アザミウマとは
ガーデニングの天敵「アザミウマ」
ガーデニングの天敵「アザミウマ」とは、英名をスリップスと言います。アザミウマはアザミウマ目に属する昆虫であり指のシワほどの大きさしかなく、羽はカブトムシなどでよく見られる膜ではなく、棒状の本体に細かい房状の毛が羽毛のように覆われています。害虫の予防や農薬は昆虫の種類を見分ける必要がありますが、現在確認されているだけで5,000種類ほどのいるので見分け方のレポートなどがネットに上がるほどです。
名前の由来
アザミウマという特徴的な名前の由来は、成虫のみためにあると言われています。頭部が細長くまるで馬のように見えることから古くは、「馬出よ」とあざみの花を振ってそこから出るアザミウマの数を競うこどもの遊びから名付けれたと言われています。また、英名のスリップスについては、ふさを意味するthysanosと、翅を意味するpteronを合わせたものであり、ふさの羽という意味を持っています。
アザミウマの生態
アザミウマの全盛
アザミウマ(スリップス)が最も繁殖する季節が夏の暑い気候になります。また、アザミウマ(スリップス)は幼虫から成虫までどの段階でもガーデニングの花に影響を与えるため、予防を欠かすことができません。特にアブラムシと同様に葉の汁を吸う虫になりますが、もともと空いている細胞の隙間から汁を吸うほかの幼虫や昆虫と異なり、新たな穴を作り汁を細胞を壊しながら葉の汁を吸うため、花が咲かなくなったり果実に白い斑点が出るなど影響が顕著に出るので予防、防除、駆除、対策を講じる必要があります。
アザミウマの成長過程
アザミウマ(スリップス)の成長過程は、ほとんどの昆虫と同じように卵→幼虫→蛹→成虫の過程を歩んでいきます。また、現在日本で被害が確認されているだけで、200種類ほどいますが、成虫の特徴としては、成虫の体の色は黄色、灰褐色や黒色系が多く、体長1~2mm程度の細長い小さな虫です。植物に群れをなして暮らしていますが、アブラムシに比べ細長くスマートであることと花の中や葉の付け根などとても見にくい場所を好むため、大変見つけにくい虫ですので、ガーデンニングを行う際には予防や防除をする必要が有り、見つけたら即駆除していくようにします。
アザミウマの生態特徴
アザミウマ(スリップス)は、その生態が特徴的であり注目されており実は、駆除や防除対策よりもそちらの研究の方が盛んに行われている昆虫の種類でもあります。その特異的な生態は真社会性といわれており、アザミウマ(スリップス)は雌雄が、後天的に決定されます。アザミウマ(スリップス)が受精した状態で発生したならばメス、されない状態で発生したならばオスとなります。ハチ目に多く見られる種類の社会性ですので、新たな真社会性を持つ種類の昆虫ともくされています。
アザミウマの被害を受けたらどうなる?
葉には白い斑点
アザミウマの被害ですが、実際にアザミウマが湧いてしまうと葉に白い斑点が出てきてしまいます。また、花の場合は咲き始めのつぼみを好んで食べてしまうため、潜り込んで発見が遅れてしまいつぼみは最終的には、開くことなく、落ちてしまいます。また、果実に寄生してしまった場合は傷がついてしまうのはもちろんのこと、果実自体が形の悪い奇形になってしまいます。アブラムシと違い自分で傷をつけて被害を与えるので、農産物や植物に与える被害は、アブラムシ以上のものとなります。
アザミウマの見分け方
日本で確認されたアザミウマ
日本で確認されたアザミウマの種類は、200種類とお伝えしたとおりですが、その中でも農薬などの薬物耐性を持った種類や特定の作物に寄生する種類など多くのアザミウマがいます。日本ではこの200種類のうちの「ミナミキイロアザミウマ」や「モトジロアザミウマ」という2種類が駆除、防除、予防対策を組まれることが多いです。アザミウマの防除や駆除対策はまずそのアザミウマの種類を見分ける事から始まるので見分け方を解説していきます。
ミナミキイロアザミウマの見分け方
ミナミキイロアザミウマの見分け方は、胴の終わりがすり鉢状になっていること、目の下の胴に4本の長針毛があることなど全長数ミリの小さな成虫ではあるが見分ける方法はあります。ですが、顕微鏡が必要なレベルでもありますのでよく影響を受けてしまう植物は、キャベツ、じゃがいも、カーネーションなどの植物にミナミキイロアザミウマが影響を受ける可能性があるのでガーデニングの際は、防除駆除対策をしておきましょう。また、雨の多い場合にも繁殖が進むので雨の多い夏場などは要注意になります。
モトジロアザミウマの見分け方
モトジロアザミウマの見分け方は、まずは幼虫か成虫まで等しく同じ植物被害をもたらします。主に葉の裏側が白い斑点状のものが出てきたら要注意です。成虫の見分け方は全体が黒っぽく赤い斑点のようなものがあるのでほかのアザミウマの成虫と見分けることができます。また、日本で初めて観測された際はハイビスカスに寄生しており、現在ではみょうがやいんげん豆、きゅうりなどのメジャーな家庭農園の植物にも影響を及ぼしているので夏野菜を育てる際には、防除、予防対策をする必要があります。
アザミウマへの対策
アザミウマの発生しやすい植物
まずは、種類全体としてよく目撃例がある農園の能作物や植物の例を上げていきます。花や植物では、紫陽花・カーネーション・マリーゴールドなどです。また農薬の使用が気になる野菜関係では、ねぎ・アスパラ・きゅうり・ゴーヤなどをが対策が必要になってきます。果実では、柿・ぶどう・柑橘系のものが被害に遭っているので見つけ次第駆除していきましょう。こうした生態を知っているだけで被害の対策になるのでぜひ、害虫にお困りの方は、生態を調べて見てください。
アザミウマへの農薬
アザミウマに聞く農薬について
アザミウマのような小さな幼虫や昆虫には効果の持続が長い農薬である浸透移行性の殺虫剤がおすすめです。有効成分が根から吸収され葉の裏側や新芽などの農薬が散布されにくい場所へも農薬の効果が働くのでおすすめです。土に撒くだけの粒状のものならばそのまま散布できるので農薬としてはかなにお手軽です。在来種のアザミウマには、オルトラン粒剤やオルトラン水和剤なども駆除効果が期待できますが、外から来た侵入種のモトジロアザミウマなどには、ベストガード粒剤や、モスピラン粒剤などが有効です。
農薬が気になる場合には
農薬の毒性が気になる場合には、アザミウマの天敵である昆虫を繁殖させるのもひとつの手段になります。アザミウマの天敵はハナカメムシ類やカブリダニなどは、アザミウマ類の幼虫を食べてくれます。このような害虫の幼虫や成虫を食べてくれる昆虫を生物農薬といい実用化されている技法でもあるのでぜひ、取り入れてみてください。
アザミウマ基本的な予防
花がら摘み
アザミウマの生態上、花がらなどの餌があればわいてしまうのは自然の摂理になりますので、花が咲き終わったら早めに花を積みましょう。基本は花がらが地面に残っていないのがベストな状態です。また、花がメインの植物は花が咲き終わったら根から早めに引っこ抜いておきましょう。
雑草の駆除
ガーデニングの基本ですが、雑草は幼虫の餌にもなりますし夏が本番な害虫たちに冬越しのための住まいになっていまいますので早めに抜いて起きましょう。周囲に水場や畑のある場所は被害が拡大しやすいので特に注意が必要です。
反射板を使う
アザミウマはキラキラとしたものや光を嫌います。そのため、見えにくい場所に発生してしまうのが厄介な点でもあります。そのため、地面にシルバーマルチを貼っておくだけでアザミウマを遠ざける効果が期待できます。また、地面にシルバーマルチに貼っておくと泥ハネからの発病を防ぐため一石二鳥の対策になります。
防虫ネットをはる
また、外から飛んでくるアザミウマの予防には防虫ネットをはることも有効です。しかし、アザミウマの成虫は非常に小さいためあみの目は細かな物基準としては、0.4~1mmくらいのものを選びましょう。よくわからない方はアザミウマの専用の防虫ネットも販売しているのでそちらで予防をしてみてください。
粘着テープを仕掛ける
アザミウマは黄色や青に強く引き寄せられる習性があります。そのため、アザミウマが出てしまった植物の近くに黄色や青色の粘着テープをまいておくと効率的に駆除することが可能になります。農薬など気になる場合や目に見えた効果が見えるのでおすすめの予防策になります。
アザミウマの予防の際の注意点
天敵を大切に
狼を狩ってしまい鹿が増えて森の木々の食害が増えたように昆虫の世界にも食物連鎖が作られています。そのため、農薬などの散布によりアザミウマの天敵となり生体農薬になる昆虫たちが死滅してしまうことも考えられるため、農薬をやたらめったらに巻いてしまうのは予防の点での注意点となりますので注意してください。
農薬にも耐性がついてしまう
アザミウマに効果的な農薬は、その発生状況や種類によって大きく異なってきます。バラに寄生する「ローズスリップス」やねぎ類に主に寄生する「ネギアザミウマ」など特定の場所に発生する場合もあります。そして、効果的な農薬が1つだけでは農薬に対する耐性がついてしまいかねないので、何種類かの農薬をローテーションし耐性がつきにくいような工夫が必要となってきます。また、大前提となりますが上記で紹介した予防策によるアザミウマのわかない環境づくりが大切ですので予防の際にはぜひ参考にしてみてください。
アザミウマと人間との関わり
益虫もいる
アザミウマの多くの種類は、害虫として指定されています。特に暖かな気候を好むためハウス栽培や温室においては非常に厄介な害虫になります。しかし、植物などの被害を及ぼす一方で他の昆虫やダニを捕食する種もあり、農業害虫として指定されるダニの捕食者とされる種類は益虫とされ、生体農薬としての天敵として研究がすすめられています。
アザミウマの防除:まとめ
いかがでしょうか。アザミウマは成虫も幼虫も小さく、また発見しにくい場所にわくため非常に厄介な害虫になります。近年有効な農薬なども多く開発されてきましたが、一番の対策は雑草取りや花がらつみなどのガーデニングに基本をしっかりと押さえておくことになりますので、まずはアザミウマの湧きにくい環境をつくって行きましょう。また、夏場や雨の多い季節には集中して発生していきますのでその前に今回、ご紹介しました予防方法や農薬をご準備されていれば万が一の場合に準備が少なくて済むので是非ともアザミウマのシーズン前にご準備ください。