圧着端子はどんな部品なの?
電気線と電気機器を接続するには?
電気線と電気機器。この2つをつなぎ合わせるためのもっともポピュラーな方法はハンダ付です。しかし、電気機器の種類によってはハンダ付ができない種類も存在します。ハンダのつけ方にも、技術力が必要になってきます。作業効率や使い方によっては、電気線の脱着が必要な場合も考えられます。
電気線と電気線を接続するには?
異なる電気線同士を接続したい場合、裸になっている電気線の部分を集めて絶縁テープを巻くのも一つの手段です。しかし、ショートの心配や電気線の太さ、種類、規格によっては簡単にまとめることが難しい場合もあります。つけ方によっては、お世辞でも見た目がよいとは言えないと状態です。
手間をかけずに接続したい!
そんな時に大活躍するのが『圧着端子』です!電気線のつけ方としては『電気線と電気機器を接続するには?』で紹介した通り、圧着端子が世の中に登場するまではハンダで接続するのがポピュラーな接続方法でした。
圧着端子を使用することで、ハンダで誤って火傷をすることや、絶縁テープだけで固定した不安定な状態などを心配をする必要はなくなります。
圧着端子の種類や使い方
圧着端子は種類や規格、サイズなど使い方によって異なる圧着端子を使用します。圧着端子には、どんな種類があるのか、つけ方などを紹介します。
丸形圧着端子
形状は名前に含まれてる通り、先端が『丸』になっているのが、丸形圧着端子です。丸い形で中央に円形の穴が開いているのが特徴です。まれに、O端子と呼ばれています。圧着端子と言えば『丸形』と言うぐらい、圧着端子の代表ともいえる存在です。
使い方は?
使い方は中央にあいてる円形の部分に、ネジを入れ込み固定します。丸形圧着端子はネジを抜かない限り外れることがないため、『完全に固定させたい!』、『絶対に抜けないようにしたい!』という場合に使用します。
先開形圧着端子
Y字のように先端が『開いている』のが、先開形圧着端子です。先端が開いているのが特徴です。種類は先開形圧着端子、角先開形圧着端子などがあります。まれに、フォーク端子と呼ばれています。先開形圧着端子も丸形圧着端子とおなじで、よく見かける圧着端子です。圧着端子の代表格と言えます。
使い方は?
使い方は先端の開いている部分に、ネジを入れ込み固定します。『ネジを外す手間を減らしたい!』、『作業効率を上げたい!』という場合に使用します。ネジを完全に外さずに取り付けることができ、脱着が容易にできます。脱着が簡単にできるので、電気機器の移動なども簡単に行えるわけです。
どこかで見たことある?
気付いた方もいるかと思いますが、先開形圧着端子は洗濯機や冷蔵庫、電子レンジのアース線の先に付いていいることが多いです。圧着端子は意外と身近なものにも使われているのです。
棒形圧着端子
先端が『棒』のように長細くなっているのが、棒形圧着端子です。先端が棒状になっているのが特徴です。棒端子とも呼ばれています。
使い方は?
押しネジタイプの接続に使います。電気線が撚り線(よりせん)の場合に使用することが多いです。先端の棒状になっている部分を、接続端子へ差し込みます。
低圧開閉機器用圧着端子
形的には丸形と似ていますが、先端が『長細い』のがCB形圧着端子です。先端が丸いものもありますが、基本的には長方形のような長細い形が特徴です。CB端子とも呼ばれています。
使い方は?
使い方は丸形と同様に中央にネジを入れ込み固定します。低圧開閉機器と聞くとパッとしませんが、ブレーカと聞けばパッと思い浮かぶでしょう。
自宅で電気を使用する場合は、必ずブレーカの電源をいれなければ電気は使用できません。ブレーカで使用するので、丸形と同様固定して簡単には外れないようにしています。ブレーカと電気線を接続する、専用パーツになります。
圧着スリーブ
先に紹介しました圧着端子とは少し形状が異なり、両端が『差し込み口』になっているのが圧着スリーブです。用途によって若干、種類、形状が変わってきます。筒状またはリング状なのが特徴です。
使い方は?
使い方は、電気線と電気線を接続するために使用します。直線的に接続するのか、並列で接続するのかなどで、使用する規格や種類が異なってきます。異なるサイズの電気線を接続することも可能です。P形、E形、CE形など、種類が豊富にあるので、用途に応じた規格、サイズを選ぶ必要があります。
裸圧着端子
裸圧着端子とは、圧着端子と電気線を接続する部分に何もない状態の物を指します。何も付いてない『裸』の状態なので、裸圧着端子というわけです。
ホームセンターで、圧着端子の売り場を聞くと一番はじめに案内、紹介されるのが裸圧縮端子になります。大抵の場合、圧着端子と言うと『裸圧着端子』を指すことが多いです。
被覆付圧着端子
『被せて』『覆う』ことを『被覆』と言います。被覆付圧着端子とは裸圧着端子と異なり、圧着端子と電気線を接続する部分に絶縁体(電気を通さない素材)で覆われている圧着端子のことを指します。
被覆付きってどんなもの?
種類、規格によっては、はじめから被覆付きで販売されているものもあります。被覆付きでない裸圧着端子でも被覆のみで販売されており、後付けで被覆付圧着端子とすることが可能です。
被覆付きの特徴としては、ショートを防止するのに役立ちます。ホームセンターなどで、被覆付圧着端子の売り場を聞く場合は『被覆付圧着端子』と聞かないと裸圧着端子を紹介されることが多いです。
圧着端子の規格
圧着端子は接続する端子の大きさや使用する電線の種類やサイズが合っていないと、接続不良の原因になります。とりあえず購入して、適当に取り付けてしまうと、電気機器の故障の原因や、火災発生の原因となってしまう恐れがあります。
止めるネジのサイズ、電気線の種類やサイズを確認し、使用する用途を明確にするのが、一番大事になります。
圧着端子と電気線のつけ方
ネジのサイズ、電気選の規格、サイズに合わせた圧着端子を選んだら次は圧着端子と電気線の接続になります。
圧着端子と電気選を接続するために、電気線を一部裸にします。圧着端子と電気線を正しく接続しなければ、事故の原因につながる恐れがあります。
いったいどこまで、むき出しにすればよいのでしょう?少しでも接触してればよいからなるべく短めにするのか?余裕があった方がよいのでかなり長めにむきだすのか?
正しいつけ方
正しいつけ方は、圧着端子の接続部分から1mm程度、先にでるのが理想的な接続になります。なので、1mmプラス圧着端子の接続部分の長さをむき出しにすればよいのです。長さがわかり、電気線をむき出しにしたら、続いて圧着端子の接続部分と電気線をかしめてます。
圧着端子をかしめるとは?
革細工やかばんなどハンドメイドクラフトではよく聞く言葉です。かしめるとは、継ぎ目や接合部分を固く密着させることを、かしめると言います。ハンダなどを使わないで密着して固めることを『かしめる』と、憶えればよいわけですね。
圧着端子と電気線を圧縮して着ける、ようは固めて密着させるので『かしめる』というわけですね。
圧着端子をかしめるための道具
実際にかしめる場合、圧着させればよいので、ラジオペンチでよいと思う方もたくさんいるでしょう。確かに規格よっては、ラジオペンチでかしめることができる規格もあります。
一般的な圧着端子を実際にラジオペンチを使用して圧着してみるとわかりますが、ラジオペンチで圧着端子と電気線をかしめるのはとても大変です。正しいかしめ方にはならないし、圧着端子の接続部分と電気線が抜けたりと簡単にかしめることができません。
ではどうすればようのでしょうか?そんな時は圧着端子の専用工具『圧着ペンチ』を使うことをおすすめします。
圧着ペンチ
圧着ペンチの種類
いろいろな種類の圧着ペンチがあり、種類によっては電気線を裸にする機能がついていたり、ねじ切り機能がついていたり、裸圧縮端子と被覆付圧着端子の両方でつかえる圧着ペンチがあったりと、種類はさまざまです。
使い方
使い方の基本としては、圧着端子の接合部分と同じ大きさの圧着ペンチの印の部分に、接合部分を入れかしめます。ここで大事なのが、使用している圧着端子がどの規格、サイズなのか把握してないと、圧着ペンチも正しく使えません。
『圧着端子の規格』でも紹介した通り、種類やサイズをしっかり確認してから作業するようにいたしましょう。
裸圧着端子と被覆付圧着端子ではかしめ方が異なってくるため、裸圧着端子の場合は一枚刃、被覆付圧着端子の場合は二枚刃となっていることが多いです。圧着ペンチも種類が豊富にあふれているので、自分の用途にあった圧着ペンチを選んでください。
圧着端子の正しいかしめ方
裸圧縮端子と被覆付圧着端子ではかしめ方が変わります。裸圧縮端子の場合は、圧着端子と電気線の接合部分の一か所をみかしめます。被覆付圧着端子の場合は、圧着端子と電気線の接合部分と電気線と被覆部分の二か所をかしめます。
裸圧縮端子は一か所、被覆付圧縮端子は二か所となるので、先ほど紹介しました圧着ペンチも、裸圧縮端子の場合は一枚刃、被覆付圧着端子は二枚刃となるわけですね。
かしめ方のポイント
かしめ方のポイントは裸圧着端子と被覆付圧着端子とも、大きくはかわりません。かしめ方のポイントは、接合部分または被覆部分の中央でかしめるようにしてください。
かしめる時の注意点
かしめるポイント
かしめを先頭の方や、後ろの方でかしめないように気を付けてください。先頭や、後ろの方でかしめてしまうと、正しく圧着できず接続不良や、電気線が抜け落ちてしまうリスクが発生してしまいます。かしめる場合はポイントを意識して、中央でかしめるよう注意してください。
単線と撚り線
単線の場合は、接合部に挿入するだけ問題はないですが、撚り線(よりせん)の電気線を使用する場合は、接合部分から1~2本電気線挿入不良などが起きやすくなります。電気線がきんちんと全て、接合部分に挿入されていることを確認してから、かしめるようにしましょう。
まとめ
いかがでしたか?圧着端子の代表的な種類の紹介をさせていただきました。『圧着端子』と言っても、ひとくくりにできないぐらに種類が豊富にあります。
ここには紹介されていない圧着端子も、数多く存在しています。何度も繰り返しになってしまいますが、一番大事なのは用途に応じた規格、サイズ、種類を選びきちんとした道具で作業するのが一番大事なのです。
電気をあつかうため、ひとつ間違えば大きな事故となる恐れがあります。つけ方、かしめ方には十分気を付けて、安全をもって作業を行うようにしましょう。