大楠山ってどんな山?
三浦半島の中央より少し下の方に大楠山はあります。山頂は三浦半島の最高地点になりますが、その標高はわずか242m。最高峰と謳うにはちょっと拍子抜けする数字ですが、低山だからと侮ってはいけません。 山頂からは三浦半島はもちろん、相模湾・東京湾・房総半島を一度に眺めることができる魅力的な山、それが大楠山なのです。天気に恵まれれば遠く富士山や伊豆半島・東京の都心も見られます。頂上にある展望台に登れば、まさに360度の景色を楽しむことができるでしょう。
大楠山は「関東百名山」の100番目の山になります。 また、「かながわの景勝50選」「関東の富士見百景」などにも選ばれており、眺望が魅力的であることがうかがえます。
大楠山の魅力
頂上からの眺望が魅力
やっぱりなんといっても、大楠山の魅力は頂上からの眺望です。写真で見るのもいいけれど、実際に自分の目でその魅力を確かめたいものですよね。 特に頂上の展望台はおすすめ!三浦半島・東京湾・相模湾などの景観をぜひ楽しんでください。
気軽に登れる山
大楠山の魅力は眺望だけではありません。 標高242mという低山でコース中に危険な箇所が少ないので、ファミリーでの日帰りハイキングにぴったり。ハイキングコースもしっかり整備されており、比較的安心して登山を楽しめます。ちょっときつい登りも、頂上や展望台からの眺望が帳消しにしてくれるはず。頑張って登り切ったという達成感が家族の思い出になるはずです。
沢歩きが楽しめる
大楠山にはいくつかのハイキングコースがありますが、その中でも前田川沿いに登山口がある「前田橋コース」は、沢歩きからスタート。ちょっとした冒険心をかきたててくれます。 大人も子どもも楽しめる日帰りハイキングルートです。
ご褒美はお花畑?
山頂の手前にある大楠山レーダ雨量観測所、なんとその前にはお花畑が広がります。 春は菜の花、秋はコスモスを楽しめるのです。まるで頑張って登ったご褒美みたいですね。一面に広がるお花畑は、大人でも子どもでも、きっと元気を回復してくれるはずです。
大楠山ハイキングコースの概要
大楠山は ①前田橋コース ②大楠芦名口コース ③衣笠コース ④塚山・阿部倉コース の4つのコースが代表的です。 それぞれについて、アクセスやコースの状況などをご紹介しましょう。
大楠山のハイキングコース①前田橋コース
前田橋コースへのアクセス
沢歩きで人気の前田橋コースへは、JR逗子駅、または京急新逗子駅よりバス(長井・市民病院・大楠芦名口行き)に乗り、前田橋バス停で下車。所要時間は約20分です。
前田橋コースは沢歩きが楽しめる
前田橋バス停に到着すると、すぐにハイキングコースの入口があります。 最初は前田川に沿って歩くので、沢歩きを楽しめます。子どもはもちろん、大人も童心に帰って楽しんでしまいましょう!途中で登山口への分岐があるので見逃さないよう注意が必要です。 沢歩きが終わると前田橋に到着。ここから本格的な登山開始です。コース上は歩きやすく整備されていますが傾斜はやや急に。距離はそう長くありませんが、きついと感じたらペースを落としたり小休止を取るなど、息が上がり過ぎないようにしましょう。
大楠平でひと休み
山頂の直下には「大楠山レーダ雨量観測所」の塔があります。 この付近は大楠平と呼ばれ、春は菜の花、秋はコスモス畑が広がります。大楠平まで来れば山頂は間もなく。最後の急登を登り切ると到着です。山頂でちょっと休憩したら、展望台にぜひ上ってみましょう。お天気が良ければ素晴らしい景観を楽しめます!
前田橋コースの所要時間
所要時間:前田橋バス停 -前田橋コース登山口- 大楠山山頂(約70分) 難易度:初級コース
大楠山のハイキングコース②大楠芦名口コース
大楠芦名口コースへのアクセス
大楠芦名口コースの入口へは、JR逗子駅、または京急新逗子駅よりバス(長井・市民病院・大楠芦名口行き)に乗り大楠登山口バス停で下車。所要時間は約20分です。
入門者向けの大楠芦名口コース
大楠芦名口コースは、4つの日帰りハイキングルートの中で最も登りやすいコースと言えるでしょう。 大楠芦名口バス停で下車すると、すぐにハイキングコースの入り口があります。しばらく進と本格的なハイキングコースに入ります。とはいえ傾斜も比較的ゆるやかなので、お喋りしながら歩きたい人にはおすすめのコースです。要所に案内も出ているので、見落とさずにしっかりチェックしながら登りましょう。
景色を楽しみながら歩ける
ゆるやかな登りだからこそ、景色も楽しめるというものです。 途中ちらりと見える景観もなかなか。うっかり見逃したらもったいない!ぜひその景色も楽しんでください。頂上の方向に白い鉄塔が見えたら、ゴールまで残り500mほどです。山頂直下の大楠平では季節によって菜の花(春)やコスモス(秋)が楽しめます。お見逃しなく!また、山頂の展望台は、ちょっとキツいらせん階段がありますがぜひ上りましょう。きっと上からの景色は格別です。
大楠芦名口コースの所要時間
所要時間:大楠芦名口バス停 - 大楠山(約60分) 難易度:入門コース
大楠山のハイキングコース③衣笠コース
衣笠コースへのアクセス
衣笠公園からスタートする日帰りハイキングコース。JR横須賀線・衣笠駅から徒歩約10分の衣笠公園バス停よりスタートします。
まずは衣笠山へ
衣笠コースは衣笠公園バス停を降りたところからスタート。 衣笠山公園は「公園」という言葉に騙されそうですが、衣笠山という山を含んだ公園です。アップダウンのある道を歩くので思いのほかハードに感じるかもしれません。衣笠城址に向けて歩いていくと、城址の手前にちょっとした岩場があります。滑りやすくなっているので十分に気をつけましょう。
衣笠城址から山頂へ
衣笠城址公園からしばらく歩くと塚山・阿部倉コースとの合流地点に到着します。合流したら、ゴルフ場を横に見つつちょっときつい階段を登ります。 あとひと頑張りすれば山頂に到着です! 山頂でからだを休めたら、展望台へ上ってみるのもおすすめです。
※2020年3月31日までは、これまでの登山ルートは工事中のため通行不可となっています。 迂回ルートを地図で確認してから出発しましょう。
衣笠コースの所要時間
所要時間:衣笠公園バス停 - 衣笠山公園 - 衣笠城址 - 大楠山山頂(約2時間20分) 難易度:初級コース
大楠山のハイキングコース④塚山・阿部倉コース
塚山・阿部倉コースへのアクセス
塚山公園を経由する日帰りハイキングコースです。JR横須賀線・田浦駅より徒歩約3分で登山口に到着します。 もしくはコース途中の池上住宅バス停からスタートすることもできます。その場合はJR横須賀線・衣笠駅から逗子駅行きバス、もしくは京急汐入駅から湘南国際村行きバスに乗り、池上住宅入口バス停で下車します。所要時間は約20分です。
難易度高め?塚山・阿部倉コース
JR田浦駅から徒歩で約3分、田浦駅バス停付近からコースのスタートです。 歩き始めると間もなくトンネルがあります。さらにしばらく進むと「の」の字の形をした面白い道に遭遇。 さらに進んで塚山公園に到着したら、ちょっとだけルートを外れて、休憩を兼ねて散策してみるのもよいでしょう。塚山公園を通過すると、横須賀・葉山インターの前に出ます。
阿部倉を経由して山頂へ
横須賀・葉山インター前からは舗装路を歩きます。阿部倉入口の案内表示を見逃さないように注意しましょう。この先何カ所か分岐もあるので、案内表示を見ながら進みます。 川のせせらぎを感じつつ歩いていくと長い階段が登場します。そこを抜けると衣笠コースとの合流地点です。ゴルフ場を横に見ながら登っていくと山頂に到着します。山頂で休憩したら、ぜひ展望台に上ってください!三浦半島と海の景色がぐるりと楽しめます。
塚山・阿部倉コースの所要時間
所要時間:田浦駅(国道)バス停 - 塚山公園 - 阿部倉温泉 - 大楠山山頂(約2時間半) 難易度:初級コース
車を使用した場合の登山口へのアクセス
電車とバスでのアクセスが便利ではありますが、やはり車の方がいいケースもありますよね。 しかし残念ながら各登山口周辺には駐車場がありません。そのため、車を利用する際は、逗子駅周辺の有料駐車場などに駐車し、バスで登山口へ向かうことをおすすめします。 ※ハイキングコースは車が通れる場所もありますが、車両通行用に整備されてはいないため道幅が狭く危険な箇所もあります。登山道への車両侵入は避けましょう。
大楠山周辺の見どころ
登山と一緒に、登山ルート近辺のすてきな場所をめぐるのはいかがですか? 気軽に歩いて行ける場所をご紹介します。
衣笠山公園
衣笠コースの最初に位置する衣笠山公園。 公園という名前ではありますが、「衣笠山」という名の通りしっかりとアップダウンがある場所です。春は桜の名所として知られ、約2000本の桜の木が素晴らしい景観を演出してくれます。「日本さくら名所100選」にも選ばれています。
塚山公園
塚山公園は塚山・阿部倉コースの途中、ルートからちょっと外れたところにあります。 三浦按針とその妻をまつった「按針塚」があり、東京湾も一望できる素敵なロケーションです。桜のの季節には「桜まつり」が開催され、大勢の人でにぎわいます。
前田川遊歩道
前田川コースの最初にある前田川。途中からハイキングルートと分岐しますが、川遊びを楽しみたいなら遊歩道の散策も楽しみたいですね。 水質も非常にきれいで、カワセミなどの野鳥と出会えるかもしれません。
立石公園
立石公園は前田橋コース入口より徒歩約10~15分のところにあります。 高さ約12mの巨石をはじめ、美しい海岸の風景が人気の場所です。登山のあとに海を眺めながら休憩するのもおすすめです。
しょうぶ園
しょうぶ園は衣笠コース・塚山・阿部倉コースから少し外れたところにあります。 5月下旬から6月下旬に約14万株の花菖蒲が見ごろを迎えます。他にもフジが有名で、4月下旬から5月上旬に満開となります。アジサイやシャクナゲなど四季を通じて花を楽しめます。入場料や開園情報など、詳細は下記リンクからご確認ください。
やっぱりお風呂に入りたい
登山といえば、下山後の温泉を楽しみにしている方も多いと思います。 しかし登山ルート近辺に温泉施設がない…。 ※大楠山といえば阿部倉温泉なのですが、2018年5月現在温泉施設が休業中となっています。 温泉はダメでも、やっぱりお風呂に入ってさっぱりしたい!という人も多いはず。ということで、登山ルート近辺にある入浴施設をご紹介します。
衣笠駅近辺の入浴施設
●やすらぎ温泉 JR衣笠駅より徒歩約12分。駐車場17台完備。 入浴料:12歳以上 470円、6歳以上12歳未満 200円 6歳未満 100円
●明徳湯 JR衣笠駅より徒歩約17分。駐車場は2か所(合計8台分)あり。 入浴料:12歳以上 470円、6歳以上12歳未満 200円 6歳未満 100円
東逗子駅近辺の入浴施設
前田橋コース・大楠芦名口コースなど、逗子駅からバスに乗り換える場合は、逗子駅のお隣・東逗子駅まで行くという手もあります。 ●あづま湯 JR東逗子駅より徒歩約3分。駐車場あり(5台分)。 入浴料:12歳以上 470円、6歳以上12歳未満 200円 6歳未満 100円
大楠山ハイキングに適した服装は?
ハイキングに適した靴
大楠山は標高も低く、比較的気軽に登山を楽しめる山。トレッキングシューズであれば間違いがありませんが、本格的な登山用シューズでなくても十分に楽しめます。 しかしコースによっては、沢歩きやちょっとした岩場もあります。やはり足元はスニーカーなど、足に馴染んで歩きやすく滑りにくいものが安心です。
大楠山ハイキング、どんな服装がいい?
気軽なハイキングができるとはいえ、山道を歩けば結構な量の汗をかきます。そして身につけている衣服が汗を吸うと、その水分によって体が冷やされてしまいます。 汗対策には、吸湿速乾性にすぐれた素材の洋服を身につけるのがよいでしょう。また、季節や天候に合わせて防寒対策のフリースやダウンジャケット、防風対策のウィンドシェルなど、必要に応じて用意するのがおすすめです。 汗をかきすぎない、逆にからだを冷やし過ぎないように、歩いている途中でも脱ぎ着して調節するのがベターです。
リュックサックはやっぱり必要?
荷物はリュックサックなどにまとめ、両手があいている状態で登りましょう。 手がふさがっていると足を滑らせたときなど非常に危険です。日帰り登山なら20~30lのサイズがおすすめですが、荷物の量に合わせて大きさを選ぶとよいですね。
雨の日は無理に登らないことをおすすめしますが、万が一の雨に備えてレインウェアがあると安心です。 傘は手がふさがってしまうので、平坦な道や舗装路以外はあまりおすすめできません。
大楠山に登ってみよう
三浦半島最高峰である大楠山。 最高峰というと少々大げさな気もしますが、アクセスもよく気軽に日帰り登山を楽しめる魅力的な山です。 三浦半島の海と山の魅力を一度に体感できる大楠山は、大人も子どもも楽しめる空間であることは間違いありません。頂上からの眺望を、ご自身の目で確かめてみてはいかがでしょうか。
ハイキングコースには4つの代表的なコースがあります。