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ムベ(郁子)とは!
ムベは、アケビ科ムベ属の分類であり蔓(ツル)性の植物です。アケビ科ですがアケビとは違います。南東北、関東以西に分布していて、春に白い花を咲かせ、秋になると楕円形の鶏卵より大きい実を結びます。
実の中身はトロリとした甘い味で果物として食用にもなり食べ頃は熟す秋です。現在では実を食べるという事よりも庭の生垣として鑑賞する目的で栽培されている事が多い様です。実の付いた風情と日持ちが良いことから活け花の材料にもされています。
ムベは縁起の良い植物!
ムベの葉は”掌状複葉”といって小さな葉が手の平の指の様に細くて長い柄の先に付いた形をしています。この小さな葉が幼木の時には3枚、生育途中で5枚、果実が結実する頃には7枚となりますので、「七五三の縁起木」と云われ、「無病息災の木」と併せて尊ばれているのです。
ムベの基本情報
分類:アケビ科ムベ属
学名:Stauntonia hexaphylla.
別名:トキワアケビ、ウベ、郁子
和名:ムベ、郁子、野木瓜
原産地:中国、朝鮮半島、日本
形態:常緑ツル性植物 草丈はつるの長さ3m以上
耐暑性には強いが、耐寒性にはやや弱い
ムベの由来!
ムベの実を食べると長生きするという言い伝えから”不老長寿”の実として800年頃から栽培され宮中に献上されてきたという事です。
毎年秋に『大贄(おおにえ)』(神または朝廷への貢物とされた地方の産物)として宮中に果物として献上されてきたのですが、その時の名が「包且(おおむべ)」と呼ばれていたので、おおむべ→ムベへと転訛したとも云われています。長寿を願う果物として最良の贈り物ですね。
ムベの語源!
近江の国(現在の滋賀県)奥島の古記によると、天智天皇が琵琶湖南部の奥島山あたりの狩の途中休息に立ち寄った際に矍鑠(かくしゃく)とした老夫婦にその元気の秘訣を尋ねたところ、”美味しいムベという果物を食べているおかげです”と伝え、差し出された果実を食べたところ”むべなるかな(もっともである)”と言葉を発したことからが語源との言い伝えもあります。
奥島山がムベの産地!
ムベの漢字での表記は「艹(くさかんむり)」に「奥」で【薁】となっていますが、これはムベが奥島山に自生していた事からとされています。古くからは「郁子」の漢字で呼ばれています。ちなみに、奥島山には「むべ谷」「むべが原」「むべ蔓山」よいう地名が残っています。
ムベとアケビの違い!
ムベは別名トキワアケビとも呼ばれアケビ科に属しますが、本質的にアケビとは性質が違います。ムベは常緑性で緑を保ちます。反面アケビは秋から冬にかけて葉を落としてしまいます。
大きな違いはアケビの実は熟すと割れてしまうのですが、ムベの実は割れることはありません。その為に常緑な事と実に虫などがつかないなど栽培が容易であると云う事などが喜ばれて庭園木や垣根などに植栽されています。
ムベの育て方!
ムベは植え込んですぐに蔓が良く伸び、1年で1m~1.5mほどになります。そのまま放置すると他の樹木などに絡んで枯らしてしまう恐れがありますから、育て方として最初に植える場所を定めておき、垣根かフェンスなどに絡ませる様にする育て方をします。
年数が経つと直径6~8㎜程に蔓も太くなり、肉厚の葉も繁って実が付いたりしますとかなりの重量となりますから、棚仕立てや垣根にする場合は丈夫な作りにする事が望ましいでしょう。
ムベの生育過程!
4月下旬頃から5月にかけて葉の付け根に小花が5輪ほど固まって咲かせます。色は花の中心に紅紫色の筋が入った白か淡いクリーム色の笹百合の様な可愛らしい花です。花後に卵形の直径5㎝ほどの実を結実させます。秋になると赤紫色になって熟しますので食べ頃となります。
ムベの苗木
果樹苗木 むべ(長命樹)
4寸ポット苗 30~60センチ程度
アケビ科ムベ属
ツル性・常緑果樹
実の色は赤紫色です。
ムベの植え付け!
ムベの栽培には比較的土質などは選びませんが、育て方の基本としては、日当りが良く、やや湿り気のある土壌を好みます。春5月~6月上旬、秋は9月~10月上旬頃が適期です。植え付け時は腐葉土や堆肥を用土と混ぜておきます。
根元に直接直射日光が当らない様にし、藁(ワラ)か軽石の様なものを敷いておくと良いでしょう。
ムベのふやし方!
種から育てたり、挿し木やとり木でふやせます。秋に熟した実から種を取り出し、小粒赤玉土を入れた育苗箱に蒔いておきます。春に発芽し、本葉が3~4枚になった頃に3号(径9㎝)のポットか素焼鉢に移植します。
挿し木は春3月下旬頃に前年に伸びた枝を3節程の長さに切り取り葉を2/3に落としてバーミュキライトと赤玉土の混合土に挿します。但し、花が咲くには5年ほどかかるでしょう。
ムベの施肥の方法!
肥料は2月に寒肥として有機質肥料の鶏糞などを根元から少し離して施します。花つきと果物としての実つきを良くする育て方には、成長期の4月~5月上旬頃にリン酸、カリ成分の割合が多い肥料を施すと良いでしょう。
有機質配合肥料
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ムベの剪定の方法!
ムベはアケビも同様ですが、蔓が伸びすぎると整髪しないボサボサの頭髪の様に姿形が乱れてしまいます。特に生垣にしている場合は年2回春と秋に剪定をします。花が終った5月下旬頃に混みあった蔓や伸びすぎた蔓を基部から切り取ります。
そうする事によって内部まで日が当る様になり花芽の形成に役立ちます。秋10月上旬頃には春から夏にかけて伸びすぎた蔓を切り詰め、剪定後の蔓を伸ばしたい方向にしゅろ縄などで縛り固定します。”ひこばえ”(株の根元から出る徒長枝)はすべて取り除きます。
ムベを剪定する際の注意事項!
植物の栽培に必ず必要とされる剪定の意味は、不要な枝を取り去る事で風通しを良くし、日光が満遍なく当る様にすることが目的です。株元からのひこばえや、蔓の途中から伸びている芽はいりませんので元から切り落とします。
伸びすぎた蔓も先端から切り落とします。ムベの剪定は実をつける事が目的ですから、花が付いている枝は切り取らない様にする事です。徒長した枝や形にそぐわない邪魔な枝は実を収穫した後に切り落とす事が栽培の過程として必要です。
良い実の付け方!
果物としての甘い味がする実をより良く付けさせる育て方には、花後に花の付いた枝を残し、不要な枝を切り取ります。花が付かなかった徒長枝は2・3節残して切り取り、短枝が出る様にします。
同じ箇所に実を多く付けるのが特徴ですが、結実した実が小さいうちに姿形の良い大きめの実を1~2個ほど残し他は切り取ります。
ムベの病害虫の防ぎ方!
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耐寒性もあり、場所などの適応力もあるので病気には強いのですが、風通しが悪かったりすると、アブラムシやカイガラムシの発生が見られることがあります。予防としてオルトラン粒剤の様な浸透性殺虫剤を発生する時期に早目に根元にばら撒いておくと効果がみられます。
アブラムシなどを見つけたら早目にスプレー式殺虫剤で良いので散布をしましょう。カイガラムシは数がそれ程多くない場合は使用済の歯ブラシなどでこそぎ落としてしまいましょう。
ムベの実の食べ頃!
地域によって実が熟して食べ頃となる時期はまちまちですが、実の色が緑色から紫色に変化するのが早くて10月上旬頃です。果物としての食べ頃の旬は10月中旬から遅いところで12月中旬頃までとなります。ちなみに、新芽はおひたしなどにしても食べるのも食べ方のひとつです。
ムベの実の食べ方!
食べ頃となったムベの実を割ると、中身の果肉は半透明の粘り気のあるゼリー状で、果汁と共に無数の黒い種を含んでいます。食べられるのはこの部分で覆っている皮は生では食べられません。
食べ方は丁度ざくろを食べる様に果肉を口に含み、口中で種を選り分けながら食べます。ねっとりとした食感で甘みがある味です。秋に葉、茎、つるを採取し、刻んで天日干しにして乾燥させたものをお茶として飲用する食べ方もあります。
ムベの他の食べ方その1!
果物としてのムベの食べ方は、種が多く食べる部分が少ないのが難ですが、種と共に果肉を取り出し、少々水を加えて加熱してから裏ごしをし煮詰めたピューレ状のものをジャムやゼリー、ソースなどに加工します。
但しムベには甘味のみで香りがないので、ゼリーなどにする時は他の果実、例えばユズなどと混ぜて調理すると良いでしょうね。色つきのムベの皮は器にして利用する味な手法もあります。
ムベの食べ方その2!
ムベは生食だけでなく、工夫次第でさまざまな味わい方があります。前述のジャムなどもそうですが、ムベ酒にして楽しむこともできます。梅酒と違い甘味があるので砂糖などをそれほど多く使用しなくてすみます。
通販サイトなどではワインやムベを使ったお菓子なども販売されていて色々な味覚を楽しめます。
ムベは栄養あるの?
ムベの実には食べすぎの予防に効果があるとされる「アミリン」や腸内のコレステロールを抑制し血中のコレステロールを下げる効果がある「βシトステロール」が含まれています。また、葉や茎には配糖体のスタントニン、ムベニンが含有しています。
ムベの薬効!
果実を食べるとスタミナが付くと云われ、昔から脚気や脳卒中の予防薬とされていました。民間療法では、強心作用、利尿作用の他に腎臓炎や膀胱炎、浮腫などにも効能があるとされています。
薬としての用い方
ムベの茎、葉を乾燥させたものは生薬として利尿に効能があります。10~15gを0.6ℓの水で煎じて1日3回に別けて服用します。また、乾燥させた果実、種、葉茎5gを0.2ℓの水で半分の量まで煎じて服用すると駆虫に効能があります。中国では古くから果実や種子を利尿薬として利用されていました。
まとめ
ムベ(郁子)はアケビ科ですが、晩秋に葉をおとしてしまうアケビとの違いは、常緑で病害虫にも割合強く栽培にも適応性があるので、庭のある日本家屋の生垣などに利用されてきました。
古くからは薬用にも利用されてきましたが、最近では自生地の奥島山(滋賀八幡市北津田町)では奥島山神社の宮司さんが中心となって町おこしとして、むべを紹介しています。食べ頃となったムベの味覚をぜひ味わってみて下さい。