ウグイとは?
ウグイの分類
ウグイはコイ目・コイ科・ウグイ亜科・ウグイ属に属しています。コイの仲間ですがひげがないのが特徴です。ウグイ本来の体は銀の単色です。背部がやや黒く、腹部が白い色合いをしています。名前の由来は「鵜が喰う」魚で「うぐい」となったという説があります。
ウグイの種類
ウグイには北海道などに多く生息する「エゾウグイ」、新潟地方に生息する「ウケクチウグイ」、その他に「マルタウグイ」などの種類がいます。ウケクチウグイは現在数が少なく絶滅危惧種に指定されている魚です。
ウグイの呼び名
地方によってさまざまな名前で呼ばれるウグイですが、代表的な呼び名は以下のようなものです。
- イダ(九州・四国地方)
- ハヤ・マルタ(東京都)
- アイソ(栃木県)
- アカウオ(長野県)
- カンザッコ(山形県)
ハヤとウグイ
「ハヤ」という言葉がウグイを指すこともありますが、「ハヤ」はウグイの別名ではありません。「ハヤ」は小魚を指した呼び方です。多くの地域ではウグイ、オイカワ、カワムツなどを一緒にして「ハヤ」という呼び方がされています。
ウグイの生態
ウグイは2タイプに分かれる
ウグイは一生を河川で過ごすタイプと成長するとサケのように海に下るタイプに分かれます。海に下る時期はバラバラで、ある個体は成長してから1年後に、他の個体は数年後に下ります。産卵のために川に遡上するタイミングも1年後から数年後までいろいろです。海に下るタイプの方が大きな体になります。
ウグイは色が変わる魚
ウグイというとオレンジ色の縞が入ったきれいな魚というイメージがあるかもしれませんが、一年中その色をしているわけではありません。産卵期の3月~6月にかけてオスもメスも鮮やかなオレンジ色の縦縞が現れます。その時期を以外はフナやコイのような地味な色合いをしています。
ウグイは強い魚
ウグイは環境適応能力に優れている魚です。環境汚染にも比較的強く他の魚よりも影響を受けにくいのが特徴です。そのため、観賞用として飼育しやすい魚でもあります。
産卵期
ウグイは産卵期になると大きな群れをつくって河川の流れが緩い浅瀬に集まります。その浅い川底に卵を産み付ける習性を持っています。その習性を利用して、あえて浅い産卵場所をつくり、集まったウグイに投網する漁法を栃木県などでは「瀬つき漁」といいます。
ウグイの体長
河川で過ごすタイプのウグイの体長は成魚で30~40㎝です。一方、海の下るタイプのウグイは50㎝くらいまで成長します。1年で10㎝程度に成長し、3年ほどで成魚となります。群れを作って生活する魚です。
ウグイの餌
ウグイは雑食性の魚なので、ありとあらゆるものを食べます。昆虫、幼虫、ミミズ、小魚、穀物、藻、コケなどを食べています。
ウグイの生息地
ウグイは北海道から九州に至るまで、全国の河川に生息している魚です。北に行くほど海に下る個体が増えるので生息域はその地域の海域にまで及びます。
ウグイの流通
関東でウグイが流通することはほとんどありません。そのため関東の食卓には馴染みのない魚です。滋賀県や長野県では安価な値段で販売されています。おもな産地は栃木県、長野県、滋賀県です。長野県ではウグイの養殖もなされています。
ウグイの旬
ウグイの旬は産卵期を迎える春から夏にかけてです。産卵期のウグイが一番美味とされます。旬の時期には盛んに漁が行われます。旬ではない時期に漁獲されるウグイは甘露煮やかまぼこなどの加工食品にされます。
旬のウグイの味わい
ウグイは里山の食卓では愛されているなじみ深い魚です。旬のウグイはたんぱくな白身で、火を通す場合は味噌などの調味料との愛称が抜群です。生で食べる場合は鯉類の独特のうまみを味わうことができます。ウグイの鮮度は非常におちやすいので、基本的には生きているウグイを購入するスタイルになります。
ウグイの釣り方
ウグイの基本的な釣り方はみゃく釣りです。のべ竿を使ったシンプルな釣り方で、目印と、ガン玉、一本針で釣ります。ウグイは雑食なのでエサは何でもかまいません。川虫、ミミズ、ぶどう虫、サシ、練り餌、ソーセージ、パン、米粒などで釣れます。ルアーやフライでもよく釣れます。
ウグイが釣れる時期
ウグイは一年中釣れる魚です。特に釣り方を変化させる必要はありません。冬は禁漁期間になる河川が多いので、その時期のウグイ釣りは避けましょう。
ウグイの仕掛け
ウグイはヤマメやイワナの餌釣りと同じ釣り方をします。そのため基本的な渓流の餌釣り仕掛けを使用します。サルカン、ガン玉、0,4号のハリスを30㎝取り、針には袖針の3号を使用します。大きめの針を使用すればて、小物が掛かるのを防ぐことができます。のべ竿に取り付けるだけのセット仕掛けも売られています。
ウグイの食べ方
ウグイを使った料理は実はさまざまなレシピが存在します。ここでは代表的な食べ方をご紹介します。
一般的な食べ方
洗い
ウグイの洗いは美味で人気がある食べ方です。熱湯と冷水で締めたウグイの刺身は臭みのない美味しさと歯ごたえを楽しめます。酢味噌につけて食べるのが一般的です。
燻製
ウグイの凝縮した味わいを楽しめる食べ方で実に美味です。ウグイの皮は硬いので食べる時ははがして食べます。
唐揚げ・南蛮漬け
小ぶりのウグイの食べ方で人気があるのが唐揚げや南蛮漬けです。骨ごと食べられます。唐揚げの際は下味は塩こしょう、またはカレー粉を使用することもあります。
みそ煮
みそ煮は小ぶりのウグイを使用した料理です。内臓を取って素焼きにしたウグイを味噌、砂糖、お酒で煮ていきます。甘露煮よりも簡単に作れるのでおすすめの食べ方です。
地方ごとの伝統的な食べ方
甘露煮
素焼きにしたものを甘辛く煮た料理です。じっくり柔らかく煮られたウグイは丸ごと骨まで食べることができます。栃木県では「あいその甘露煮」と呼び名産品となっています。
田楽
栃木県などでは塩焼きにしたウグイに山椒味噌をつけて食べます。これを「あいそ炭火焼き」と呼びます。ウグイの産卵期である春によく出される料理です。
開き干し
ウグイの内臓とウロコを取り背開きにしてから干されたウグイです。風味とうま味が濃くなっていて美味です。滋賀県では「やなぎば天日干」と呼ばれています。
蒸し焼き
生きているウグイを水で洗い、鍋に入れて塩をまぶして蒸していきます。出てくる水分を捨て、さらに蒸す、を繰り返します。蒸しあがったウグイを冷まして完成です。お酒のあてにピッタリで秋田県では「ざっこ蒸し」と呼ばれています。
冷や汁
素焼きにしたウグイの身をほぐしてすり鉢で味噌と合わせます。それに水を加えてキュウリやミョウガと一緒にご飯にかけ冷や汁にします。夏によく食べられ臭みはなく非常に美味です。愛媛県では「いだの冷や汁」と呼んでいます。
刺身で食べる時の注意
ウグイは寄生虫が確認されている魚なので、刺身で食べる場合は注意が必要です。ポツリヌス菌や横川吸虫のような目に見えない寄生虫がいる場合があります。ポツリヌスは死に至ることがありますし、横川吸虫は人間の腸の粘膜に入ると腹痛や下痢を引き起こします。心配な場合は刺身で食べずに火を通して食べましょう。
ウグイの刺身を食べたいとき
ウグイを刺身は美味なので人気があります。刺身で食べる際は、必ず養殖のウグイを使用しましょう。養殖ウグイには寄生虫がいないので安心して食べられます。内臓にいる寄生虫はウグイが死ぬと内臓から出てきて身に寄生しようとします。天然ウグイの場合は生きているうちに内臓を取ることによってある程度の予防ができます。
ウグイの料理レシピ①
塩焼きのレシピ
材料
ウグイ
塩
料理手順
①ウグイの腹を裂き内臓を取り出します。②鱗とぬめりをきれいに洗い流します。③水気を吹いたら、塩を振っていきます。④炭火でじっくり焼くか、弱火のグリルで焼いて完成です。
調理のコツ
ウグイの塩焼きには大きめのウグイを使用しましょう。水分が飛び過ぎるとパサパサになってしまうので、水分を中に閉じ込めるようにゆっくり弱火で焼いていくのがコツです。山椒味噌などを塗って食べるのもおすすめです。
ウグイの料理レシピ②
南蛮漬けのレシピ
材料
ウグイ 10匹
ピーマン 1個
ニンジン 半分
玉ねぎ 1個
小麦粉
塩こしょう
【マリネ液の材料】
醤油 大さじ6
砂糖 大さじ2
みりん 大さじ2
お酢 250㏄
だし汁 300㏄
料理手順
①野菜を千切りにします。②鍋にマリネ液の材料を入れて沸騰させます。③沸騰したら野菜を入れてサッと火を通し、冷まします。④ウグイの内臓と血合いを取ります。⑤ぬめりを洗い流したら、水をしっかりふき取ります。⑥塩こしょうをして小麦粉をまぶします。⑦180℃の油でウグイを揚げます。⑧油から取り出したウグイはすぐに③のマリネ液に浸していきます。冷蔵庫で冷やしたら完成です。
調理のコツ
調理のコツは揚げたウグイをすぐにマリネ液にジュっと浸すことです。冷ましているときは魚と野菜がしっかりマリネ液に浸るようにすると味が入ります。
そのためにジップロックなどに入れて空気を抜くとまんべんなく浸ります。辛みが欲しければトウガラシを加えることもできます。野菜の食感を楽しみたい場合は火を通さず、生のままマリネ液に魚と一緒に漬け込みましょう。
ウグイの料理レシピ③
甘露煮のレシピ
材料
ウグイ 10匹
日本酒 100㏄
醤油 100㏄
砂糖 300g
水 ウグイが浸る量
八角 1つ
梅干し 5つ
料理手順
①ウグイの内臓とエラを取り除きます。②洗う時に指の爪を使って血合いと表面のぬめりをしっかり洗います。
③水分をふき取ってウグイの表面をあぶります。④鍋の中にウグイを敷き詰め、砂糖、梅干し、八角酒、水を入れ、落し蓋をして2時間ほど弱火で煮ていきます。
⑤頭も火が入り柔らかくなったら醤油を入れさらに1時間煮ます。⑥煮汁が煮詰まれば完成です。最後は焦げ付かないように鍋をゆすったり、汁をスプーンで掛けたりしながら煮詰めます。
調理のコツ
梅干しやお酢を入れると骨が柔らかくなります。ウグイをあぶる時は弱い炭火がベストですが、オーブンやグリルでも可能です。甘露煮の調理のコツは時間をかけてゆっくり煮ていくのがポイント。
煮ているときにウグイに触れないように気を付けます。調理中に形が崩れてしまうのを防ぐためです。
まとめ
ウグイは日本全国の河川にいて、雑食で旺盛な食欲があるので釣り方は難しくありません。ほとんどの河川で簡単に釣れます。家族で川釣りをするときにはよいターゲットです。同じサイズのウグイだけを持ち帰ると料理する母親を喜ばせることができます。
ウグイ料理にはさまざまなレシピが用意されているので、持ち帰って調理してみてはいかがでしょうか。刺身で食べる際は安全な調理を心がけましょう。