釣り針の基本種類
エサ釣り用の種類
エサ釣りで使用される釣り針は形状ごとに分類されていています。大きく分けると袖針、丸セイゴ針、伊勢尻針、流線針、ムツ針の5種類です。
ルアー釣り用の種類
ルアー釣りで使用される釣り針は、釣り針がまとめられている本数で分類されています。シングルフック、ダブルフック、トリプルフックの3種類です。
ソフトルアー釣り用の種類
ワームという疑似餌を針に付けて使用するソフトルアー釣りで使われるのは、シングルフックとオフセットフックの2種類です。
釣り針の簡単用語解説
返し(カエシ)
「返し」というのは針の先端内側に、針先とは反対向きに付けられているささくれのような小さな突起のことです。どのサイズの針にも付けられています。釣り針に掛かった魚が外れにくいようにする目的があります。返しのある針は釣った魚をキープする釣りで使用されます。
ひねり
「ひねり」とは針先と針の軸を重ねて見たときに、針先がやや斜めによじれている状態を指します。ひねりがある針の方が魚を合わせたときにしっかり魚の口に掛かるといわれています。
バーブレス
「バーブレス」は返しが付いていない針のことです。返しがないので魚にダメージを与えにくく、すぐにリリース(逃がす)すれば魚は元気に生き続けることができます。トラウトの管理釣り場などキャッチアンドリリースを目的とした釣りでよく使用される針です。
ケン付き針
「ケン付き」とは針の軸の背部分にささくれのような小さな突起が2つ付いている針です。活きているアオイソメやゴカイなどを使用することが多い針に付けられています。動く餌が針から外れないようにする目的があります。
ネムリ
「ネムリ」とは針先が内側に向かってわずかに曲げられている状態のことです。魚が食った時に少し掛けにくくなりますが、針に掛かった魚があばれても外れにくくなります。大きなサイズ(号数)の針についていることがおおく、大型の魚釣りに向いています。
釣り針のサイズについて
1つの種類にさまざまなサイズの針があります。釣り針のサイズは「号数」で表すのが一般的です。号数が大きくなればなるほど、針のサイズは大きくなります。対象魚の口の大きさ、付けるエサ、その日の状況によって号数を選んでいきます。1つのターゲットを釣る場合でも、違う号数の針をいくつか用意しておくのがベストです。
サイズを選ぶときの注意
同じ号数が表記されていても、別の種類の針の場合はサイズが異なります。同じ種類の針の場合でも、メーカーによってサイズが若干異なるので注意が必要です。
エサ用の釣り針:袖針
形状・強度
主な素材は鉄です。軸の形状がまっすぐで長いことが特徴です。強度は弱くて伸びやすい針です。鉄の素材で出ていている針は根掛かってしまったとしてもやがて錆びて自然界に戻ります。
特徴
袖針は魚の針掛かりがよく、釣り上げた後も比較的口からはずしやすい針です。サイズは1よりも号数が小さな3mm程度のものから10を超える号数まで販売されています。
選び方
袖針は川釣り、海釣りを問わず小物の魚を釣る時によく使用される針です。口が小さな魚の釣りにも向いています。対象魚はタナゴ、フナ、ハゼ、アジ、イワシ、サヨリなどです。
エサ用の釣り針:丸セイゴ
形状・強度
おもな素材は鉄やチタンです。軸から針先まで全体的に湾曲しているのが特徴です。ひねりも付けられており、硬い口の魚にも効果的です。ひねりから発生される回転力を使ってしっかり掛けることができます。強度が優れるのため、大物釣りに向いています。
特徴
ネムリがつけられているタイプは根掛りを防いでくれます。釣れた時にスズキのように激しくエラ洗いするような動きをする魚でも針が取れないように設計されています。大きな魚にガバっと喰わせた後、飲み込まれても合わせた時に唇にしっかり掛かる特徴があります。
選び方
丸セイゴはバランスが取れている針なので海釣りではよく使われる針です。釣り初心者にもおすすめの針です。ネムリが付いているため、瞬間的に細かい当たりを取る釣りには不向きです。主に中型から大型の魚を狙う釣りで使用します。対象魚はイシモチ、スズキ、青物、根魚などです。
エサ用の釣り針:伊勢尻
形状・強度
素材には鉄やチタンが使われています。形状の特徴は全体軸が太いことと軸が短いことです。そのため強度に優れています。魚の針掛かりがよい形状をしています。飲み込まれやすく口の奥に引っ掛かりやすい針でもあります。
特徴
太い針のため活きたエサを付ける釣りには向いていません。イソメなどの生餌に対してはダメージが大きく、すぐに弱ったり死んだりしてしまいます。昔からある針で、ウキ釣りや磯からの大物釣りで使用される針です。
選び方
生餌を使用しない釣りで、強度が求められる大物を釣る時に使用します。また魚が針をくわえた瞬間に当たりを合わせるような釣りに向いている針です。磯釣りで使用される頻度が高く、対象魚はメジナ、クロダイなどです。
エサ用の釣り針:流線
形状・強度
袖針よりさらに細長く湾曲している軸が特徴です。素地は鉄やチタンが使用されています。強度は弱く伸びやすく設計されています。ケン付きタイプがほとんどでイソメなどの生き餌を使う釣りを想定して設計されています。
特徴
海底の魚を釣ることに使用される針なので、根掛かりした時に強く引くと針が伸びて仕掛けを回収できるように、あえて強度が弱く設計されています。針軸が長いため飲み込まれても少し引っ張ると針の根元が出てきて外すことができます。
選び方
投げ釣りでよく使用される針です。生餌を使う釣りに向いているので対象魚はハゼ、シロギス、カレイなどです。
エサ用の釣り針:ムツ
形状・強度
形状は丸セイゴの幅を少し広げたような形状です。特性も丸セイゴに似ています。先端にネムリが付いていて根掛りしにくく、掛かった魚が暴れても外れにくい特徴があります。大型の魚を釣るように設計されているので鉄やステンレス素材が使われ強度があります。
特徴
大きな口の魚にしっかり加えさせ、飲み込ませた後に合わせるような釣りに向いています。ネムリが付いているので飲み込まれても針がスルスルと口元まで出てきて、唇にしっかりフッキングできます。のどに針が掛かってしまうと魚の歯がハリスに直接あたって切られてしまいます。ムツ針はそういう状況を避けることができます。
選び方
ムツ針は口が大きな魚がしっかり餌を食べて、その後のフッキングで唇に針を掛けるような釣りに向いています。つまり、ハリをくわえてすぐに離してしまうような繊細な魚釣りには向いていません。ムツ針の対象魚はキンメダイ、カサゴ、ハタ、クエなどです。
ルアー用の釣り針:トリプルフック
特徴
「トリプルフック」は3つの針が一つのまとめられている釣り針です。三方向に分かれているので、魚がルアーにアタックしてきた時にフッキング率を高めてくれます。ミノープラグは基本的にこのトリプルフックがセットされた状態で販売されています。トリプルフックの重量が設計段階で計算されています。素材は鉄ですが繰り返し使うので錆びないようにニッケル加工やスズ加工が施されています。カーボン素材もあります。
選び方
トリプルフックは魚がどの方向からルアーにアタックしてきてもフッキングしやすい針です。小さな当たりがあり、なかなか魚をフッキングできない時には効果を発揮します。ところが、魚の口に深く刺さりにくいというデメリットを持っています。また、魚を傷つけてしまいやすい針なので、キャッチアンドリリースの釣りには向いていません。
ルアー用の釣り針:ダブルフック
特徴
「ダブルフック」は2つの針が一つにまとめられているフックのことです。トリプルフックよりも根掛りを減らしやすいという特徴があります。ダブルフックは2方向にしか針が出ていないため、トリプルフックよりもフッキング率が落ちます。
選び方
ダブルフックを使用する主な目的は、根掛りやゴミを回収してしまうようなシチュエーションを避けることです。特にボトム付近海底をコツコツたたきながら魚を誘う場合などでは、ダブルフックにすることによって海藻やゴミがルアーに絡むことを回避しやすくなります。
ルアー用の釣り針:シングルフック
特徴
「シングルフック」はフックが1つのタイプのルアー用の針です。素材は鉄かチタンです。フッキングした時にしっかり深く魚の口に掛かるのが特徴です。針が魚の口に刺さる頻度は落ちますが、フッキングした魚をしっかり釣り上げるという点では絶大の効果を発揮します。
選び方
シングルフックは確実に魚を釣り上げたいというシチュエーションに向いています。また魚を傷つけにくい針でもあります。キャッチアンドリリースを目的とした釣りではシングルフックのバーブレスタイプを使用しましょう。魚はリリースされたあとも元気に生き続けることができます。ほとんどの管理釣り場ではシングルフックのバーブレスタイプの使用が義務付けられています。
ソフトルアー用の釣り針:ストレートフック
特徴
「ストレートフック」は袖針をそのまま大きくしたような形状のフックです。ワームを加えた魚をフッキングする力に優れます。ワームの取り付けも簡単な形状です。繰り返しキャストしていくとワームが徐々にずれてくるというデメリットもあります。ボトムを探ると根掛りを起こしやすいフックです。
選び方
喰いが渋くワームを軽くくわえるブラックバスやもともと噛む力が強くないアジなどを釣る時などに使用します。ボトムを狙う釣りでは使用しないフックです。表層から中層にかけての魚を釣る際に効果的です。
ソフトルアー用の釣り針:オフセットフック
特徴
「オフセットフック」は針先をワームに隠すことができるフックです。ワームを使った釣りで主流のフックはこのオフセットフックです。どんな障害物もスルっと通り抜けることができるため、根掛りというストレスから解放された釣りができます。ワームをまっすぐ固定するのにコツが必要ですが、ワームがずれないというメリットもあります。ストレートフックに比べややフッキング力は弱くなります。
選び方
ボトムを攻める釣りでは必須のフックです。くわえたときにワームがずれることにより針先が魚の口に掛かる仕組みです。バスや根魚のようにある程度ワームをくわえる力が強い魚に効果的です。
釣り針まとめ
釣り針の基本的な特徴を知っていると、さらなる釣果に繋げることができます。釣り針の開発が進み基本種類からさらに個々の魚に合わせた専用の針も開発されています。「アジ針」「グレ針」などはその魚のために研究された針ですので、対象魚の名前が付いた針があれば、それらを使うことをおすすめします。是非最適な針を見つけて釣りを楽しんでください。