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棒ノ嶺の魅力とは?日帰りハイキングも楽しめる登山ルートやアクセス情報を解説!

棒ノ嶺の魅力はアクセスが便利で抜けるような眺望が満喫できることです。幾つもの日帰りハイキングの登山ルートがあり、切り立ったゴルジュやさわやかな滝などの渓谷美も趣を添えてくれます。その様な棒ノ嶺をハイキング登山アクセスや麓温泉情報を含めて解説します。
2020年8月27日
栗鼠の森人
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棒ノ嶺の魅力とは?

棒ノ嶺は奥多摩(東京都)と奥武蔵(埼玉県)の境界で雲取山に連なる長沢山稜の延長上にある嶺です。

棒ノ嶺(標高969m)の魅力は山頂からの抜群に開けた眺望です。その上に歴史や初心者でも気軽にできる沢歩きに加えてアクセスの良さがあります。ハイキング登山ルートはそれぞれの地図に示すように奥武蔵側からは仙岳尾根、白谷沢、滝ノ平尾根、湯基入り、小沢峠の各ルート、奥多摩側からは大丹波川の清東橋のコンジリ沢ルート、御嶽駅からの関東ふれあいの道、軍畑駅からの高水山経由のルートがあります。登山ルートと下山ルートの組み合わを変えれば、初心者でも多くのバリエーションを楽しめます。

棒ノ折山とも呼ばれた歴史

棒ノ嶺は別名、棒ノ折山とも呼ばれています。鎌倉時代初期の有力御家人で坂東武士の誉れと云われた畠山重忠がこの地にいました。鎌倉幕府への道中の山越えで使っていた杖がここで折れたため、棒ノ折山と呼ばれました。「その折れた杖がゴンジリ沢にある山ノ神の小祠(棒の折さま)だ」との言い伝えがあります。多摩郡村誌に「棒之折山」、武蔵通志(山岳篇)に「棒折山」と記述していますが、国土地理院地図では棒ノ嶺(棒ノ折山)としています。

少し前までの棒ノ嶺

長沢背稜上の嶺

棒ノ嶺は棒杭の標識だけで、地図に示すように雲取山へ登り下りする長い長い長沢背稜の1通過点でしかありませんでした。特に積雪期にはカモシカ、シカ、イノシシやクマが登山道に残した足跡を辿るなど、初心者には馴染みが薄く、登山者の少ない尾根でした。

棒ノ嶺の開けた眺め

長沢背稜の奥多摩側には広い防火帯が設けられ、奥武蔵(名栗)側は山稜まで大名栗林道が迫っていました。このため、眺めは開けて居り、奥多摩三山や名栗湖から伊豆ケ岳、武川岳、武甲山、大持山など奥武蔵の山々をすでに見回せました。天気によっては富士山や榛名山、赤城山、男体山も望めました。

棒ノ嶺の広々とした山頂と渓谷歩き

棒ノ嶺山頂は「坊主の尾根」とも呼ばれるほど明るく広々としており、素晴らしい眺望が魅力です。春にはわらびが採れ、秋にはススキの銀色の穂波で埋まり、優雅なまろやかな山頂に趣を添えます。名栗湖方面へのバス便のアクセスが良くなり、今では初心者用一般ルートとなっているのが白谷沢のハイキング登山ルートです。そこでは切り立った岩壁の迫るゴルジュ帯やさわやかな滝(藤懸の滝、天狗の滝や白孔雀の滝)の連なりなどを初心者でも気軽に楽しめます。

日帰りハイキングも楽しめる棒ノ嶺ハイキング登山ルート①

白谷沢から棒の嶺に登り、滝ノ平尾根をさらわびの湯へ下る

初心者向きの一般ルートですが沢歩きの醍醐味を楽しめます。

現在、棒ノ嶺登山でもっとも一般的で初心者に人気のあるハイキング登山ルートです。歩行距離は地図に示すように登り下りとも4.8kmで、所要時間は登り2時間23分下り1時間52分で合計4時間15分です。ハイキング登山コースは河又名栗湖入り口バス停(1.9km28分)白谷沢登山口(1.9km77分)岩茸岩(0.5km、22分)ゴンジリ峠(0.5km16分)棒ノ嶺(0.5km12分)ゴンジリ峠(0.5km13分)岩茸石(3.1km77分)さわらびの湯(0.7km10分)となります。

河又名栗湖入り口バス停から白谷沢

滝ノ平尾根登山口、さわらびの湯等があり、白谷沢登山口は有間ダムで名栗湖を南に渡った少し西です。

地図に示すように河又名栗湖入り口バス停から徒歩で有間ダムを渡って「関東ふれあいの道」の標識のある白谷沢登山口に向かいます。

藤懸の滝 、天狗の滝 および白孔雀の滝


藤懸の滝からは沢歩きとなるので大雨の後は特に初心者だけでの登山を避けましょう。水に濡れることはありませんが、白孔雀ノ滝の上までせせらぎと岩の間を沢登り気分です。

白谷沢のゴルジュ帯

沢が一段と急になると天狗の滝となります。この付近は牢門とも呼ばれ、両側に切り立った岩壁が迫るゴルジュ帯です。

白孔雀の滝を巻くクサリ場

そのクサリ場のある白孔雀の滝は孔雀が羽を広げたような美しい流れです。沢の源頭で湯基からの林道(大名栗林道)を横切ると湧水があります。

湧水から棒ノ嶺山頂へ

湧水から急こう配の丸太の階段を登り、長沢背稜をトラバースして滝ノ平尾根の取りついた所に岩茸石があります。そこから尾根を登り切ったところがゴンジリ峠です。黒山方面からの道を合わせて長沢背稜を西へ向います。長沢背稜の奥武蔵側はカエデなどの雑木林の自然林で奥多摩側は杉や檜の植林とはっきりと分かれています。500m足らずで平らになり、今では東屋もある棒ノ嶺山頂です。

棒ノ嶺から滝ノ平尾根を辿ってさわらびの湯への下山

棒の嶺山頂からコンジリ峠を北に下ると岩茸石がハイキング登山道をふさぐようにそびえています。白谷沢側に巻道があり、滝ノ平尾根を辿れます。2カ所で曲がりくねった大名栗林道を横切ります。白谷沢側が落葉樹林で入間川側が針葉樹林なので紅葉の時期になるといっそう対照的です。尾根道が入間川への分岐尾根に入ると勾配が急な上に杉や檜の根が露出しているので初心者は滑らないように特に注意しましょう。登山口に下山後は木の香り豊かな温泉「さわらびの湯」で疲れを取るのがおすすめです。

日帰りハイキングも楽しめる棒ノ嶺ハイキング登山ルート②

小沢峠から黒山、ゴンジリ峠経由で棒ノ嶺

長沢背稜からの延び、東京都と埼玉県の境になる尾根を登ります。

小沢峠登山口には地図に示すように国際興業バスの小沢バス停と都営バス上成木の両方からアプローチ出来ます。小沢バス停の方が距離はありますが国際興業バスの方が便数も多くアクセスが便利です。小沢峠から長沢背稜から延びてきた黒山への山稜の春はカタクリの群生やキブシの芽吹きが見られます。小沢橋から黒山、ゴンジリ峠を経て棒ノ嶺に登り、ゴンジリ峠を経て岩茸石から林道に沿って湯基入りを下って登山口の名栗温泉(鉱泉)に下山します。所要時間は6時間です。

日帰りハイキングも楽しめる棒ノ嶺ハイキング登山ルート③

仙岳尾根から棒ノ嶺に登り、岩茸石山および惣岳山を経て御嶽駅へ下山

名栗湖上流有間川の落合に対岸に登山口があります。

このコースは地図に示すように有間渓谷落合対岸の仙岳尾根登山口から仙岳尾根に取り付き、槇ノ尾山を経由して棒の嶺へ登ります。下りは関東ふれあいの道をゴンジリ峠、黒山、岩茸石山、惣岳山と辿り御岳駅に下ります。

このハイキング登山ルートの歩行距離と所要時間


さわらびの湯バス停(55分)落合(1時間20分) 槙ノ尾山(20分)棒ノ嶺(1時間35分)岩茸石山(30分)惣岳山(55分)御嶽駅で合計コースタイムは5時間35分です。

日帰りハイキングも楽しめる棒ノ嶺ハイキング登山ルート④

白谷沢からの棒ノ嶺・岩茸石山・高水山 縦走

高水山だけが関東ふれあいの道から外れています。

白谷沢登山口から東屋があり草地の気持ちの良い棒ノ嶺に登ります。下山は地図に示すように稜線沿いに関東ふれあいの道を展望の開けた岩茸石山まで辿った後、高水山を目指します。高水山は木立で眺望は余りありません。高源寺を過ぎ、木々がきれいに整備された道を平溝の登山口まで進むとまもなく軍畑駅です。

このハイキング登山ルートの歩行距離と所要時間

ハイキング登山コースはさわらびの湯 (25分)白谷橋(80分) 岩茸石(25分)ゴンジリ峠 (20分) 棒ノ嶺 (10分)ゴンジリ峠 (20分)黒山(90分) 岩茸石山 (35分)高水山 (45分)高源寺  (25分) 軍畑駅で合計コースタイム 6時間15分です。

日帰りハイキングも楽しめる棒ノ嶺ハイキング登山ルート⑤

清東橋から棒ノ嶺に登り、岩茸石から白谷沢を名栗の「さわらびの湯」に下山

上日向までのバス便が少し多いので清東橋まで25分の歩きになることもあります。

棒ノ嶺は青梅線から初心者でも手軽にアクセスできる高水三山(高水山、岩茸石山と惣岳山)の後背にあり、この方面からの日帰りハイキングの登山ルートからは外されがちでした。このため、棒の嶺を目指す登山者は地図に示すように大丹波川の清東橋からわさび田の多いゴンジリ沢の「山の神の祠」から棒ノ嶺南尾根に取り付き、急な南尾根から棒ノ嶺を目指しました。清東橋へハイキング登山に利用できるバス便が1、2便となってからはこのハイキング登山ルートはあまり使われなくなりました。下山はさわらびの湯の他、名栗温泉や小沢峠もおすすめです。

このハイキング登山ルートの歩行距離と所要時間

ハイキング登山ルートは清東橋(川井駅から西東京バス)(10分)棒ノ嶺登山口(百軒茶屋) (1時間30分)棒ノ嶺(15分)ゴンジリ峠(15分)岩葺石(1時間10分)白谷橋(名栗湖)(10分) さわらびの湯(国際興業バスで飯能駅へ)で歩行距離9km、合計コースタイム3時間30分です。

日帰りハイキングも楽しめる棒ノ嶺ハイキング登山ルート⑥

御嶽駅から惣岳山、岩茸石山、黒山経由棒の嶺に登り、下山は南尾根、ゴンジリ沢経由で清東橋に下山

奥多摩側の御嶽駅から登り、同じ奥多摩側の清東橋に下山し、バスで川井駅にもどります。

このハイキング登山ルートは地図に示すように山頂まで距離があるので特に初心者には余り利用され無くはなって来ています。山頂から清東橋への下りは急ですが最短の下山ルートです。ハイキング登山ルートは御嶽駅(四ツ角、井戸窪経由、1時間10分)惣岳山(35分)岩茸石山(名坂峠、雨沢山経由、1時間15分)黒山(20分)ゴンジリ峠(15分)棒の嶺(山の神の祠経由、1時間40分)清東橋バス停までの歩行距離16kmで所要時間は5時間15分です。

棒ノ嶺へのアクセス情報

奥武蔵側(埼玉県)からのアクセス情報


西部鉄道飯能駅発の「湯の沢」「名郷」「名栗車庫」方面行き路線バスの小沢バス停、名栗橋バス停、河又名栗湖入り口バス停

奥武蔵側からのアクセスは地図で示すように西武鉄道飯能駅から国際興業バスが運行する「湯の沢」「名郷」「名栗車庫」方面行き路線バスの小沢バス停、名栗橋バス停、河又名栗湖入り口バス停を利用します。1時間に1~2便以上が運行される便利さの上、何便かは「さわらびの湯」まで乗り入れて居ます。また駐車場(さわらびの湯、白谷沢登山口)も完備しています。

奥多摩側(東京都)からのアクセス情報

奥多摩側からのアクセスはJR青梅線の軍畑駅、御嶽駅、川井駅です。都営バスが上成木、西東京バスが清東橋に乗り入れて居ますが、ハイキング登山に利用できるのはせいぜい一日1、2便です(上日向まで1時間半に1便、清東橋まで徒歩25分)。駐車場は完備しているとは言えず、キャンプ場などを利用するしか無いようです。

棒ノ嶺山麓の温泉

さわらびの湯

さわらびの湯は源泉名を名栗温泉といい、有間渓谷に位置しています。地元産の西川材(優良な杉・檜で江戸時代に西から川で運ばれたので西川の名がある)で内装された館内にはさわやかな杉・檜の香りが漂っています。日帰り入浴可能は料金3時間800円で、露天風呂や休憩用の大広間もあります。神経痛、関節痛、アトピー、疲労回復、筋肉痛などに効能のあるアルカリ性単純泉です。

名栗温泉「大松閣」

名栗温泉「木になる郷大松閣」は大名栗林道の湯基入りの入り口にあります。源泉温度が17℃の低調性アルカリ性冷鉱泉で、筋肉や関節の痛み、冷え症、消化器病、痔症や疲労回復に能く効きます。食事を含めた日帰り入浴(9,450円)も可能なので余裕があれば、下山後に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

松乃温泉

松乃温泉水香園は川井駅から多摩川を渡って徒歩10分で、カエデの木立の中に別荘風に「はなれ」が並びます。アルカリ性単純硫黄泉で皮膚病、神経痛、リウマチ、肩こりなどに効能があります。入浴は宿泊客のみなので、遅く下山して1泊するような山行なら利用できます。

まとめ

棒ノ嶺(棒ノ折山)の魅力と白水沢を中心にハイキング登山ルートを幾つかご紹介し、アクセスや麓の温泉も解説しました。眺望が良く、緑が豊かで清澄な渓流とさわやかな木の香りが漂う魅力的なハイキング登山ルートがこんなに手軽に手近で便利に堪能できます。この週末にでも棒ノ嶺(棒ノ折山)へ出かけてみてはいかがでしょうか。