雨と釣果との関係を知ることは大切
普段は、社会で働いている多くの釣り人にとって、釣行のチャンスは非常に貴重です。とはいえ、釣行日が必ずしも晴天であるとは限りませんので、釣りがしづらくなるほどの大雨が降っている場合や、身に危険が及ぶほど天気が荒れている場合を除き、多少の降雨であれば構わず釣りに出向く方も多いことでしょう。
釣り場の具体的な状況や魚の種類によっても差異はありますが、基本的に降雨は、魚にさまざまな影響を与える要素となるため、雨の日に釣りをする場合は、雨と釣果との関係についての理解を深めておくことが大切です。
雨の日 の釣りで釣果を伸ばすためには、晴れの日とは異なる釣りを展開していくことが肝心で、釣果アップにつながるさまざまな 釣り方のポイント を押さえておけば、晴れの日では経験できないような好釣果を得ることも夢ではありません。
雨と釣果との関係を解説!
雨と釣果との関係についてはさまざまな意見があり、釣り場の種類、降雨量、魚の種類、釣り方などによっても違いがあります。
ここでは、陸続きのポイントからアプローチする海釣りに的を絞り、降雨によって変化する「6つの要素」について取り上げながら、海釣りで比較的手軽に狙える魚のほとんどで共通する、雨と釣果との関係を解説していきます。
雨と釣果との関係①: 塩分濃度の変化
降雨による塩分濃度の変化は 浸透圧調節機能と関係がある
魚は人間と同様、生命を維持するために塩分が不可欠ですが、魚には「浸透圧調整機能」と呼ばれる、体内の塩分量を調整する機能を持っており、海水魚の場合は、海水を飲んだ際に海水から得られる余分な塩分を体外に排出し続けています。
降雨によって海水に淡水が混ざると、海水の塩分濃度は低下しますし、川が流れ込んでいるポイントでは、雨によって川の水かさが増加することで、塩分濃度の低下はより顕著になります。
魚は、浸透圧調節機能を維持するためにエネルギーを使用しているため、海水の塩分濃度の 変化のレベル によっては、晴れの日よりも少ないエネルギーで生命を維持できるようになり、魚が捕食活動によるエネルギー補充を積極的に行わなくなることが考えられます。
とはいえ、水中の環境が大きく変化することは、魚にとって活性を高める要素となることも少なくなく、魚の活性が高めることによって、より多彩なエサをより広範囲から積極的に見つけて捕食するようになる場合もあるでしょう。
基本的には 塩分濃度の変化は好都合となる
魚の浸透圧調節機能は、普段生活している水域の塩分濃度に最適なものになっており、浸透圧調節機能が適切に機能しなくなる塩分濃度の水域では生きていけません。
とはいえ、シーバスやチヌなどの、川に近い水域でも問題なく生きていける種類の魚は、浸透圧調節機能が正常に機能する塩分濃度の幅が広く、塩分濃度の変化のみに着目すると、「塩分濃度の高い海水を好む魚よりも影響は限定的」と言えます。
しかしながら、塩分濃度の変化は、水中の溶存酸素量 (詳細は後述)やプランクトンの活性 を変化させるため、捕食対象である小魚や甲殻類の活性が高まるのに伴って、塩分濃度の変化に柔軟に対応できる魚の活性も共に高まります。
また、前述の通り、水中の環境が変化する自体、魚の本能を刺激することにつながりますので、程度の差はあるものの、ある程度まとまった量の雨が降った場合は、「魚の活性が上がって、普段よりも活発にエサを捕食するようになる」と結論付けることができるでしょう。
雨と釣果との関係②: 水温の変化
水温の変化は 雨水の温度がポイントとなる
まとまった量の雨が降った場合、水温は変化します。水温の変化について考えるうえでポイントとなるのが 雨水の温度 であり、雨水の温度が水温よりも低い場合は水温が低下し、雨水の温度が水温よりも高い場合は水温が上昇します。
海では、水温は気温よりも時期が遅れて変化しますし、変化の速度も気温よりもゆっくりです。基本的には、雨水の温度と水温との差が大きいほど、水温の変化は大きくなるため、水温の変化が大きくなる 春と秋 とは特に、降雨による水温の変化が釣果に及ぼす影響も大きくなる傾向があることを覚えておく必要があるでしょう。
水温の変化は 魚の活性に大きな影響を与える
前述した通り、春と秋とは、降雨による水温の変化が釣果を大きく左右することが多く、春と秋とは、季節の変化に伴う水温の変化によって、釣れる魚の種類が大きく切り替わる時期でもあるため、降雨による水温の変化が一時的なものであったとしても、魚の活性に大きな影響を与えます。
例えば、夏に向かって水温が徐々に上昇している時期に冷たい雨が降ったり、冬に向かって水温が徐々に低下している時期に温かい雨が降ったりすると、釣れる魚の種類 の切り替わりが一時的に停滞し、少し間の時期に釣れていた魚の釣果が一時的に伸びることがあります。
また、夏に向かって水温が徐々に上昇している時期に暖かい雨が降ったり、冬に向かって水温が徐々に低下している時期に冷たい雨が降ったりすると、季節の変化に伴う水温の変化にさらに拍車を掛けることにつながりますので、釣れる魚の種類 の切り替わりが一層促進され、水中の季節が大きく変わることも珍しくありません。
いずれにしても、「降雨によって季節の変化に伴わない 水温の変化 が起これば、魚にとって活性を高める要素となり、釣果にも何らかの影響が波及していく」と言えるでしょう。
雨と釣果との関係③: 溶存酸素量の変化
降雨によって溶存酸素量が変化する理由は 2つある
海の上で雨が降ると、雨粒が水面をたたくことで水面に細かい泡が発生します。細かい泡は酸素を含んでいますので、結果的に雨の日は晴れの日よりも溶存酸素量が増加します。
また、溶存酸素量は水温とも関係があり、降雨によって水温が変化することによっても、溶存酸素量は変化します。水温が低ければ低いほど溶存酸素量が多くなり、水温が高ければ高いほど溶存酸素量が少なくなりますので、降雨による水温の変化も考慮することが、釣果アップを目指すうえで重要になってくるでしょう。
溶存酸素量の変化は 基本的には釣果アップにつながる
魚は、水を口から取り込み、エラで溶存酸素を体内に取り込み、エラブタから水を吐き出すことで呼吸しています。
当然、魚が呼吸する際にはエネルギーを消費することになるため、降雨によって溶存酸素量が増加すると、体内に溶存酸素を楽に取り込むことができるようになりますので、基本的には、魚の活性が高まることで釣果アップにつながります。
ただし、まとまった量の雨が降ることによって溶存酸素量が大幅に変化した場合、魚が呼吸によって消費するエネルギー量が晴れの日よりも減少することになるため、魚が積極的にエサを捕食しようとしなくなる可能性も否定できません。
とはいえ、何らかの要因で溶存酸素量が低下していた状況で、降雨による溶存酸素量の変化が起こると、魚にとっては大きな刺激になりますし、食物連鎖の底辺にいる プランクトン の活性が高まることによっても、釣果は伸びやすくなる傾向があります。
雨と釣果との関係④: 気圧の変化
雨が降る日は 低気圧が接近していることが多い
季節や気象状況によっても異なりますが、雨が降る日の多くは、釣り場の近くに低気圧が接近していることが多いでしょう。高気圧が接近している日は、高い気圧によって水面が押し下げられていますが、低気圧が接近している日は気圧が低下することで、水面を押し下げる力が弱くなり、潮汐に関わりなく水位は上昇します。
低気圧の接近によって水位が変化すると、全体的に釣果が伸びやすくなる傾向がありますが、魚の活性に影響を及ぼす具体的なメカニズムは解明されていません。
現時点では、「気圧が低下することによって、魚が持つ遊泳深度調整機能である 浮き袋 が少ないエネルギーでも膨張しやすくなり、魚が表層まで浮き上がりやすくなることで活性が上がる」という説が有力です。
気圧が変化すると風が発生する点も考慮したい
気圧に差がある場合、気圧の高い場所から気圧の低い場所に向かって空気の流れができ、風が発生する点についても、雨と釣果との関係を考えるうえで必ず考慮しなければなりません。
風が水面をはくはんすると、泡が発生することで溶存酸素量が増加し、前述した 降雨による溶存酸素量の変化 と同様のメカニズムで、好釣果が得られやすい水中環境が形成されます。
また、風によって水面が波立つと、波や濁りによって魚の警戒心は薄まりますし (詳細は後述)、晴天で無風の日と比較すると潮流も速くなるため、プランクトンの活性や水中環境そのものが大きく変化することで、魚が活発にエサを捕食するようになります。
ただし、好釣果が期待できるのは、あくまで風速2 - 3m程度までの弱い風であり、3mを超える風が吹くと海が大シケになってしまい、釣果に悪影響を及ぼしたり、釣り自体が成立しなくなったりしますので、「釣りがしづらくなるほどの強風が吹いている状況では、釣果アップは望めない」と考えるのが賢明でしょう。
雨と釣果との関係⑤: 釣り人の変化
雨の日は やはり釣り人の数が少なくなる
雨の日 の釣りでは、晴れの日とは異なる装備や釣り方が不可欠となり、釣り自体もしづらくなるため、やはり釣り人の数は少なくなるでしょう。エサや各種タックル の中には、水気を嫌うものが少なくありませんので、濡れないように注意を払いながら釣りをするのは大変です。
また、各種タックルも雨ざらしで使うことになるため、使用後のメンテナンス の重要性も一層高まり、適切なメンテナンスを行わないと、最悪の場合、タックルが使用不能になる恐れもあります。ですから、雨の中できちんと自分の釣りを組み立てていける 上級者 のみが釣行する状況となり、釣り人の人数は晴れの日よりも大幅に減少するのです。
釣り人の減少は 必ずしも釣果にプラスに働くわけではない
釣り人が減少すると、足元のポイントにいる魚たちの警戒心が低くなりやすいですし、生息数がそれほど多くない魚の場合は、自分が釣り上げることができる確率が上がるため、基本的には、釣り人が減少すると釣果は伸びやすくなります。
一部の釣り人 の中には、釣り人が少なくなる 雨の日 を狙って釣りに出掛ける方もいっらしゃいますし、雨の日は、釣果実績の高い一級ポイントのど真ん中で釣りができることも少なくありません。
とはいえ、コマセをまいて広範囲から魚を寄せる釣り方においては、釣り人の減少は、コマセの効果が限定的になることを意味するため、必ずしも釣果にプラスに働くわけではありません。
ですから、降雨によって、晴れの日よりも釣り人が大幅に減っている日は、こまめにコマセをまくようにしたり、集魚力の高い種類のコマセを使うようにしたりすることで、釣果を確実に伸ばしていくことが肝心です。
雨と釣果との関係⑥: 水質の変化
水質の変化は 水中の視界や食物連鎖の状況をガラリと変える
「降雨からどの程度時間が経過しているのか」によっても異なりますが、基本的に、降雨は水質を大きく変化させます。前述したように、雨の日は低気圧の接近に伴い、水面がかくはんされることで濁りが発生しますし、付近に川が流れ込んでいる釣り場では、川の上流から濁った水が大量に流れ込んでくるため、さらに濁りはきつくなります。
濁りの発生は、水中の視界を悪化させる要因となりますが、水中の視界 の悪化が釣果に及ぼす影響は、エサを見つける際の 視覚への依存度 によって異なります (詳細は後述)。
また、川から流れ込む濁った水は、川の上流部からたくさんの養分を運んできている証拠でもあるため、水中における食物連鎖の状況に大きな影響を与えますので、「降雨による水質の変化は、水中環境をガラリと変える重要な要素である」と言えます。
水質の変化は好都合だが 釣り自体が難しくなることもある
川の上流部で雨が降ることによって大量の養分が海に流れ込み、植物プランクトンの活性が高まると、水中における食物連鎖が活発になり、全体的に釣果が大幅に伸びます。
また、波や降雨 によって発生した濁りによって水中の視界が悪化し、魚が感じる視覚的なプレッシャーが減ることにつながるため、魚の警戒心は薄まり、釣り人にとってはまさに好都合なのです。
しかしながら、エサを見つける際の 視覚への依存度 が高い種類の魚は、水中の視界が悪化することによってエサを見つけづらくなってしまうため、降雨による水質の変化が必ずしも好釣果をもたらすとは限りません。また、濁りがあまりにもきついと水中の仕掛けが見えにくくなるため、場合によっては、釣り自体ができなくなることもあります。
雨の日の 釣果アップのポイントを解説!
雨の日ならではのメリットを享受し、釣果を伸ばすためには、晴れの日とは異なる釣りを組み立てていく必要があります。ここでは、「エサ釣り」と「ゲームフィッシング」それぞれの、雨の日における釣果アップのポイントを解説します。
雨の日の 釣果アップのポイント1.【エサ釣り】
エサ釣りは、晴れの日と同様の釣り方でも比較的安定した釣果を得ることができますが、雨の日における釣果アップのポイントをつかめば、さらに釣果を伸ばしていくことができるでしょう。ここでは、雨の日 のエサ釣りにおける、釣果アップの「2つのポイント」をご紹介します。
雨の日の エサ釣り: 釣果アップのポイント①
エサ釣りの多くは、水中における仕掛けの 位置や姿勢 を確認しながらの釣り方が不可欠です。降雨によって水質が変化すると、水中の仕掛けが見えにくくなりますので、視認性の高い道糸を使ったり、目印しとなる各種仕掛けアイテムを活用したりして、濁った水質でも見失いにくい仕掛けを用いるようにしましょう。
雨の日の エサ釣り: 釣果アップのポイント②
泳がせ釣りなどの 一部の釣り方 を除き、ほとんどのエサ釣りは、エサを探す際の 嗅覚への依存度 が高い魚や、視覚と嗅覚との両方でエサを探している魚をターゲットとしており、水中の視界が悪化していても、魚がエサを見つけられないことは少ないでしょう。
とはいえ、エサを見つけるための補足的な情報として視覚を大いに活用している魚も数多くいるため、水中で激しく動くエサや、降雨による水質の変化に左右されにくい 嗅覚 に強く訴えかけるうえで効果的な、臭いの強いエサを使うと、好釣果を得られる確率が一層高まります。
雨の日の 釣果アップのポイント2.【ゲームフィッシング】
ゲームフィッシングでは、雨の日 のコンディションに合ったゲーム展開をしなければ、全くバイトを引き出せないことも少なくなく、エサ釣り以上に、釣果アップのポイントを押さえておくことの重要性は高くなります。ここでは、雨の日 のゲームフィッシングにおける、釣果アップの「2つのポイント」を見ていきます。
雨の日の ゲームフィッシング: 釣果アップのポイント①
ゲームフィッシングのターゲット の多くは、エサを探す際の 視覚への依存度 が高い魚や、視覚と嗅覚との両方でエサを探している魚をターゲットとしています。
雨の日は、濁りによって水中の視界が悪化しており、魚がルアーの存在を認識できない可能性がありますので、アピール力が高いカラーのルアーを使用したり、大きな波動を起こすなどの派手な動きをするルアーを使用したりすることで、魚にルアーの存在を確実にアピールすることが釣果アップのポイントとなります。
雨の日の ゲームフィッシング: 釣果アップのポイント②
降雨によって魚の活性が高めると、魚が泳ぐレンジは浅くなる傾向があり、より幅広いレンジのベイトを積極的に捕食するようになります。そのため、雨の日 のゲームフィッシングでは、晴れの日よりも浅いレンジを重点的に攻めたり、縦方向の動きを意識したアクションを多用したりするなど、よりアグレッシブで大胆なゲームを展開することが好釣果につながります。
雨の日こそ 好釣果を目指して釣り場に出掛けよう!
雨と釣果との関係を理解して 自分の釣りを組み立ていこう!
雨と釣果との関係を理解し、釣り場のコンディションに合った 自分の釣り を組み立ていければ、雨の日 の釣りにおいて釣果を大幅に伸ばすことができるでしょう。皆さんも、安全面や装備面で十分に注意を払いながら、雨の日こそ、好釣果を目指して釣り場に出掛けましょう。
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