トマト
中南米原産でナス科トマト属のトマトは、強い太陽を好み、多湿を嫌います。生育温度は20℃~30℃で、昼と夜の温度差が大きい場所で栽培すると良く育ちます。トマトにはビタミンC,体内でビタミンAになるカロテン、活性酸素を消す作用を持つリコピンなどを多く含み、「トマトが赤くなると医者が青くなる」と言う言葉があるように、栄養に優れています。トマトには大玉、中玉(ミディ)、小玉(ミニ)の大きさがあります。色は、基本の赤に加えて最近では黄色、オレンジ、紫、緑などカラフルなトマトもあります。
トマトの品種
一言でトマトと言っても、様々な色や形、味のトマトがあります。
大玉トマト
品種では無く、重さが150グラム以上の物を大玉トマトとし、生でも加熱しても美味しく、煮込み料理や炒め物にも幅広く、様々な料理に利用されています。開花後50日~60日の時期に収穫が出来、育て方もコツをつかめば初心者にも容易に育てることが出来ます。家庭栽培にもおすすめです。
ファーストトマト
ファーストトマトは大玉トマトの一つの品種で、お尻の部分がとがっていて、皮はうすく、適度な甘みや酸味などのバランスの良いトマトです。
ミディトマト
大玉トマトとミニトマトの中間の大きさで、40g~150gで、ゴルフボール大の大きさのトマトの品種です。収穫時期は、ミニトマトと同じく45日~50日くらいで収穫できます。
ミニトマト
一口サイズの小型トマトで3~4㎝のくらいの大きさで。一個が20~30g程の小さなトマトの品種で、色とりどりあり、サラダやお弁当にも最適です。開花後の45日~50日くらいの時期に収穫できます。
ブラックトマト
果皮が黒みを帯びたミニトマトで、リコピン、アントシアニンを含みます。果肉が軟らかく加熱すると崩れやすく、折角の色も映えなくなりますので、生でサラダや料理のトッピングなどにして食べるのがおすすめです。
フルーツトマト
特別な栽培方法で作られた高糖度トマトの品種で、糖度が8度以上ある果物のように甘いトマトです。
塩トマト
品種は桃太郎が多く、土壌の塩分濃度が高い畑で栽培するのがコツのトマトで、生育時にあまり水を吸わないために糖度が高く、強い甘みの中に適度な酸味があり濃厚な味わいのトマトです。
乙女の涙
ユニークな形が特徴的なトマトの品種で、果実中のゼリーが少なく、皮が肉厚でしっかりしていて、プリッとした食感と、果物のような甘さが楽しめます。
アイコ
アイコは3月~4月頃の時期に種まきをし、早ければ6月くらいの時期から家庭菜園で気軽に収穫する事が出来ます。鉢やプランターでも栽培が出来、日当たりの良いベランダですと、十分栽培することが出来ます。
グリーのミニトマト
とても綺麗な緑のミニトマトです。色は緑ですがとても甘くて美味しいトマトです。
レモントマト
色も形もレモンに良く似ていて、皮や果肉がしっかりしています。サラダの場合は薄く輪切りにするか、皮を湯むきして食べるのをおすすめします。見た目はレモンの様ですが、酸味はほとんど感じられず、味はトマトです。煮物にしても美味しいです。
マイクロトマト
見た目も可愛い5㎜~1㎝くらいのとても小さなトマトです。とても小さいですが、味も香りもしっかりとしていて、料理の飾り付けやソースなどにとても良く合います。
トマトの花
トマトは南アメリカが原産のナス科トマト属で、別名が唐柿(トウシ)・赤ナス(アカナス)・蕃茄(バンカ)・小金瓜(コガネウリ)・珊瑚樹茄子(サンゴジュナス)などと色々あります。トマトの花は5月~7月の時期に黄色い花を咲かせます。黄色い花は、花びらが5枚あり、星のような形をしています。そして、意外と小さく地味で下向き加減に咲き、雄しべと雌しべが1つの花に存在しているので、開花後は風や軽い衝撃だけでも受粉することが可能です。
トマトの花言葉
トマトには、〔完成美〕や〔感謝〕の花言葉があります。ではこの花言葉の由来はと考えてみますと、〔完成美〕は、トマトの実が丸く、美しい赤で、艶がある完成された美しい形である所から付けられたものと思われます。現在は色々と品種改良され丸だけでなく色々な形のトマトがあります。〔感謝〕の花言葉は、トマトが沢山の栄養素を含み、人にとって健康になるための沢山の成分を持っていることに感謝です。
初心者、トマトの栽培《トマトの植え方》
トマトを栽培するために植え付ける場所は、日当たりが良く、ナス科の植物を連作していない場所に植え付けることがコツです。トマトは、連作障害を起こすことがありますので、植え方に気をつけて栽培して下さい。植える時期は5月~6月です。
トマトを植え付けるための土作り
トマトを家庭菜園で植え付ける2,3週間前、畑に1㎡に2キロくらいの堆肥と、1㎡に100gの苦土灰を混ぜてよく耕します。植え付ける1週間くらい前には、配合肥料(チッソ8・リンサン8・カリ8)などを1㎡につき100gを混ぜ込みます。幅60㎝、高さ20㎝くらいの畝を作り、雑草を防ぎ、栽培中病気などにかかりにくくするためにマルチフィルムを張って下さい。
プランターやコンテナに植え付ける場合
プランターへの植え方として、まずプランターを選びます。プランターを選ぶ場合には、容量が15ℓ以上の大きめの容器に、植え方として、1株植えにします。栽培は、日当たりの良い場所で管理して下さい。トマトは生育初期の植え方としては、肥料が多いのを嫌うので、元肥が控え目の野菜用の培養度を使って栽培することをおすすめします。大玉タイプのトマトの植え方は出来るだけ畑での栽培をおすすめします。土は容器の8分目くらいにして下さい。
初心者、トマトの栽培《連作障害》
トマトは連作障害を起こしやすい植物です。植え方として、畑などに植え付ける場合には、植え方として畑をいくつかに区切って、同じ場所にならない様に、栽培をすることで連作障害を回避できます。また、土づくりも、新しい土、客土、堆肥を使い十分に漉き込み念入りに行って栽培して下さい。プランターの場合には、土の使いまわしはしないで、常に新しい土を使い栽培することです。耐病性を持ったトマト品種や、接ぎ木苗を栽培するのも効果的です。コンパニオンプランツとしては、トマトとバジルは一緒に栽培する植え方をすると良い効果をもたらします。
初心者、トマトの栽培《トマトの種の植え方》
自分で種まきをして苗を栽培する育て方は、売っている苗には無いような珍しい品種のトマトを栽培することができ、家庭菜園でしか味わえないような新鮮で美味しいトマトを味わうことが出来ます。種まきから定植出来る苗になるまでには2ヶ月位かかります。定植時期は5月~6月ですので、3月中旬くらいには種まきをして下さい。
種まき用の土に種まきを
種まきからの育て方として、野菜の培養度では無く、肥料分が含まれていない種まき専用の土を使って下さい。この土は、清潔で、発芽に必要な水分を保ってくれる土です。
種から苗を
種をまきをしてから、畑やプランターに植え付けられる大きさに育つまでには、約2か月。植え付け時期は5月初旬くらいから6月初旬くらいまでですので、逆算すると3月中には種まきをしておいてください。
育て方として、トマトの種と種まき用のポリポットを用意し、ポットの縁から2㎝ほど下まで土を入れ、霧吹きなどで十分湿らせておきます。土の表面を平らにならし3粒くらい種まきをし、土を1㎝くらい被せます。種の間は2㎝くらい離して下さい。種が動かないように、霧吹きで水やりをするのが良いでしょう。発芽には25℃くらいの温度が必要です。種まきする時期が3月ですので、外では寒いので、室内の明るく暖かい場所に置いて、土が乾かないように栽培して下さい。エアコンなどの風が直接あたらないように気をつけましょう。
種まきしたポリポットの管理
発芽してからの育て方として、日中たっぷりの日光に当てて下さい。水は土の表面が乾いたら、霧吹きでたっぷりと与えて下さい。双葉が出てしっかり開いたら、軸がしっかり太い株を2本残して、後は抜き取って下さい。種まきをしてから1ヶ月位した時期に、肥料を規定に沿って与えて下さい。本葉が出て3~4枚くらいになったら、しっかりした方の株を1本残して、残りの株は土の際から切り取ります。(抜き取ると根を傷つけてしまう場合があります)本葉が7~8枚になると、最初の蕾がつき始めますので、植え付けに最適な時期となります。
初心者、トマトの栽培《植え付け》
トマトを家庭菜園に定植する場合の植え方は、十分に温度に気をつけた育て方をして下さい。栽培には、温度は15℃以上が必要ですが、4月上旬には寒さが、ぶり返す場合がありますので注意が必要です。苗は第1花蕾ができたくらいに定植します。畑に植える場合の株間は50㎝以上は必要です。花芽が出来てから植える植え方をすることによって、確実に着果がしやすくなります。苗から5㎝ほど離して支柱を立てる必要がありますが、植え付けてすぐの場合は支柱を細めの仮支柱にし、完全に根付いたら2m程の太くて丈夫な支柱を立てて下さい。
初心者、トマトの栽培《わき芽かき》
栽培していると、花が咲き始めた時期から、目立ったわき芽が出てきますが、十分な養分が主枝に行くように、わき芽を摘み取り、主枝を中心に育てるのがコツです。トマトのわき芽の成長は早いです。
わき芽取りで手に着いた灰汁を取るコツ
わき芽を摘む場合に葉や茎に触ると手に灰汁が付き、手が黒くなる場合があります。水で洗ってもなかなか綺麗にならないそんな時に、綺麗にするためのコツは、たくさん収穫したミニトマトなどで、潰れたものがあればそれを使い、手でもむようにして潰しながらこすると綺麗に摂る事が出来ます。
初心者、トマトの栽培《摘果》
大玉のトマトのみの育て方としてですが、一つ一つの実を大きくするために、1つの花房につき4~5果くらい残して摘果するのがコツです。開花後や、実が少し膨らみ始めた時期に、先端の小さな実を摘み取りましょう。
初心者、トマトの栽培《水やり》
トマトの育て方として、トマトは比較的乾燥気味の状態を好みます。プランターなどで栽培している場合は、やや乾かし気味に育てるのが育て方のコツです。乾燥気味な育て方をすることで、甘みや旨みが充分に蓄えられ、美味しいトマトが出来ます。乾燥する夏場にも、1日1回の水やりで、葉先が少し縮れているくらいでも大丈夫です。
初心者、トマトの栽培《追肥》
トマトの栽培では、生育期間が長いので、追肥が必要になりますが、家庭菜園など栽培する場合は、肥料が過剰気味となり、葉や茎ばかりが茂ってしまい実が出来ない状態になりますので、注意が必要です。元肥は控えめで、長い間効き目を発揮する有機質を主体とした暖効性肥料を中心に与えて下さい。追肥は一度に沢山を与えるのではなく、成長に合わせて少しずつ与えるのがコツです。開花後果実が膨らみ始めたら1回目の追肥をして下さい。その後の栽培の追肥は、3段目、5段目の実が膨らんで来るのを目安に、畝の両側に1株当たり配合肥料を50gをすき込んで下さい。ただし、葉や茎が大きくなりすぎている場合などは回数、量を減らして下さい。
着果促進のために
着果促進は大玉品種を栽培している時のみにおこなうと着果を促進させます。1輪~2輪咲いた花房にホルモン剤を塗ります。ホルモン剤を塗る場合には、花房のみにかけて下さい。散布は1つの花房に1回のみにして、絶対に葉や生長点にかからないように気をつけて下さい。奇形の原因になります
初心者、トマトの栽培《病気》
トマトの病気には、《ウイルスによる病害》・《細菌による病害》・《糸状菌(かび)》による病害などがあり、また、害虫によるものやヨウ素が欠乏または過剰になることで起こる障害や、低温障害などの環境要因が考えられます。
ウイルスによる病害《モザイク病》
黄化えそ病・黄化葉巻病・モザイク病
アブラムシによって伝染するウイルス病のうちのモザイク病は、全身が萎縮し、茎葉や果実の葉緑にモザイク状の濃淡やえそ斑点などの奇形が現れます。
細菌による病害《青枯病》
茎えそ細菌病・黒斑細菌病・斑点細菌病・軟腐病・かいよう病・青枯病
ナス科の植物が、急に萎れて青いまま枯れる病気です。土壌の病気で、地下部や地上部の傷口、根傷みなどから病原菌が入り発生します。比較的高温気に多発しやすいです。
糸状菌(カビによる病害)《うどんこ病》
輪紋病・斑点病・白星病・・炭素病・灰色かび病・根腐疫病・うどんこ病
葉に白い粉を吹いたような斑点があらわれ、株全体に広がるようだったら、混み合った葉を切り、薬剤の散布をして下さい。
生理障害(尻腐れ病)
日光不足、カルシウム不足または、肥料過多などで起こりやすく、1度発症すると治りませんので、症状が現れたら食べずに摘み取って廃棄して下さい。事前にカルシウムを含んだ肥料を与えておくと効果が期待できます。
初心者、トマトの栽培《害虫》
アブラムシ・コナジラミ・アザミウマ・テントウムシダマシ・ヨトウムシ・オオタバコガ・ハモグリバエ・ハダニ・トマトサビタニ
ニジュウヤホシテントウ
ピーマンやじゃがいもの葉を特に好みますので、近くにトマトを植えている場合には特に注意が必要です。見つけたら早めに防除して下さい。
初心者、トマトの栽培《収穫》
開花後45日~50日くらいで実が熟してきますので、収穫は、真っ赤に熟した物を朝の涼しい内にハサミで切り取って収穫して下さい。果梗(かこう)枝の部分は、他の実を傷つけないように出来るだけ短く切って下さい。
初心者、トマトの栽培《保存法》
家庭菜園で沢山収穫したトマトを上手に保存するには、トマトの果実に緑色の部分が残っている場合には、そのまま室温に置いておき、完熟するまで追熟させて、真っ赤になるのを待ちます。完熟して、ヘタの付け根まで真っ赤になったトマトは、ジップロックなどに入れるか、またはラップでピッタリと包み、お尻が潰れないようにヘタを下にして野菜室で保存して下さい。
トマト嫌いな人が好きになる
トマトが嫌いな人はトマトのどんな所が苦手なのでしょうかと言うことを考えてみますと、第1には皮が硬くて舌触りが良くない(皮は湯むきをしてむくと簡単にむけます)とか、第2は、食べたときに口の中に広がるゼリーぽい種の食感が嫌と言う方が多いようですが、このドロッとしたゼリー状の部分に旨み成分や栄養素が含まれているので本当は体にとても良いのです。また、酸っぱいので苦手と言う方も多いようですが、トマトには、カラフルで様々な種類がありフルーツトマトなど糖度が高い種類を選ぶと甘いトマトが食べられます。基本的に本当に新鮮で美味しいトマトを選ぶと、少しトマトの美味しさが解るかもしれません。
トマトの栄養素
トマトは低カロリーで、リコピンなど様々な栄養を持っている真っ赤なまあるい健康野菜です。トマトの赤い色はリコピンの赤なのです。リコピンには生活習慣病や老化抑制などにも効果があります。その他にも美肌効果や風邪予防に役立つビタミンC、老化を予防するビタミンE、塩分の排出を助けるカリウム、腸内環境を整える食物繊維がバランス良く含まれています。リコピンの抗酸化作用は、β―カロテンの2倍、ビタミンEの100倍とも言われています。こんな効果があるのがわかればトマトが好きになれるかもしれません。
美味しいトマトの選び方
トマトは産地や栽培方法で、また品種によってもかなり味が違います。やはりトマトは出来るだけ丸くてツルっとしていて重みのある物が美味しいです。トマトがデコボコしていたり、綺麗な丸いトマトで無い場合には、中に空洞が出来ていたり、ゼリー状の部分(種の部分)が多い場合があります。
夏場はトマトの糖度が上がりにくいので、夏場は、高地で栽培されたトマトや完熟のトマトが良いでしょう。トマトのお尻(ヘタの付いていない方)の先端からヘタの方に向かって放射状の筋が見られ、沢山入っている物が美味しいです。筋が沢山入っているトマトは、水分を控えてあり、糖度が上がっているトマトです。そしてヘタも綺麗な緑でピンと張りのあるものが新鮮です。糖度が高く美味しいトマトは、水に入れるとしずみます。
トマトの食べ方
トマトは生でサラダで食べるのが美味しいですが、煮ても焼いても、ソースを作っても、ジュースにしてもとても美味しく食べる事が出来ます。
トマトの皮を綺麗にむく(湯むき)
トマトの皮をきれいにむくコツは、トマトのヘタをくりぬき沸騰させたお湯の中に入れて、10秒~20秒くらい中で転がしてから取り出し氷水に入れます。不思議なくらい綺麗にツルット皮をむくことが出来ます。
トマトを焼く
トマトを厚めに輪切りして、塩コショウを少々振り、小麦粉を薄くまぶしてオリーブ油で焼くと甘みが増し、肉料理の付け合せにも美味しいです。また輪切りのトマトをグラタン皿に並べて塩コショウをかけ、チーズなどののせて焼いても美味しいです。
煮物やスープ・ソース・ジュースに利用
皮をむいたトマトをカレーなどの煮込み料理に入れると、トマトが嫌いな人にも食べる事が出来ます。ただ、皮にはペクチンなどの栄養素も含まれており、それを生かすためには、国産のトマト(ご自分の家庭菜園などで収穫した)をミキサーなどにかければ、気にならずに使用する事が出来ます。またピューレ状にしたトマトは、ソースやドレッシングにしても美味しく頂けます。そしてスープにすると水溶性ビタミンCも余すところなく食べることができます。
まとめ
家庭菜園に何を植えようかと思って、一番に思い浮かぶのはトマトではないでしょうか。家庭菜園を華やかにし、栄養もいっぱい有り、家庭菜園で新鮮なトマトが収穫できるのは、とても楽しいことです。そんなトマトの栽培方法やコツを理解して、新鮮で美味しい栄養たっぷりのトマトを育ててみませんか。