アザミってどんな植物?
アザミはノアザミと呼ばれることもあり、キク科の植物です。草丈はだいたい50~150センチくらいです。野山や田畑のあぜ道などに分布し雑草として扱われています。季節になるとどこからともなく花茎を伸ばして美しい花を開花させるアザミ。子供のころにアザミに触れて鋭いトゲに驚いた経験を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか?スコットランドにはアザミのトゲにまつわる物語があり、アザミの花言葉の由来にもなっています。
アザミの園芸品種
園芸品種として販売されているアザミは、日本に自生するノアザミを改良したものです。園芸品種のアザミは「ドイツアザミ」もしくは「ハナアザミ」と呼ばれています。ちなみにドイツアザミという名前ですが、ドイツには関係ありません。大正時代にノアザミから生み出されたドイツアザミ。販売するときにお洒落で売れる名前をつけようとドイツという名前をつけたのが由来です。
アザミの花の特徴
アザミの花の開花時期は、3~7月ごろ。春から夏の季節にかけて美しい花を咲かせます。アザミの花の色は、赤紫色や紫色、少し珍しいピンク色や白色のものがあります。アザミの花びらのひとつひとつは細い棒状で、手で触れると少し痛いくらいです。また、花が開花したあとの季節には、タンポポのような綿毛になります。
アザミの葉の特徴
アザミの葉っぱの色は濃いグリーンに少し紫色帯びたものです。アザミの葉っぱの形は、深い切れ込みがありギザギザしています。アザミの葉っぱには無数のトゲが生えていて、手で触れるととても痛いです。
アザミの基本データ
科名属名
キク科アザミ属
学名
Cirsium arvense
和名
薊(アザミ)
別名
野薊(ノアザミ)、ドイツ薊(ドイツアザミ)
英名
Japanese thistle
原産国
北半球の国々
アザミの全体の花言葉
花言葉1「独立」「報復」
「独立」と「報復」という少し勇ましい意味を持つ2つの花言葉。スコットランドの物語に由来します。1263年、スコットランドがノルウェー軍に侵攻されようとしていた夜のことです。そのときノルウェー軍の兵士たちは裸足でした。ノルウェー軍の兵士たちの足にアザミのトゲが刺さり、思わず痛いと大きな声をあげてしまいます。ノルウェー軍の夜襲に気づいたスコットランド陣営はアザミのおかげであやうく難をのがれます。
花言葉2「厳格」
アザミは、鋭いトゲからほかの動植物を寄せ付けない雰囲気を持っています。春から夏の時期にかけて野山に咲くアザミの草姿はとても凛としたもの。そんなアザミの姿に由来して「厳格」という花言葉が誕生しました。
花言葉3「触れないで」
アザミの葉っぱや茎にあるトゲは、触れると本当に痛い鋭いもの。「触れないで」という花言葉は、まさにアザミのトゲの特徴を意味するものでしょう。
アザミの花色別の花言葉
白いアザミの花言葉「ひとり立ち」「自立心」
日本全国に自生するノアザミの中でも少し珍しい白いアザミ。白いアザミには「ひとり立ち」「自立心」という花言葉があります。どちらも白という何ものにも染まらないピュアな色とアザミの立ち姿に由来するものです。
紫色のアザミの花言葉「厳格」「気品」
紫色のアザミの花言葉は、「厳格」と「気品」です。紫色は古来より高貴な人や上品さを意味するカラー。貴族の着物にも用いられてきました。アザミの落ち着いた紫色に由来してつけられた花言葉です。
黄色のアザミの花言葉「別れ」
ノアザミのなかには黄色の珍しいものがあります。黄色のアザミの花言葉は「別れ」です。黄色というと明るいイメージがあるかも知れません。ただしノアザミの黄色はやや茶色がかったくすんだもの。少しさびしい印象の黄色に由来して「別れ」という花言葉がつけられました。
アザミの花名の由来
和名「アザミ」の由来
花名である「アザミ」は「アザム」という言葉に由来します。「アザム」とは「傷つける・驚きあきれる」という意味です。アザミの花を折ろうとアザミに触れると、トゲが刺さって驚くことに由来しています。
英名「Japanese thistle」の由来
アザミの英名は「Japanese thistle」です。「thistle」には「トゲのある植物」という意味があります。アザミの特徴そのままの意味を持つ英名です。
アザミを誕生花とする日
3月19日、4月19日、9月18日、10月21日
アザミの種類
アザミには、世界中に250以上の種類があり、日本でも100種類以上が生息しています。アザミは交雑しやすく変異種として新しい種類が生まれやすい植物です。
種類1・ノアザミ
春の時期によく花をみかけるのはほとんどこのノアザミという種類です。トゲがあり敬遠されることも多いアザミですが、よく観察するとすっきりとした美しさで魅力的な植物です。
種類2・赤アザミ
珍しい赤色のアザミです。山野草ファンのあいだで人気がある種類です。春から夏にかけて気温が高くなる季節、真っ赤な花色は太陽光線に映え、元気いっぱいのイメージです。
種類3・ルリタマアザミ
園芸品種のアザミの代表とも言えるルリタマアザミ。真ん丸の可愛らしい形に澄んだ美しいブルーの花色でガーデナーに人気があります。宿根草なのも嬉しいところ。一度植えておけば毎年時期になると可愛らしい花を開花させます。また、春から晩夏まで長い時期花を次々と咲かせてくれるのでガーデンのアクセントにぴったりです。ただし園芸品種と言えども、ノアザミと同じように鋭いトゲがあるので、お手入れなどをするときは厚いゴム手袋をするなど工夫が必要です。
種類4・モリアザミ
野山に自生するアザミで「ヤブアザミ」と呼ばれることもあります。紫色の上品な花色で、お茶席での季節のお花に使われることもあります。また根っこは食用にされることも。
種類6・アーティチョーク
イタリア料理に欠かせないアーティチョーク。実はアザミの仲間です。アーティチョークとして食べられているのは、花が開花する直前の時期のつぼみ。ゆでて食べるとホクホクと百合根のような舌ざわりと独特の香りがして、ワインのおつまみにもってこいなのだとか。また、アーティチョークの葉っぱや茎を乾燥させたものは、お茶に利用されます。
アザミの育て方のコツ
アザミは野山に自生する雑草でもありますが、園芸品種は庭や鉢植えなどにされます。また都会など自然のアザミを見ることができない場所でアザミを育てて鑑賞する方もいらっしゃいます。アザミの育て方のコツを見ていきましょう。
土作り
アザミは、水はけのよい土壌を好む植物です。小粒の赤玉土に腐葉土を少し混ぜたものを準備しましょう。市販の山野草用土を用いても便利です。ただしアザミは野山に自生するくらい強い植物なので、あまり神経質に考える必要はありません。
肥料
園芸品種のアザミには、花付きをよくするため肥料を施しましょう。植え付けの際に元肥として穏効性の固形肥料を少し土に混ぜ込んでおくとよいでしょう。また、春から秋のアザミの成長期には、追肥として液体肥料を1カ月に1度の割合で施します。窒素成分の多い肥料を与えすぎると、葉っぱや茎だけがしげしげと生い茂り、花が咲かないことがあります。肥料を選ぶ際に成分表示を確認するなど注意しましょう。
水やり
アザミは、比較的乾燥に強い植物なので、地植えの場合は自然の雨のみで水やりはそれほど必要ありません。鉢植えのアザミには、アザミを植えている土の表面が乾いたら少し水やりをしましょう。ただし冬のアザミの休眠時期には、水やりの頻度を減らして乾燥気味にするとよいでしょう。
場所
アザミは、日当たりのよい風通しのよい環境を好む植物です。アザミは強い植物なので、半日陰の場所に植えたからと言って、枯れてしまうことはありません。ただし日当たりがよくないと、アザミの花付きが悪くなることがあります。アザミは、耐寒性耐暑性どちらにも富む植物なので、冬越しと夏越しの場所にはそれほど気を使わなくても大丈夫です。
種まき
アザミは、種まきにより比較的簡単に増やすことができます。アザミの種まきに適した時期は、3~5月もしくは9~10月ごろです。花が咲いたあとの種を採取するか、市販の園芸品種のアザミの種をまきましょう。アザミの種は乾燥に弱いので、種を自家採取した場合は、保存しておかずにすぐに種まきしましょう。土を準備した育苗ポットや鉢に種をばらまきし、土を軽くかぶせます。日当たりのよい風通しのよいところで管理しながら、水やりを続けましょう。発芽して本葉が2枚くらい出たら、生育のよいものだけ残して、少し間引きます。本葉が4~5枚になったら苗の完成です。好きなところに植え付けてあげましょう。
植え付けと植え替え
アザミの植え付けと植え替えに適した時期は、4~5月もしくは9~10月ごろです。アザミは大きくなりやすい植物なので、鉢植えにした場合は根詰まりを防ぐため、定期的に植え替えをしましょう。これまでより一回り大きな鉢を準備します。植え付けもしくは植え替えしたいアザミを土からぽこんと抜き取ります。土を準備した鉢や庭に苗を植え付けましょう。植え付けた苗がしっかり根付いて安定するまで、日当たりのよい風通しのよいところで管理しながら、水やりを続けます。
アザミの病気・害虫
病気
アザミには、ウドンコ病がつくことがあります。アザミがウドンコ病にかかると、葉っぱに白い粉のような病斑部があらわれます。そのまま放っておくと病斑部が広がり、アザミの株が弱ってしまいます。ウドンコ病を見つけたら、病斑部をすみやかに切り取って駆除しましょう。ウドンコ病は、カビを要因とする病気で、梅雨の季節などじめじめした時期などに発生しやすいものです。
害虫
アザミには、アブラムシが発生することがあります。アブラムシは、春から夏にかけての暖かい時期に発生しやすい害虫です。アブラムシはアザミの葉や茎に寄生して、栄養素を吸ってしまいます。アブラムシに吸われた部分は白く変色します。アブラムシは群生する害虫で、どんどん増えます。また、アブラムシの排泄物には甘い香りがあり、ほかの病害虫を呼び起こすことも。二次被害をさけるためにも、アブラムシを見つけたら速やかに駆除しましょう。
アザミは不思議な魅力を持つ植物
野山に開花する紫の花を目にすることも多いアザミ。田畑のアゼなどの生えると嫌われてしまうこともあります。逆に珍しい品種や園芸品種は、開花した花の美しさに加えて、強くて育てやすいこともあり、愛好家がいるくらいです。アザミはなんとも言えず不思議な魅力を持つ植物。アザミの花言葉の意味も面白く、雑草と呼んでしまうにはもったいないお花です。