についているのがワイヤーカッターです。この部分で電線を切断することができるため、わざわざニッパーなどの他の工具に持ち帰る手間を省けます。
少し分かりにくい部分ですが、ワイヤーストリッパーの上部にワイヤーカッターが付いているタイプもあります。
圧着ペンチのワイヤーカッターは支点よりハンドル側にあることから、慣れていないと使いづらさを感じることもあります。ニッパーを持っている、工具を持ち変える手間をさほど気にしない、という方は、ニッパーを使った方が作業効率が良い場合もあるので、状況に応じて使い分けましょう。
圧着ペンチの使用用途③被覆の皮むき
電線の被覆の皮をむきコードを出す用途の機能が、ワイヤーストリッパーです。ワイヤーストリッパーはハンドルのすぐ上に備えられています。こちらもワイヤーカッター同様、支点から離れているため少々使いづらさを感じます。専用のワイヤーストリッパーがある方は、そちらを使った方が作業効率が良い場合もあるので、場面に応じて使い分けてみましょう。
圧着ペンチの使用用途④ボルトやビスの切断
ボルトやビスを使っていて「径のサイズはちょうど良いけど、長さが長すぎる」という時、それらの切断に使えるのがボルトカッターです。圧着ペンチを使ってボルトカットする場合、ネジ山が確実に保護された状態でカットできるため、カット後にすぐ使うことができます。
圧着ペンチの種類
圧着工具には使用方法と動作の仕組みなどから4種類に大別されます。手動片手式工具では更に、裸端子・スリーブ用と、リングスリーブ用の2種類があります。圧着ペンチの種類について、こちらで簡単にまとめました。
圧着ペンチの種類①手動片手式工具
裸圧着端子やスリーブ、リングスリーブをかしめるのに使用するのが、手動片手式工具です。一般的に使用範囲は端子呼び寸法で14mm²までとなっています。建築現場の職人さん方含め、最もよく使われているのがこのタイプです。
圧着ペンチの種類②手動両手式工具
一般的に使用範囲は端子呼び寸法で100mm²までとなっています。サイズの大きい端子に適応するだけあって、手動片手式工具よりも柄が長くがっしりとした感じです。
圧着ペンチの種類③手動油圧式工具
一般的に使用範囲は端子呼び寸法で150mm²までとなっています。電工現場などでは断面積の大きな電線が使用されていることが多いため、油圧を用いた圧着工具が使用されます。
圧着ペンチの種類④電動油圧式工具
サイズの大きい端子の圧着に用いる大型圧着ペンチです。使用範囲が端子呼び寸法で250mm²まで対応できるものもあります。
圧着ペンチの種類⑤裸圧着端子・スリーブ用
柄の色が赤いのが特徴です。歯口が1枚歯になっており、凹凸の歯口で1カ所をかしめます。
圧着ペンチの種類⑥リングスリーブ用
柄の色が黄色なのがリングスリーブ用です。圧着する葉口の部分にはリングスリーブのサイズである「特小・小・中・大」の表示があります。
圧着ペンチの種類⑦絶縁被覆付き圧着端子・スリーブ用
柄の色が青、または青と赤の組み合わせになっているのが、絶縁被覆付き端子用のものです。電線の心線と絶縁被覆をまとめて圧着するため、2枚歯の構造になっています。
圧着ペンチの種類⑧閉端接続子用
柄の色は青または緑色となっています。複数の電線の心線部分だけをかしめるため、1枚歯構造になっています。
圧着ペンチの種類⑨大型圧着端子・T型コネクタ用
油圧式・電動油圧式のものが該当します。建設現場などで用いられる大型の端子を圧着するのに使われます。
圧着ペンチのサイズ
圧着ペンチのサイズには、どうような種類があるのでしょうか?サイズの見方や選び方についてもまとめました。
圧着ペンチのサイズ表記
圧着ペンチは多機能工具ということもあり、サイズの表記が至るところにあります。そのため、使用用途によってサイズを見る場所は変わってきます。
使用するサイズの選び方
まずは使用する電線のサイズに合わせて圧着端子のサイズを選びます。圧着端子についての詳しいことは、この後に述べます。端子のサイズごとに圧着する歯口が決められているので、圧着ペンチを使う際にはその点に注意してください。
圧着ペンチの使い方
圧着ペンチの使い方について、具体的な方法や注意点をまとめました。電工や工作で圧着ペンチを使う場面での参考にしてみてください。
圧着ペンチの使い方①端子の圧着・かしめ
圧着ペンチの用途として最も活用されるのが端子をかしめることです。かしめ作業では、圧着した端子が抜けないことが最も重要なポイントとなります。
圧着ペンチの使い方②電線の切断・被覆の皮むき
電工の際に必要な手順として、電線の切断やその被覆の皮むきがありますが、圧着ペンチ1つでそれができます。
「AWG」は電線の規格のことで、「sq」はスケアー(電線の太さ)を表します。ワイヤーストリッパー部分は穴がたくさんありますが、電線の太さに応じて使い分けましょう。
圧着ペンチの使い方③ボルトカッター
工作の場面で「このネジ、径はちょうど良いのに長さが長すぎるんだよな…」と困ったことはありませんか?そんな時に便利なのが圧着ペンチのボルトカッター機能です。長すぎるネジやボルトを切断し、使いたい長さに調節できます。
圧着端子とは?
これまでの記述で度々出てきた「圧着端子」という単語ですが、これは圧着ペンチとペアで存在する、電工においてなくてはならない部品です。ここからは圧着端子について、その種類や用途、使い方などを詳しくお伝えします。
圧着端子は電工の要!
指先にちょこんと乗るくらい小さくて、圧着ペンチでかしめるだけで簡単に立派な電線が作れる…一見ただの電工パーツですが、圧着端子は電流や電気信号などをやりとりする上で重要な役割を果たす存在なのです。
圧着端子が登場するまでは、電線同士の接続はハンダで行われていました。圧着による電線の接続方法は1920年代半ばに生まれ、20年後にはその利便性が世界中に広まりました。圧着端子は英語で「solderless terminal(ハンダのいらない端子)」と呼ばれています。
圧着端子の特徴
圧着端子にはいくつかの特徴や使用時の注意点があります。圧着ペンチの使い方と合わせて、圧着端子の特徴についても抑えておきましょう。
圧着端子の特徴①用途別に種類がある
圧着端子はその用途ごとに使う種類が異なり、様々な形のものがあります。また、端子の種類によって使用する圧着工具も変わってくるので、その点にも注意が必要です。
圧着端子の特徴②端子サイズには注意が必要
使用する電線の太さによって、使う端子のサイズが変わってくるのも特徴です。同時に、端子サイズによってかしめるときの圧着ペンチの歯口が決まっているので、実際に圧着作業をするときは正しい歯口でかしめるよう注意しましょう。
圧着端子の使用用途
圧着端子は電線と電線を繋ぎ合わせるために使います。端子に電線を通し、端子本体をかしめることで電線を固定、接続します。端子のかしめ作業は電工において大切な場面ですので、適切なサイズや用途にあった圧着工具を選びましょう。
圧着端子の種類
圧着端子は用途別で種類があります。それぞれの特徴や使い方について簡単にまとめました。
圧着端子の種類①リングスリーブ
名前の通りリング状(筒状)の端子で、被覆をむいた電線同士をリングに通し、かしめて接続するのに使う端子です。使用する電線の径に応じて、大・中・小・特小のサイズがあります。サイズはリングスリーブの表面に刻印で表示されています。圧着ペンチでかしめた後に絶縁テープを巻いて絶縁処置をしますが、リングスリーブ専用の絶縁キャップもあります。
圧着端子の種類②裸圧着スリーブ・端子
裸圧着スリーブ・裸圧着端子は、その見た目から丸型・Y型・P型・B型など様々な種類があります。
圧着端子の種類③絶縁圧着スリーブ・端子
絶縁処置をする手間がはぶけて、被覆がある分電線が接続端で曲がって断線してしまうなどを防ぐ効果もあります。
圧着端子の種類④オープンバレル端子
圧着部分が開いている形状から「オープンバレル端子」という名称となった端子です。コネクタに差し込むことで電線と基板を繋ぐ役割を果たし、電工には欠かせないパーツとなっています。一般的に圧着箇所が2カ所あり、圧着にコツがいります。
圧着端子のサイズ
種類がたくさんありすぎて、どれを使ったら良いのか迷うのが圧着端子です。そんな時に便利なのが、使う端子のサイズを知ること、つまり端子の名称を知ることです。圧着端子は形状とサイズがそのまま名称となっているため、適正サイズを探す際は以下を参考にしてください。
圧着端子のサイズ表記
圧着端子のサイズ表記はアルファベットと数字で表されています。使用する電線やネジの組み合わせによって種類がたくさんあるため、統一した呼び方があります。
例えば上の図を例にすると、「RNB1‐3.2」は「断面積が1.25平方mmの電線を直径3.2mmのネジに接続する裸R型(丸型)圧着端子」を表しています。サイズがそのまま端子の名称とされているため、使いたい端子のサイズを探すときの参考にしてください。
圧着端子の使い方
種類やサイズが色々とある、ということが分かったところで、実際に圧着端子を使う時の使用方法についてご紹介します。
圧着端子の基本的な使い方
まずは使用する電線の被覆をむき、芯線をねじってまとめます。端子のバレルに芯線を通し、バレルの中央部で圧着してかしめて完成です。
端子をかしめる位置の調整はなかなか難しいですが、上の画像でどの辺りで圧着すれば良いのか参考にしてみてください。
圧着端子の絶縁方法
電工において最も重要なのが絶縁処置です。絶縁が甘いと漏電や火災の元となり、大きな事故につながる恐れもあります。安全で楽しいDIYのためにも、絶縁処置は面倒がらずにしっかりと行いましょう。
圧着端子の絶縁方法①専用の絶縁キャップを使う
絶縁スリーブとも呼ばれており、絶縁性に優れたPVC樹脂でできたものが多いです。端子の形状に合わせて様々な種類があります。
圧着端子の絶縁方法②端子を絶縁テープで覆う
圧着した後の端子部分を絶縁テープで覆ってしまう方法もおすすめです。テープの巻き始めを端子の下2cmくらいからにするとしっかりと絶縁処置ができます。テープを少しずつ重ねながら巻き進め、折り返して巻き始めまで戻ってきたらハサミなどでカットして完成です。
圧着端子の絶縁方法③熱収縮チューブを使う
その他にも、熱収縮チューブでの絶縁処置があります。端子部分を十分に覆えるサイズに切った熱収縮チューブをあらかじめ電線に通しておき、電線の接続後に接続箇所へチューブをスライドさせて覆い、ドライヤーなどで熱を加えて始末するという手順です。仕上がりがキレイなため、電工の見た目にもこだわりたい方にはおすすめです。
圧着ペンチの選び方
圧着ペンチを選ぶ際は、使用する圧着端子の種類に適したものを選ぶことが大切です。先にも述べた通り、端子の種類によって圧着ペンチを使い分ける必要があるため、「何に使うのか」を考えて圧着ペンチを選択しましょう。また、使用頻度の高いダイスのサイズが先端にきているものがおすすめです。
おすすめの圧着ペンチ
種類も豊富でどれを選んだら良いのか迷う…そんな方のために、おすすめの圧着ペンチをいくつかご紹介します。ぜひ購入の際の参考にしてみてください。
おすすめの圧着ペンチ①ホーザン P-704 圧着工具
ホーザン(HOZAN) 圧着工具(裸圧着端子・絶縁圧着端子用) 圧着ペンチ ビスカッター、ストリッパー付 自動車整備に P-704
総合工具メーカーのホーザンから、おすすめの圧着ペンチをご紹介します。裸圧着端子・絶縁圧着端子・絶縁閉端子用で、圧着ペンチの機能にプラスしてプライヤー機能も付いています。
おすすめの圧着ペンチ②ロブスター 電装圧着工具 FK1
ロブスター(エビ印) 電装圧着工具 FK1
金属製品、作業用工具メーカーでお馴染みのロブテックスから、おすすめの圧着ペンチをピックアップしました。裸圧着端子・スリーブ端子・オープンバレル端子用で、これ1つで身近な工作から電話の配線、自動車の整備等々、幅広い場面で活用できます。
おすすめの圧着ペンチ③マーベル NO.300A 電工ペンチ<スタンダードタイプ>
マーベル(MARVEL) 電工ペンチ<スタンダードタイプ> NO.300Aマーベル(MARVEL)
電設工具メーカー・マーベルから、おすすめの圧着ペンチをご紹介します。オープンバレル用圧着ペンチですが、イグニッションターミナル用の機能も付いているため、車の配線いじりをする方におすすめの一品です。
まとめ
今回は便利な多機能工具、圧着ペンチについてご紹介しました。電工や車いじりなどで活躍する圧着ペンチは、使い勝手も良く持っていると何かと助かる道具です。この記事を呼んで、少しでも圧着ペンチを使った電工に興味を持っていただけたら幸いです。