ヒューズは車の電気の必需品
ヒューズとは
車の電装品には欠かせないヒューズをご存知ですか。グローブボックスの下の奥まったところや、エンジンルームにあるヒューズボックスに収まった小さな部品です。
電装品が動かないとき「ヒューズが切れた」とか「ヒューズが飛んだ」などと言われますが、本当の役割についてはあまり知られていません。そんなヒューズの形状の種類や規格、選び方や互換性について解説します。
車のヒューズの役割
電源から電気回路に一時的に大きなアンペア数の電力が流れることがあります。こんな場合、電気回路の加熱が起こったり、最悪の場合には発火したりすることもあり得ます。そのため一定以上の電流が回路に流れる前に、それを遮断する装置がヒューズです。
車に使われるヒューズの種類とは
車に使われるヒューズは、その形状から板型とガラス管型に分けられます。純正の電装品には、一般的に板型が使われています。また後付けの電装品などにはガラス管型のヒューズが使われています。板型のヒューズはさらに、平型やミニ平型、低背などのタイプに分かれます。
またヒューズには規格がいくつかあり、背の部分に○○A(アンペア)と数字で表記されています。車のヒューズ交換の際は、このヒューズのタイプやアンペア数を合わせる必要があります。
車のヒューズの種類①:平型
平型ヒューズの特徴
車用の板型ヒューズの中では、もっとも大きな形状のヒューズが平型ヒューズです。かつては車のヒューズといえばほとんとがこの平型ヒューズでした。
でも車のパーツがすべて小型化していく流れの中で、この平型ヒューズも徐々にミニ平型や低背といった小型ヒューズに置き換わっていきつつあります。でも旧車好きの方や、外車などはいまだにこの平型ヒューズを使用しており、まだまだ使用頻度の高いヒューズといえます。
車のヒューズの種類②:ミニ平型
ミニ平型ヒューズの特徴
板型ヒューズのダウンサイジングの流れの中で、平型ヒューズの次に登場した形状がミニ平型ヒューズです。樹脂でできたケースの部分、および電極のサイズを小さくすることにより小型化を実現しました。
現在ではこの後で登場する低背タイプが主流になりつつありますが、それでもまだかなりの車種でこのミニ平型タイプが使われており、まだまだ高い頻度で使われている板型ヒューズです。
車のヒューズの種類③:低背
低背ヒューズの特徴
板型ヒューズの中ではもっとも新しいのが形状がこの低背タイプです。樹脂ケースと電極を一体化することにより、板型ヒューズの中ではもっとも小さい形状を実現しました。現在、国内で販売されている車種のほとんどがこの低背タイプのヒューズを採用しており、ヒューズ交換の際ももっとも使用頻度の高い板型ヒューズといえます。
車のヒューズの種類④:ガラス管型
ガラス管型ヒューズの特徴
文字通りガラス管でできた形状のヒューズがガラス管型ヒューズです。車のヒューズボックスにこのタイプが使われることはほとんどありませんが、スパークプラグの内部ヒューズや後付けの電装パーツにはこのタイプが良く使われます。
後付けパーツに使用する場合には、専用のヒューズホルダーが必要です。このガラス管ヒューズにも通常サイズとミニガラス管タイプがあり、ミニタイプを使用する際には、ホルダーもミニ管用のものが必要です。
ヒューズ切れとは
動かない時はヒューズ切れを疑う
ヘッドライトがつかない、カーステーの電源が入らない、など車の電装品が動かない場合、まずはヘッドライトバルブの切れや電装品自体の故障や不具合を考えます。
でもそれらの原因が全て排除された場合、ヒューズ切れを疑います。いろいろな原因を苦労して検索した末に、結局はヒューズ切れという場合も多くありますので、電装品の不具合の際にまずヒューズを調べてみるのも一つの方法です。
まずはヒューズボックスを探す
ヒューズ切れを調べる場合、まずはヒューズボックスを探します。ヒューズボックスは多くの場合、運転席の足元やエンジンルーム内にあります。わからない場合は車のマニュアルを確認します。
ヒューズボックスの蓋には、どのパーツのヒューズがどこにあるかを印字してあります。確認するヒューズの選び方は、この印字をもとに標的ヒューズを調べます。でもどこが原因かわからない場合は、ヒューズを一本ずつ引き抜いて切れているヒューズがないかを確認します。
ヒューズ切れの確認方法
ヒューズが切れているかどうかは、目視で簡単に確認できます。平型、ミニ平型、低背など板型タイプの場合は、半透明になった樹脂製のケースの中を見ます。通常は電極と電極の間を山形の金属パーツがつないでいます。
ヒューズが切れた場合、この部分が破断してしまっています。ガラス管ヒューズの場合も同様に目視で確認可能です。ガラス管内には両端の電極をつなぐ金属の棒がありますが、ヒューズが切れるとこの棒が破断しているのですぐに判別できます。
ヒューズ切れの根本原因も重要
ヒューズ交換で電装品が動くようになっても、ヒューズ切れの根本原因を解決しないとまたヒューズが切れる場合があります。もっとも多い原因がDIYで電装品を取り付けた際に、誤って電極をショートさせてしまった場合です。こうならないためにも電装品と取り付けの際は、電源であるバッテリーのマイナス端子を外しておくことが大切です。
この他に多いのが、ヒューズから電源を取り出した場合に、つないだ電装品のアンペア数がヒューズの規定アンペア数を超えてしまっている場合です。これを防ぐためには、過度のタコ足配線で電源を取り出すのを控えることが重要です。
ヒューズの規格の種類と選び方
ヒューズの規格の種類について
ヒューズの規格は1アンペアから40アンペアまで多くの種類があります。一般的にヒューズボックスで使用される規格は10アンペアや15アンペア、20アンペアが一般的です。また後付けの電装品に接続するガラス管ヒューズには、3アンペアや5アンペアなどさまざまな規格のものが使用されます。
ヒューズの規格の種類の選び方
基本的にヒューズボックス内のヒューズの選び方は、指定されている規格サイズのものを使用します。電源取り出しで増設したシガーソケットなどに使用するヒューズの選び方は、使用する電装品の合計のアンペア数よりも大きなサイズのヒューズを選びます。
ヒューズの互換性について
ヒューズの規格に互換性はある?
ヒューズの選び方の項目でも述べましたが、ヒューズボックスに印字されている規格のヒューズを使用するのが基本です。異なる規格のヒューズを使用するといった互換性はありません。それは次のような理由によります。
大きい規格のヒューズとの互換性
指定の規格より大きなヒューズを使用した場合、使用している電装品の許容量よりも大きな電流が電装品に流れる恐れがあります。これはヒューズが本来の役割を果たせないことになり、最悪の場合には電装品の故障につながります。
小さい規格のヒューズとの互換性
指定されたものより小さなアンペア数のヒューズを使用した場合、適正な電流が電装品に流れているにもかかわらず、すぐにヒューズが切れてしまうといった問題がおきます。頻繁にヒューズが切れる場合、指定よりも小さな規格のヒューズが入っていないかを疑います。
車のヒューズの交換方法
ヒューズの外し方
板型ヒューズの外し方は簡単です。使う道具は先端が細くなったラジオペンチです。ラジオペンチでヒューズの背の部分を掴み引き抜きます。
ヒューズの背の部分は樹脂でできているので、あまり過度な力で挟むと割れてしまうことがありますので注意が必要です。抜きにくい場合は、ペンチで挟んだまま軽く前後にゆするようにしてから真っ直ぐに引き抜くことでスムーズに抜くことができます。
便利な道具も活用しよう
ヒューズボックス内のヒューズは密集しており、ラジオペンチでも抜きにくい場合があります。こんなときに便利なのがヒューズクリップです。
先端がヒューズの背中の部分をくわえることができる形状になっており、ストレスなくヒューズを引き抜くことができ、ヒューズの樹脂部分を割ってしまう危険も回避できます。ヒューズボックス内に装備されている車種もありますが、ない場合でも安い値段で購入可能でおすすめなツールと言えます。
ヒューズをさす際の注意点
ヒューズをヒューズボックスにさすのも非常に簡単です。唯一気をつけなくてはいけないのは、ヒューズボックスに対して電極を垂直にさすということぐらいです。ヒューズの背にはアンペア数が印字されていますが、ヒューズ自体にプラスとマイナスはありませんので、向きにこだわる必要はありません。
ただしヒューズから電源を取り出す場合には、方向が重要になってきます。ヒューズからの電源取り出し方法については、この後の項目で詳しく解説します。
ヒューズから電源を取り出す方法
ヒューズからの電源を取り出しとは
車に後付けの電装品を装着する場合の電源取り出し方法として、ヒューズボックスから取り出す方法があります。既存配線から取り出す場合、目的の配線を探し出し、なおかつ配線の加工が必要になります。その点ヒューズからの電源取り出しは、これらの作業が省略できる簡単な方法としておすすめです。
電源取り出しの方法
まずは取り出す電源のヒューズを探します。車の電源にはキーを差さなくても常に電気が流れる常時電源と、エンジンがかかっている間だけ流れるACC電源やイグニッション電源に分けられます。エンジンをかけない状態で常時電源を使い続けると、バッテリー上がりの原因となります。
接続する電装品の用途に合わせ、取り出すヒューズを選びましょう。取り出す電源が決まったら、既存の電源を引き抜きます。抜いた部分に電源取り出し用のヒューズを差し込みます。最後に電源取り出し回路のアースをボディアースできるポイントに接続して完了です。
電源取り出しの際の注意点
本来プラスとマイナスの方向を気にしなくもよいヒューズですが、電源取り出しの場合は方向が重要になってきます。取り出す電源の電極部分に検電テスターを当て、電源オンの状態で電気が流れる側がプラスです。
電源取り出し用のヒューズには片側に配線がつながっていますので、この配線のある側をプラス側になるように差し込みます。逆に差し込んでしまうと、電気が流れません。
車のヒューズを使いこなそう
車の電装をDIYする上で避けては通れないヒューズについてご紹介しました。ヒューズにはいろいろな形状や規格があり、それぞれの互換性などややこしい点も確かに数多くあります。
ですが車の電装品を故障から守り、正常に作動させるためには、ヒューズは不可欠なパーツです。ヒューズの仕組みを理解し使いこなすことで、ワンランク上の車いじりを楽しみましょう。