はじめに
ホウボウは温暖性の魚で、昨今の温暖化の影響により釣れる量も増え、近年では専門の釣り船も出ています。釣れればそれなりの大きさで、釣り応えもあります。専用タックルでなくても、バスタックル等でも応用ができます。食べても、とても美味しい魚なので、これから海釣りを始めようというビギナーにもおすすめの釣り対象魚です。
ホウボウの旬は
ホウボウは1年中美味しく食べられますが、なかでも12月から2月までの冬が、脂がのって美味しい旬となります。3月から5月は産卵期で卵をもったホウボウは煮つけ等に料理すると、とても美味しく食べられます。このあと、美味しい旬の食べ方や料理方法についてもご紹介いたします。
ホウボウの生態
分類:カサゴ目亜目ホウボウ科ホウボウ属
学名:chelidonichthys spinosus
ホウボウは温暖性の底生魚で、西太平洋から黄海、東シナ海、南シナ海まで分布。水深25メートルから600メートルの深海まで広い範囲の砂泥底に生息しています。胸鰭が発達した鰭条を使って底を歩くように這いまわり、エサとなるエビ、カニ、小魚を探します。産卵期は3月から5月で、稚魚は真っ黒で大きくなるにしたがって赤くなります。生態を理解すると、釣り方やどんな仕掛けを使うのかイメージしやすいでしよう。
ホウボウは高級魚
昔は高級魚で、ひじょうに高い値段で販売されていました。近年では漁獲量も増え、安定した値段で販売されています。それでも、活けじめしたものや大型魚は、いまだに高い値段(国産、天然、旬で築地直送のもので800gから1㎏の大きさのものが、¥3800から¥5000ぐらいの値段)で取引されています。また、カナガラシというホウボウに似た魚がいますが、こちらの魚はホウボウに対して可食部が少なく、漁獲量も多いので安い値段で取引されています。カナガラシの特徴は、胸鰭が赤く、鼻先が前方にとがっていますので、注意深く観察して頂ければ、見分けられると思います。
ホウボウが釣れる時期と場所
砂地・砂泥地のサーフまたは防波堤は9月から11月ごろまで、投げ釣りで広く探る事で釣れますが、寒くなると深場へ移動してしまいます。やはり、本格的な釣果を求めるのであれば、釣り船を予約するのが良いでしょう。船釣りは一年通して出船していますが、地域や船宿により、違いがあるので予め確認をしておきましょう。また予約時に、一人で釣りをするなら乗り合い船の料金、複数人で釣りをするなら仕立て(貸し切り)船の料金と条件(何人以上から)を確認しておくと良いでしょう。複数人で釣りをする場合、乗り合い船にしても良いのですが、仕立て船にしても料金があまり変わらない場合があります。もし、釣りをする仲間うちにビギナーがいたら仕立て船の予約をおすすめいたします。
ホウボウの釣り方と仕掛け(エサ釣り)
ホウボウを釣る方法としては、エサ釣りとルアー釣りの2通りがあります。ここでは、まずエサ釣りの釣り方と、仕掛についてご紹介いたします。
仕掛け
竿:オモリ負荷30号前後に耐えられるもの
リール:小型両軸リールまたは、小型スピニングリール
仕掛け:片テンビンにオモリ20号~40号、ハリス2号、針チヌ4号
エサ:イソメ、ゴカイ、サバの切り身
釣り方
動画のように、仕掛けを落とし一度底をとってから、上下にシャクリをくりかえし探ります。
※釣り船により、釣り方、仕掛、エサが変わるので予め確認をしておきましょう。
ホウボウの釣り方と仕掛け(ルアー釣り)
ルアー釣りの釣り方と、仕掛けについてご紹介いたします。
仕掛け
竿:6.0~6.5ft位のスピニングまたは、ベイトキャスティングロッド(バス用ならM~MH)
リール:小型量軸リールまたは、小型スピニングリール
仕掛け:ラインPE0.8号以下、リーダー フロロカーボン10~14lb
ルアー:メタルジグ40~130g ワーム・ジグヘッド5~21g
※ルアーの重さは、水深や潮の流れによって変わります。予め船宿に確認をしておくとよいでしょう。
釣り方
こちらも軽くキヤストして、底をとってから上下にシャクリを繰り返します。ルアーが底から持ち上がり着底直前にアタリが出やすいです。アタリがでたら、ゆっくり大きくスイープにあわせるとよいでしょう。底でエサを探し這いまわっている魚なので、余り上まで巻き上げず。底を何度もとって、いろいろなアクションを試してみましょう。
ホウボウのしめ方1
魚は鮮度が重要です。せっかく釣ってきた魚を美味しくいただくために、ここでは新鮮なまま持ち帰る、しめ方をご紹介します。なお、この作業は必ず魚が生きているうちにおこなってください。まず、ホウボウの頭の後ろ(延髄)に包丁をを入れて血を抜きます。血抜きができたら、エラと内臓をとり、氷の入ったクーラーボックスに入れてください。この時、魚に直接氷が触れないよう、新聞紙やキッチンペーパーで魚を包みビニール袋等に入れて5℃~10℃ぐらいで保管しましょう。氷に魚が直接触れると、氷焼けしてしまうのと死後硬直を早めてしまい鮮度が保てなくなる原因になります。
ホウボウのしめ方2
通常のしめ方よりさらに鮮度を保ちたいなら、神経じめをおすすめいたします。神経じめのやり方は動画のように、ワイヤーを魚の眉間から突き刺し隨縁内部の髄液(神経)を破壊し取り除きます。眉間からワイヤーを入れてゆく際、正しく隨縁にワイヤーが入っているかの確認は魚の反応を見て頂ければ解ると思います。こうすればさらに死後硬直を遅らせ、鮮度が保てます。そのあとは血抜き、エラ、内臓をとりのぞき、氷の入ったクーラーボックスに入れ(魚が直接氷に触れないようにして)持ち帰りましょう。しっかりと生きじめされた新鮮な魚と、そうでない魚は値段も変わってくるほどなので、覚えておくとよいでしょう。
必要な道具
ホウボウは大きくても40㎝ぐらいなので、持ち運びにも便利な短めのものが良いでしょう。低価格なので最初の1本として、最適でしょう。
ホウボウの捌き方1
捌き方は普通の魚とほぼ同じです。捌き方の動画では、エラや内臓を取り除く前のものを捌いていますが、釣って来た魚は、できるだけ持ち帰る前までに処理をしておきましょう。せっかく釣ってきた魚なので、上手に捌いて美味しくいただきましよう。綺麗に捌けて盛り付けも綺麗にできていると、さらに美味しく感じます。料理とは見た目もひじょうに重要です。
ホウボウの捌き方2
こちらの捌き方は、捌き方1と違って、中骨を抜かないでその部分を切り取っています。中骨を抜くのが大変と感じる方は、捌き方2をおすすめします。とくに新鮮なうちに中骨を抜くのは大変な作業です。また、捌き方1では説明はありませんでしたが、ホウボウのエラと背中の部分が鋭く尖っているので、この部分に触れてケガをしないよう注意してしください。
ホウボウの美味しい食べ方
ホウボウはとても旨みの強い魚です。以下にその旨みを生かした簡単な料理をご紹介いたします。旬の魚を美味しくいただけくために、まずホウボウを釣りに出かけましょう。次に、釣った魚の下処理をしっかりと行い、あなたのお好みの食べ方で美味しく召し上がってください。
美味しい食べ方:お刺身
一番おすすめの食べ方はやはり、旬に釣った大き目のホウボウをお刺身にして食べましよう。歯ごたえと独特の旨みがあって、とても美味しいです。
美味しい食べ方:しゃぶしゃぶ
次にご紹介する食べ方は、刺身用に捌いた旬のホウボウで、しゃぶしゃぶをしてみてはいかがでしようか。ホウボウのあらを入れると、よい出汁が出てとても美味しい料理になります。
美味しい食べ方:鍋
冬の定番料理、旬のホウボウのあらを入れ出汁が出た鍋はとても美味しく、釣行後の冷えきった体を温めてくれるでしょう。釣りに行った仲間と、ワイワイガヤガヤと鍋パーティー等をしてみるのもよし、きっと釣りに行った時の話で盛り上がるに違いありません。
美味しい食べ方:炙り刺し
鱗を落として、皮目を上にしてバーナーで炙り氷水につけます。次に、水分をふき取ってお皿に盛りつけます。ホウボウは皮もパリとした食感がとても美味しい魚なので、ぜひ試してみてはいかがでしょう。
美味しい食べ方:煮つけ
小さめのものと、卵をのもったホウボウの料理方法は煮つけ等にしてみてはいかがでしよう。卵をもった魚は卵に栄養分を取られ、身がやせてしまっているので刺身には向きません。煮つけにすると甘辛い煮汁が卵によくしみ込んで、ほくほくした食感と合って、とても美味しくいただけます。また、白子も卵どうように煮つけにして料理すると美味しくいただけるので、おすすめです。
美味しい食べ方:潮汁
ホウボウは捌き終えてみると、余り捨てる部位がありません。アラは出汁が出て、旨みが濃いので潮汁としてみてはいかがでしょうか。塩だけで味付けをしても、細かな脂がキラキラ浮いて、簡単に上品な味わいを楽しめる料理です。
ホウボウは旨みが強い魚なので、塩焼きにするだけでとても美味しくなります。酢橘やポン酢をかけてさっぱりとした後味に、白身のふあっふあの食感をぜひ味わってください。
美味しい食べ方:浮袋のポン酢あえ
塩を入れたお湯で表面の色が変わる程度にさっと湯通して、冷水でしめてから切ってもりつけます。食べる直前にポン酢をかけて召し上がってください。噛み応えのあるさっぱりしたホルモンのような味わいを楽しめます。
美味しい食べ方:アクアパッツァ
魚介類から出るちょうど良い塩気とオリーブオイル、ケーパーやトマトの酸味で、他に味付けはしなくても十分美味しくなります。素材を準備するのに少し手間はか掛かりますが、シンプルで美味しい料理です。パンに煮汁を吸わせて食べてくだい。さらに、残った煮汁でパスタを作っても、美味しいのでぜひ試してみてください。
まとめ
ホウボウの生態は?その特徴や釣り方、上手な食べ方までご紹介!いかがでしたでしょうか。ホウボウは非常に上質な白身の魚で江戸時代には、「君の魚」と言い上流階級しか食べられない魚でした。今だからこそ漁獲量が増え値段も安定しています。しかしながら自分で釣った魚場合 、そこには値段以上の価値を釣り人は感じているのではないでしょうか。そんな魚を美味しく食べられたなら、また次回は今回以上に魚を釣って、違う食べ方を試してみようと考えるのではありませんか。そんな時に、またこの記事を読みかえして頂けたなら幸いです。