山椒(さんしょう)ってどんな植物?
山椒(さんしょう)は、落葉高木で樹高がだいたい2~5メートルになります。山椒(さんしょう)は、ピリッとした辛みと独特の風味が人気の植物です。山椒は、花、芽、実、葉っぱすべて食用とされます。山椒(さんしょう)はまさに日本古来の調味料であり、英名は「japanese pepper」。七味唐辛子の材料のひとつでもあり日本人になじみ深いおとなの味です。山椒(さんしょう)は地植えのほか、プランターなどで鉢植え栽培も可能です。
山椒(さんしょう)の産地
山椒(さんしょう)の産地として有名なのは和歌山県。全国の山椒(さんしょう)収穫量のおよそ70%以上を生産しています。なかでも有田川町は山あいの環境が山椒(さんしょう)栽培にぴったりで、ブドウ山椒(ぶどうさんしょう)発祥の地と言われています。
山椒(さんしょう)の育て方にはコツがある
山椒(さんしょう)は比較的強い植物ですが、実を収穫できるように栽培するためには少しコツがあります。山椒(さんしょう)には雄株と雌株があるので、両方を植えることが栽培の基本です。なお、実がなるのは雌株のみです。また山椒(さんしょう)は移植を苦手とする植物なので、プランターや鉢からの植え替えには細心の注意が必要。また適度に剪定することで葉や枝が蒸れて病気や害虫の発生を防ぎましょう。
山椒(さんしょう)の栄養素
山椒(さんしょう)には、カリウムや鉄分、カルシウムなど身体によい栄養素が多く含まれています。夏バテの予防にうなぎと一緒に食べるという方法は昔からの習慣。知らず知らずのうちに効果を取り入れてきたというわけです。また山椒(さんしょう)独特のぴりっとした風味は食欲を増進させたり、やる気を起こさせるといった効果も期待できます。
山椒(さんしょう)の花の特徴
山椒(さんしょう)は、4~5月ごろの春の時期に、黄色い小さな花を咲かせます。山椒(さんしょう)は実だけではなく花にもぴりっとした風味があります。山椒(さんしょう)の花を花山椒(はなざんしょう)と呼び、山椒(さんしょう)の花で作った佃煮などのレシピは人気です。
山椒(さんしょう)の葉の特徴
山椒(さんしょう)の葉っぱは美しいグリーン色をしています。山椒(さんしょう)の葉っぱは小さな楕円形の葉が集まって形成されています。山椒(さんしょう)の若い葉っぱは食用とされ、「木の芽」と呼ばれタケノコの煮物やお吸い物に飾られます。両方の手のひらで挟んでパンと鳴らすと、香りが増します。
山椒(さんしょう)の実の特徴
山椒(さんしょう)は、春に花が咲いたあと6~7月の時期に実をつけます。山椒(さんしょう)の実ははじめきれいな黄緑色をしていて、だんだんと色が濃くなるとともに皮が固くなります。食用に収穫する時期は、実がつきはじめてつるりと美しい若いころです。
山椒(さんしょう)の基本データ
科名属名
- ミカン科サンショウ属
学名
Zanthoxylum piperitum
和名
山椒(さんしょう)
別名
はじかみ
英名
Japanese pepper
原産国
日本、朝鮮半島
山椒(さんしょう)の種類
山椒(さんしょう)には、野山に自生する野山椒(のざんしょう)の種類、食用ではない山椒(さんしょう)の種類、食用の栽培用の品種などの種類があります。食用ではない種類としては、犬山椒(いぬざんしょう)が有名で、実からは悪臭がただよいます。野生種の山椒(さんしょう)の種類は食用には向きませんが、強健な性質のため、食用となる園芸品種の台木として用いられます。食用になる園芸品種の種類を少しご紹介いたします。
朝倉山椒(あさくらさんしょう)
朝倉山椒(あさくらさんしょう)は、栽培や収穫などをしやすく品種改良がなされた種類の山椒(さんしょう)です。まず、朝倉山椒(あさくらさんしょう)には、幹に山椒(さんしょう)特有のトゲがなく収穫しやすい種類の山椒(さんしょう)です。また実が大きいのも嬉しいポイントです。さらに、山椒(さんしょう)には通常、雄株と雌株があり、両方を植えないと実を収穫できないのですが、朝倉山椒(あさくらさんしょう)は、雌雄同株の種類なので、一本でも結実します。
ブドウ山椒(ぶどうさんしょう)は、大実で人気の朝倉山椒(あさくらさんしょう)からよいものを選抜して品種改良がなされた種類の山椒(さんしょう)です。実が果物のブドウのような房になってたわわに実り、食用に栽培して豊産を期待できる品種です。
山椒(さんしょう)の育て方1「土づくり」
山椒(さんしょう)は、水はけのよい肥沃な土壌を好む植物です。小粒の赤玉土に腐葉土や川砂を少し混ぜたものを準備しましょう。市販の草花栽培用培養土を利用するのも便利です。また、植え付けの際には堆肥を混ぜ込んで寝かせておきましょう。
山椒(さんしょう)の育て方2「肥料」
山椒(さんしょう)には、寒肥として1~2月の寒い時期に、油粕などの肥料を施しましょう。そのあとは、実を収穫したあとにお礼肥として少し肥料を施すとよいでしょう。また、山椒(さんしょう)の株を栽培、観察しながら、元気がないなと感じた場合は随時、穏効性肥料や液体肥料、油粕などを与えます。
山椒(さんしょう)の育て方3「水やり」
山椒(さんしょう)は、根が浅めに張る性質を持っているため水分が不足しやすい植物です。山椒(さんしょう)をプランターなどで鉢植えで栽培している場合は、よく観察しながら栽培している土の表面が乾いたらしっかりと水やりをしましょう。
真夏の時期の水やりに注意しよう
夏の暑い時期に水やりをする方法として、朝夕の気温が低い時間におこなうようにしましょう。昼間の気温の高い時間に水やりすると、与えた水がプランターなど鉢のなかで温まり、山椒(さんしょう)の根っこを傷めてしまう可能性があります。地植えの場合は、水やりの必要はほとんどありません。ただし真夏の暑い時期には、山椒(さんしょう)の根元にわらやバークチップ、落ち葉を敷くなどの方法で暑さから山椒(さんしょう)の根っこを守ってあげましょう。
山椒(さんしょう)の育て方4「場所」
山椒(さんしょう)は、直射日光の当たらない半日陰の風通しのよいところを好む植物です。とくに真夏の暑い時期に太陽の光が直接当たるような場所は避けましょう。プランターなどに植えた鉢植えの場合は、夏のあいだ少し涼しいところに移動させるとよいでしょう。山椒(さんしょう)は、移植を苦手とする植物なので、苗を植え付けたあとの植え替えはできるだけおこないません。地植えの場合は、春夏秋冬の環境をイメージしてよく吟味してから、山椒(さんしょう)の苗を植え付けるようにしましょう。
山椒(さんしょう)の育て方5「植え付け」
山椒(さんしょう)の植え付けに適した時期は、山椒(さんしょう)の休眠の時期にあたる12~3月の冬の時期です。山椒(さんしょう)は、根っこがあまり強くありません。植え付けたい山椒(さんしょう)の苗を、根っこを傷つけないように注意しながら、植え付けましょう。植え付けた山椒(さんしょう)の苗がしっかり根付くまで半日陰の風通しのよいところで管理しながら、苗の水やりを続けましょう。なお、山椒は移植に弱く、あとで植え替えすると枯れてしまうことが多い植物。植え付けの際には、後々植え替えをしないでよいところに植えるようにしましょう。
山椒(さんしょう)には雄株と雌株がある
山椒(さんしょう)には、雄株と雌株があります。両方の苗を近くに植え付けることで結実し、実を収穫することが可能になります。山椒(さんしょう)の植え付けの際は、雄株と雌株を植えましょう。ただし、朝倉山椒(あさくらさんしょう)は、食用に品種改良された山椒(さんしょう)の種類で、雌雄同株の性質を持つので一本で結実します。
山椒(さんしょう)の育て方6「植え替え」
山椒(さんしょう)は、根が弱いので植え替えには向かず、植え替えると枯れてしまうこともあります。できるだけ植え替えしないで栽培しましょう。ただし、山椒(さんしょう)をプランターなど鉢植えにしている場合は、根詰まりを起こすことがあるので、数年に一度植え替える必要が出てきます。
できるだけすみやかに植え替えよう
山椒(さんしょう)を植えているプランターや鉢の底をみて根が回っているようなら植え替えします。これまでよりひとまわり大きな鉢やプランターを準備して植え替えてあげましょう。植え替えたい山椒(さんしょう)を、すぽんと鉢やプランターから抜き取って、土をなるべく落とさないようにしながら、すみやかに植え替えましょう。植え替えた山椒(さんしょう)がしっかり根付くまで、半日陰の風通しのよいところで管理しながら、水やりを続けましょう。
山椒(さんしょう)の育て方7「剪定」
山椒(さんしょう)は、放任していても比較的樹形が乱れない樹木です。山椒(さんしょう)の剪定は、見た目を整えるというよりは、蒸れを防ぐためにおこないます。栽培している山椒(さんしょう)を観察しながら、あまりに伸びすぎた枝や葉っぱや枝が混みあっているところを剪定ばさみなどで剪定しましょう。山椒(さんしょう)の剪定に適した時期は、12~3月です。山椒(さんしょう)は、短い枝にも花や実がつくので、剪定の際にはあまり枝を切りすぎないように注意しましょう。強く剪定しすぎると、花付きや実付きが悪くなってしまいます。また、山椒(さんしょう)の枝には鋭いトゲがあるので、剪定の際にけがをしないように気を付けます。剪定して切り取った枝はきちんと処分しましょう。
山椒(さんしょう)の育て方8「病気」
山椒(さんしょう)には、白絹病が発生することがあります。山椒(さんしょう)が白絹病にかかると、山椒(さんしょう)の根元がまるで白い絹のような病斑で覆われます。白絹病に感染してしまうと治療する方法はありません。白絹病にかかってしまった株は、掘り上げて処分します。白絹病は、カビを原因とし、梅雨のじめじめした時期など湿度の高い環境下に発生する病気です。葉っぱが混みあわないよう剪定するなどできるだけ山椒(さんしょう)を風通しよく管理して、白絹病を防ぎましょう。
山椒(さんしょう)の育て方9「害虫」
山椒(さんしょう)には、アゲハチョウの幼虫がつくことがあります。アゲハチョウの幼虫は、山椒(さんしょう)の葉っぱに寄生して葉っぱを食べてしまいます。アゲハチョウの幼虫は比較的大きく、さらに食欲旺盛なので、一晩で山椒(さんしょう)の葉っぱが食べつくされてしまうほど。アゲハチョウの幼虫は春の温かくなる時期に発生しやすい害虫です。山椒(さんしょう)をこまめに観察しながら、アゲハチョウの幼虫を見つけたらすぐに駆除しましょう。
山椒(さんしょう)の育て方10「増やし方」
山椒(さんしょう)は、種まきと挿し木の2つの方法で増やすことができます。それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。
種まき
山椒(さんしょう)は、種まきで増やすことができます。山椒(さんしょう)の実が熟すまで待ち、種を採取します。実のなかに種がはいっていますので、種を取りだして種のまわりについている果肉を流水できれいに洗い流します。山椒(さんしょう)の種はとりまきします。とりまきとは、種を採取したあと保存せずにすぐにまく方法です。半日陰の風通しのよいところで管理しながら、水やりを続けましょう。種まきしたものから発芽して根っこが安定してきたら種まき苗の完成です。
挿し木
山椒(さんしょう)は、挿し木で増やすことができます。山椒(さんしょう)の挿し木に適した時期は、6月もしくは9~10月頃です。まず山椒(さんしょう)の木から、前の年に伸びた若い枝を清潔なハサミで15センチくらい挿し木用に切り取ります。切り取った挿し木用の枝についている葉っぱを、上部の2~3枚を残してすべて取り除きます。挿し木枝を、発根剤を入れた水に1~2時間浸けて水揚げさせます。挿し木用の土を入れた育苗ポットやプランターなどに挿し木します。
苗の根を傷つけないのがコツ
挿し木したものから発根して苗が安定するまで、半日陰の風通しのよいところで管理しながら、水やりを続けましょう。挿し木したものから発根し、本葉が数枚でてきたら挿し木苗の完成です。挿し木苗を別の場所に植え替える場合は、苗の根っこを傷めないように注意しましょう。
山椒(さんしょう)の育て方11「収穫」
山椒(さんしょう)の実の収穫時期は、だいたい6月ごろです。山椒(さんしょう)の実はだんだんと皮が固くなってくるので、できるだけ若いうちに摘み取って収穫しましょう。山椒(さんしょう)の枝には鋭いトゲがあるので、収穫の際にトゲでけがをしないように気を付けましょう。また、山椒(さんしょう)の実は触っているだけでも手がしびれてくることがあります。ビニール手手袋などを装備して収穫するとよいでしょう。
山椒(さんしょう)は独特の風味の日本のハーブ
山椒(さんしょう)はカリウムやカルシウムなど豊富な栄養素を含む、まさに日本のハーブとも言える植物です。実だけではなく若い葉っぱを香りづけにするなど用途も豊富です。夏場、食欲が衰えたときなどに山椒の香りを嗅ぐと食欲が刺激され、夏バテ解消に一役買ってくれます。山椒(さんしょう)は、プランターで手軽に栽培することも可能なので一本植えておくと便利です。