ボルダリングのダイエット効果を考える
オリンピック競技にもなり、今話題のボルダリング。昨今、度々メディアにも取り上げらることも多くなり、女性の活躍も目にするようになりました。そのボルダリングが女性のダイエットに効く!と今、注目されています。ダイエットの悩みと言えば「引き締めたい!」とか「元の体型に!」とか「体重を落としたい!」とかですよね。ここでは、そのボルダリングが身体に及ぼす影響、カロリー消費や減量・引き締め効果や体型維持など、女性におすすめの秘密を探っていきます。
どんなスポーツ?
ボルダリングとは、ロッククライミング(岩登り)の1ジャンルで、ロープ無しで素手で登ることを差し、対象は程々の高さ(5~6m)の岩で、いわゆる「巨岩」です。つまり手ぶらで楽しめる岩登りです。それ以上は、ロープを使うので、別の呼び名(ルートクライミング)になります。
本来は屋外で自然の巨岩や岩壁をのぼるのですが、最近では屋内ジムで「スポーツクライミング」として楽しむことができます。大抵のジムには「ボルダリング想定」と「ルートクライミング想定」の壁が用意されていて、どちらも体験することが可能です。女性でも気負わずに始められるスポーツです。
ボルダリングのダイエット効果への期待とは?
ボルダリング効果として一般的に言われているのが「引き締め」の効果です。それ以外は多く語られていない気がしますが、引き締めはもちろん、それ以外の思ってもいない効果が隠されているのがボルダリングを含むクライミングだと思います。ボルダリングは、ただ壁を登るだけの運動なので、ジョギングや水泳などのように気負わずにゆるく始められます。
ただし、一見ゆっくりな動きですが、運動量は侮れません。この「ゆるいのにカロリー消費」がボルダリングの最大の特徴だと言えます。また、カロリー消費・痩せる・減量だけでなく、全身の筋肉を使うので、その引き締め効果は、偏らないメリハリのあるボディライン造りや体重・体型維持の運動としても期待できる、まさに女性におすすめのスポーツです。
ボルダリングはどうやって楽しむの?
ジムに行くと変な形の突起物がいっぱいくっ付いてる壁が目の前に広がっています。ボルダリングはこの突起物を手掛かりに壁を登るというとてもシンプルなスポーツです。突起物の種類も豊富ですが、壁にも色々あり、垂直な壁や奥に傾斜した壁、手前に傾斜した壁など様々な傾斜の壁が展開されています。奥への傾斜から手前に傾斜するほど難易度は上がっていきます。
突起物の名は「ホールド」です
また、突起物は、「ホールド」と呼び、掴みやすいモノ・掴みにくいモノなど形状によって呼び名が変わります。引き上げるだけでなく、押し上げたり押さえたりして、このホールドを利用して登っていきます。競技では、不規則に配置されたホールドを決められた順番に掴んでいき最後のホールドを両手で掴んでゴールするまでのタイムを競い合います。
筋力・知力ともに
ボルダリングでは、不規則な状況を瞬時に判断することが求められます。この体勢から次のホールドを掴むにはどう動けばいいのか?ということを考えながら登って行くボルダリングは筋力・知力ともに向上できるスポーツです。コース攻略は、いかに自分の「プラン」をその肉体で実現できるかというところがボルダリングにおけるスポーツ性です。
ボルダリングの前に改めてダイエットを考える
それでは、ボルダリングが及ぼすダイエット効果の前にまずは、「ダイエット」ということを改めて考えていきましょう。男性・女性限らず現代人が憑かれたように口にするこの言葉ですが、実は「ダイエット=痩せること」のように体型を変えることではありません。本来の意味は、主に運動と食事量を管理して「適正な体重にしていく」というもので、単にカロリー消費や減量が目的ではないのです。
したがって痩せてる人でも「ダイエットする」と言います。ただ、多くの方の悩みは、やはり「肥満」ということでしょう。ここでは、体型維持や引き締めも含め、減量し痩せること、カロリー消費を目的としたダイエットを考えていきたいと思います。ちなみに、女性20代~40代の平均身長が158cmで、それの適正体重は約52kgということです。
気になるお馴染みのキーワード
近年、テレビ番組などでも取り上げられる頻度が上がっていますから様々な情報がお茶の間に届いて、皆さん黙っていても知識や用語などが身に付いているかと思われます。体重を落とし、痩せる為には「脂肪は燃焼させる」とか「燃焼させるには分解」とかですね。では、体重・体型維持や痩せるためのカロリー消費、燃焼や分解とは何をするのかと言うことを次に解説いたします。
ダイエット効果のキモ「脂肪燃焼と分解」とは?
運動などで体を動かすとまず最初に筋肉に含まれているグリコーゲンや血液に含まれる糖質がエネルギーとして消費されていきます。しかし、これらはすぐ底をついてしまうので、次の段階として中性脂肪(いわゆる贅肉)が消費され始めます。この始まりが、よく「運動開始20分(仮)後」などと言われている頃合いです。「今から贅肉燃やすよ」などの合図も無く、個人差もあるのでとても体感できるものではありませんが、この辺り(時間的に)から体内では中性脂肪を分解しながら燃やしていくようです。
やはり分解しないと燃えないんです
この「分解」こそが昨今の定説になっている「脂肪燃焼はまず分解」の分解です。難しい話では、中性脂肪が遊離脂肪酸とグリセロールという物質に分けられることを指し、これらが血液中に放出され全身を巡り、熱エネルギーとして供給され筋肉や脂肪の回復を促すという流れが世に言う痩せる減量の基本、カロリー消費「分解と燃焼」ということです。
ダイエットは、開始○○分後が効果的?
そして、気になるのが「運動開始○○分後」でないと「脂肪は分解を始めない」というところなのですが、つまりそれは「○○分後」がやっとスタートラインということ。減量するには、そこからが本番(脂肪分解)ですから「痩せるためにそのまま頑張って続けてください」そして「今止めたら全てが無駄になりますよ!」ということです。それが10分・20分後なのですから、低付加の運動だとしても、スタミナが続くかどうか?という方も多いかと思われます。
続けないとダメ?
一般的に浸透している「体重を落とす」・「痩せる」・「減量」のためのダイエットセオリーとして「有酸素運動」を長時間続けるのが効果的と言われています。代表的なのが「ウォーキング」や「ジョギング」「水泳」等。
これらの低・中負荷の運動を、確実な呼吸で酸素を充分に取り込みながら行うのが望ましいとされ、前述の「○○分後」というのは、このような有酸素運動を「長時間」行うことを前提としています。ただ、時間をかけることは、徐々に身体が「順応」していくので「脂肪分解」への切換えがスムーズになるというメリットがあります。車で言う「暖機」のようなことです。
ボルダリングには有酸素運動のダイエット効果はない?
ボルダリングは、有酸素運動のような同じ動作を長時間するわけでもなく、筋トレのように重いモノを何十回も持ち上げるわけではありません。負荷はご自身の体重です。それに開始後数十分も続けないボルダリングには、有酸素運動におけるカロリー消費のセオリーはあてはまりません。つまり、ボルダリングは有酸素運動ではありません。
ボルダリングと筋トレのダイエット効果とは?
有酸素運動が時間をかけて「スムーズ」をモットーにするのに反して「筋トレ」は「即効性」に重きを置いています。脂肪燃焼という観点からも、筋肉の損傷が著しい筋トレでは、回復させるための働き(ブドウ糖消費)が加速するため脂肪分解への移行が早くなると考えられています。つまり、有酸素運動での「○○分後」を待たずとも脂肪燃焼メカニズムが活発に働きだすのです。そして、損傷した筋肉が回復するまでカロリー消費活躍は続きます。
ただし、「重いモノを何回も」という動作が多い筋トレは、筋肉の損傷が甚だしく、疲れた筋肉は休ませなければなりません。そのためインターバル(2日位~)をおきながら正しくやらないと、痩せるとか減量のみならず、偏った体型になったりと、結果を出すにはある程度「知識」がないと難しい反面もあります。一方、ボルダリングは、前述したように筋力は使いますが、数分程度の運動なので筋トレのような「即効性」はありません。
ボルダリングダイエットでも代謝はあがる
ボルダリングでも激しくない動きのわりには、大なり小なり筋肉を使い続けることを強いられるので、ブドウ糖消費は顕著になり同じように代謝はあがります。筋肉を使うのであれば、筋トレと同じダイエット効果なのか?というと、筋トレほど急激な損傷ではないので、その活動は緩やかであると考えられています。
損傷し続けますが、数分間の繰り返し(休憩自由)ですから回復活動が追いつくので、特にインターバルを意識せずともご自身の都合で運動を続けることが可能です。端的に表現すると「大怪我で長期治療」か「軽症で即治癒」かと言ったところでしょうか?治癒すれば続行です。
ボルダリングの引き締め効果は全身に
ボルダリングには、回数をこなしたり、○分以上耐えるなどという「枷」はありません。全身を動かすので当然全身の筋肉を使いますが、部位毎に集中して行う筋トレなどと違ってバランス良く全身の筋肉を鍛えることができますから「痩せる」「減量」と同時に引き締め効果でムキムキに筋肉がつくわけではないので、バランスの取れた体型造りも自然に出来るのが筋トレとの違いです。
ボルダリングはどんな筋肉に効果的?
では、どのような筋肉が使われるのでしょうか?主要な動作での例をあげてみましょう。腹筋と背筋はほとんどの動作で大なり小なり使われていますので、全身のあらゆる筋肉が使われることになります。
腕で引き上げる
・前腕(肘から下)の前後と指を動かす筋肉
・上腕(肘から上)の前の筋肉、胸の筋肉&more。
効果:腕引き締め&バストアップ
腕で押し上げる
・上腕の後側と肩(三角筋)&more。
効果:二の腕裏のタルタル無くし
足で押し上げる
・太腿の前側と下肢のふくらはぎと外側の筋肉
・お尻の筋肉&more。
効果:もも引き締め&ヒップアップ
ボルダリングはダイエット以外にも効果がある?
ボルダリングは、ホールドの位置によっては足で蹴ってその反動で腕を伸ばし掴みにいく場面や足を大きく開いて足場を確保しなければならない場面など、ただ登るわけではないので様々な体勢を余儀なくされます。
伸びたり縮んだり、押したり引いたり挟んだりとあらゆる動作を駆使してゴールを目指すのですが、その結果、ストレッチによる関節の稼動域を広げる効果があり、思ってもいないところで良い影響が考えられます。ストレッチ要素があるのが、筋トレや他のスポーツとの違いです。
ボルダリングダイエットは体をほぐす効果もある
例えば「股関節」は、女性ならずとも人間にとって大切な部位であり、ここが硬くなると歩く姿勢が悪くなり、猫背になるなど、体型にも悪い影響がある他、腰痛や冷え・便秘や女性では生理不順・生理通などに悩まされるようになります。
また、腕を伸ばしたりする動作ではストレッチ効果が「肩甲骨」周りにも及ぶため肩こりの軽減の他、良質な睡眠への移行などがあげられます。ボルダリングは、カロリー消費・引き締め効果だけでなく、女性ならずとも嬉しい効果があるのです。
疲れ過ぎないから丁度いい
このようにボルダリングは、ただ壁を登っているだけで筋力運動と同時に柔軟運動もできてしまうのに加えて、筋トレのような高付加の運動ではないので心地よい疲れ、「ちょっとスッキリ」程度の体感疲労として終了することが可能です。引き締めたいけど筋トレはちょっと…なんて女性にはおすすめの丁度良さですね。
ボルダリングが及ぼすもう一つのダイエット効果
ボルダリングのもう1つ特筆すべき点は、カロリー消費もさることながら、メンタルの変化が及ぼす体質への影響と言えるかもしれません。ボルダリングをやっている光景は、スポーツとは言え決してスマートな感じとは言えません。颯爽と街中を走るジョギングや「The運動」的なダンベルやプレスでの筋トレなどに比べると壁にへばりついて登っている姿は、「野生児」です。
壁を登るのは、レスキュー隊かキングコングかスパイダーマンかトム・クルーズであり、道具を使わずに登るのは野生のキングコング(実在するしないは別として)くらいです。すなわち、やっていることはキングコングと同じ「野生動物のそれ」なのです。
ボルダリングは非人間的?
実際のクライミングは屋外の岩壁を登ります。まさに自然相手の冒険と言えるでしょう。子供の頃は木に登ったりして遊びましたが、そんな感覚を呼び起こしてくれるのがボルダリングだと思います。もし、我々人間に猿やキングコングのような身体能力があったなら「梯子」は発明されなかったことでしょう。
語弊を恐れずに申しますと、この道具無しで壁を登るということは「非人間的」つまり「野生的」と言えます。そして、この「野生」こそが、痩せる・減量・ダイエットにも効果的で体質も変えてしまうほどのパワーを秘めた言葉であり行いであり生き方であると考えます。
やっぱり八分目
多くの方は、ダイエットの近道として運動による贅肉を無くす方法に重きを置いていると思いますが、ダイエットは、あくまでも「適正体重」を目標としたものです。そして、地球上には生まれついてのダイエットの天才がいます。それは、野生動物達です。動物界には「体脂肪率」や「適正体重」などという概念はないでしょう。
それは、適正に成る行動しかしていないからです。体型を気にしてる野生動物は見たことがありませんし、言わずもがな「有酸素運動」や「筋トレ」などの言葉も存在しません。野生動物達の太らない秘訣は「腹八分目」で止めること。満腹や食べ過ぎは、走れなくなり追う方も追われる方も迎えるのは「死」です。
脳が全ての指令を出す
我々人間の潜在能力は未知のものです。いろいろな「都合」で筋力は「2割程度」しか使われていません。それは、脳がリミッターをかけているからです。リミッターが無ければ「都合」により筋肉は破壊してしまいます。ただ、時に少しリミッターが外れる時がありますね。例えば、「火事場の馬鹿力」や「愛する人の為ならば」などといった場面です。
人は「脳」が出す指令によって体質をも変化します。「肥満」もその一つで、脳が「警告」的なところにリミッターをかけてるのでしょう。反対にいくら食べても太らないどころか、いつまでも体型・体重が変わらない人がいるのも事実。これも脳の指令によるものです。つまり、脳と身体の連携は体質をも変えてしまうのです。
脳が野生化していく?
ボルダリングにおいて筋力は不可欠です。かつ、体重が軽い方が断然有利です。体重が多いほど、それを「痛感」し、難易度が高い場面ではもっと考えさせられ「減量」の二文字が重くのしかかってくるのです。ただ、少なくとも壁を登っている自分は人間的ではありません。
登れば登るほど「動物」と化していき、ホールドを掴む度に己の中の「野性」が目覚めていくのです。女性であれ男性であれ。そして、野生が目覚めて動物と化した頭の中には、もはや「メタボ」の言葉は無く、どうすれば落下せずにあのホールドを掴むことができるのか?それを可能にするにはどうすればいいか?と考えるようになったならば、自ずと余分は脂肪は無くなっていきます。
脳は、常にその行為に必要な「何か」を選別して身体に反映していく作業をしています。今やろうとしている行為、そして今自身が陥っている状況と意志の方向性などによって脳はそれに見合った指令を出します。すなわち、野性的方向性にシフトした身体をサポートするのは「野生脳」であるということです。
登った先にあるモノは?
野生動物と化した暁には、一心不乱に登ってください。難しいコースにもどんどんチャレンジしてください。どんどんホールドを掴みに行ってください。そして、最後にその手に掴むのは…。
体脂肪率一桁の美しく引き締まったボディライン
そんなシナリオを胸にアナタもボルダリングダイエットでカロリー消費と一緒に体質・脳質変えませんか?まずは、周一のジム通いからでも始めてみてください。
ボルダリングダイエット効果 まとめ
結論として、運動=体脂肪燃焼=ダイエットと言う一般常識に当てはめると、ボルダリングは運動として成立しているし、低負荷な運動と違い筋力アップに伴う引き締め効果や代謝機能アップもできることがわかりました。ちゃんと体脂肪(贅肉)は燃えます。減量はできます。
メンタルが自然に体を作るようになる
それでもイチオシなのは「野生覚醒効果」です。それは、自分をコントロールできる精神的な強さが養われるということです。そして、動物本来の代謝能力が常に働いている身体を作れるのが、クライミングと言うスポーツなのだと考えます。野生に目覚めたメンタルには、もはや「減量」や「要ダイエット」なる強迫観念や体型を気にすることも無くなり、純粋に登りたいという欲望に変わり、ダイエットも継続します。
少し慣れてくると街中でも「この建物私登れるなぁ」などと思い、勝手にコースを考えたり、登れそうな処を無意識に探し初めるようになります。ただし、本当に登ってしまうと、それは「Clmb」ではなく「Crime」ですから、どうぞご注意を!