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冷陰極管(CCFL)とは?その原理や特徴を解説!熱陰極管との違いは何?

冷陰極管、別名CCFLという照明器具をご存知でしょうか?聞きなれない単語ですが、冷陰極管やCCFLは次世代の蛍光管として注目されつつある製品です。冷陰極管の構造や原理、特徴、従来の蛍光灯やLEDランプとの違いについて、まとめてみました。
2020年8月27日
くまこ
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冷陰極管(CCFL)とは?

冷陰極管とは、蛍光灯ランプの一種です。「Cold Cathode Fluorescent Lamp(冷陰極蛍光管)」の頭文字を取って、別名「CCFL」とも呼ばれます。

「放電」と「蛍光」の2つの原理を利用したランプで、一般の蛍光ランプよりも細くて寿命が長いという特徴を持ったランプです。

暮らしの中の冷陰極管(CCFL)

私たちの生活の中で、冷陰極管はどのように使われているのでしょうか?身の回りにあるものを例に、ご紹介します。

冷陰極管はこんな風に使われている!

出典: http://castem.jp/service/lamp/ccfl

冷陰極管は主に、液晶テレビやディスプレイなど、モニターのバックライトとして用いられます。その他では、誘導灯や看板、照明など、電気製品の内部ランプや機器用のランプとして使われています。

冷陰極管(CCFL)の特徴

出典: http://www.arakawashoji.com/

冷陰極管の特徴には、どんなものがあるのでしょうか?基本的な情報をまとめてみました。

サイズや大きさの種類は?

冷陰極管のサイズは一般的な蛍光灯よりもかなり細く、管の直径は約2㎜~6㎜と、とても小さな径になっています。長さについては、約70㎜~400㎜のサイズです。 使用する対象機器や用途によって選ぶサイズは異なるため、それぞれの直径について数種類の長さのものが作られており、サイズのバリエーションは多岐に渡ります。

出典: http://selfhp.com/lumine/product.php

寿命はどのくらい?

冷陰極管は長寿命な蛍光管として知られていますが、その平均寿命は40000~60000時間です。具体的に言うと、24時間使用したままの状態で4年半~6年半もつ計算になります。これはLEDランプと同等の寿命であり、このことからも寿命の長さが伺えます。

こちらの動画は数年前のものですが、冷陰極管の特徴を従来の蛍光灯やLEDランプと比較して分かりやすく説明された内容となっています。メリットについてもまとめられていて、冷陰極管とはどのようなものなのかが詳しく紹介されています。

冷陰極管(CCFL)の構造

冷陰極管では、電極の部分に金属カップが使用されています。この電極から放出された電子が、ガラス管内の水銀蒸気に反射して紫外線を発生させ、ガラス管内面に塗られた発光体が発光して見える、という原理です。 電極からの電子の放出にはインバータが用いられ、高電圧を発することで電子の放出を促しています。

出典: http://castem.jp/service/lamp/ccfl

冷陰極管のガラス管の中には不活性ガス(アルゴン、ネオン)と水銀が充填されています。電極間に電圧を印加するとランプ内の電子が加速し、不活性ガスや水銀の原子にぶつかって、ガラス管内で激しい移動をします。最終的に、紫外線を発しながら動き回る水銀原子がガラス管内の発光物質にぶつかることで、発光するという仕組みです。

冷陰極管(CCFL)の点灯原理

冷陰極管では、インバータ(電源回路)を用いて高電圧を発生させ、電極から電子が放出されることで発光するという原理になっています。一般的な蛍光灯では電極を加熱することで電子の放出を促していますが、冷陰極管では電極の加熱なしに電子放出ができるため「冷」陰極管と呼ばれているのです。

冷陰極管には専用のインバータが必要

出典: http://akizukidenshi.com/catalog/g/gM-11526/

冷陰極管は商用で用いられる50~60Hzの交流電源では点灯しません。そのため、専用のインバータが必要となります。径の細い冷陰極管ほど高い周波数が必要で、30kHz~45kHzの周波数を用いて点灯する原理になっています。

冷陰極管(CCFL)のメリット

冷陰極管には様々なメリットがあります。LEDランプと比べた内容も含めて、まとめてみました。

演色性が高い

冷陰極管は赤、青、緑(RGB)の3波長型で色を再現しています。そのため一般的な蛍光灯と同じく自然な光できれいな色を再現できます。

出典: http://castem.jp/service/lamp/ccfl

一方LEDランプでは、青色LEDに黄色蛍光体を組合わせた疑似白色となるため、物の見え方が青白くなり、違和感を覚える色彩となります。

出典: http://castem.jp/service/lamp/ccfl

「眩しくない明るさ」が得られる

冷陰極管の線光源は360°の全方向に発光するため、広い範囲をむらなく照らすことができます。一方のLEDランプでは、点発光による直線性の強い光で、一方向にだけ特に明るいという特性があります。そのため、一般的な蛍光灯と同じような配列でLEDランプを設置すると、明るさにバラつきが出て「眩しいけれど暗い」という状態になってしまうのです。

出典: http://castem.jp/service/lamp/ccfl

また、冷陰極管では高周波インバータを使用するため、明かりにチラつきがありません。眩しさや、目に悪影響を与えると言われるブルーライトも少なく、目に優しい照明なのです。

サイズや形状を自由に変えられる

冷陰極管は電極の構造が一般蛍光灯よりも簡易なため、ランプの外径を細くでき、スリムで小さなサイズのランプを作れます。サイズが小さく細く作れることで冷陰極管を使用する照明器具のサイズも小型化が可能となり、照明機器のポテンシャルを引き上げる役割を果たしています。

出典: http://aisave.asia/aboutccfl/ccfldetail/

省エネで長寿命

冷陰極管では従来の蛍光灯と比べて約20~30%の節電効果があり、省エネを図れます。また、前述の通り寿命が圧倒的に長いため、ランプ交換の手間もなく、看板や誘導灯、ディスプレイ用の照明など、長時間明かりが必要な場所で使用されています。

出典: http://www.daieikenko.co.jp/ecosyomei/pg479.html

冷陰極管(CCFL)のデメリット

メリットの多い冷陰極管ですが、ほんの少しのデメリットもあります。冷陰極管のデメリットについて、こちらで簡単にまとめました。

量販店で手に入りにくい

40年来の歴史を持ち、産業分野では広く知られている冷陰極管ですが、今まで表舞台にはあまり登場せず知名度が低いままです。蛍光灯と比べて省エネ、長寿命という利点から一般的な照明に利用しようという動きが出たときには、LEDランプが普及し始めていました。 大手メーカーの動きでも、LEDランプの普及をすすめる動きの方が速く、冷陰極管ランプは産業利用のものからなかなか抜け出せず、そのため一般家庭向けのものが量販店では手に入りにくいというのが現状です。

扱いを間違えると事故の元になる

冷陰極管は車のヘッドライトやポジションランプとしても用いられます。趣味で車の装飾ランプを変えたりしている方も多くいると思いますが、冷陰極管ランプとインバータの接続や、インバータの未使用コネクタの処置の方法によっては車両火災事故の原因となることもあり、それらの取扱いには十分注意が必要です。

冷陰極管(CCFL)とインバータ

車のヘッドライトで輪っか状のものを見たことはありませんか?その形状から「イカリング」や「エンジェルアイ」と呼ばれているヘッドライトですが、こちらに冷陰極管が使われています。 主に外車のポジションランプとして普及されたものですが、今では装飾用の後付けパーツとしてネットでも簡単に購入できるため、街中でよく見かけるようになりました。

冷陰極管ヘッドライト搭載車の事故

ところが、この冷陰極管ヘッドライトの後付けに起因する車両火災事故が、神戸市内で平成22年から4件発生しています。いずれもヘッドライト周辺の焼損で、雨天時の夜間走行で起きたものです。

事故車両における冷陰極管の状況

この冷陰極管ヘッドライトには1灯用・2灯用の2種類がありますが、事故車両の多くは冷陰極管を1灯しか取り付けていないにも関わらず2灯用のインバータを使用し、更にインバータの片側には接続せずエンジンルーム内に収納した状態でした。 中には未接続のコネクタに絶縁テープで防水処置をしていたものもありましたが、熱や雨の影響を受けやすい部分であることを考えると、月日が経つにつれコネクタ部やインバータ内部に雨水などが侵入してしまう状態でした。

冷陰極管インバータの取扱いについて

冷陰極管インバータでは1000Vを超える高電圧が発生するため、ビニールテープを貼る程度の絶縁処置では対応しきれません。車のように、振動が発生する上に高温多湿の場所は配線設備箇所としては過酷な状況下で、砂埃や雨水が充電部分に触れると出火する恐れがあります。

動画は冷陰極管用インバータのアーク放電の様子です。アーク放電は電圧が限界を超えることで起こる現象ですが、これが車載搭載の機器で起きたらと思うと怖いですね。

冷陰極管使用における発火要因

車両発火事案を受けて神戸市が行った検証によると、車両のバッテリーDC12Vがインバータを介すとAC1000Vもの高電圧に上昇し、これらの高電圧配線同士を近づけると放電火花が発生、絶縁テープ等に着火する、という結果となりました。また、冷陰極管が接続されていないコネクタ部に水滴を垂らすことで微小な火花と白煙が発生、最終的にはトラッキング現象により出火することが確認されました。

事故をおこさないためには?


この事案では安易な施工により、高電圧になるという認識不足から事故が起きてしまいました。車の装飾のため車両内部の配線を触る際には冷陰極管と安定器の設定や、未接続コネクタの処置、インバータ配線の防水や絶縁処置に気を付け、高電圧に耐えられる絶縁処置に努めることが大切です。

冷陰極管(CCFL)と熱陰極管(HCFL)

冷陰極管と似た言葉で、熱陰極管というものがあります。こちらは冷陰極管と何が違うのでしょうか?分かりやすく簡単にまとめてみました。

熱陰極管(HCFL)とは?

熱陰極管は、「Hot Cathode Fluorescent Lamp = 熱陰極蛍光管」の頭文字を取ってHCFLとも呼ばれます。発光効率が高く、光量も多いため一般的な蛍光灯に用いられています。

冷陰極管との違い

冷陰極管と熱陰極管の大きな違いは動作原理で、その名の通り電極から電子が放出されるときに加熱があるかないかの違いになります。詳しい内容はこの後に述べていきます。

熱陰極管(HCFL)の特徴

熱陰極管の特徴や構造、原理について、冷陰極管との比較も加えながらまとめました。

熱陰極管の構造・原理

出典: http://www.arakawashoji.com/product/

熱陰極管は電極部にエミッタ(フィラメントコイル)を用いた構造になっています。通電させることにより加熱して電子が放出され、発光する仕組みとなっています。冷陰極管との大きな違いはこの点で、その他の構造や発光原理についてはほとんど同じです。 エミッタが内蔵されていることで冷陰極管よりも外径サイズは大きくなります。

熱陰極管の寿命

電極にフィラメントが使われていることから、熱陰極管の寿命はその消耗具合によって左右されます。エミッタは点滅を繰り返すうちに飛散、減少し、これが寿命に関わってくるのです。平均寿命は約6000時間で、冷陰極管と比べると短いです。

まとめ

今回は、次世代の照明とも言われる冷陰極管、CCFLについてご紹介しました。商業施設や器具では以前から広く使われていたものの知名度が低かった冷陰極管ですが、近年注目度が上がってきています。エコで人にやさしい明かりをもたらしてくれる冷陰極管について、この記事をきっかけに知っていただけると嬉しいです。