「ウツボ」とは?
漢字では「鱓」と書きます
漢字で「ウツボ」と表記している機会に出会うことがない人が多いと思いますが、しっかりと漢字一文字で表すことができます。魚ヘンなので魚なんだと実感できます。
「うつぼ」で変換しても出てこない場合は「ごまめ」で変換できます。豆知識で覚えておくと会話のネタに使えるかもしれません。
「ウツボ」と呼ばれる由縁
日本名のウツボの由来は数多くあり、長い矢を入れる「靫」(うつぼ)の入れ物の形に似ているから。また、岩礁に空いた穴に住むので、空洞を意味する昔の言葉の「うつほら」から「ウツボ」と呼ばれる説があります。
ウツボが美味しい時期は11月から3月
年中釣れるウツボですが一番美味しく食べられる時期は冬です。冬に釣れるウツボは、脂が乗って臭みも少ないので、釣って食べる場合は冬がおすすめです。夏に釣れるウツボと味を比べると独特な臭みを感じられるほどの季節によって味に変化があります。
「ウツボ」の生態
世界中に「ウツボ」がいます
温かい海域を好む生態で、鋭利に尖った歯を持つ肉食魚です。ウツボは、世界中で約200種類が確認されており、日本では、日本海側は島根県から九州にかけて。太平洋側は、千葉県の房総半島から九州まで生息が確認されています。南西諸島では多くの種類のウツボが生息しています。
「ウツボ」はウナギの親戚です
全長が20cmから4mの大きさの幅広い大きさのウツボがおり、全長が1m前後の種類が多いです。ウナギ目ウツボ亜目ウツボ化に分類されており、魚体はウナギと同じで、細長い筒状で、背びれから尾びれまでが一体化しています。
毒を持つ「ウツボ」がいます
私たちの身近にいるウツボには、毒を持った種類がいます。それは、「ドクウツボ」と呼ばれるウツボで毒があります。鋭利な歯を持っているので、噛まれると毒が体内に入ると思ってしまいますが、魚体に人が食べた場合に毒になる成分が含まれています。
「ドクウツボ」は日本の南西諸島周辺にいるので、食中毒になるので食べないでください。
ウツボが持つ「シガレタ毒」
ドクウツボなどの一部のウツボが持つ毒が「シガレタ毒」です。この毒は、食中毒の原因になる毒素で、嘔吐・下痢・腹痛などの症状が起きます。熱帯の海にいるプランクトンが作り出した毒素で、食物連鎖によってウツボにも毒が蓄積されているそうです。
日本でも発症例があり、海外では死亡例があるのでドクウツボは食用に向いていません。
「ウツボ」の習性
「ウツボ」は皮膚呼吸ができます
サンゴ礁や岩礁を好み、水中から出ても皮膚呼吸でしばらく地上でも活動できる特殊な生態です。釣っても磯に放置するのが一番危険なのでウツボを釣り上げた場合は、噛まれる危険があるので早急に締めましょう。
持ち帰る場合は、氷をたっぷり入れたクーラーボックスを準備して、釣ったらすぐに入れてると安全に締められます。
天敵知らずの「ウツボ」
肉食のウツボは、魚・エビ・カニ・タコなどを食料にする獰猛な魚です。サンゴ礁や岩礁に住む生態から、天敵がいない食物連鎖の頂点にいる魚です。鋭利な歯と強靭なアゴを武器に天敵知らずの地位を築きました。
ウツボはタコを好んで食べる生態で、タコから見ると一番の天敵です。そのことから、ウツボ釣りのエサで新鮮なタコを使うと釣りやすくなります。
人間が唯一の天敵?
見た目が気持ち悪いウツボですが、ウツボ料理として食べる人間が唯一の天敵です。海の中ではサメが天敵とされていますが、サメを見た途端に岩陰に隠れてしまうので、天敵はいないと言えるでしょう。
天敵がいないと思っている磯の王者であるウツボを岩陰から引きずりだして美味しく食べてしまいましょう。
釣りやダイビングに危険な「ウツボ」
磯釣りやサンゴ礁を観察するダイビングではウツボは危険な魚です。敵が近づいてきたと感じたウツボは、口を大きく開けて威嚇します。それでもウツボが危険と判断した場合は、人間にも噛みついてきます。
噛まれると鋭い歯と強い顎でひどいケガをする危険があります。釣りの場合は、ウツボの口からハリを外す時に噛まれる危険が多いので、仕掛けが無駄になってしましますがラインを切って噛まれる危険を回避しましょう。
日本にいる「ウツボ」
「トラウツボ」
日本では、南日本から伊豆諸島、小笠原諸島の温暖な海域に生息しています。体は、赤・黒・黄色のまだら模様がトラに似ていることから「トラウツボ」と呼ばれています。生態は「ウツボ」と同じで岩場を好み、小魚やエビ・カニ、タコを食べます。性格が荒いので噛まれると危険です。
「ウツボ」
日本でよく見られるのがこの「ウツボ」です。磯では食物連鎖の頂点に立っている天敵がいない魚なので、ある程度大きく育てば捕食される心配がなくなります。温暖な海域にある磯では確実に存在していると言っても過言ではありません。
ウツボを料理に利用する地域も多く、千葉県の房総半島、和歌山県の紀伊半島、四国では、たたきや干物、蒲焼などの食べ方で親しまれています。磯で釣りをしていると泳いでいる大型の個体が見られるでしょう。
料理に使うには手間がいりますが、食べ方もたくさんあり、味が淡白で美味しいのでウツボ釣りをメインに楽しむ人も多いです。
「ウツボ」は危険?
気性の荒い生態
磯やサンゴ礁に住む天敵がいない生態系の頂点に立つウツボは、自分よりも大きな体の生き物にも威嚇するほど荒い生態です。人間にも威嚇するほど荒い性格をしています。
威嚇した後は、噛んで攻撃をしてきますがこれがウツボの必殺技です。海から出ている岩の上にエサになるカニなどを見つけると、海から飛び出して捕食活動をします。
磯釣りをしているときに、海から飛び出してくる場合があるので、噛まれないように注意が必要です。
凶暴な歯
ウツボの攻撃方法は噛むことです。人間は手を噛まれる場合が多いです。特に、釣りをしているときに、釣り上げてウツボからハリを取り外す特に手を噛まれる危険が多くなります。
噛まれるとウツボの歯は、鋭利な刃物のような形状をしており、アゴの噛む力が強いので、肉をえぐるように噛まれます。噛まれても毒はありませんが、ひどいケガをしてしまうので、魚だと甘く見ずに噛まれないように細心の注意をしてください。
身に小骨が多い
ウツボの料理は、ほかの魚と同じで3枚におろすことから始まります。しかし、背骨以外に小骨が多いので料理には注意が必要です。料理する前に、ハモ料理の食べ方にある骨切りをすると安心して美味しく食べられます。
ウツボをさばく経験を積めば、骨がある場所も理解できるので、丁寧に骨を取り除けられる技術が身に付けられます。
「ウツボ」の釣り方①
穴釣り
テトラポッドや磯にいる生態を利用した釣り方です。穴釣りといえば、カサゴやメバルの釣り方でご存知の方が多いと思いますが、同じやり方でウツボの大型魚を狙う釣り方です。80cmのウツボが釣れることが多いので、確実に釣り上げられる道具が必要です。
穴釣りの道具
ウツボは釣り上げた場合に激しく抵抗するので、ジギングロッドなどの強度のある物を準備しましょう。足場の悪い場所からの釣りなので、長くても2m程度のロッドが扱いやすいです。
3000番台のリールにナイロンラインの6号から8号を使用して、根ズレの心配がある場合は、2mのフロロカーボンラインをリーダーにするとラインブレイクの心配が少なくなります。
穴釣りの仕掛け
中通しのオモリを5~8号を使用し、頑丈な針の丸セイゴかタチウオ針で16~18号を取り付けます。餌は、ウツボが好物の魚の切り身を使います。スーパーで売っている新鮮な魚を使うと、血の臭いにおびき寄せられ釣りやすくなります。
「ウツボ」の釣り方②
泳がせ釣り
生きている小魚を使ってウツボを釣ります。元気に泳ぐ魚が必要になるので、事前にサビキ釣りで小魚を釣っておきましょう。磯にいる小魚を食べる生態を利用した釣り方です。サビキ釣りで釣った魚と、ウツボが釣れるので一石二鳥の楽しみが味わえます。
泳がせ釣りの道具
ウツボの泳がせ釣りに使う道具は、穴釣りと同じ道具で十分です。釣りたての新鮮な小魚は泳がせ釣りに使い、死んだ小魚は穴釣りに使うなど、臨機応変に釣り方を変えることが可能です。
泳がせ釣りの仕掛け
海底付近に魚を泳がせる必要があります。活きエサは勢いよく噛まれるので、ハリスはワイヤーを使用して自作すると確実に釣り上げられます。ウツボの仕掛けは販売されていないので自作する必要があります。上のイシダイ釣りの仕掛けの動画を参考に作ると丈夫な仕掛けが完成します。
「ウツボ」のさばき方①
確実に「ウツボ」の息の根を止める
ウツボは陸上でも生きられる生態なので、持ち帰っても生きている場合があり、噛まれる危険があります。塩をたくさん入れた水にウツボを入れて動かなくなるまで待ちましょう。
また、釣り場から持ち帰る時に、クーラーボックスに氷と塩を大量に入れて、そこにウツボを入れて持ち帰ると簡単に息の根を止められます。
塩もみ
ウツボの体はぬめりがあるので、料理する前に塩で揉んでぬめりを確実に取り除きます。このぬめりは臭みの元になるので、ウツボを美味しく味わうには重要な下準備です。1匹のぬめりを取る作業だけでも大量の塩を必要とするので、料理の前に塩を購入しておくとよいでしょう。
「ウツボ」のさばき方②
臭みの元の内臓はきれいに取り除く
釣り上げたウツボの内臓には寄生虫がいる場合があるので、きれいに取り除きましょう。寄生虫は釣ったらすぐに冷やせば問題ありません。釣り上げたらすぐに大量の氷で保存しましょう。
内臓には毒はありませんが、臭みの原因になるので、料理する時に内臓を傷つけないようにきれいに取り除くと味への影響が少なくなります。
「ウツボ」のさばき方③
背中から切り分ける
背びれの部分に骨が多いので、慎重に切り分けます。背びれを両側から3枚おろしの要領で包丁を入れます。肉厚で包丁が入れずらいので、何回かに分けて包丁の歯を通し、少しずつ切っていきます。
「ウツボ」のさばき方④
腹側をさばく
腹側からも切れ目を入れながら切り分けていきます。腹側は骨が少ないので、勢いよく包丁を入れないように注意してください。内臓を傷つけてしまい、臭みが出てしまい料理の味に影響してしまいます。少しずつ切り分けるのが、美味しい食べ方につながります。
「ウツボ」料理①
「ウツボ」のたたき
たたきと聞くとカツオのたたきを思い浮かべる方が多いと思いますが、高知県ではウツボのたたきも有名な料理です。ウツボのたたきは中まで火を通す食べ方です。3枚におろした身を弱火でじっくり炙り、身の全体に火が通ったら薄くスライスします。ポン酢やわさび醤油の食べ方が味を引き立てます。
ウツボは栄養が豊富なんです
ウツボには、良質なたんぱく質やカルシウム、鉄分が豊富に含まれています。特に、皮と身の間にあるゼラチン質にはコラーゲンが多量に含まれていて、お肌によい成分なので女性が喜ぶ魚です。
また、滋養強壮、冷え性の改善にも効果があると言われており、見た目とは違って、栄養素が豊富なので積極的に食べたい魚です。
「ウツボ」料理②
「ウツボ」の干物
定番の食べ方の干物に挑戦してみましょう。作り方は、塩と酒を入れたボウルにウツボを入れて揉みこみます。さばく前に塩でぬめりを取っているので塩は少なめにしましょう。味醂干しやしょうゆ干しの食べ方もおすすめです。
天ぷらや煮物に変身
千葉県の南房総では、ウツボの干物をぶつ切りにして、天ぷらや煮物の食べ方で親しまれています。毎年12月ごろから天日干しされているウツボを漁港で見られるようになります。
油で揚げる食べ方でも、淡白で味わい深い食感が損なわれないので、天ぷら・唐揚げ・塩焼きなど干物からたくさんの食べ方で楽しめます。
「ウツボ」料理③
「ウツボ」の煮こごり
身は美味しく、食べ方がたくさんありますが、残った中骨や頭を有効に使った料理をご紹介します。夏の猛暑を乗り切るためにおすすめしたい料理です。野菜と煮込んで冷蔵庫で冷やせば、ウツボのゼラチン質が固まり栄養豊富な煮こごりの完成です。
①臭みを取る
鍋に中骨と頭を入れ、1分ほど沸騰させます。頭は肉が多いので3分を目安に沸騰させるとしっかりと臭みが取り除けます。沸騰させた後は、冷たい水に漬けて熱を取ります。血合いが付いていると固まって取りやすいので、この時点でキレイに取り除いておきましょう。
②あら汁を作ります
熱を取ったウツボと昆布を鍋に入れます。中火でじっくり茹で、アクをきれいに取り除くのがポイントです。塩と酒・醤油をご自分に合う味付けをしてください。
③身を取り分けます
小さな骨が多い部分なので、慎重に手で身を取り分けタッパーに移します。皮にはコラーゲンがたっぷりあるので忘れずにタッパーにいれてください。鍋から汁をタッパーへ移し、冷蔵庫で一晩冷やせば完成です。
捨てる部分で作った食べ方ですので見た目が悪くなる食べ方ですが、身の部分を使うと美しい料理になります。
まとめ
私たちがよく見るウツボには、噛まれる危険に注意すれば多くの食べ方があることが理解して頂けたと思います。天敵もいないウツボは、簡単に釣れるので、ご自分で美味しく食べてみてはいかがですか?