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芝生に大量発生する害虫「ヨコバイ」とは?その種類や駆除・対策方法を解説!

アブラムシ、ハダニなど害虫は様々ですが、意外と知られていない「ヨコバイ」についてまとめました。名前は聞いたことが無くてもその姿を見かける事は意外と多いヨコバイ。ちょっとした庭や公園があれば必ずと言っていいほど発生するので、誰もが一度は出会った時があるでしょう。
2020年8月27日
HI-D
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ヨコバイとは?

植物の茎や葉に穴をあけて吸汁する吸汁性害虫の一つで、稀にではありますが人を刺す事もあり、刺されたことがある人もいるのではないでしょうか?種類的にはウンカやアブラムシ、キジラミやセミなどと同じ仲間で特にセミとは近い虫だとされています。芝生をはじめ寄生する種類の植物ごとにヨコバイの種類もありますが、多くの植物を吸汁する種類も存在しています。

ヨコバイの特徴

ヨコバイの仲間は小さいものが多く、数ミリ程度のものが大半です。セミのように鳴く虫ではあるのですが、人の耳で捕らえられない音を出しているので知らない人も多いです。セミとの違いは幼虫が地中で成長し、前脚がモグラやオケラと収斂進化したような形をしているセミに対して、ヨコバイの幼虫はほぼ親と同じ形態をしているところです。それからセミよりも一つ背単眼が少ない事も大きな違いですね。

ヨコバイの被害

ヨコバイは吸汁性害虫なので、アブラムシやキジラミなどと同じような被害があります。まず幼葉の吸汁により展開後の葉が著しく歪んだり、唾液毒素により萎縮します。それからウイルスの媒介などで芝生をはじめイネ科の植物では大きな問題となっています。他にはミカン、カキ、お茶などで大きな被害が出ており、特にチャノキでは殺虫剤に抵抗性が出来てしまったりと駆除が難しい害虫の一つとされます。

ヨコバイが媒介するウイルス

ヨコバイに刺された植物はイネ萎縮病などを発症しますが、こういったウイルスは昆虫に感染するウイルスが由来で生まれたウイルスなので、昆虫の宿主を絶対必要としているため植物側の対策だけでは防ぎきれません。できるだけ害虫が入らない、もしくは発生してもすぐに収まる環境を作れば大量発生の心配もなくなります。

ヨコバイの大量発生の原因

ヨコバイは気づかないうちに大量発生する害虫の一つです。まず幼虫は飛べないために葉裏に群生する事が多く見つけるのが困難です。ただし、動きの遅い虫なので天敵がいればすぐに食べられてしまう弱い生き物でもあります。つまり天敵であるサシガメやハエトリグモ、カマキリなどが少なすぎることが大量発生の原因です。

ヨコバイの天敵は殺虫剤に弱い

ヨコバイの天敵であるサシガメやカマキリは殺虫剤に非常に弱く、ほんの少量を吸い込んだだけでもフラフラになり翌朝には死んでしまいます。特に幼虫がヨコバイをよく補食するカマキリは殺虫剤に対する抵抗性が皆無なので、天敵を殺さずにヨコバイを駆除するためには少し工夫が必要でしょう

ヨコバイの駆除方法


ヨコバイを一時的に駆除するだけならば殺虫剤を使用すれば、種類によっては容易に駆除できるのですが、永年的に発生を抑えるためにはできるだけ天敵を残して駆除する必要があります。そのためオススメの殺虫剤はオルトランなどの植物を食害する害虫に対して効果を発揮するタイプが良いと思います。キジラミやアブラムシ、イモムシに毛虫、バッタなどにも効果を発揮するので、芝生の害虫対策にはうってつけです。

オルトランとは

オルトランは絶大な効果を発揮する殺虫剤のひとつで、植物を食害する害虫に対して効果を発揮します。植物の根から取り込まれたオルトランが植物全体に行き渡り、ひと月ほど効果が持続するのでヨトウムシ対策やバッタ対策、見つけにくい根を荒らすコガネムシ対策やネキリ虫対策にも使えます。注意点としては花粉を餌にするミツバチやハナバチにまで影響を与えてしまうことと、近くに池などがあると魚毒性を発揮することです。

ヨコバイに刺された場合の対処法

ヨコバイが大量発生すると夜間街灯などに集まることがあり、街灯下を自転車で通ったりすると稀に刺されたりもします。対して症状がでない場合もありますが、ヨコバイが事前に吸汁していた植物の成分がヨコバイの口吻に付着していた場合は激しいアレルギー反応を起こす場合があるので、あせも用などの抗炎症剤を患部に塗ると収まる場合が多いです。

抗炎症剤の効果が無い場合の対策

ヨコバイ刺された時に腫れあがるのは、ヨコバイ唾液酵素にも毒性がある可能性が指摘されているのでその影響かもしれません。吸汁していた植物の酵素の可能性もありますがどちらにせよ酵素は熱に弱いので、熱処理が一番の対策として挙げられます。この方法はかゆみの残りやすいアカイエカなどのイエカ属に刺された場合の対策にもなるので覚えておくと良いでしょう。

熱処理の方法

ヨコバイに刺されたり、アカイエカに刺された時に使える方法で、患部が痒くなくなるまで45度~47度のシャワーに当てる事によって酵素を失活させる方法で、民間療法の一つですがそれなりに効果があります。イエカ属に刺された場合1週間ほど激しいかゆみに悩まされますが、熱処理することによって触れなければかゆみを感じない程度にはかゆみを軽減させることが出来ます。

ヨコバイの種類

ヨコバイは微細なものから、2センチ程度にまでなる大きいものまで様々な種類が存在しています。芝生に大量発生するツマグロヨコバイからミカンに発生するミドリヒメヨコバイ、茶の木に発生するチャノミドリヒメヨコバイ、カキに発生するカキのヒメヨコバイなどが代表的な害虫とされるヨコバイですが、他にも南方でよく見られるフタテンヒメヨコバイはブドウに大きな被害がある害虫です。

ツマグロヨコバイ

ツマグロヨコバイは芝生やイネに大量発生する害虫で、バッタの様に跳ねることも出来るのが特徴です。幼虫も跳ねることができます。幼虫は芝生以外にもスミレなどの葉裏に群生することも多く、1匹見つければ近くに数匹まとまって見つかります。芝生で大量発生したツマグロヨコバイが街灯に多く集まるので、ヨコバイに人が刺された被害の多くはツマグロヨコバイの仕業でしょう。

ツマグロオオヨコバイ

ツマグロオオヨコバイは関東の一部、特に埼玉と東京の丁度中間あたりの地では「バナナ虫」という地方名で呼ばれている虫です。ヨコバイの中では最大級で、イネの病気を媒介する害虫の一つでもあります。幼虫は群生しますが、成虫になると単独行動なので大量発生することはありません。色鮮やかで子供に人気があるのですが、吸汁タイプなので目に見えて餌を食べないため、子供が飼育するのは困難です。


イナズマヨコバイ

ツマグロヨコバイやツマグロオオヨコバイに似ている種類の一つですが、より小型で、両者と同様にイネ科の作物にとっては重大な害虫です。羽にイナズマ模様があるのが特徴で、日本だけではなく東南アジアなどでも害虫として猛威を振るっているグローバルな害虫です。

ミカンノミドリヒメヨコバイ

ミドリヒメヨコバイは多くの植物に吸汁被害を与える害虫の一つで、特にミカンでは果実の外観を損ねるため重大な害虫です。年に数世代発生するので1年中しつこい害虫として君臨しています。ミカントップ乳剤や石灰硫黄合剤などの殺虫剤で防除されますが、なかなかいなくならないので一度発生したら数年は注意しなければならない害虫です。

チャノミドリヒメヨコバイ

茶の木に発生するヒメヨコバイですが、柑橘類にも発生するため害の多い種類です。駆除するのも難しく、幼虫が現れたら被害が拡大する前に出来るだけ捕殺するか、人体に害が少ない指定の殺虫剤などで駆除するしかないので対策が立てにくく、またさらに年々殺虫剤に抵抗性がついてきており、平成19年あたりから指定の殺虫剤での駆除率が急激に低下したと言われています。
 
 
 

カキノヒメヨコバイ

柿の木の先端の葉がくるまるようにして枯れていたらこのカキノヒメヨコバイの仕業かも知れません。その状況が薬害により枯れた状況とよく似ていた事から、薬害と間違われ長い間問題視されなかったという話があります。実際カキの葉であればどこにでもつくので放っておくと大半の葉を失うことになる厄介な害虫です。

ブチミャクヨコバイ

クヌギ、コナラ、クリなどのブナ科の樹木に寄生するヨコバイで、ヨコバイの中では大型の部類です。尻の先端に1対の尾角を持っており、羽がまだ生えていない幼虫ではそれがよく目立つ。他のヨコバイと比べるとずんぐりむっくりした体型をしており、ツマグロオオヨコバイの様に逃げ回ることを余りしないためかよくカマキリに捕食されています。群生しないのでそれほど害はありません。

ニトベブチミャクヨコバイ

ブチミャクヨコバイに近い種類で見た目も似たような感じですが、羽に模様がないのでミニチュアサイズのアブラゼミといった感じの風貌です。日本全国に存在していますが、それほど群生しないため街灯の明かりに集まっているのを見る程度です。7月から11月にかけて活動しています。

ウスブチミャクヨコバイ


頭の色が黄色く他のブチミャクヨコバイより薄い色をしているため見分けがつくようです。羽に黄色い帯状の模様がはっきりしているのも特徴です。他の種類と比べても一回り大きいため鳥などに狙われることも多いようで、あまり多くは見られない希少なヨコバイです。

ヨコバイの近縁種

ヨコバイは代表的な害虫の一つですが、はじめにお話ししたようにアブラムシなどに近い虫で似たような害虫が沢山存在します。セミ、ツノゼミ、ミミズク、グンバイムシ、アワフキ、キジラミ、ハゴロモ、アブラムシというように並べてみるとそのほとんどが害虫です。吸汁被害、ウイルス媒介など被害の種類は全て同じです。

セミ

セミは害虫でしょうか?益虫ではありません。吸汁被害、騒音被害などがあるため、もちろん害虫です。大発生すると果樹園の果樹を弱らせたり、南方系の小型種ではサトウキビの大害虫としても知られています。幼虫もフィロキセラ同様に木の根から吸汁するため知らず知らずのうちに被害を被っているかもしれませんね。ちなみに羽化直前に地上にでてきたセミの幼虫は多くの国で食用にされるようで、哲学者のアリストテレスも好物だったと言われています。

フィロキセラ

ブドウネアブラムシとも呼ばれ、アメリカ大陸原産の害虫です。ワイン用に大規模に栽培されるヨーロッパブドウはフィロキセラに全く耐性がないため、フィロキセラ被害により絶滅した品種や壊滅した畑も多かったようです。その対策として根部はアメリカブドウ、上部はヨーロッパブドウという風に接ぎ木をする事が一般的になりました。

グンバイムシ

軍配に似た形をしているため、見たことがある人も多いかもしれません。リンゴ、ナシ、サクランボなどに被害を与える害虫で、特にリンゴでの被害が大きいです。冬の寒さで死んでもそのまま葉にくっついているので、口吻が長いのかも知れません。大量発生すると葉一面に吸汁され、葉色が薄くなり、やがてくるまるようにして枯れてしまいます。

まとめ

ヨコバイには多くの種類があり、そのほとんどが害虫です。食性が吸汁性であるため、ウイルス媒介や吸汁被害が起こります。近縁種もまた同様で、アブラムシは言うまでもありませんがセミなどメジャーな虫であっても食性が吸汁性である以上同じ被害があります。セミはとても味が良いようなので大量発生したら食べてしまうのもありかも知れませんね。