はじめに
日中自動車を運転していてふとした時に電気をつけたけど消し忘れていることがあると思いますが、世界には日中でもライトの点灯が義務化されているものがあります。日中に付けるライトがデイライト、今回はそのデイライトを紹介、デイライトの役割や歴史、定められている保安基準や車検時の注意事項、取り付け方など、デイライトに関することを幅広く紹介します。日本では普及していると言えませんが、実はデイライトは世界のスタンダードでもあるのです。
デイライトとは
昼間点灯のこと
デイライトは別名昼間点灯、つまり昼間に点灯させるライトになります。ライトというと夜間の暗い時間帯に乗り物や歩行者などが自身の存在を示す・前方方向を確認して安全に移動するために必要な灯火類の一種(自動車のヘッドライトや歩行者の懐中電灯などがわかりやすい)という印象が強いです。実際、日本国内ではデイライトはそれほど普及していません。街中の自動車を観察していればデイライトが取り付けられた車両が少ないことがすぐにわかります。夜間点灯としての印象が強い傾向です。
デイライトが普及し始めたのは欧州地域
日本国内ではあまり見かけられないデイライトですが、そもそもデイライトが普及し始めた地域はヨーロッパ、欧州地域なのです。歴史を紐解くと、デイライトの研究が始められたのは1970年代となっています。デイライトの研究が始まって50年弱経たことになりますが、デイライトはどれくらい普及しているのでしょうか。
デイライトの装着が自動車に初めて義務化された国はスウェーデンで、1977年からその法律が施行されました。スウェーデンは北欧の国ですが、同じ北欧のフィンランドでは1972年ごろから自発的にデイライトを使い始める地域が出始めて、最終的には1979年に義務化となっています。デイライトを装着していない車両や点灯させていない車両は違反車両として規制されるのです。なお、北アメリカ大陸にあるアメリカ合衆国やカナダでも1990年代ごろにデイライトが普及し始めました。ヨーロッパやアメリカなどでデイライトが普及しても、日本で普及していないのが興味深いです。
デイライトの役割
日中でも車に気が付きやすくする
デイライトの主な役割は日中でも走行中の車に気が付きやすくすることです。灯火類を点灯させるのは暗所を走行しているときや雨天時の日中などが日本では基本ですが、世界全体を見渡すと、日中に走っている車両にもデイライトを取り付けることで視認性が高まり、事故防止に繋がるという考えのもと、自動車にデイライトが採用されています。
自動車以外でも使われる
自動車だけでなく、バイクや電車でもデイライトは使われています。前方の視野を確保して問題がないかどうか判断する、周りの歩行者や運転手に自身の存在を認識してもらう、といった上述の自動車におけるデイライトと同じ理由が主な理由です。
デイライトの保安基準
デイライトには保安基準が定められている
自動車事故を削減するために採用されているデイライトですが、保安基準が定められています。デイライトを後付けで取り付ける場合、その位置や明かりの色、明かりの強さなどを保安基準に従って作業する必要があるのです。当然、車検でもそれらの保安基準が満たされているかどうかチェックされますので、保安基準に沿った車検をパスできるデイライトがどのようなものか理解してDIYなどで取り付けることが大切です。
保安基準規定第42条
デイライトに関する記載箇所の1つは保安基準規定第42条です。まず、赤色のデイライトは禁止と定められています。点滅するデイライトも保安基準を満たしません。デイライトの光度がその使用中に増えたり減ったりしないこと、周りの自動車の運転手を妨害しないもの、そして300カンデラ以下の光度であること、これらを守れば保安基準を満たすとされています。
2016年に保安基準の改定
2016年には保安基準の改定が行われ、昼間走行灯としてその保安基準が明確になりました。「第124条の2 昼間走行灯」が定める保安基準ではデイライトの光度は1440cd以下、他の交通車両・者を妨害しない、ライトの色は白色でレンズがしっかり固定・取り付けされていること、昼間走行灯照明部分の大きさは25㎠以上200㎠以下、となっています。上述内容と比較して、デイライトの光度(明るさ)上限が引き上げられたことやライトの色が白色に指定されていることなど、大きな変更点があるのです。
デイライトと車検
保安基準を満たすことが絶対条件
デイライトを車両に取り付ける場合、上述した保安基準を満たしていれば車検には通ります。そのためデイライト自体に問題はありません。しかし、取り付け位置もどこでも良いというわけではなく、定められた範囲内に絞ってデイライトを取り付ける必要があります。また、デイライトの色は白色と説明したとおりですが、実際色はライトのケルビン数を基に判断され、場合によっては立ち会った検査員の判断ということもことも。確実に準備して車検に取り組みたいものです。
デイライトの取り付け位置
デイライトの取り付け位置は決められた範囲内に設定する必要があります、そうしなければ車検に通りません。まずデイライトの高さ、デイライトの高さはデイライト低辺部分が250㎜以上で上辺部分が1500㎜以下内に収まらなければなりません。その他、ヘッドライトよりも低い位置に上辺部分がある必要があります。つまり、デイライトはヘッドライトよりも低い位置に取り付けるのです。
その他、左右のデイライトで決められた距離を確保する必要があります。車両幅が1300以上の車両なら左右のデイライトの間に600㎜以上の間隔を、1300㎜未満の車両なら400㎜以上確保しなければなりません。DIYでの取り付け時には必ずチェックしておきたい箇所の1つです。
ヘッドライトとの併用は禁止
デイライトを使ううえで忘れてはならないのは、ヘッドライトと同時点灯させてはいけないということです。デイライトを点灯させた状態でヘッドライト(スモールやロー・ハイビームのこと)を点灯させることは認められていません。つまり、スモールランプをオンにした状態でデイライトがオフになるような仕組みが必要になります。自作DIYで作る方法から、市販のリレーを使う方法もあり、車検対応にするのも工夫次第です。
日本におけるデイライト
1970年に実は導入されていた
この記事の冒頭では日本はデイライトが街中では普及していないと説明しましたが、1970年代の世界的なデイライト開発と同時期に導入が進められていたのです。この時にデイライトが取り付けられたのは救急車やパトカーなどの緊急車両で、緊急出動時にデイライトを点灯させていました。交通事故の削減がデイライトの主な目的ですが、緊急出動時に緊急車両がデイライトを点灯させることで一般車両がそれを認識して緊急車両を安全かつ優先的に移動させるという効果も発揮できるのです。
消し忘れと感じ違いされたデイライト
1990年代には日本の一部の地域(西日本)で昼夜点灯としてデイライトの使用をある物流会社が始めました。しかしこの時、デイライトは普及することなく終わることとなります。取り付けられたデイライトの点灯を見た対向車の運転手がパッシングを頻繁に行ったのです、つまりデイライトではなくライトの消し忘れと受け取られていたのです。ちなみに、バイクのデイライト活動が始まったのは1979年、そこからおよそ20年後には常時点灯させる灯火類として保安基準で定められました。
昼間走行灯とするかそれともその他灯火類にするか
2016年に改正された保安基準では、中間走行灯(つまりはデイライトのこと)というように、その他灯火類とは異なる灯火として保安基準が定められました。昼間走行灯とその他灯火類では保安基準内容に違いがあり、カンデラ値の上限が高い中間走行灯はライトは白色限定、照明部の面積が25㎠以上200以内であるなど、その他灯火類よりも厳しい基準となっています。DIYでの後付け方法に合わせて都合の良い方で車検を通すと良いでしょう。
デイライトの取り付けに必要な工具・部品
デイライトの取り付けに必要になる工具・部品には、取り付け予定のデイライト本体やヒューズ電源、そしてリレー(5極リレーなど)などです。取り付けに必要なものはデイライトセットを購入すると付いてくるので、それらの足りないものを買い足すようにすると無駄がないでしょう。ヒューズを取り出すときにペンチなどがあると人によっては取り出しやすいので、揃えておくと良いでしょう。
デイライトの取り付け方その1
電源を確保する
デイライトにしろその他の灯火類にしろ、電源から電気を供給しなければ純正であろうとDIYの後付けだろうと点灯しません、そこでまずはデイライトの電源を確保します。電源を確保する際はACC電源とIGN電源のどちらからでも構いません。
どちらの電源も常時電源ではなくオンにしたときのみ電源を確保するためこれらをデイライト取り付けに利用するのです。デイライトの電源確保にはヒューズ電源を採用します、交換するヒューズは同じアンペアのものと必ず交換するようにしましょう。
デイライトの取り付け方その2
デイライト本体を取り付ける
ヒューズ電源を確保したら、次にデイライト本体を車両に取り付けます。保安基準に従ってデイライトを選択し、車検に合格できるようにその取り付け位置を決めてください。すでに紹介したようにデイライトの取り付け位置には指定があります。その指定された範囲内から取り付け位置を決定て取り付けてください。デイライト本体の取り付け作業が終わったら残るは最終ステップです。
デイライトの配線作業
デイライト本体とヒューズ電源から確保した電源を配線でつなぎ合わせます。ヒューズ電源から繋いだ配線をデイライト本体まで組み合わせるので、できれば配線をできるだけ短くして繋ぎ合わせるほうが良いです。
まとめ
自動車事故削減のために世界中で研究され続けているデイライト、日本国内では普及しているとは言えませんが、ここ最近では保安基準の改正によるその他灯火類との分類されています。さらに、DIYで後付けする人々も増加してきました。今後は日本国内でもデイライトが今以上に普及していくでしょう。デイライトが普及して事故を未然に防げるようになるには、周りの車に迷惑をかけないような後付け方法やライトを使って保安基準を守ること必要になります、DIYで後付けする方は適切な作業を行いましょう。
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